日韓関係が現在、急速に悪化していますが、その理由は、韓国が積極的に日韓関係を破壊しようとしているからです。ただ、それと同時に現在、ただちに日韓断交が実現してしまうと、日本にとっても困った事態になります。このため、日本としては日韓関係の決定的な破断を先送りしつつも、来たるべき「日韓関係破綻」に備えるという姿勢が必要ではないかと思うのです。こうしたなか、日韓関係を巡り、昨日は世耕弘成経産相や岩屋毅防衛相の記者会見で、興味深いと感じる点がいくつかありました。
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目次
世耕経産相の発言
韓国が日本を「ホワイト国」から除外する措置について
本稿でも、先ほどの『インターネットが破壊するマスコミの村社会』に続き、世耕弘成(せこう・ひろしげ)経産相の次の記者会見録に関する話題を取り上げます。
世耕経済産業大臣の閣議後記者会見の概要(2019/08/15付 経産省HPより)
先ほどは世耕氏の共同通信に対する反論に焦点を当てて紹介しましたが、この世耕氏の記者会見は、日韓関係に関する活発な質疑が交わされました。
少し長いですが、口調も含めてニュアンスを味わっていただくために、できるだけ原文にそって、日韓関係に関わる部分から、世耕氏の発言(と一部記者とのやりとり)について抜粋しておきましょう。
まずは、韓国が日本を輸出貿易管理上の「ホワイト国」から除外する措置について、質問がなされました。
Q:(略)韓国が12日、戦略物資の輸出手続を簡素化する優遇対象国から日本を除外すると発表しました。そのことに対する大臣の受け止めをお聞かせください。また、このことで考えられる日本経済への影響と今後の政府の対応方針を教えてください。
A:まず、今回の韓国政府の措置についての根拠ですとか理由の詳細、私も記者会見等でのやりとりを見ましたけれども、全く明らかになっていないというふうに思っています。このため、今の時点では韓国側に対して、我々の担当者の方から実務的に詳細な説明を求めているところであります。
中身の詳細が分かりませんので、日本政府として今後の対応については、今の時点で予断をもってお答えすることは差し控えたいというふうに思っています。
なお、日本経済への影響でありますが、精査する必要はあると思っていますが、私自身も韓国から日本が輸入している品目などをざっと見る限り、与える影響は少ないんではないかというふうに思っていますけれども、いずれにしても、日本経済への影響というのはしっかり見ていきたいというふうに思っています。
この点は、世耕氏や菅義偉(すが・よしひで)官房長官ら政府要人がこれまでに繰り返してきた発言の繰り返しです。
正直、韓国側の措置は非常に理不尽なものですし、また、韓国政府側が現時点までに、今回の措置について、日本政府に対してきちんと説明をしていないらしい、という点について、世耕氏の説明から明らかになっているといえるでしょう。
ただし、もっと重要なことは、仮に韓国が日本を「ホワイト国」から除外したところで、日本経済に与える影響は小さい、という視点でしょう。
これについては当ウェブサイトでも『レアアース事件の再来?韓国はセルフ経済制裁に邁進するのか』などで指摘してきたとおり、韓国が日本に対する輸出規制に踏み切れば、日本経済に対してというよりも、むしろ韓国経済に対してブーメランのように跳ね返ります(いわゆるセルフ経済制裁)。
こうした視点に立てば、世耕氏の発言も、ある意味では当然のものでしょう。
対韓説明会と韓国の姿勢に関する世耕氏の見解
世耕氏の会見のなかで、もう1つ、非常に強い興味を感じたのが、韓国の姿勢に関する世耕氏の強い発言です。
日本が韓国に対する輸出管理上の優遇措置をやめたことを巡り、韓国側は「不当な経済報復だ」などと強く反発するとともに、本件を巡っていまだに日本と協議をしようとしています(『韓国が日本をホワイト国除外、ホンネは「協議したい」』参照)。
しかし、世耕氏は「すでに本件については韓国に対して十分に説明をしてきた」、「それなのに韓国側は日本の説明会を勝手に『協議』と呼んだ」、などと指摘したうえで、韓国との協議があり得ないということを繰り返しているのです。
「従来から申し上げているとおり、輸出管理上の優遇措置というのは各国の責任によって判断をして適用するものでありまして、その運用変更について求めがあれば、日本も韓国には説明をしてきたわけであります。相手国と協議を行って何か決定したり、内容を変更するという性質のものではないわけであります。今回、韓国側は何か協議の可能性に言及、協議をすればというような言及があったわけですが、これは我々は協議する性質のものではないというふうに思っているところであります。」
要するに、韓国を輸出管理上の優遇対象国から外したことについては、単純に日本の国内措置であり、協議すべき性質のものではありません(※この点は日本政府閣僚からも何度も説明されている点でもあります)。
また、韓国が日本の措置をWTO提訴するなどと言い続けている点についても、
「また韓国は、日本の措置に関しては、WTOに提訴するというふうにおっしゃっていたわけですけれども、それはどうされるのかなということも聞いてみたい気持ちはあります。」
と述べているのですが、こうした発言も、世耕氏を含めた現在の安倍政権側が、韓国の行動を冷ややかに眺めているという証拠に見えてなりません。
日韓協議を斬って捨てる
「日韓協議」、ありえない!
さて、世耕氏の記者会見については非常に長いのですが、非常に読みごたえがあり、まだまだ重要なポイントがいくつかありますので、続けて眺めてみましょう。
日本が韓国を「ホワイト国」から除外したことを巡り、韓国側が「日本との協議」を呼びかけ続けていることは事実ですが、これについて、同じような質問が記者会見で出て来ています。
「Q:大臣、関連してなんですが、2点。韓国側と、今回の措置については協議する性質のものではないというふうにおっしゃいましたけれども、日本政府として何らか韓国と協議するという検討は今のところされていないのかという。
A:全く、この件については協議するつもりはありませんし、我々としても韓国側の措置に関しては説明を求めていくということだろうというふうに思っています。」
「Q:2点伺わせてください。1点目は、韓国との件なんですが、貿易管理上の対話については、再開する条件については、先般大臣、まず先方のミスリードを謝罪すべきだとおっしゃいましたけれども、その方向性というのは変わっていないということですか。
A:まずは7月12日ですね、説明という、説明の場として合意したことを協議の場と勝手に言い換えたり、我々は当然、説明の場ですから、要請などを受けるつもりも全くないし、そういう場ではなかったわけですが、撤回を要請したとおっしゃったりとか、もうこれでは、なかなか韓国と対話もできないという状況ですから、まずは7月12日のことについて、韓国側が軌道修正していただくことが何よりも重要だというふうに思っています。
Q:すみません、協議というのはその後に、韓国側が言っているような協議というのは、その後の段階…
A:協議はあり得ません。まずは説明会の、軌道修正をしていただくということが大前提になりますけれども、次のステップとしては、これは局長級の政策対話ですね。輸出管理について長い間開かれてきていない政策対話について、これを再開させるかどうかという判断ということが1つのポイントになってくるんだろうと思っています。」
個人的な感想を申し上げるならば、正直、記者の質問レベルの低さや不勉強ぶりには苛立ちを感じてしまいますし、いったい何回同じ質問をすれば気が済むのかと呆れます。
それはさておき、当ウェブサイトでもこれまで何度となく議論してきたとおり、どうも韓国側は、日本の「ホワイト国除外措置」を撤回させようと必死になっているフシがあります。こうした動きは、とくに今週月曜日、韓国政府が日本を「ホワイト国から除外する」と発表して以来、顕著にみられるようになりました。
ただ、それと同時に、いつもながらの世耕氏の歯切れの良さには感心しますし、世耕氏の今回の会見でも、「今回の措置は日本の輸出管理上の国内措置であり、韓国と協議すべきものではない」という見解を強く繰り返したものです。
とくに質疑の最後の下りは、「韓国側から謝罪がなされれば、それによって日韓が協議することはあるのか」と聞きたかったのかもしれませんが、世耕氏はこうした記者の質問を遮って「協議はあり得ない」と断言した格好です。
日韓関係巡る混乱は「すべて韓国側の動きですね」
さらに、記者の不勉強ぶりに対する世耕氏の歯切れの良さが小気味よいと感じる場面は、ほかにもあります。
「Q: やっぱり日韓関係についてお伺いしたいんですけれども、このたびの日韓関係、だんだん、すごい感情的な方にも入ってまいりまして、貿易そのものだけでなくて、例えば、韓国の食品メーカーのぬかエキスが日本製だったことが問題にされて抗議行動が起こったりとか、何かカイヅカイブキというヒノキの、これ何か向こう、韓国では日本を象徴するような木らしいんですけれども、それを学校に植えてあったのを、これを別の木にしようかという運動もありますし、「ドラえもん」の上映、映画が延期されたりとか、いろいろ文化面みたいなところにも及んでいるんですけれども、これをどう捉えられて…
A: 今おっしゃっていることは、全て韓国側の動きですね。我々日本政府としては、これは輸出管理上の措置として粛々と手続を行わせていただいている。韓国側から説明の求めがあれば、長時間説明も行ってまいりました。また、国民の視点から見ても、日本では不買運動とか、その手の運動は起こっていないわけであります。これはあくまでも輸出管理制度上の運用見直しを他の分野に影響をさせる、あるいはさせようという動きは、私は決して好ましいことではないというふうに思っています。」
記者が長々と、韓国側で日本製品の不買運動(いわゆる「NOジャパン運動」)を含め、常軌を逸した動きが生じていることを、「すべては韓国側の動きだ」とバッサリ斬って捨てているのです。
世耕氏は韓国を斬るついでに不勉強な日本のマスコミ記者をも切り捨てた格好ですね。
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岩屋氏の役割
岩屋防衛相に対する佐藤外務副大臣の厳しいヒトコト
さて、世耕氏について述べたついでに、岩屋毅防衛相についても触れておきましょう。
岩屋防衛相は、おもに保守系の論客を中心に、何かと批判されることが多い閣僚の1人です。
当ウェブサイトも世間的には「保守系」(?)と見られているようですが、そのわりには他の「保守系論客」と異なり、当ウェブサイトは岩屋氏に肯定的な記事も掲載してきました(たとえば『ネット「無能な岩屋はさっさと辞めろ」 常軌逸した岩屋叩き』など)。
これらの記事については、いまさら撤回するつもりもありません。「その時点で得られる一次ソースをもとに評論を組み立てる」という当ウェブサイトの論評スタンス上、「後から判明した事実によって過去にさかのぼって記事を消して逃げる」、ということはしたくないからです。
ただ、どうも岩屋氏の言動は何かとハレーションを起こすことも事実であり、昨日は産経ニュースにこんな記事が掲載されました。
岩屋防衛相「一時期に比べ穏やか」韓国大統領演説(2019.8.15 17:47付 産経ニュースより)
産経によると、岩屋氏は15日の記者会見で、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の「光復節」演説を巡り、「一時期の発言に比べると非常にモデレイト(穏やか)された形になってきている」と述べたとし、この部分が記事のタイトルになった格好です。
これに噛み付いたのが、佐藤正久外務副大臣です。
【岩屋防衛相「一時期に比べ穏やか」韓国大統領演説】
上っ面だけ見てもダメ、本丸の旧朝鮮半島出身者問題や慰安婦財団の解散等、二国間条約や政府間の約束を守ることには何も言及していない。
また、隊員の命に関わるレーダー照射問題も棚ざらしのまま。これを解決しないと(2019/08/15 19:12付 ツイッターより)
【岩屋防衛相「一時期に比べ穏やか」韓国大統領演説】
上っ面だけ見てもダメ、本丸の旧朝鮮半島出身者問題や慰安婦財団の解散等、二国間条約や政府間の約束を守ることには何も言及していない。
また、隊員の命に関わるレーダー照射問題も棚ざらしのまま。これを解決しないと https://t.co/kSWTvMsnft— 佐藤まさひさ (@SatoMasahisa) August 15, 2019
この点については、個人的には佐藤氏の見解に全面的に同意せざるを得ません。
文在寅氏の発言については、たしかに岩屋氏のいうとおり、一見すると一時期に比べて穏やかに見えます。
しかし、昨日の『対話を拒んだ側が「対話と協力」を求める文在寅演説』や『よ~く読むと…「2045年までに北朝鮮と統一」!』で触れたとおり、内容を精査すると、ハッキリ申し上げてとんでもないことを述べており、少なくとも、もはやわが国の友好国の大統領の発言とは思えません。
岩屋氏の発言は現時点で止むを得ないものだが…
もっとも、岩屋氏の名誉のために付言しておくと、昨日の記者会見では、岩屋氏は記者から尋ねられたことに、単純に「そう感じた」と述べただけのことです。
「私も演説内容を拝見しました。私から文在寅大統領の演説について、直接コメントすることは控えたいと思いますが、一時期の御発言に比べますと、非常にモデレートされた形になってきていると感じた次第でございます。いずれにしても、北朝鮮の特にミサイルの問題をはじめ、安全保障の面においては、今後とも日韓・日米韓の防衛協力が極めて重要な時に差し掛かってきておりますので、日韓の防衛当局間で連携すべき事柄については、しっかりと連携をしていきたいと考えております。」
その意味では、産経ニュースの報道が岩屋氏に対する社会的批判を呼ぶようなものである点は、公正さのために指摘しておくべきでしょう(もっとも、かかる微妙な時期に不用意な発言を行うこと自体、揚げ足を取られて攻撃されるのもやむを得ない話かもしれませんが…)。
こうしたなか、岩屋防衛相を巡って、最近になって感じることが1つあります。それは、安倍総理が岩屋防衛相の口から「日米韓3ヵ国協力」という言葉を発信させることで、岩屋氏を「弾除け」につかっているのではないか、という仮説です。
昨年のレーダー照射事件やその後の韓国政府のウソ、不誠実な対応からも明らかなとおり、いまや韓国には「日本の友好国としての資格」があるとも思えませんし、韓国が態度を改めないのに日本が韓国に譲歩することがあってもなりません。
必然的に、今のままで行けば、日韓関係はいずれ破綻すると思わざるを得ないのです。
ただ、それと同時に、「今すぐに」日韓関係を破綻させることはできません。
現時点において、日本の側で「日韓関係破綻への備え」(たとえば憲法改正など)が万全であるとはいえませんし、どんなに嫌でも、日韓の防衛協力は続けなければなりません。
なぜなら、日韓は「日米同盟」と「米韓同盟」によって間接的な同盟関係にあり、米軍のオペレーション上も、日韓包括軍情報保護協定(日韓GSOMIA)によって軍事情報を交換せざるを得ない関係にあるからです。
このため、韓国が実質的に信頼できない相手であるという点を踏まえたうえでも、「日韓が防衛面で連携すべきは連携する」という姿勢を、現段階で完全に放棄することはできません。その意味で、岩屋氏の「日米韓連携が重要だ」という発言自体は止むを得ないものといえるでしょう。
岩屋氏は「弾除け」?
いや、もっと酷い言い方をすれば、岩屋氏は結果的に安倍政権の「弾除け」になっているのかもしれません。
岩屋氏の「日米韓3ヵ国連携」という発言自体は現時点ではやむを得ないものですが、わが国の国民感情は韓国に対する困惑、憤り、怒りの度合いを強めていますし、ネット上では日々、「日韓断交」などの文字が躍るほどです。
このように考えると、現時点ではやむを得ない「日米韓3ヵ国連携」という姿勢を岩屋氏に発言させることで、結果的に岩屋氏を「弾除け」に使っている、という側面があると感じますし、あるいは安倍総理は岩屋氏を「使い捨て」にするつもりなのかもしれません。
安倍総理が次の内閣改造で岩屋氏を防衛相から外すのか、留任させるのかはわかりません。ただ、もし安倍総理が岩屋氏を留任させたとしても、日本が防衛面でも「日米韓連携」というお題目を捨てるタイミングが来れば、「日米韓連携を推進した責任」を岩屋氏に被せる形で更迭するのかもしれません。
こうした見方が正しいかどうかについても、個人的には注目したいと思います。
※本文は以上です。
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