立憲民主党と国民民主党。「兄弟」のようなこの2つの政党を巡り、朝日新聞系のウェブサイト『WEBRONZA』に「ネット選挙コンサルタント」が寄稿した、一見すると正論っぽくも読める記事が掲載されています。ただ、着眼点は良いかもしれませんが、彼の議論にはいくつか重要な前提条件が無視されており、結論的には同意するのは難しいと思います。

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着眼点は良いかもしれないが…

立憲民主党に関し、一見すると正論だが…

「ネット選挙コンサルタント」と名乗る、高橋茂氏という人物が、朝日新聞系のウェブサイト『WEBRONZA』にこんな記事を寄稿しています。

支持率1%!残念な野党の重要な役割(2018年08月13日付 WEBRONZAより)

タイトルでだいたい想像が付くと思いますが、「支持率1%の残念な野党」とは、具体的には国民民主党のことを指しています。ただ、記事では国民民主党だけでなく、立憲民主党にも記述の多くが割かれており、なぜ野党が支持率を今ひとつ伸ばすことができないかについて、彼なりの分析が提示されているようです。

しかし、記事の着眼点自体は良いかもしれませんが、私自身はこの記事を読んで、今ひとつ、説得力を感じることはできません。これについて、まずは立憲民主党について記述した、記事の前半部分を私自身の文責で要約しておきましょう。

  • 朝日新聞の世論調査による政党支持率は、国民民主党が1%にとどまる一方、「兄弟政党」の立憲民主党も6%で、支持が広まっていないどころか低迷している状況にある
  • 立憲民主党は旧民進党の「左」に近い議員が中心に結党されたため、共産党や社民党と近くなり、保守的な考え方を持つ国民の「行き場」にはならない
  • 国民生活に大きく関わってくるような法案については、政府与党案がほとんど修正のないまま通ってしまうのは危険であり、(国会議論を通じて)法案はより良いものにする努力が必要ではないだろうか

一見すると正論ですが、この論考のどこに問題があるのでしょうか?

問題があるのは立憲民主党の側では?

高橋氏が指摘する、「国民生活に大きな影響を与える法案が、国会でほとんど修正なく通ってしまうのは危険だ」とする問題点に対しては、私もまったく同感です。しかし、この説明の中で、高橋氏が誤っている点が1つあるとしたら、「それは誰の責任か」、という点ではないかと思います。

この論考における高橋氏の言い分だと、あたかも政府・与党側が、法案の審議を許さず、ゴリ押しで強行採決しているかのような印象を抱きます。しかし、実態はまったく異なります。むしろ審議拒否をしているのは野党の方です。

いや、「もりかけ国会」と揶揄されるほど、くだらないスキャンダル探しと揚げ足取りに貴重な国会審議が潰され、挙句の果てに自分たちの言い分が通らないと国民に無断で勝手に20連休を取るような野党勢力にこそ、国民は呆れ果てているのです。

その意味で、日本の民主主義に対する信頼を傷つけているのは、自民党ではなく立憲民主党、社民党、日本共産党などの野党の側であり、とりわけ辻元清美国対委員長を中心とする立憲民主党執行部の責任は重いと言わざるを得ません。

この点に言及していないためでしょうか、高橋氏の論考の着眼点自体は良いと思うのですが、今ひとつ、説得力が見られないのです。

立憲民主党に対する誤った処方箋

そのうえで、高橋氏は、審議拒否などの強硬手段に出ることが多い立憲民主党について、

実は、反対しているのは一部の法案である。それが目立つので、すべてに反対しているように見えるかもしれないが、多くの法案には賛成して成立させている

という点を1つの意見として紹介したうえで、次のように主張します。

(強硬手段に出る立憲民主党が)自らの情報発信チャンネルを育てずに、マスメディアに頼っていては、「いつも反対して文句を言っている」政党というイメージしか、国民には発信できない

この点については、私はまったく同意しません。

むしろ、立憲民主党がマス・メディアに頼っているというよりは、マス・メディア自体が自主的に、立憲民主党を不当に擁護しているという側面の方が強いからです。

たとえば、セクハラ問題1つとってみても、財務省幹部のセクハラ疑惑を巡って麻生太郎副総理兼財相の辞職を求めたくせに、セクハラ実行者である初鹿明博、青山雅幸の両議員を議員辞職させていない時点で、ダブル・スタンダードも甚だしいところです。

しかも、麻生副総理に辞職を迫った際のロジックは、「部下のセクハラが発覚した時には、上司が責任を取るべきだ」というものでしたから、そのロジックで行けば、枝野幸男代表は党代表を辞職しなければおかしいことになります。

マス・メディアがこのような立憲民主党のダブル・スタンダードの実態を追及しないことは、マス・メディアが立憲民主党を不当に応援しているのとまったく同じことです。むしろ、立憲民主党が自らの情報発信チャンネルを開設したら、その瞬間、「炎上」することは間違いないでしょう。

――↓本文は以下に続きます↓――

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「では国民民主党を選ぶ」にはならない

製品が悪いのに広告で売れるわけがない

高橋氏の論考における国民民主党に関する議論も、これと似たような調子です。高橋氏は、国民民主党の玉木雄一郎共同代表が当としての独自性を出すために、

与党との「対決」を前提とした国会運営ではなく、議論を尽くしてより良い「解決」に向けて進めることを主張している

としたうえで、

これは、昨秋、分裂した民進党の中でも、より現実路線を取ろうとした長島昭久氏や細野豪志氏らに近い考え方だ

と、好意的に取り上げます。

私自身も、「政府・与党の足を引っ張る」のではなく、「議論を尽くしてより良い解決を図ること」については、望ましい野党の在り方だと考えていますし、この点については異論があるという人は少ないでしょう。ただ、高橋氏は国民民主党が支持率を伸ばす具体的な方法を、次のように提言します。

(国民民主党が)支持率アップのために、まずやるべきは「広報」の充実に他ならない。マスメディアに頼らず、自らの情報発信チャンネルを育て、質量ともに充実した広報を展開することが必要だ。

はて、そうですかね?

「国民民主党に政策力」?またご冗談を(笑)

広報なんてものは、中身が伴わない限り、何をやったって意味がありません。ネズミ講などのマルチ商法が客を集めるときには、莫大な広告宣伝費を投じることが一般的ですが、真っ当な商売をするうえで必要なのは「広告」ではありません。「中身」です。高橋氏は

国民民主党は議員の数も少なくないし、政策力もあるため、やりようによっては保守層を取り込むなど、国民民主党の支持率を上げることは意外と難しくない

と述べていますが、このあたり、私にはまったく意味が分かりません。セクハラの「Me Too」運動のパフォーマンスで知られる柚木道義衆議院議員や、タクシーで泥酔して暴行事件を起こした後藤祐一議員などを筆頭に、国民民主党所属議員に「政策力」があるようには見えないからです。

ただ、高橋氏は国民民主党に対して、まずは「何を目指そうとするのかが浸透すること」が必要だとしたうえで、それをすることで、立憲民主党と並んでお互いに支持率が上昇するはずだ、と主張します。

国民民主党が何を目ざそうとしているのかが浸透すれば、支持率が上がらないはずはない。国民民主党の支持率が上がると、その反照として立憲民主党の立ち位置も明確になり、支持率アップにつながるはずだ。国民民主党は保守層から、立憲民主党は左からの支持が期待されるので、互いに大きく食い合うことはない。

繰り返しになりますが、国民民主党の支持率が1%に低迷している理由も、立憲民主党の支持率がじりじり下がって6%程度に低迷している理由も、根っこはまったく同じであり、「まともな政策論争をしようとしないから」、です。

「自民党が悪い」は通用しない

ついでにいえば、自民党がなぜ、圧倒的多数を保持しているのかといえば、日本国民が選んだからです。そして、なぜ日本国民が選んだのかといえば、日本国民がそのように判断したからです。おそらく、2009年8月の総選挙で民主党に投票したような行動が間違いだと学んだのではないでしょうか?

この点、この高橋氏の論考のなかで、とくに看過できないのは、次の下りでしょう。

「(朝日新聞の世論調査によると)安倍内閣支持者の支持理由の半数近くは「他に任せられる政権がないから」であり、もし別の選択肢があれば、支持率が15~20%程度になってしまうのではないか

「他に任せられる政治家がいれば、安倍内閣の支持率はこれほどまでに高くないかもしれない」という点については、まったくそのとおりです。ですが、現実に有権者の多くが「他に任せられる政権がない」と答えているという事実を軽く見るべきではありません。

少なくとも国民民主党や立憲民主党が、有権者からは「政権の受け皿」として期待されていないという証拠でしょう。そして、自民党を批判し、広報に力を入れれば、国民民主党、立憲民主党の支持率が上がる、という単純なものではないことも間違いありません。

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選挙に行くのが日本国民としての務め

ただ、私は高橋氏とまったく別の視点で、国民民主党が議席を伸ばす可能性は、ゼロではないと見ています。

それは、「選挙の本質」にあります。

選挙に行かない人に話を聞くと、たいていの人は、こう言います。

自分1人が投票に行かなかったとしても、大勢に影響はない。

自分が考える理想と一致するような主張の候補者がいない。

しかし、これらの認識は、いずれも大きく間違っています。

日本は民主主義国家であり、国政の最高機関である国会の構成員である国会議員は、国民の直接選挙によって選ばれます。有権者の多くが棄権すれば、組織票に強い政党が躍進するのは当然のことですが、有権者の多くが投票すれば、「有権者の心に響く候補者」が選ばれる可能性は高まります。

なにより、選挙とは「理想の候補者を選ぶプロセス」ではありません。「よりマシな候補者を選ぶプロセス」です。その意味で、選択肢が増えること自体は望ましいことです。

私自身、自分の選挙区で、野党候補が民進党の候補者しかいなかったら非常に残念ですが、国民民主党と立憲民主党に分裂したことで、国民民主党の候補者と立憲民主党の候補者がいれば、その分、少しだけですが選択の幅は広がります。

以前、『野党連携から国民民主党が外れたことに希望を感じる理由』でも主張しましたが、露骨に「国民の生活を人質に取る」という、テロリストもどきの立憲民主党の国会戦術を見ていると、少なくとも立件民主党よりも国民民主党の方が「マシ」だと思えるのです。

もし国民民主党に「活路」があるとすれば、立憲民主党との違いを打ち出し、立憲民主党の支持基盤を「奪う」ことではないかと思うのです。その意味で、高橋氏の「国民民主党と立憲民主党は共存できる」という主張と異なり、私は、国民民主党が立憲民主党の支持基盤を取り込むべきだと考えているのです。

※本文は以上です。

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  • 2018/08/09 16:00 【マスメディア論
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  • 2018/08/09 10:00 【マスメディア論|政治
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  • 2018/08/09 05:00 【時事|韓国崩壊|外交
    朝鮮戦争を終わらせたい南北朝鮮の思惑と米韓同盟破棄への道 (3コメント)

  • 著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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