あいちトリエンナーレの企画中止にネットの威力を見る

マスコミによる情報統制が緩みつつあるのでしょうか。インターネット上で話題になり、結果的に実社会を動かす、という良い事例が増えてきた気がします。その最新の事例が、「あいちトリエンナーレ」というイベントのなかで、津田大介氏が「芸術監督」を務めた『表現の不自由展・その後』に関するものです。この展示自体はすでに昨日時点で中止が決定たようですが、インターネット上で共有されるさまざまな情報や人々の考え方、そして次々と露呈する主催者側のダブルスタンダードぶり、見苦しい言い訳などを見るにつけ、インターネットの威力というものを感じざるを得ません。

日本を侮辱する「表現の自由」

「あいちトリエンナーレ」というイベントが、インターネット上で「炎上」しています。

問題となっているイベントは、この「あいちトリエンナーレ」のうち、『表現の不自由展・その後』という企画で、報道やツイッター上の報告などによれば、次のような展示物があったそうです。

  • 慰安婦像
  • 焼かれる昭和天皇の御真影
  • 安倍晋三総理、菅義偉官房長官を模したと思しき顔にハイヒールを突っ込む
  • 毀損された星条旗

(※ただし、「安倍晋三総理、菅義偉官房長官を模したと思しき顔にハイヒールを突っ込む展示」については、主催者側は「今回展示されているものではない」と否定していますので、公正のために付言しておきます。)

個人的な感想を申し上げるならば、正直、この話題を初めて見たときには、ゾッとしましたし、また、日本国民の1人として自分自身が侮辱されているような感覚を抱きました。

ただし、わが国には表現の自由もありますから、こうした展示を公権力によって「取り締まる」、といったことはできません(余談ですが、「表現の不自由展」と銘打っているわりには、「自由にやりたい放題やっているな」、という印象を抱きます)。

問題は、このイベントに、私たちの税金が投じられている可能性がある、という疑いが生じていることです。というのも、公式サイトを見ると、主催しているのは「あいちトリエンナーレ実行委員会」なる組織ですが、これに次の団体などが助成しているようです。

文化庁、一般財団法人地域創造、SOMPOホールディングス、野村財団、一般財団法人東海テレビ国際基金、公益財団法人朝日新聞文化財団 等

実際、菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官も8月2日(金)の会見で、これについて産経新聞の記者の質問に対し、次のように見解を述べています(記者の質問は動画の10:12~、菅長官の見解は動画の10:33~)。

愛知県で開催されております『あいちトリエンナーレ』の企画のひとつとして、慰安婦を象徴する少女像などが出品されていることは承知しております。『あいちトリエンナーレ』は国が主催・後援しているものではありませんが、文化庁の補助事業として採択されていると報告を受けております。申請時点では具体の展示内容についての記載はなかったことから、補助金交付の決定にあたっては事実関係を確認、精査したうえで、適切に対応していきたいと思います。

つまり、政府見解が正しければ、主催者側は昭和天皇や日本人を侮辱するような展示内容を最初から伏せて補助金申請を行っていた可能性がある、ということです。

さらに、慰安婦像については2015年12月28日の「日韓慰安婦合意」で、「ソウルの日本大使館前の公道上に慰安婦像が設置されていること」が「韓国政府の努力で適切に解決されるべき問題」と位置付けられています。

もし慰安婦像を展示したイベントに公金が支出されるならば、日本政府自らが日韓慰安婦合意の精神に反する行動を行う、ということになりかねません。日本政府におかれては是非、速やかな調査を実施し、その結果と対応を国民に対して公表していただきたいところです。

ダブルスタンダードぶり、言い訳が酷い

ところで、このイベントがインターネット上で「炎上」している理由は、「表現の不自由展・その後」の展示内容の非常識さだけではなく、「芸術監督」を務めた津田大介氏をはじめとする主催者、擁護者らの「ダブル・スタンダード」が酷いからです。

まず、ツイッター上では、津田氏の過去の発言が話題になっています。

評判になっているのはおそらくテレビ放送のキャプチャ画面で、いつの放送かは明示されていませんが、片方では「一線を越えた差別表現というものは言論(の自由の対象)ではない」、もう片方では「また1つ日本の表現の自由が交代したかもしれない」と発言しています。

しかし、多くの日本国民が敬愛する皇室を踏みにじる表現については「一線を越えているのではないか」と感じる日本国民が多いと思いますし、「一線を越えた差別表現というのは言論の自由の対象ではない」、という発言は、まさに津田氏自身に跳ね返っている格好です。

さらに驚くことに、どうやら入口には「撮影写真、動画のSNSへの投稿禁止」という張り紙が掲揚されていたそうです。

注意書きは次のとおりです。

  • 「表現の不自由展・その後」展示室内の作品や資料は撮影可能です。
  • ただし撮影された写真・動画は私的使用に限ります。
  • 実物を見て判断してほしいという企画趣旨から、会期中の作品や資料の写真・動画の投稿を禁止とします。
  • 作品や資料の写真・動画をSNSに投稿すると、私的使用の範囲を超えての利用となり、著作権法に触れる可能性があります。
  • 文章での投稿は自由にしていただいて結構です。

どうも最初から「炎上すること」を恐れていたということらしいのですが、「表現の自由」を騙っていながら自分たちを批判する自由は許さないというダブルスタンダードぶりには呆れるほかありません。

筋違いの「京アニ放火事件」

インターネット上でこうした批判が殺到していることに関し、愛知県の大村秀章知事は昨日、臨時の記者会見を開き、『あいちトリエンナーレ』の『表現の不自由展』を昨日限りで中止すると述べたそうです。

“表現の不自由展”中止へ。大村知事、京アニ放火事件を意識したことも明かす【あいちトリエンナーレ】(2019/08/03 18:28付 HUFFPOSTより)

ただ、大村知事の言い分が、実に筋違いです。

大村知事は会見で、『ガソリン携行缶を持ってお邪魔する』とした脅迫FAXや、県職員個人への誹謗中傷が相次いでいることを挙げ『こういう事象があったことを多くの方に知っていただくということではないかと思います』と話した。

『ガソリン〜』の脅迫FAXについて『京都アニメーションの放火事件を意識したものだと思うか』と記者に問われると『私はそういう風に受け止めました』と答えた。

要するに、批判を浴びたから中止する、というのではなく、強迫を受けたから中止する、といった言い分ですね。こうしたロジックは、津田氏自身も公式ウェブサイト上で述べています。

「表現の不自由展・その後」について津田大介芸術監督が会見を行った際に配布したステートメントです(2019年8月2日付 あいちトリエンナーレ公式サイト『ニュース』より)

津田氏のステートメントの末尾を紹介しておきましょう。

この企画が報道された7月31日(水)から連日、事務局への電話が殺到しております。その中には、テロ予告や脅迫とも取れるようなものや、また電話に応対しただけの職員個人を攻撃するものも多く含まれています。また、事務局への電話は夜間にもなされ、その数は増え続けています。この状態が続き、来場者及び職員の安全が危ぶまれる状況が改善されないようであれば、展示の変更も含め何らかの対処を行うことを考えています。ただし、日本が、自国の現在または過去の負の側面に言及する表現が安全に行えない社会となっていることをそうやって内外に示すことの意味を、よくお考えいただき、自制的に振る舞っていただくことを期待しております。

ちなみに大勢で事務局などに押し掛け、来場者や職員の安全を危ぶまれる状況をほのめかして企画を中止させる、というのは、日本共産党系の団体を始め、わが国で「サヨク」などと揶揄される人たちがよくやるテクニックではないかと思うのですが、このあたりはいかがでしょうか?

マスコミ支配の終焉

今回の「あいちトリエンナーレ」を巡る騒動を見ていると、まさにわが国の「サヨク」的な人士の「自分は他人を批判するけれども、他人は自分を批判することを許さない」というダブルスタンダードぶり、言い訳などの稚拙さが目立つのですが、それと同時に、個人的にはもう1つ、痛感したことがあります。

それは、ツイッターやブログなど、インターネット上で一般国民が広く連帯し始めた、という事実です。

私自身も、今回の騒動についてはインターネット上でほぼリアルタイムにウォッチしていましたし、それらの情報を発信しているのはたいていの場合、名もなき一般国民です。

イベントの主催者側は、どうもわが国で「表現の自由」が危ぶまれている状況にあると考えているようですが、実情はその真逆でしょう。そして、一連の騒動は、「マスコミが情報を一手に握ってきた時代」が、いよいよ本格的に終焉を迎えつつあることを示しているように思えてなりません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

そういえば、先週は輸出貿易管理上のいわゆる「ホワイト国」リストから韓国を除外するパブリックコメントに4万件を超える意見が寄せられ、そのうち95%が賛同意見だった、という話題がありました(『文在寅氏「経済報復に相応の措置」 むしろこれからが正念場』参照)。

文在寅氏「経済報復に相応の措置」 むしろこれからが正念場

これについて、私自身は新聞も読まず、テレビも見ない人間ですが、当ウェブサイトのコメント欄を拝読していると、新聞やテレビでは「韓国に対する輸出管理の厳格化は日韓関係を損ねる」、といった論調が支配的だとのご指摘を頂きます。

事実だとすれば、新聞やテレビがいかに「1つの方向」に国民の意見を誘導しようとしても、もはや国民のマジョリティはマスコミの支配を脱しつつある、という証拠ではないかと思えてならないのです。

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