韓国で日本企業に対し自称元徴用工らへの損害賠償を命じる判決が出て、もうすぐ半年が経過します。こうしたなか、日本政府は先週、韓国に対し、日韓請求権協定第3条第2項に基づく仲裁手続の付託を通告しました。当ウェブサイトとしては、自称元徴用工問題をかなり精力的に追いかけて来ましたが、ちょうど良い機会ですので、この半年間の当ウェブサイトなりの議論を振り返り、「何が論点なのか」、「日本政府が何をしなければならないのか」、「日本国民が何を覚悟しなければならないのか」について、改めてまとめておきたいと思います。

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2019/05/27 15:55 追記

本文に次の誤りがありましたので修正しております。

  • (誤)日本企業の新日鐵住金(現・日本製鉄)が韓国の大法院(※最高裁に相当)で自称元徴用工らに敗訴したのは昨年10月30日のことですが、もうすぐ、半年が経過します。
  • (誤)日本企業の新日鐵住金(現・日本製鉄)が韓国の大法院(※最高裁に相当)で自称元徴用工らに敗訴したのは昨年10月30日のことですが、もうすぐ、7ヵ月が経過します。

大変失礼いたしました。

徴用工問題の振り返り

徴用工判決から半年:自称元徴用工問題の現状

日本企業の新日鐵住金(現・日本製鉄)が韓国の大法院(※最高裁に相当)で自称元徴用工らに敗訴したのは昨年10月30日のことですが、もうすぐ、7ヵ月が経過します。

この事件は、たんに日本製鉄1社だけの問題ではありません。日本企業と日韓関係全般に関わる問題です。なぜなら、この判決によって、今後、多くの日本企業が韓国国内で自称元徴用工らから訴えられるというリスクが生まれたからです。

実際、同様の訴訟で三菱重工が昨年11月29日に2件の確定判決を受けたほか、地裁・高裁レベルでも敗訴する日本企業が相次いでいて、事実上、日本企業が今後、韓国国内で自称元徴用工らから起こされている訴訟で勝つことは不可能でしょう。

ただ、昨年10月30日の判決は、明らかに1965年の日韓請求権協定に反しているものでもありますし、日本政府は韓国政府に対し、こうした日韓請求権協定違反の状態を解消するよう、強く求め続けています。

しかし、韓国側ではこの半年間で、李洛淵(り・らくえん)首相を中心とする韓国政府の責任者が何らかの対策を講じたという事実はありませんし、それどころか、この自称徴用工の問題を巡って「対応には限界がある」と言い放つ始末。

さらには、韓国政府が無為無策のままで時を過ごしている間に、日本製鉄と三菱重工、さらには大法院判決を待っている状態の不二越の、合計3社の在韓資産が差し押さえられ、原告側弁護士はこれらの資産の売却手続を開始したという状況にあります。

(※もっとも、当ウェブサイトでは、原告側弁護士らによる資産売却手続は単なるポーズに過ぎず、彼らの本当の目的は「2+2基金案」の実現にあると考えているのですが、この点については『徴用工と瀬戸際外交:放置すれば日本の選択肢が増えるのも事実』あたりをご参照ください。)

徴用工と瀬戸際外交:放置すれば日本の選択肢が増えるのも事実

日韓請求権協定第3条第2項措置

もちろん、この問題を巡って、日本政府も手をこまねいているわけではありません。

先ほども触れたとおり、日本政府は判決直後から、韓国政府に対し、①日韓請求権協定違反の状態を解消するように要求するとともに、②もし日本企業の在韓資産が強制売却処分を受けた場合には、日本企業に不当な不利益が生じたものとみなして何らかの対抗措置を講じる、と警告しています。

これに加えて、日本政府は動きが緩慢であるとはいえ、同協定第3条に基づく具体的措置を発動しているのですが、ここで、日韓請求権協定第3条(PDFファイルの9ページ目以降)には、次のような記載があります。

日韓請求権協定 第3条
  1. この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
  2. 1の規定により解決することができなかった紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲介を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会の決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であってはいけない。
  3. いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかったとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかったときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもって構成されるものとする。
  4. 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

簡単にいえば、日韓請求権協定を巡って両国で何らかの紛争や問題が起こった場合には、

  • ①まずは外交の経路を通じて解決してください。
  • ②①で解決できなければ、まず30日以内に両国が1人ずつ委員を選び、その2人の委員が次の30日以内に日韓以外の第三国からもう1人委員を選び、その3人で仲裁委員会を組織して議論してください。
  • ③②の期間内に片方の国が期限内に仲裁委員を選ばなかった場合や、第三国をどこにするか合意できなかったときは、仲裁委員会の人選自体、第三国にお願いし、30日以内に選んでもらいましょう。
  • ④出た結論には従いましょう

ということが定められているのです。

日本政府は今年1月9日に、まず、日韓請求権協定第3条第1項に基づく外交的解決の協議を申し入れました。そして、韓国政府側からはこの4ヵ月間、ほぼ音沙汰なしという状況にあったことを踏まえ、今月20日には、今度は第2項措置(仲裁手続の付託)を発動し、韓国政府に通告しています。

「どうせ韓国は応じない」?

ただ、韓国がこの仲裁手続に応じるとは限りません。

現在、日韓のいくつかのメディアは、韓国がこの手続を無視するのではないか、と見ているようですが、私自身はそれ以外にも重大なリスクがあると考えています。それは、韓国が「時間稼ぎ」を目的に、仲裁手続を成立させるつもりもないくせに、わざと手続の引き延ばしを図ってくることです。

請求権協定第3条第2項によれば、とりあえず韓国政府が仲裁委員を選任する期日は6月19日ですが、この日までに仲裁委員の選任が行われない場合には、次は第3項措置(第三国への付託)に移行し、日韓両国は30日以内(つまり7月19日まで)に第三国を指名する必要があります。

また、6月19日に仲裁委員の選任が行われたとしても、次には30日以内(つまり7月19日)までに日韓両国の委員が30日以内に第三国の委員を選ぶ必要が出て来ますが、合意できなければ、やはり第3項措置に移行し、30日以内(つまり8月18日まで)に第三国を指名する必要があります。

予想される日韓請求権協定の日程(土日祝を無視)
  • ①2019/05/20 仲裁手続通告
  • ②2019/06/19 韓国政府による仲裁委員指名期日(①+30日)
  • ③2019/07/19 ②の期日に韓国政府が仲裁委員を指名した場合、第三国委員を指名する期日
  • ④2019/07/19 ②の期日に韓国政府が仲裁委員を指名しなかった場合、仲裁委員を出す第三国を指定する期日
  • ⑤2019/08/18 ③の期日に第三国委員が指名できなかった場合、仲裁委員を出す第三国を指定する期日

最悪の場合、韓国は8月18日まで、手続を最大限、引き延ばすことができるのです。

逆に言えば、韓国の国際法違反状態が確定するまで、さらに数ヵ月が必要であり、その間、韓国側が日本に対してさまざまな揺さぶりを掛けて来る可能性もある、ということでもあります。

経済制裁論

日本は経済制裁などの措置を講じるのか?

では、日本はこうした状態に、どう対処するのでしょうか?

おそらく日本政府は、「日韓請求権協定に基づく仲裁手続が実施されるならばそれに越したことはない」という考えとともに、「仲裁手続の実施が韓国側のサボタージュによって実現しない」という可能性を織り込んでいるのではないでしょうか。

そうなれば、次のステップとして、おそらくは国際的な裁判に加え、「日本による韓国に対する経済制裁」が選択肢として浮上してくるのではないかと思います。

そして、韓国に対する経済制裁については、当ウェブサイトでもこれまでずいぶん議論して来ました。

ざっくりといえば、韓国国民に対する入国ビザの発給制限や観光ビザ免除措置の厳格化・廃止、韓国への送金制限や輸出制限などが考えられるのですが、これについては「ヒト・モノ・カネ」という観点からは、

  • ①日本から韓国へのヒトの流れの制限
  • ②日本から韓国へのモノの流れの制限
  • ③日本から韓国へのカネの流れの制限
  • ④韓国から日本へのヒトの流れの制限
  • ⑤韓国から日本へのモノの流れの制限
  • ⑥韓国から日本へのカネの流れの制限

と整理できます。

ただし、このうち①(日本国民に対して韓国への渡航を制限・禁止する措置)については、事実上、実施がきわめて困難です。なぜなら、日本国内には日本国民に対し、特定国への渡航を法的・物理的に禁止する措置を講じる手段が限られているからです(不可能とまでは言いませんが非現実的です)。

また、⑥の措置については、外為法などの規制を使えば適用可能ですが、もともと韓国から日本に対する資本フロー(直接投資、証券投資などの残高)は少なく、⑥の措置を導入したところで、韓国に対する経済制裁としてはほとんど機能しません。

その気になれば、韓国経済の息の根を止めることは可能だが…

そこで、日本が韓国に対して経済制裁を適用するとすれば、上記②~⑤の手段が中心とならざるを得ません。

ただし、②~⑤のうち、とくに②、③、④の措置は、韓国に対して絶大な影響を与えます。その理由は、『数値で見る日韓関係:ヒト・モノ・カネの交流状況とは?』で述べたとおり、韓国経済にとって日本の存在は死活的に重要だからです。

数値で見る日韓関係:ヒト・モノ・カネの交流状況とは?

たとえば、韓国の主力である半導体、スマートフォンなどの産業は、日本から資本財、素材、部品などを仕入れて組み立て、欧米や中国などに輸出するという、典型的な組み立て・加工産業です。日本から資本財が入って来なくなれば、それだけで、いくつかの産業は壊滅的な打撃を蒙りかねません。

また、韓国の金融は外国から外貨でおカネを借りることを前提としているのですが、外国の金融機関(とくに日米英の金融機関)が韓国におカネを貸してくれなくなれば、その瞬間、韓国という国は資金繰りが立ち行かなくなってしまいます。

韓国の中央銀行である韓国銀行は、「韓国には4000億ドルを超える外貨準備があるから(外貨資金繰りは)問題ない」、などと述べていますが、この点については『韓国とUAEが通貨スワップ協定が復活 「通貨危機遠のく」?』で申し上げたとおり、そもそも疑問に感じざるを得ません。

韓国とUAEが通貨スワップ協定が復活 「通貨危機遠のく」?

そして、以前から当ウェブサイトの、『「カネ」から眺めた日韓関係:日本にとって韓国は2%の国』や『通貨スワップと韓国経済の「黒字倒産」リスクについて考える』などで議論しているとおり、韓国は短期的な対外債務が1000億ドルを超えていて、「突然死」リスクと無縁ではありません。

「カネ」から眺めた日韓関係:日本にとって韓国は2%の国

つまり、日本はヒト・モノ・カネの制裁のうち、②と③を適用すれば、明日にでも韓国経済の息の根を止めることができてしまうのです。

これぞ、日本にとっては「伝家の宝刀」に違いありません。

伝家の宝刀、抜きどころを間違えると無意味に

ただし、日本が感情に任せてこうした「伝家の宝刀」を抜くと、方法によってはWTOルールに違反するものにもなりかねませんし、また、国際法で禁じられる過大な制裁になってしまう可能性もあります。

何より、日本政府が「抜くぞ、抜くぞ、今すぐ抜くぞ」と宣言してしまえば、韓国政府、韓国の産業界としても、これに対する備えを開始してしまいますので、結局のところ、その「抜きどころ」の見極めは、非常に難しいのです(『「伝家の宝刀」の欠陥 韓国に対する経済制裁を整理する』参照)。

「伝家の宝刀」の欠陥 韓国に対する経済制裁を整理する

それどころか、たとえば、半導体産業の製造工程における必需品であるフッ酸(フッ化水素)については、当ウェブサイトを含めたネット空間でかなり議論されてしまったため、すでに韓国に対する「カード」ではなくなっていると考えられます(『フッ酸禁輸は本当に韓国に対する制裁カードになり得るのか?』参照)。

フッ酸禁輸は本当に韓国に対する制裁カードになり得るのか?

私などは小心者ですから、自分で韓国に対する経済制裁カードを潰してしまったのかもしれないと深く思い悩んでおり、最近は眠りも浅くなり、睡眠時間も1日10時間くらいと極端に短く、食欲不振のあまり、夕食でもゴハンはおかわり3杯くらいしか食べられない状況が続いてしまっているのです。

経済制裁にはいろいろな種類がある

ただし、上で検討した「ヒト・モノ・カネ」の流れの制限という手段を巡っては、④の措置(韓国から日本へのヒトの流れの制限)を除けば、いずれも「今すぐ発動する必要がある」というものではありません。

いや、もう少し正確に言えば、とくに②、③の措置については、自称徴用工問題で発動するには力不足ですし、また、若干、もったいない気もするのです。

じつは、そもそも論として、日本が韓国に対して保持している経済制裁手段は、上で示した「積極的な経済制裁」だけではありません。

「サイレント型の経済制裁」、つまり、「これは経済制裁だよ」と明示せず、韓国だけをターゲットに行政手続を厳格化させるような対応ならば、極端な話、いつでも発動できますし、すでに発動しているかもしれません(※『「日韓首脳会談見送り」とサイレント型制裁の関係を考察する』参照)。

「日韓首脳会談見送り」とサイレント型制裁の関係を考察する

また、韓国が北朝鮮の核武装を事実上、幇助しているのではないかとの疑いは濃厚ですが、米国が北朝鮮に対する「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」を韓国に対して発動した場合に、日本がこれに便乗してしまう形での制裁もあり得るでしょう(諸外国との協調制裁)。

さらには、私自身が現在、個人的に注目している制裁は、2つあります。

1つ目は、「消極的な経済制裁」です。

これは、「韓国が金融危機などに見舞われた際に、わざと助けない」という形の制裁であり、上記の「積極的経済制裁」と異なり、日本としては諸外国からの批判を受けるいわれもありませんし、明示的な経済制裁と異なり、日本は徹底的に「知らんぷり」をするだけで良いという意味で、非常に楽な制裁です。

2つ目は、「セルフ経済制裁」です。

これは、韓国の自爆的な行動により、日本企業に対し「自主的に韓国から撤退する」、「韓国との信用取引を控え、現金決済主義に切り替える」、「韓国にカネを貸さなくなる」といった行動の変化をもたらすことで、結果的に日本が経済制裁を下したのと似たような経済効果を韓国にもたらす、というものです。

以上、経済制裁の類型をまとめておきましょう。

積極的な経済制裁

日本政府が自称元徴用工訴訟問題やレーダー照射事件などの個別懸案を巡り、韓国に対して個別・具体的な経済制裁措置を講じること。「ヒト・モノ・カネの制限」という観点からは、たとえば次のようなパターンが考えられる。

  • ①日本から韓国へのヒトの流れの制限
  • ②日本から韓国へのモノの流れの制限(外為法第48に基づく輸出規制など)
  • ③日本から韓国へのカネの流れの制限(外為法第16に基づく送金規制など)
  • ④韓国から日本へのヒトの流れの制限(入国ビザ制限など)
  • ⑤韓国から日本へのモノの流れの制限(関税引き上げなど)
  • ⑥韓国から日本へのカネの流れの制限

ただし、上記①については、現在の日本の法制度上、適用が困難であり、⑥については日韓のカネの流れに照らしてあまり意味がないため、事実上、機能するのは②~⑤である。

サイレント型の経済制裁

上記「積極的な経済制裁」と異なり、日本政府が「今から韓国に経済制裁を適用する」と宣言せずに実施する、韓国に関してのみ、わざと行政手続を厳格化するなどの実質的な経済制裁(あるいは嫌がらせ)。具体例としては、次のようなものが考えられる。

  • ①ヒトの流れの制限(韓国国民に対するビザ発給をわざと拒否する、厳格化するなど)
  • ②モノの流れの制限(外為法上の輸出許可手続を厳格化する)
  • ③カネの流れの制限(外為法上の送金許可手続を厳格化する)
  • ④その他の嫌がらせ(在日企業に対する税務調査の頻発、在留資格更新の拒否など)
諸外国との協調制裁

日本が積極的に音頭を取るのではなく、外国が韓国に対して経済制裁を掛けるタイミングで、日本もこれに便乗する形の制裁。たとえば、米国が韓国に対し、「北朝鮮の核開発を事実上、幇助している」と判断した場合に、日米で協調して韓国に対する経済制裁を適用することが考えられる。

消極的な経済制裁

韓国が何らかの困難な状況に陥ったときに、あえて助けないで見放すような形の制裁。具体例としては、次のようなものが考えられる。

  • ①韓国が通貨危機に陥った際、韓国側から日韓通貨スワップ協定待望論が出て来たときに、わざとその要望を無視する。
  • ②韓国以外の国(たとえばマレーシアや台湾、ニュージーランドやデンマークなど)と、これ見よがしに通貨スワップ協定や為替スワップ協定を締結する。
  • ③韓国・北朝鮮以外の国(ASEAN諸国や台湾など)とのハイレベル経済対話を常設化する。
セルフ経済制裁

韓国の日本に対する度重なる不法行為に嫌気して、自然と日本企業が韓国から距離を置くようになることで、結果的に日本が何らかの経済制裁を加えたのと同じような結果が生じること(具体例としては、『セルフ経済制裁の恐怖:「脱コリア」の流れは続くのか?』等を参照)

――↓本文は以下に続きます↓――

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日本としての対策

日本が今すぐやるべきこととは?

以上のとおり、じつは、日本から韓国に対する経済制裁には、さまざまな手段、さまざまな手法があるということがわかります。

インターネット言論空間を中心に、保守を自称する(あるいは「ネトウヨ」と呼ばれる)一部の過激な主張の持ち主は、「今すぐ韓国に対する経済制裁を適用しろ!」などと叫んでいるようですが、こうした主張は賢明ではありません。何でもかんでも経済制裁をすれば良い、というものでもないのです。

それよりも、私自身、昨年の徴用工判決以降、一貫して申し上げているとおり、日本政府が今すぐやるべきことは、

  • ①国際法に則った解決の努力
  • ②積極的経済制裁・諸外国との協調制裁を発動する準備
  • ③サイレント型経済制裁の部分的な実施
  • ④韓国国民に対するビザ制度の運用の見直し

です。

まず、①については、韓国が国際法を無視しているからといって、日本が韓国と同じことをしてよい、という話にはなりません。あくまでも日本は国際法に従い、解決に向けて「努力」しなければなりません(※ただし、努力すれば良いのであって、実際に解決する必要はありません)。

日本政府が請求権協定第3条第2項措置を講じたのは、ちょうど1週間前の5月20日のことですが、このこと自体、国際法に則った解決の努力であり、歓迎すべきものです(ただし、私個人的には、発動のタイミングは、あと2か月ほど早くても良かったのではないかと思いますが…)。

次に、②については、日本政府としては法制度の運用や日韓の産業構造に照らして、徴用工訴訟問題だけではなく、北朝鮮の核開発と絡めて、セカンダリー・サンクションの名目で、韓国経済の「息の根を止める」ような経済制裁についても、十分な準備をしているものと信じたいところです。

また、③については、すでに始まっているのではないかとの報道もあるようですが(『実は対韓制裁、始まっていた?韓国メディアの気になる報道』参照)、もしその報道が事実であれば、この動きについても歓迎したいところです。

実は対韓制裁、始まっていた?韓国メディアの気になる報道

ヒトの往来は少しずつ遮断すべき?

ところで、「積極的経済制裁」のメニューの④にあった、「韓国から日本へのヒトの流れの制限」については、前倒しで実施して欲しいと思います。

その理由は、自称元徴用工問題にあるのではありません。

ずばり、韓国が今後、雇用不安や金融危機などに見舞われる際、数多くの韓国国民が観光ビザで日本に入国してくることが懸念されるからであり、また、その先にあるかもしれない、北朝鮮との赤化統一などの大混乱では、さらに多くの韓国国民が難民として流入するかもしれないからです。

少なくとも、現在は滞在可能期間が90日間とされている韓国国民に対する観光ビザ免除プログラムについては、早急に15日程度に短縮し、かつ、年間入国回数制限を付すべきでしょう。

これは、「経済制裁」という観点から申し上げているわけではありません。むしろ、日本の安全保障という観点から、是非、今すぐにでも導入して欲しいと考えている内容です。

なお、観光ビザ免除プログラムをいきなり撤廃すると、日本の観光産業には大きな混乱が生じます。そこで、当ウェブサイトが提唱する「15日」という根拠は、圧倒的多数の善良な韓国人観光客の来日動機を損ねずに、日本の安全を守る、という点にもあるのです。

日韓関係修復?日韓断交?

現在のところ、日本政府が日韓関係を巡って、将来的には修復しようとしているのか、それとも日韓断交に向かっているのかは、よくわかりません。

いや、その方向性を決めるのは、日本政府というよりはむしろ、私たち国民世論だと思います。そして、国民世論が「日韓関係を修復すべき」に傾くなら、政府としても日韓関係修復の準備を始めるでしょうし、国民世論が「日韓断交」にあるなら、その準備ないし覚悟が必要です。

日韓関係においては、「韓国が日本を必要としているほどは日本は韓国を必要としていない」というのが実情に近いと思います。しかし、仮に日本国民が「日韓断交」を選ぶなら、現在のこの状態のままで、というわけにはいきません。然るべき準備が必要でしょう。

日韓断交した場合、日本全体のマクロとして見てみれば、日本にとっての損害は大きくありません。しかし、個別企業、ミクロの視点で見れば、少なくない日本企業が大きな損害を被りますし、現場ではさまざまな混乱が生じることは間違いありません。

よって、「日韓断交」という、本当の極論を日本国民が選択する前に、やはり、韓国とビジネス関係を持っている人たちは「メシのタネ」が消滅することに備えねばなりませんし、国際結婚や永住、長期在留などで韓国と個人的関係を持っている人たちには甚大な影響が生じることを無視してはなりません。

そのうえで、日本国民がどうしても「日韓断交」を選択するなら、日本は韓国経済の体力を削ぐという準備を始めなければならないでしょう(一種の「焦土化作戦」)。

(※なお、一応申し上げておくならば、私個人としては、将来の日韓関係については「日韓友好」が戻るとは思っていないにせよ、「日韓が最適な距離を探り、それを維持すること」を目的とすべきだと思いますし、さすがに「日韓断交」は行き過ぎだと思います。)

オマケ:金融危機迫る?韓国

こうしたなか、韓国メディア『東亜日報』(日本語版)に土曜日、こんな記事が出ていました。

米、中国に「為替爆弾」…韓国も射程圏に(2019/05/25 09:20付 東亜日報日本語版より)

東亜日報によると、米国商務省が23日、ドルに対して自国通貨の価値を切り下げる国々に対して相殺関税を課す予定だと明らかにしたことを受け、韓国が直接・間接の被害を受ける可能性が高まっている、としています。

東亜日報の引用によると、米紙ニューヨークタイムズ(NYT)は、今回の相殺関税は為替操作による値下げ分を補助金とみなして課税されるもので、米国内の輸入品に課せられる関税は年間2100万ドルに増えると報じたのだとか。

もちろん、年間の輸出額が数千億ドルに達する韓国にとって、数千万ドル程度の関税であれば、さしたる影響を受けるとは考えられません。

ただ、こうした報道が出ること自体、韓国銀行に対しては「為替介入をすること」への委縮を招きかねないものであり、今週以降の為替相場にも何らかの影響を与えるのかどうかには注目したいところです。

※本文は以上です。

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  • 2019/06/12 09:30 【時事|韓国崩壊
    手遅れと思うが、あえて韓国に「耳の痛い忠告」をしてみたい (27コメント)
  • 2019/06/12 05:00 【時事|外交
    鈴置高史氏の重要な指摘 イランと北朝鮮、点が線でつながる (21コメント)
  • 2019/06/11 15:00 【時事|韓国崩壊
    二股外交する国のメディアに「日本は二股外交だ」と言われる (47コメント)
  • 2019/06/11 11:00 【時事|国内政治
    ふるさと納税悪用したアマゾンギフトの泉佐野市の自業自得 (21コメント)
  • 2019/06/11 08:30 【日韓スワップ|韓国崩壊
    「G19」と日韓スワップ待望論 過去と戦い自滅する韓国 (27コメント)
  • 2019/06/11 05:00 【時事|外交
    香港で今、何が起きているのか (14コメント)
  • 2019/06/10 14:30 【時事|韓国崩壊
    自称元徴用工の支援団体、三菱重工の株主総会でピケ張りか? (34コメント)
  • 2019/06/10 11:00 【時事|韓国崩壊
    慰安婦問題の解決責任は100%、韓国政府のみにある (11コメント)
  • 2019/06/10 05:00 【時事|外交
    米国防総省がやっと台湾を国と認めた!今こそ台韓交換が必要 (70コメント)
  • 2019/06/09 11:30 【時事|韓国崩壊
    わが目を疑う文在寅の行動 G20を前に「平和宣言」とは? (30コメント)
  • 2019/06/09 05:00 【時事|外交|金融
    米中貿易戦争と日米同盟、そして日本が果たすべき役割 (32コメント)
  • 2019/06/08 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事(2019年6月8日版) (105コメント)
  • 2019/06/08 05:00 【時事|韓国崩壊
    放っておけば勝手に自滅 自称元徴用工代理人のホンネとは? (36コメント)
  • 2019/06/07 22:00 【時事|韓国崩壊
    鈴置氏「米国が北朝鮮を先行攻撃できる体制は整った」 (38コメント)
  • 2019/06/07 11:11 【時事|韓国崩壊
    日本の安全保障に対する本当の脅威は「韓国のコウモリ外交」 (67コメント)
  • 2019/06/07 05:00 【時事|国内政治
    朝日新聞が日韓首脳会談を要求したこと自体が答えになっている (51コメント)
  • 2019/06/06 11:30 【時事|韓国崩壊
    「日韓協力」「日韓首脳会談」 日本の世論が許さない状況に (54コメント)
  • 2019/06/06 10:00 【時事|韓国崩壊
    「習近平訪韓」報道は正しいのか、そして事実ならその狙いは? (37コメント)
  • 2019/06/06 05:00 【時事|韓国崩壊
    経常赤字の衝撃 韓国の「貿易危機」は続くのか (10コメント)
  • 2019/06/05 16:00 【時事|韓国崩壊
    「韓国の経常収支が7年ぶりに赤字」の意味を考えてみる (7コメント)
  • 2019/06/05 13:45 【時事|韓国崩壊|金融
    「為替変動」だけでは説明がつかない、韓国の外貨準備の減少 (9コメント)
  • 2019/06/05 12:00 【マスメディア論|時事
    マスコミが叩かれるのは「不寛容」のためではなく自業自得 (20コメント)
  • 2019/06/05 11:15 【時事|国内政治
    安倍晋三氏の総理大臣在任日数が歴代3位に (9コメント)
  • 2019/06/05 05:00 【時事|金融
    欧州発の金融危機?インチキ会計基準IFRSと欠陥通貨ユーロ (18コメント)
  • 2019/06/04 16:45 【時事|経済全般
    霞ヶ関はスーパーブラック企業もびっくりのブラック職場? (34コメント)
  • 2019/06/04 12:00 【時事|韓国崩壊
    米韓未来連合司令部の創設と「米韓同盟消滅」の足音 (24コメント)
  • 2019/06/04 06:00 【時事|韓国崩壊
    「ネットの岩屋叩き」、日韓首脳会談見送り要因の1つに? (69コメント)
  • 2019/06/04 05:00 【韓国崩壊
    経済制裁論は経済戦争なのか 何より大事なのは日本の国益 (22コメント)
  • 2019/06/03 16:45 【日韓スワップ|時事|韓国崩壊
    USDKRWの攻防続く?一時1180割れも再び売られる (18コメント)
  • 2019/06/03 15:00 【時事|金融
    髙橋洋一氏と朝日新聞論説委員の討論は「大人と子供の勝負」 (12コメント)
  • 2019/06/03 12:00 【時事|外交
    北朝鮮の強がりは想定内 相手を弱らせるのが敵対外交の鉄則 (10コメント)
  • 2019/06/03 06:00 【時事|国内政治
    ネット「無能な岩屋はさっさと辞めろ」 常軌逸した岩屋叩き (98コメント)
  • 2019/06/03 05:00 【時事|韓国崩壊
    週末の韓国メディア 何かと理解の範疇を超える記事の数々 (17コメント)
  • 2019/06/02 12:00 【時事|韓国崩壊|外交
    岩屋氏、シャングリラ会合で「開かれたインド太平洋」を強調 (45コメント)
  • 2019/06/02 05:00 【RMB|日韓スワップ|金融
    東アジア共通通貨に対抗し得る円の国際化と通貨スワップ拡大 (13コメント)
  • 2019/06/01 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事(2019年6月1日版) (234コメント)
  • 2019/06/01 07:00 【時事|外交
    安倍総理のイラン訪問の「真の狙い」を考察する (33コメント)
  • 2019/06/01 05:00 【雑感オピニオン
    明らかに不合理な言語・英語 学習するなら目的に応じて (47コメント)
  • 2019/05/31 14:15 【時事|外交
    中国漁船?南シナ海で豪州ヘリに漁船がレーザー照射か (24コメント)
  • 2019/05/31 10:00 【時事|韓国崩壊
    LAの学校の壁画が修正へ 被害者でなく加害者としての韓国 (87コメント)
  • 2019/05/31 05:00 【韓国崩壊
    韓国への対抗手段は経済制裁ではなく、経済焦土化作戦なのか (45コメント)
  • 2019/05/30 12:45 【時事|韓国崩壊
    遅まきながら韓国産水産物の検査強化、ほかの分野にも及ぶのか (37コメント)
  • 2019/05/30 10:30 【時事|韓国崩壊
    中国が「一帯一路」で韓国に揺さぶり?自業自得の韓国外交 (35コメント)
  • 2019/05/30 06:00 【時事|外交
    外相・防衛相2+2会談の相手国が増えるのは良いことだが… (14コメント)
  • 2019/05/30 05:00 【マスメディア論|時事
    なぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか その取材手法の腐敗ぶり (15コメント)
  • 2019/05/29 15:30 【時事|韓国崩壊
    韓国の重鎮議員を迎えたのは「ワタミ」さん1人だったが… (42コメント)
  • 2019/05/29 12:15 【時事|韓国崩壊
    ラオスのダム事故は人災 そして責任を全力否定する韓国企業 (33コメント)
  • 2019/05/29 10:45 【RMB|時事|金融
    米国の為替監視レポート詳細 中国とドイツを問題視する米国 (7コメント)
  • 2019/05/29 05:00 【外交
    朝日新聞と韓国の共通点は「日米首脳会談の成功を妬むこと」 (26コメント)
  • 2019/05/28 22:15 【時事|外交
    アジア要人が続々来日:スピード感のある仕事をする安倍政権 (10コメント)
  • 2019/05/28 12:15 【時事|韓国崩壊
    日韓防衛相会談見送り報道とマスコミ関係者の「思い込み」 (41コメント)
  • 2019/05/28 11:11 【時事|外交
    トランプ訪日成功に慢心するな 次の一手は日台通貨スワップ? (24コメント)
  • 2019/05/28 05:00 【韓国崩壊
    「別に日韓関係改善を望んでいない」というのは日本も同じ? (44コメント)
  • 2019/05/27 17:30 【時事|韓国崩壊
    外務省が旭日旗説明資料を掲載したことの本質的な意味とは? (33コメント)
  • 2019/05/27 14:25 【時事|外交
    「あの国」のメディアが天皇陛下会見と緊密な日米関係を詳報 (30コメント)
  • 2019/05/27 12:11 【時事
    天皇・皇后両陛下がトランプ大統領夫妻と面会 (3コメント)
  • 2019/05/27 11:30 【時事|韓国崩壊
    ついに韓国メディアが「コウモリ外交の破綻」を認めてしまう (23コメント)
  • 2019/05/27 05:00 【韓国崩壊|金融
    韓国への経済制裁あれこれ、そして日本が持つべき覚悟とは? (55コメント)
  • 2019/05/26 16:45 【時事|韓国崩壊
    韓国の伝統:やっぱり政争に外国勢力を招き入れて来たのか? (17コメント)
  • 2019/05/26 11:45 【時事|韓国崩壊
    「日本も困っているはず」?なぜ韓国メディアは読み誤るのか (38コメント)
  • 2019/05/26 05:00 【マスメディア論
    「朝日新聞社が165万円の賃下げ」という報道のインパクト (49コメント)
  • 2019/05/25 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事(2019年5月25日版) (103コメント)
  • 2019/05/25 05:00 【時事|外交
    トランプ大統領訪日を契機に、「希望の同盟」について考えた (65コメント)
  • 2019/05/24 16:45 【時事|韓国崩壊
    韓国メディア 根本的な認識がおかしいから、結論を間違える (49コメント)
  • 2019/05/24 11:30 【時事|韓国崩壊
    「文在寅氏は日韓首脳会談を望んでいる」、本当ですか? (20コメント)
  • 2019/05/24 05:00 【時事|政治その他
    シンゾー・アベじゃなく、アベ・シンゾーと呼んでください (65コメント)
  • 2019/05/23 23:45 【時事|韓国崩壊
    建設的議論が期待できない日韓外相会談でも必要な理由とは? (28コメント)
  • 2019/05/23 11:00 【時事|韓国崩壊
    彼女がフィリピンに渡ったとき、日本軍はいませんでしたよ? (38コメント)
  • 2019/05/23 09:45 【マスメディア論|時事|国内政治
    野党の謎の風頼み、正体は「マスコミ頼み」でしょう (14コメント)
  • 2019/05/23 05:00 【日韓スワップ|韓国崩壊|金融
    「スワップを結ばないこと」が韓国への意図せざる経済制裁に (51コメント)
  • 2019/05/22 13:45 【時事|金融
    対中輸出に急ブレーキ それでも増税を強行するつもりですか? (15コメント)
  • 2019/05/22 11:00 【時事|韓国崩壊
    真の親日派とは、文在寅氏その人だ (26コメント)

  • 著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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