【読者投稿】理系研究者の新型コロナウイルス考察

コロナウィルス騒動に伴い、当ウェブサイトでも1月下旬からしばらく、これらに関する話題を取り上げているのですが、非常にうれしいことに、専門家の方からのご投稿を頂くことが増えています。先日の『【読者投稿】コロナウィルス、まだ慌てる時間じゃない』などでは現役の医師の方からご投稿を頂いたのですが、本日は「理系の研究者」という立場の方から、また違った切り口でコロナウィルス騒動についての見解を頂きました。

読者投稿

以前の『お知らせ:読者投稿を常設化します』でもお知らせしたとおり、当ウェブサイトでは昨年以来、「読者の皆さまからの記事投稿窓口」を常設化しており、読者投稿を歓迎しております。なお、その投稿要領、過去の読者投稿については、それぞれ次のページにまとめております。

必ずご確認ください(2019/12/16日版)
過去の読者投稿

こうしたなか、最近、新型コロナウィルスの蔓延に伴い、世の中には科学的知見に基づかない、なかば常軌を逸した論調も蔓延しているようです。こうしたなか、当ウェブサイトに「りょうちん」というペンネームでコメントを下さる現役医師の方から、相次いで次のような読者投稿をいただいています。

【読者投稿】新型肺炎、日本は「いつもどおり」で良い(2020/01/31 10:30付 当ウェブサイトより)
【読者投稿】コロナウィルス、まだ慌てる時間じゃない(2020/02/06 05:00付 当ウェブサイトより)

リンク先記事を読んでいただければよくわかるのですが、非常に冷静な議論です。

また、読者コメント欄も大盛況となっているのですが、こうしたなか、本日は「ケロお」様と名乗るコメント主様から、「理系研究者」という立場で論考を頂きました。

(※なお、ケロお様の希望する記事のタイトルは『【読者投稿】理系研究者の新型コロナウイルス考察』でしたが、当ウェブサイトの文字数などの都合で記事タイトルを変更していますのでご了承ください。また、記事本文は大意を変更しない範囲で適宜修正を加えています。ここから先が投稿です。)

理系研究者の新型コロナウイルス考察

自己紹介

本題に入る前に軽く自己紹介です。ハンドルネーム「ケロお」という者です。

最近はバイオ系研究者としての新型コロナに対するコメントを書かせて頂いてました。政治経済に関しては素人なので、新宿会計士さんの鋭い分析を興味深く読ませていただいてます。このブログの読者層は、ミリオタのお医者さんとか、韓国在住の人とか、なかなか個性的な多分野のプロがたくさんいて、興味深いです。

職業は生物系分野の研究者ですが、仕事内容自体はちょっと特殊です。

調査研究が主要業務ですが、行政機関への情報および技術提供を前提としており、さらに一般の「お客様」への啓蒙活動のような仕事もしているため、いわゆる「文系」の人(または「一般」の人)に対し、わかりやすく専門知識を伝達することが求められます。

専門分野自体は医学系ではありませんが、安全保障、リスクマネジメントに関わっています(※今回の投稿とは関係ないので詳細は割愛します)。

また、ホラー小説ファンがこうじて、個人的には「安全保障マニア」です。人が安全に生きていけるのはなぜか、人の生命を脅かすもの、リスク要因について考察するのが趣味です。

研究者というか「理系」の人って「難しいことを小難しく言う」のは得意なんですけど、「難しいことをわかりやすく言う」のが苦手な傾向があるような気がします。そういう人は私の職場では苦労します。

この投稿では、今話題の「新型コロナウイルス」について私が考えたこと・思ったこと・感じたことをわかりやすく伝えられればいいな、と思います。

中国武漢市で謎の肺炎が流行

わたしにとっての今回の新型コロナウイルスについての第一報は、正月休み中のネットニュースでした。どこの配信か、今となっては確認できないのが残念ですが、非常に情報量の少ない報道がいくつかあった記憶です。

  • 中国で肺炎が流行
  • 武漢市の海鮮市場関係者に肺炎患者が続出で重症の患者も
  • 未知のコロナウイルスが流行

SARSの再来か、次世代SARSがついに現れたか、と戦慄したのですが、中国政府のアナウンスは奇妙なものでした。

  • 重症者は少なく死亡者はいない
  • 患者のほとんどが海鮮市場関係者かその付近に立ち寄った人に限定される
  • 市場で扱っている動物から人に伝染したと思われ、人から人への感染は確認されていない
  • 媒介動物は不明

「海鮮市場で扱っている動物?魚?エビカニ?」

「ベータコロナウイルスを媒介するのは哺乳類だけじゃなかったっけ?」

最初の疑問は検索してすぐに解消しました。

海鮮市場ではSARSで有名になったハクビシンなどの野生動物が売買されていたから、それらの哺乳動物が疑われているらしいと。

余談ですが、「ハクビシンSARS原因」説も、単純にヒト由来SARSウイルスとハクビシン由来SARSウイルスの遺伝子が一致したというだけであり、「濡れ衣」っぽいんですけどね。

ハクビシンからヒトに感染したとは限らず、ヒトからハクビシンに感染した可能性があるわけです(市場の檻の中のハクビシンさんは「ヒトから移されただけ」説が濃厚です)。もし「ハクビシンSARS原因」説を証明するなら、完全な野生のハクビシンからウイルスをゲットしないとね。

今回のコロナウイルスについても現在では感染源がコウモリ(中間媒介は不明)とされていますが、今回も最初にいろんな動物が根拠なく疑われたわけです。

中国政府の基本態度は12月下旬か1月上旬には決定していた?

この正月休み時点でのバイオ専門家の目から見た奇妙な点、疑問点を列記します。

  • ①未知のウイルスに数十人が集団感染し一部が重症って大ニュースなのに、死亡者がいない、だから大丈夫って?
  • ②媒介動物が不明なのに、動物から感染ってほぼ断定してるけど、なんで?
  • ③患者のほとんどが市場関係者ということは、無関係な人も感染しているという意味で、その人は何から感染したの?

上記疑問点について、わたしの考察は以下のようになります。これらは推測にすぎないのですが、2月上旬現在でも特に矛盾がない推論だと思います。

まず①ですが、要は「ものすごいやばいニュース」だから、「死んでないから大丈夫」って言ってるだけという意味かなと思います。

死亡者がでたら、「死亡者は少ないから大丈夫」と言い張るか、「死亡者はじつは感染していなかった」ことにするか、あるいは死亡者の情報は徹底的に隠すか。「このウイルスはSARSではないから大丈夫」、または、「SARSだけど死亡率が低いヤツだから大丈夫」と言い張るか。

これに関する中国政府の対応はすでに決定されているのではないでしょうか。

次に②については、「媒介動物は確定できていないし、確定の見込みもない」、という意味でしょう。だけど、「動物から人に感染しただけだから大丈夫」。そういうふうに中国政府の対応は既に決定されているのだと思います。

動物から未知のウイルスが集団感染って、ふれあい動物公園かな?それともムツゴロウさんみたいな動物大好きな人がたくさんいたのかな?絶対違うよね。初期の感染者は動物からかもしれないけど、つまり、その動物はもう市場の客の胃袋の中に入っちゃってて分析サンプルが無いということですよね。

12月末に市場閉鎖したけどその時点で回収した動物からはウイルス見つからなかった、残念!ってことでしょうね。

③についても②セットで、「人から人への感染はないから大丈夫」、「あっても少ないから大丈夫」。

そういうふうに中国政府の対応は既に決定(以下略)。

いくらなんでも無理ありすぎます。ムツゴロウさんみたいなのがたくさんいない限り、中間媒介動物からの感染が数十人もいるほうが不自然です(武漢の市場でムツゴロウさんが数十人で「かわいいですねー。オーよしよし(ペロペロペロ)」って、別の意味でヤバい)。

12月後半の時点での感染者のほとんどが人から人への感染者でほぼ間違いないです。中国政府、嘘つくの下手すぎ。ああ、嘘だと指摘した人はいなくなるから大丈夫なのか、中国国内的には。

一旦まとめますと、初期の時点では、中国政府は「動物からSARS近縁のコロナウイルスが人に感染して流行している。重症化している人もいるし、SARSのように死者もでるかもしれないけど、大丈夫ということにしよう」、そうとしか思えなかったのです。ちょっと意味がわからない。

コロナウイルス感染症?SARS再来?

コロナウイルスといったら、風邪のウイルス(「ヒトコロナウイルス」と呼ばれるのが4種類)か、大騒ぎになって多数の死亡者も出たSARSとMERSを思い浮かべますが、いずれもコロナウイルスのうち、ベータコロナウイルスと呼ばれるグループに属します。

アルファとベータは、哺乳類、ほとんどがコウモリ、ヒト、家畜で確認されてます。デルタコロナウイルスとかもあるんですが、鳥類で確認されてます。これらコロナウイルス大多数の共通の特徴が、呼吸器に感染して症状をあらわす点です。

群れで生活しお互いに飛沫感染させる動物で見つかるわけです。コロナウイルスと群れで暮らす動物は切り離せない、共存していくしかないわけです。

さて、SARSは重症呼吸器症候群というストレートなネーミングの病気です。2002年末頃中国で発生して、その後半年程度で世界中に広まり、8000人程度の感染者で800人弱が死亡するという、呼吸器系のコロナウイルス感染症としては、死亡率10%級と桁違いに凶悪なヤツです。

近代最悪のパンデミック、1918年の「スペイン風邪」が世界人口20億人に対し、5億人の感染者で5000万人の死亡者ですから、SARSは死亡率でいえばレジェンドクラスに並ぶわけです。

ちなみに普通の季節性インフルは、日本国内で1000万人の感染者で1000~1万人程度が死亡していると推定されています。普通の統計での死亡者1000人で関連死的なのも入れると1万人ということらしいです。

(※インフルエンザは死亡率でいうと0.1~0.01%であり、これだけだと「雑魚」っぽいですが、インフルエンザは、わたし的には天然痘、狂犬病とならぶウイルス四天王の1つです。)

第2のSARSがMERSだとすると、第3のSARSがついに来た。

それなら、かなりやばいことになります。飛沫感染と接触感染で致死率10%クラスがパンデミックになったら、グローバル化で世界中の人の動きが100年前とは桁違いに多いので、スペイン風邪の比ではない大惨事もありえます。

SARSと違って大都市武漢で既に十数人規模の感染者がいるわけですから。未確認感染者も含めれば推定100人規模、エピデミック(地域限定の大流行)初期と見るべきです。春節寸前なので、対応を誤ればパンデミック一直線です。中国政府は何考えてるのか。

SARSのようでSARSじゃない

そういうなかで、ヒト由来の新型コロナウイルスの全遺伝子配列決定の報がもたらされ、新たな疑問が生じました。

  • ④ウイルス全遺伝子配列決定、早すぎない?

「最初から配列わかってたのか?まさか、動物由来でなく研究室由来?生物兵器という噂もあるけど、だとしたら配列を公開するわけがない。武漢を焼き払ってでも隠蔽しかねない」…、などとハラハラしていたら、論文が発表されました。

Discovery of a novel coronavirus associated with the recent pneumonia outbreak in humans and its potential bat origin

読んでみたら、一目瞭然、もともとSARSを研究していたわけです。論文のトーナメント表っぽい図(※)は系統樹っていうものです。

図表

(※新宿会計士注:論文の242行目、PDFファイルでいうP10に掲載されている図表のうち、右側の図表のこと。ケロお様からは図表を切り取ったファイルも頂いているのですが、当ウェブサイトでは転載の著作権的な判断がつかなかったため、掲載を見送っています。)

左が樹の根元で枝分かれしながら右に伸びてます。近くの枝が遺伝的に近縁であることを示します。赤字が武漢ベータコロナウイルス(BetaCoV/Wuhan)5株と近縁のコウモリ由来ウイルス(Bat CoV RaTG13)です。

その上にコウモリSARS関係コロナウイルス(Bat SARSr-CoV)7種類がずらりと並んでます。問題のウイルスよりもSARS関係ウイルスのほうが多いって、SARS研究してたこと隠す気もまったくない。SARS研究しててSARSに近いウイルスをコウモリから集めて調べていた。そこまでは確定事項でしょう。

純粋にSARSの大元のウイルスや、将来あらわれることが想定できる次世代SARSを探して研究していたのか、なにか他の目的でウイルスを収集していたのか。

この論文は未査読ですが、観察事実、調査結果を淡々と羅列しているものであり、特に珍奇な考察がなされているわけでもなく方法論もまっとうです。以下、要旨を箇条書きします。

  • 肺炎患者の患部を網羅的に遺伝子解析した結果、SARS近縁のウイルスが優占していた
  • そのウイルスの全遺伝子配列を決定した(※30000塩基程度と短いウイルスですので、全配列決定は容易でした、知りませんでした。)
  • 今まで知られているウイルスの中ではSARSに比較的近縁だけどSARSとは明らかに違うウイルスで、ごく近縁なウイルスはコウモリ由来の1種だけで、既知のヒトコロナウイルスとも全く異なる
  • 下気道と口腔からは多数のウイルスが得られ、両方にウイルスが多い患者がほとんどだけど、どちらか片方だけの患者もいる(※喉の拭い取りでは検出できなかったけど痰から新たに検出したら陽性になった患者さんが日本にもいましたね。合致してます)
  • 10日程度後、口内、肛門、血液中のウイルス検出量は減少する

その他には、免疫グロブリン濃度の変化、細胞に感染させた電子顕微鏡写真、ウイルスと結合するヒトの受容体の決定、RT-PCRによる遺伝子の増幅方法など。

この論文を読む限り、「SARSウイルスを研究していたら新型のコロナウイルスが流行したので調査しました。結果を発表します。このウイルスを新型コロナウイルス2019(nCoV-2019)と仮に呼びます」。それだけです。

わたしの見解としましては、nCoV-2019は人工のウイルスではありません。偶発的に人に感染したコウモリ由来のウイルスです。

生物兵器でもありません(生物兵器に使うつもりなのに遺伝子配列とかいろいろな情報をすぐに公開するなんて、新兵器の設計図を公開するようなものであり、極めて不自然です)。生物兵器である可能性はゼロではないでしょうけど。

ちなみに、理系研究者が「可能性はゼロではない」と言ったら、それは「可能性ほぼゼロです。でも完全にゼロって言い切るとゼロである根拠とか説明する責任みたいのがでてくるでしょ。だからちょっとぼかすよ」ってニュアンスです。

残る疑いは、SARS研究の過程で集めたコウモリ由来コロナウイルスの一種を、なんらかの事故か過失で研究所外に逸出させてしまったという可能性です。これは非常に有り得そうです。

生物兵器としてのウイルス

ちょっと話は脱線しますが、どのようなウイルスが生物兵器として使われる可能性があるかを完全に主観に基づいて解説します。

最強は天然痘です。感染力が強く空気感染して致死率数10%。人にしか感染しないので、生態系に優しいエコなウイルスです。欠点は強すぎて禁止するしか無いとこです。

アメリカソビエトが協力して根絶するレベルですから、核兵器以上にリスキーとみなされたわけです。既に根絶されているので、兵器として使ったら即バレです。

次点が狂犬病です。致死率およそ100%です。感染哺乳動物に噛まれて感染します。哺乳類すべてに感染しますので、人的被害だけでなく家畜被害も引き起こして敵国の食料供給能力も削れます。地球上のほとんどの地域に土着ですので、兵器利用しても発覚しにくいと思います。

一方、発症するまで数年かかるのが欠点です。ワクチンで予防できるのも欠点ですが、バレなきゃ予防措置も取らない可能性が高いです。実際に使う場面では、感染媒介動物を大量に放すやり方が考えられます。

媒介動物としては、人の近くにいても不自然でなく、大量に増やしやすく、人に噛み付く。猫が最適です。犬は平時から要警戒なのでイマイチです。コウモリやネズミでは人への接触機会が少ないのでダメです。急に野良猫が増えたらちょっと警戒したほうがいいかもしれませんよ。

私が地味に危ないと思っているのは「四天王」の一角、節足動物媒介脳炎ウイルスです。

節足動物というのは昆虫とかダニとかのことです。蚊が媒介する日本脳炎とかダニ媒介性脳炎とかです。致死率が高く後遺症も重篤、潜伏期間も数週と短く、人から人への直接感染がないので兵器としてのコントロールがしやすいのが長所です。

蚊やダニを大量飼育できれば哺乳動物と組み合わせてウイルスをもった虫を大量生産できます。猫と違って大量に放しても気が付かれにくいのも好都合です。バレた場合ワクチンで予防できるのと、殺虫剤の大規模散布で抑制できる可能性があるのが欠点です。

HIVは論外です。四天王には入れません。感染させるのが難しいですから。性行為か血液で感染するので、かなり特殊な状況でしか蔓延してくれません。コンドームと適切な医療環境で蔓延防止可能です。

インフルエンザも強いんですが、何もしなくても数千数万勝手に殺すウイルスをわざわざ兵器として使っても、コントロールしにくいというか、ダメージがあるのかないのか判定できないのが難点です。治療薬とワクチンがあるのも兵器としては欠点です。

以上をふまえますと、コントロールしにくく、致命的でもないコロナウイルスを兵器化するメリットはなにもありません。使うなら致死率の高いSARSかMERSですよ。

研究所からの逸出の場合、中国政府はどう対応するか

話を戻します。

SARSに近いウイルスを研究所から漏らしてしまった場合、中国政府はどのように対応するか推測します。ウイルス逸出事故は隠したい、そう考えるのは当然です。肺炎流行はばれてしまったが、しょせんコロナウイルス、飛沫感染と接触感染だけで空気感染するわけでもない。

患者の経過を見るとSARSほど危険ではないことがわかったので、騒ぎを大きくしないで終息させたい。もみ消したい。そんなところでしょう。

勝手な想像ですが、こんなやり取りがあったのかもしれません。

  • 政治家「SARSじゃないなら、危険ではないよな?大丈夫だよな?」
  • 研究者「(SARSみたいに死にまくるウイルスじゃないので)危険ではないです。(コロナウイルスは通常の感染防止対策で対応できますので)大丈夫です」(大丈夫って言わないとヤバい!)
  • 政治家「よしそうか!はい!安全!」(武漢で新型の風邪が流行るだけで済むならほっとけばいいかな)
  • 医者「なんか、重症化した肺炎患者がたくさん来るんだけど..」
  • 研究者「風邪みたいなものだから、悪化すれば肺炎になります。」
  • 役所「武漢で肺炎が流行してるけど、余計なこと言わないこと」→文書流出
  • 政治家「大丈夫。動物からうつっただけで、人から人の感染は限定的。死者はいないしSARSとは違う」
  • 人民「政府は信じられないけど、SARSじゃないなら平気かな?マスク?手洗い?気にしすぎwww」
  • 習近平「念の為、武漢封鎖!外国に文句言われると嫌だから団体旅行禁止!情報公開のフリしてそれっぽい数字を発表しとけ!WHOに根回しすれば完璧だ!」

うん、ありそう。海鮮市場由来の証拠はない、というか既に徹底的に「消毒」済みっぽい(証拠隠滅?)。海鮮市場由来ではないという証拠もない。全ては闇の中、50%50%ですね、状況的に。

新型コロナウイルスにまつわる噂

ここで、チャイナウオッチャー福島香織氏の記事を紹介します。コリアウオッチャーといえば新宿会計士さんがよく取り上げる鈴置高史氏が有名ですが、中国関係なら福島氏が有名です。

記事のタイトルは、『「新型ウイルスはバイオ兵器?」の噂が囁かれる背景/疑いの目が向けられるバイオ研究所の存在と中国のいびつな対応』。噂に過ぎない新型ウイルス生物兵器説が流布する背景を紹介しています。

わかりやすいです。

北京のバイオ研究所のSARSウイルス逸出事故、中国系研究者のカナダからのエボラウイルス盗難疑惑、注目を集めている武漢の研究所の管理体制の甘さ、中国政府の不自然な対応、安全だというアナウンスと裏腹の武漢封鎖や渡航禁止などの強硬策は人民解放軍絡みの事件だから…。

そういう疑惑があるという記事内容です。噂に過ぎないが、中国政府はまだなにか重要な情報を隠していると疑われるのは仕方がないと、述べています。

恥ずかしながら武漢のラボの管理能力の低さや、エボラ関係の疑惑はほぼ何も知りませんでした。とはいえ、ウイルス逸出があながち根拠のない話でもない、現実的に考えられるというお話でした。

中国政府は危険性は低いとみなしてもみ消すつもりだった

結局、新型コロナウイルスの感染ルートは2通り考えられるけど、どちらでもウイルス自体は同じこと。

  • A.コウモリ→野生動物→(海鮮市場)→感染者X→市場関係者など→武漢市内
  • B.コウモリ→(研究所)→感染者X→市場関係者など→武漢市内

中国政府の1つ目の誤算。

市場関係者に流行してウイルスを確認した時点で、SARSほど危険はない(=致死性が低い)ため、ウイルスのアウトブレイクリスク(=一般的な中国人の衛生状態ではウイルスが急激に蔓延する)を過小評価して、保身のため、医療関係者および一般国民への情報提供を意図的におこなわなかった。

その結果、武漢市でのアウトブレイクを引き起こしたことです。

2つ目の誤算は、もしこれが生物兵器の逸出事故であったなら武漢市を焼き尽くしてでも隠蔽したかもしれないが、ただのコウモリ由来の風邪ウイルスなので、人の移動を制限すれば流行は終息すると見誤ったことです。

いま現在も、2つ目の誤算を認められずに、各地で都市封鎖を実施しているようです。

習近平が初動に至らない点があったと認めたことが話題になりましたが、自分の責任ではなく十分な対応をしなかった者を後で処罰するという宣言にすぎないでしょう。世界の感染症関係の責任者であるWHOのトップが、習近平の対応は素晴らしかったと絶賛しているのですから、保険はもうかけてあるわけです。

習近平としては中国人の命など、「どうせ2%しか死なない」とでも思っているのかもしれません(というか死亡者の50倍の人数の感染者数を発表しているだけかもね)。

それよりWHOのナントカさんが失脚しないように全力を尽くしているはずです(※このの人の首が飛べば習近平も危うい状況となっているのですけどね)。

感染者数と死亡者数の推移は、数字上はものすごく完璧にコントロールされています。

1月中旬突然感染者が増え始めます。感染症のアウトブレイクなので感染者数は、理論上、指数的に増加します。10、20、30、40と増えるのではなく、10、20,ときたら40,80という感じです。10の何乗か、たとえば1000人なら10の3乗といった感じで縦軸を取ると、1月下旬まで、感染者数は笑っちゃうくらいに指数プロットで直線的増加をしていました。完璧に理論通りでした。

数字を考える人が真面目すぎです。中国ってそういうとこありますよね、経済成長率の統計を取ったら目標成長率の数字にピタリとハマったり。死亡者数もそういうことでしょう。死亡率は2%と決めてあって、数字を考える担当の人は言われたとおりキッチリ仕事をする。結果、毎日2.0±0.1%で安定すると。

各国は自国でデータ取るしか無いと覚悟して、日本なら武漢引揚者とか大型客船乗客乗員とか、徹底的にデータ取る気だと思いますよ。彼らは残念ながらしばらく自由は制限されます。日本にしてはよくやっていると思います。思い切ったことしてますよ。

武漢からの観光客とその接触者ではデータが上手く取れなかったのだから仕方ないです。データが無ければ、どうしたらいいか判断材料がないのですから。いろいろ細かい不手際はあって、ベストとは言えなくとも、トータルではベターな対応ができていると思います。

新型コロナウイルスは本当に生物兵器じゃないの?

最後に私の妄想を垂れ流します。まあSFホラーのネタみたいなものです。

新型コロナウイルスが生物兵器だとすると、ひとつだけ、懸念するシナリオがあります。nCoV-2019は致死率が低いウイルスですが、致死率の高い新型コロナから作られた弱毒化ウイルスなのではという疑念です。

仮想高致死率新型コロナをnCoV-2020と呼ぶとします。2種類のnCoVは極めて似ていて、片方に感染した人は両方に免疫がつくとします。というか、nCoV-2019はその目的で厳選されたウイルスと仮定します。

中国ではnCoV-2019は蔓延してますが、これはシナリオ通り。狙いは中国人にnCoVに対する免疫をつけるため。外国、特に先進国はnCoV-2019の蔓延防止をして、結果nCoVへの免疫がついた人は極めて少ない状態となります。

そこで、真打ちのnCoV-2020を先進国に秘密裏にばらまきます。こっちが本当の生物兵器です。

表面上はnCoV-2019が変異して致死率が上がってしまったように見えます。もちろん中国でも免疫のつかなかった人にnCoV-2020が散発して多少の犠牲者はでます。しかし、被害が深刻なのはnCoV-2019の蔓延を阻止できた先進国でしょう。

治療薬とワクチンの開発・大量生産までに中国人の大多数にnCoVの免疫がつけば実行可能です。当初の目論見は弱毒化SARS変異株でこのシナリオを実行しようとしていたけれど、オリジナルのSARSが先に流出して失敗に終わっていたのかもしれません。

そういう目的で探しだした第2のSARSこそnCoV-2020なのです。

(このnCoV-2020は完全に私個人の空想の話です。nCoV-2020をばらまく手段はどうするのとか、治療薬自体先に中国で開発済みでないといけないし、nCoV-2019だけで中国経済に悪影響が出ているのもちょっとお粗末すぎですし、ツッコミどころは満載です。まあ、HIVとのキメラウイルスだとかいう論文を出して、総ツッコミを受けて撤回するよりかは、ネタとしては面白いと思いますよ。)<了>

読後感

…。

いかがでしょうか。

もともとの文章が長文であり、投稿者様からは「前篇、後篇に分けても良いです」とのお申し出も頂いていたのですが、内容的に前後に分けてしまうと読み辛くなると思ったので、思い切って一気に掲載した次第です。

正直、私自身は理系研究者ではありませんし、保健衛生などに関する危機管理の専門家でもありませんので、いただいた論考が100%正しいのかどうかを判断するだけの知見などありません。この文章の妥当性に関しては読んだ方々がご判断頂きたいと思います。

ただ、文章自体は平易でわかりやすく、かつ、説明は自然なものですので、文章の長さのわりにすんなりと読めたという方は多いのではないでしょうか。

実際、当ウェブサイトに掲載するに当たり、論考の出だし部分については語順を入れ替えるなどの添削を加えましたが、中盤以降については、ほぼ原文どおりに掲載しています(※改行、1行当たりの文字数の調整などを除く)。

コロナウィルス騒動についての読み物のひとつとして、是非、ご参照くだされば幸いです。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

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