本稿は、『麻生太郎総理、「憲法改正なら4選覚悟せよ」』『麻生総理が「対韓金融制裁」に言及したことの意味』の「続編」です。先日は韓国に対する金融制裁について切り出して紹介したのですが、文藝春秋の本誌を購読したところ、その中身は韓国への金融制裁「ごとき」で終わらせるにはあまりにももったいないくらい、非常に優れた文章でした。改めて、ウェブ版記事では公表されていない部分などを中心に、麻生発言を考察してみたいと思います。
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目次
両総理体制の強み
麻生太郎総理といえば、2008年9月、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発する金融危機が始まった直後に内閣総理大臣に就任し、オールドメディアの偏向報道の攻撃によって倒れ、鳩山由紀夫元首相に内閣総理大臣の地位を奪われたという「悲劇の人物」でもあります。
ただ、誰が総理を務めても自民党が下野を免れなかったという局面で、麻生総理は1年弱の在任期間、最大限のことをやったことは間違いありません。
そして、2012年12月に安倍政権が奇跡の再登板を果たし、それ以来、今日に至るまで約7年間、連続して在任しているのも、麻生総理が副総理兼財相として入閣することで安倍晋三総理を支えているからであり、その意味では現在の安倍政権は「安倍・麻生ダブル総理体制」といえると思います。
もっとも、麻生総理を「副総理兼財相」として見たときには、正直、その事績には疑問符が付くことも否定できません。
その最大のものが、2回におよぶ消費税・地方消費税の引き上げです。とくに生活必需品である食品については合計8%の異常に高い税率を「軽減税率」と称しているほどで、消費税という呪われた欠陥税制は、やがて、日本経済全体を蝕むように思えてなりません。
ただし、財務官僚の力は、私たち一般国民にとっては依然として侮れないほど強く、麻生総理が「副総理兼財相」を務めることで、安倍総理を守っていたからこそ、2回目の増税を今年にまで延期することができたという言い方もできるかもしれません。
安倍政権は「安倍・麻生両総理体制」(つまり、事実上の「安倍・麻生連立政権」)であり、憲政史上最強クラスの内閣でもあります。憲法改正を筆頭とするさまざまな戦後のくびきから日本を開放するという重大な責務を果たしていくべきでしょう。
もっとも、こうした見方が正しいかどうかについては、結局、歴史が証明していくことになると思いますが…。
麻生総理の発言
文藝春秋の記事を読んでみた
数日前、当ウェブサイトでは『麻生太郎総理、「憲法改正なら4選覚悟せよ」』『麻生総理が「対韓金融制裁」に言及したことの意味』のなかで、麻生太郎総理が雑誌『文藝春秋』のインタビューに応じた、とする話題を紹介しました。
その際、該当する『文藝春秋』の記事の一部が、デジタル版でも閲覧可能だ、と申し上げたのですが(具体的には次の記事)、ただ、この記事を最後まで読むためには、『文藝春秋デジタル』を購読する必要があるのだとか。
麻生太郎副総理が激白 「安倍総理よ、改憲へ四選の覚悟を」(2019/12/10 06:00付 文藝春秋digitalより)
こうしたなか、昨日は少しだけ時間に余裕があり、所要のため繁華街に出掛けたのですが、その帰りに、紙媒体の『文藝春秋2020年1月号』を買い求めて来ました。
じつは、自分自身でも気付いたのですが、当ウェブサイトでは『文藝春秋』を含め、紙媒体の雑誌記事を、ときどき紹介しています(おなじ文藝春秋だと、先月の『文藝春秋「失敗が安倍晋三を育てた」に見るリーダー論』という事例があります)。
当ウェブサイトをあとから読み返すと、あたかも「もう紙媒体の時代は終わった」だ、「これからはネットの時代だ」だとでも言いたげな記事を執筆しているわりには、紙媒体のメディアをときどき取り上げるというのも意外な感じがします。
(※ちなみに当ウェブサイトではあまり報告していませんが、私自身は実名では、業界誌などに、頻繁に記事を寄稿しています。)
先ほどの『経済原理に反するオールドメディアの真っ暗な未来』でも、「ネット社会に突入しつつあるとはいえ、紙媒体の役割がいきなりなくなるわけではない」と申し上げたのも、こうした当ウェブサイトなりの実体験に基づいている、という側面があるのです。
(※余談ですが、この文藝春秋には、朝日新聞編集委員の牧野愛博氏による『GSOMIA「文在寅迷走」の全内幕』という記事も収録されており、これはこれでなかなか興味深いところがありますので、機会があれば別稿で取り上げても良いかとは思っています。)
麻生総理の発言が面白い!
さて、前置きはこんなものにして、さっそくですが、昨日買い求めて来た『文藝春秋』のインタビュー記事を読んでいきましょう。
麻生太郎「安倍総理よ、改憲へ4選の覚悟を」 副総理激白(『文藝春秋』2020年1月号P114~127より)
記事のタイトルはウェブ版と少し違っていますが、ただ、「改憲するなら4選を覚悟せよ」と迫っているという意味においては、記事の構造はほぼ同じです。
といっても、文藝春秋に無断で全文を勝手に転載するわけにはいきませんので、本稿では記事の「小見出し」を列挙するとともに、個人的に気になった部分を引用しつつ、麻生総理の考え方を探る、というアプローチを取りたいと思います。
記事の小見出し一覧
- “麻生VS.菅不仲説”の裏には
- 政権最大の危機は「今でしょ」
- 万が一の場合は韓国への金融制裁も
- 安倍総理を気に入っているトランプ大統領
- この数年で中国に負けないだけの国力を
- キャッシュレスでは店は儲からない
- 日本の強みはものづくりの“もとのもと”
- 一回で一千万円を使う外国人観光客
- 労働は「善」の日本、「罰」の欧米
- もし吉田茂が今の時代に生きていたら
- ポスト安倍の候補は岸田、加藤、河野
- 清和会との二大派閥に収斂させていく
- 十一宮家から未婚男子の皇籍復帰を
…。
小見出しが13個も設けられているなど、じつに長文ですね。
麻生太郎の「国家観」
先日の『麻生総理が「対韓金融制裁」に言及したことの意味』では、この13項目のうちの「韓国に対する金融制裁」の部分を紹介したに過ぎず、注目したのは全体のうち、ほんの一部分に留まりました。しかし、韓国ごときで終わるには、あまりにももったいない記事です。
このなかで、面白いのが、麻生総理の「国家観」が出ている部分ではないでしょうか。
これは、「十一宮家から未婚男子の皇籍復帰を」と述べた部分に象徴されています。
「(英国王室でさえ)それでも高々数百年に過ぎない。日本の皇室は次元が違うんですよ。だからこそ、女系天皇などはあり得ません。」
「1549年に来日した宣教師のフランシスコ・ザビエルは、日本人は貧しいが、非常に礼儀正しく、名誉を大事にする民族と書き残した。文明社会をリードしていた西欧人からすれば、それは驚きの連続だったのでしょう。その他多くの歴史家が、日本は四大文明圏と全く異なる文明を発展させてきたと指摘している。労働を善とし、精緻な技術を持つ日本人だからこそ、資源もない極東の小さな島で、一時は世界第二位の経済大国に上り詰めたわけです。」(いずれもP127)
あらためて考えてみると、麻生総理のこの指摘は、本当に大切です。
日本の皇室は父系で2000年近く(※神話によれば2700年近く)継承されてきたものであり、世界が日本に尊敬の念を抱いていることは間違いありません。
総理経験者であるとともに、副総理兼財相という重要閣僚として、史上最強の「安倍・麻生連立政権」を担う立場だからこそ、発言には重みがあります。
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節々に炸裂する「麻生節」
麻生総理、その本質はやっぱり「経済総理」
また、麻生総理の発言で、興味を引く部分は、これだけではありません。
たとえば、『日本の強みはものづくりの“もとのもと”』とする節には、
「そもそも日本経済を支えているのは、都会の大企業ではなく、地方の中小企業なんです。(中略)日本ほど正確かつ大量に、ものを作ることができる国などありません。」(P121)
という発言が出て来ます。
日本経済といえば、どうしてもトヨタ自動車のように「最終消費財を作って外国に輸出している国」というイメージを持ちますが、以前の『貿易統計をじっくり読むと浮かぶ、日本経済の意外な姿』でも触れましたが、日本経済の実態は、最終製品ではなく「モノを作るためのモノ」の輸出を得意としています。
また、最終消費財については、たとえばトヨタ自動車の米国現地法人が生産するなど、儲けの多くは米国の企業が得ていますが、日本企業はそれらを貿易黒字ではなく、配当金(つまり第一次所得収支)という形で吸い上げているのです。
こうした経済の実態を忘れるべきではありませんが、麻生総理の発言からは、「経済総理」としての本質が垣間見えるのです。
日本人よ、もっと自信を持て
さらに、観光立国について述べた、次の記載は、視点が独自で面白いと思います。
「安倍政権で飛躍的に増えたのが、外国人観光客です。(中略)昨年は約3100万人、6年前の約4倍です。日本での消費額は約4兆5千億円ですから、経済効果も非常に大きい。ただ、例えばフランスでは人口約6700万人に対し、外国人観光客は年約8700万人。日本のポテンシャルを考えれば、それこそ年1億2千万人を超える訪日客が来てもおかしくありませんよ」
「(外国人観光客は)1千万円から1千5百万円も使うという。桁が違うんです。特にインド人はドーンとお金を使うんだ、と。それだけのお金を払った後、彼らは来年の予約もして帰国する。これが日本の慣行の実力なんですよ」(P122)
このあたり、当ウェブサイトでは以前の『訪日旅客減少はむしろ観光客の中韓依存を是正する好機』でも触れた、「単価の低い外国人を大量に入国させるのではなく、単価の高い外国人に来てもらうべきだ」とする主張とも、部分的には整合しているような気がしますね。
いずれにせよ、外国人観光客についての麻生発言は、「日本人よ、もっと自信を持て」というメッセージと受け止めるべきでしょう。
石破茂氏?ないない!
その一方、一連の麻生節のなかで、一番笑ってしまったのは、安倍総理の後継に言及した部分です。
麻生総理は『ポスト安倍の候補は岸田、加藤、河野』の節の冒頭で、「もう1回、内閣総理大臣を」というつもりはない、と釘を刺しつつも、非常に重要な発言をします。
「ポスト安倍の条件は、大前提として、『党を出たり入ったりしていない』こと。自民党も良い時ばかりではないのだから、そういう時は耐えなくちゃならないのに、みっともないのがいるじゃない。すぐ良い方へ行きたがる人。この人たちは全く筋が通っていないと思います。」(P125)
さて、この発言、誰に向けられたものでしょうか?
そう、明らかに石破茂氏に対するものですね。
石破氏といえば、かつて自民党が政権与党の地位を失った1993年の前後、宮澤内閣不信任案に賛同したり、党議拘束に逆らったりしたすえに自民党を離党しており、その後は1997年にちゃっかり自民党に復党しています。
また、石破氏は2018年の自民党総裁選で安倍総理と戦った人物でもありますが、国会議員票だけで見れば、安倍総理に圧倒的多数で完敗しています(『自民党総裁選、石破氏の「得票45%」を巡る別の解釈』参照)。
やはり、間近に石破茂氏の行動を見ている国会議員の人々は、石破氏が「安倍総理の後ろから弾を撃つ」という姿に失望しているのではないでしょうか。
(なお、麻生総理は岸田文雄氏が「後任として有力」などと述べているようです。このあたりについては個人的には大いに疑問でもあるのですが、その理由について説明すれば少々長くなりますので、機会があれば、いずれ別稿で議論したいと思います。)
国家観が大事
さて、麻生総理の発言について、じっくりと読んでみて感じたのですが、政治家に必要なのは「ビジョンを騙ること」だ、という、当たり前のことをあらためて痛感しました。
先ほども申しあげたとおり、麻生総理を「安倍政権下の麻生副総理兼財相」として見たときには、アベノミクスの三本矢のうちの「財政出動」を妨害する財務省を抑えきれておらず、日本敬愛がいかにも中途半端な状況に置かれていることについては、もどかしいとしか言いようがありません。
ただし、麻生総理の発言を改めて読むと、やはり、この人物のビジョンは前向きで明るく、かつ、希望に満ちているのです。政治家が日本経済について語るのであれば、やはりこうでなければなりません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ところで、私自身のことを申し上げれば、現在は小企業経営者であるとともに「ウェブ評論家」を名乗っていますが、しょせんは評論家なので、将来、政治の世界に転身するということはあり得ません。
ただ、それと同時に、民主主義社会において世の中を少しでも良い方向に変えていくためには、それぞれの立場でそれぞれ思うように仕事をするのが最善であり、当ウェブサイトも結局のところ、「生の経済データを読み解き、日本にとっての最適な処方箋を探る」というスタンスを大事にしたいと改めて感じた次第です。
なにより、ウェブ評論サイトという「インタラクティブな議論の場」を設けた目的は、これがインターネット空間に投じられた一石となり、やがて「日本を変える」という気概と智慧のある若い人たちが出現していけば、将来の日本と世界はよりよいものになっていくかもしれない、という淡い期待感もあるからです。
そうしたことに思いを巡らせてみると、やはり、麻生総理の発言を読んだ価値は大いにあったと思う次第です。
※本文は以上です。
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