昨日は韓国の「疑惑のタマネギ男」こと曺国氏が新しい法務部長官に指名されたことが、インターネット上でちょっとした話題になっていたようです。当ウェブサイトは「韓国専門サイト」ではありませんので、同氏の疑惑の詳細そのものについて詳しく触れるつもりはありませんが、むしろ「疑惑のデパート」のような人物をわざわざ長官に指名しなければならなかった背景については、文在寅政権の今後、そして「望ましい当面の日韓関係」という視点とあわせて整理して価値はありそうです。
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目次
曺国疑惑と法相任命の強行
昨日、ツイッターなどで大いに話題になっていたのが、韓国の新しい法務部長官(法相に相当)に曺国(そう・こく)氏が指名されたことです。
曺国氏は文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の側近の1人ですが、自身の長女の不正入学疑惑を筆頭に、さまざまなスキャンダルに見舞われており、タマネギのように、むいてもむいてもスキャンダルが出ることから、最近では「タマネギスキャンダル」とも呼ばれているのだそうです。
また、曺国氏はハンサム(※)で人当たりもよいとされているそうですが、長女の不正入学問題以外にも曺国氏の妻が在宅起訴されるなどしており、このような人物を強行的に任命したことは、政権への風当たりが強まる可能性もある、などと報じられているようです(※ハンサム…なのかなぁ…)。
韓国大統領、不正疑惑の側近を法相任命(2019/9/9 11:32付 日本経済新聞電子版より)
文大統領「チョ・グク長官に明白な違法ない…改革ため任命」(2019年09月09日15時04分付 中央日報日本語版より)
ただし、普段から申し上げているとおり、当ウェブサイトはべつに「韓国専門サイト」ではありませんし、隣の国でどんな人物がどんな閣僚に指名されようが、基本的に日本に関わらない限りはどうでも良いというスタンスを取っています。
このため、この「曺国問題」については、これまで詳しく取り上げて来ませんでしたし、具体的に彼を巡ってどんなスキャンダルが報じられているのかについても、申し訳ないのですが、今後も詳しく触れる予定は一切ありません。
やむにやまれぬ事情とは?
何やら意味不明な曺国氏の発言
それよりも重要なことは、疑惑が高まっている人物を強行的に閣僚に任命した、文在寅政権の「やむにやまれぬ事情」です。
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の記事によると、曺国氏は9日の就任式で、「私の過ちと責任を背負っていく」などと(意味不明なことを)述べながら、「検察改革」に意欲を示したのだとか。
法相就任のチョ国氏「過ち背負っていく」 検察改革に意欲 (2019.09.09 18:38付 聯合ニュース日本語版より)
他人に対してはやたらと厳しいわりに、自身、あるいは身内に不祥事が発生してもホッカムリをしたままという「ダブルスタンダード」は、日本の某野党や某新聞社にそっくりですね。
【参考記事】なぜ自社の不祥事は実名報道しないのですか?(2019/08/30 05:00付 当ウェブサイトより)
【参考記事】政権交代から10年 ネットがマスコミをぶっ壊す(2019/08/29 05:00付 当ウェブサイトより)
経済に関して追い込まれる韓国
それはさておき、なぜ文在寅氏が曺国氏の任命を強行したのかといえば、おそらくは文在寅氏が政権の支持母体である左派の意見を極端に重視しなければならない状況に追い込まれている、という状況にあるからでしょう。
このわずか1年間で、韓国は政治、経済など様々な分野で追い込まれています。
まず、経済に関していえば、
- 2019年第1四半期GDPは5四半期ぶりにマイナス成長に陥った(『韓国は典型的な「縮小均衡経済」の罠におちたのか?』参照)
- 2019年4月の経常収支は約7年ぶりに赤字に転落した(『経常赤字の衝撃 韓国の「貿易危機」は続くのか』参照)
- 中国向け輸出の低迷を主因として、韓国の貿易黒字幅が急速に縮小している(『韓国の輸出不振と通貨危機のつながり』参照)
- 若年層の実質的な失業率が25%に達している(『失業率が低いはずの韓国で「若者の4分の1がニート」』参照)
という状況です。
もともと韓国経済は輸出依存度が日本経済などと比べて非常に高く、とりわけ中国に対する貿易依存度がやたらと高いという特徴があるのですが、中国経済が米中貿易戦争によって追い込まれているため、韓国も経済運営がどうもうまく立ち行かなくなり始めているようなのです。
日本との関係の悪化
一方で、韓国にとっては安全保障、経済双方において、非常に重要な相手国が日本です。
韓国がここまで世界に冠たる半導体産業を育成することができたのも、日本から大量の技術者が供給され続けたという事情に加え、地理的に近い日本から半導体製造に欠かせないさまざまな原材料を仕入れることができるという点は、何よりも韓国の競争優位を確保するうえで重要です。
ただ、韓国は現在、自称元徴用工問題(旧戦時徴用工だったと自称する者たちが、日本企業を相手に損害賠償を求めて訴えている問題)で、日本との関係を決定的に悪化させています。
とくに、昨年10月30日の自称元徴用工判決問題(韓国大法院が日韓請求権協定に反し、新日鐵住金=現・日本製鉄に対して自称元徴用工らへの損害賠償を命じた問題)では、日本政府は韓国に「国際法を守れ」とする立場を繰り返しています。
また、日本政府がこの問題を巡り、日韓請求権協定に基づく解決を再三にわたり韓国政府に申し入れたにも関わらず、韓国政府はこれを徹底的に無視し、結果的に日本政府を激怒させる結果となりました(『「河野太郎、キレる!」新たな河野談話と日韓関係』参照)。
さらに、この自称元徴用工問題だけでなく、レーダー照射事件や上皇陛下侮辱問題さらには慰安婦財団の一方的な解散により、日韓慰安婦問題を一方的に反故にしたこと(『今これをやるか!? 慰安婦財団解散の衝撃』参照)などについても、まったく解決のめどは立っていません。
日本以外の各国との関係の悪化
こうした状況に加え、韓国は、さらには米国との関係まで悪化させます。
いうまでもなく、日韓包括軍事情報保護協定(日韓GSOMIA)の破棄の決定です。
日韓GSOMIAの破棄は、日本との関係というよりも、どちらかと言えば韓国が米国との関係を大きく損ねるきっかけとなりました(『もう日本は関係ありません、今後は米韓間で直接どうぞ』参照)。
もちろん、米国の側も日本に対し、韓国に何らかの配慮を求めているフシもあるのですが(『日韓GSOMIA破棄問題、米国の「逃げ得」を許すな』参照)、それでも日韓GSOMIA問題はいまや米韓問題に化けたと言っても過言ではありません。
さらには、韓国の立場の悪化を踏まえてでしょうか、韓国は中国やロシアなどの周辺国からも「袋叩き」のような状況に陥っています(『鈴置論考「米韓同盟終焉見透かし周辺国が韓国を袋叩き」』、『「素人集団」・文在寅政権の空中分解リスク』参照)。
このように考えていくと、韓国(あるいは文在寅政権)はまさに「四面楚歌」の状況に陥りつつあ、韓国にとっての生存可能空間がどんどんと狭まっていることは間違いないでしょう。
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距離を置くのが正解
ただ、こうなってくると、「韓国が困った状況に置かれているのだから、彼らに手を差し伸べれば恩を売ることにもつながる」、といった発想が出て来ることです。
まことにお恥ずかしい話ですが、私自身も2016年ごろには、「日韓通貨スワップを提供してやれば、韓国も日本に対して逆らえなくなるから、期間がうんと短いスワップを提供してやるのは韓国をカネの面でコントロールするのに役立つかもしれない」、などと軽く考えていたこともあります。
しかし、こうした発想は大きな間違いです。
基本的に、韓国外交の特徴は「食い逃げ外交」、つまり、良いところだけつまみ食いして、絶対に義務を果たそうとしない、というものだからです。下手に日本が韓国に手を差し伸べれば、またしても「食い逃げ」をされることは間違いありません。
あるいは、「文在寅政権が問題だから、文在寅氏に代わってもう少し親日的な政権を成立させると、日本にとって良いのではないか」、と言い出す人もいるのですが、この発想の間違いについては『「日韓関係悪化は中国を利する」、その何が問題なのですか?』で述べたので、繰り返しません。
いずれにせよ、文在寅政権下の韓国が、政治的にも経済的にも、さらには外交的にも「八方ふさがり」の状況となっていることは事実ですが、韓国国内で奇妙な「ろうそくデモ」が再発し、文在寅政権が倒壊することは、日本をはじめとする周辺国にとっても大きなリスクです。
それよりも、日本にとって現状、必要なのは、日韓関係について無理に改善させることではありません。
- 文在寅政権を泳がせつつ、日韓関係を決定的に破綻させない(少なくとも米韓同盟よりも先に破綻しない)程度にマネージすること
- 日韓関係破綻に備えて、少しずつ韓国と距離を置きつつも、国防面、経済面などで「韓国なし」でやっていく準備を着実に進めること
の2点ではないかと思うのです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
くどいようですが、当ウェブサイトは「韓国専門のサイト」ではありませんので、曺国氏の疑惑の詳細などについては必要がない限り、詳細について触れるつもりはありません。それよりもむしろ、「文在寅政権が迷走することによる日韓関係に与える影響」という観点から注視していきたいと思います。
※本文は以上です。
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