3年目の御礼:インターネットの無限の可能性と直接民主主義

当「独立系ビジネス評論サイト 新宿会計士の政治経済評論」は、お陰様で本日、開設から丸2年が経過しました。ご愛読賜っている皆様、コメントを頂いている皆様には、深く感謝申し上げたいと思います。

ウェブサイト2周年を控えて

早いもので、当ウェブサイトを開設してから、本日で丸2年が経過しました。

この『新宿会計士の政治経済評論』の開設と最初の記事の投稿は2016年7月21日のことです。当初は「ブログ」のつもりで執筆を開始したのですが、セミプロとしてオピニオンを発信したいという気持ちもあり、現在、当サイトは「ブログ」ではなく、「独立系ビジネス評論サイト」と名乗っています。

といっても、ブログと評論サイトの線引きはあいまいで、「プロフェッショナルのジャーナリストが実名で」執筆するオピニオン・サイトのなかには読者から厳しい評価を突きつけられるページもある一方、「素人のブロガーが匿名で」執筆するブログ・サイトに、多くの読者の支持が集まることも増えて来ました。

すなわち、今や「ブログ」も「オピニオン・サイト」も、社会的影響力は大きく変わらないというのが実情に近いのではないでしょうか?実際、当ウェブサイトの場合も、この2年間でアクセス数(ページビュー=PV)は月間20万PV弱を数えるまでになりました。

もちろん、まだまだ広告料収入も少なく(※)、また、当ウェブサイトの内容を「出版しませんか?」という依頼があるわけでもなく、採算ラインという点からすれば問題は多々あります。

(※当ウェブサイトでは、当初、最低限の運用コストを賄う目的で広告を設置したのですが、広告料収入を増やすために、「広告をクリックしなければ記事の続きが読めない」、「過激で卑猥な広告を設置する」、「誤タップを誘導する」、といった悪質な広告を導入するつもりはありません。)

しかし、これに加えて、私自身は小規模であるとはいえ、自分自身の会社の仕事もこなしており、現在、某専門誌での連載に加え、ある専門書の執筆が佳境に入ってきてしまいました。こうした状況から、1日複数の記事を更新するということが、しばらくは難しくなるかもしれません。

ただ、それでも取り上げるべき話題は目白押しです。当ウェブサイトも、できるだけ休まず更新を続けたいと思います。

ネットの効用

インターネットの社会的効能

先日、当ウェブサイトでは『朝日新聞、「ネット層ほど内閣支持率が高い」とついに認める』のなかで、朝日新聞の興味深い記事を取り上げました。

朝日新聞、「ネット層ほど内閣支持率が高い」とついに認める

これは、朝日新聞デジタル日本語版に掲載された次の記事のなかで、「インターネットを活用する人(とくにSNSを使う人)ほど内閣支持率が高いという傾向が表れた」、とする話題です。

SNS参考にする層ほど内閣支持率高め 朝日世論調査(2018年7月16日04時57分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

普段から私は朝日新聞を「捏造記事が多い」だの、「印象操作ばかり」だのと批判していますが、それでも、朝日新聞自身が素直に「新聞を読んでいる人ほど内閣支持率が低い」、「SNSを参考にしている人ほど内閣支持率が高い」という事実を認めたこと自体は評価したいと思います。

もちろん、朝日新聞がこの調査結果を公表した理由は、「SNSだと内閣支持率が高い方向に偏っているから問題だ」と主張するためである、という仮説も考える必要があります。朝日新聞としては、「安倍政権はネット右翼に支持されている」、というレッテルを貼るつもりなのかもしれません。

ただ、私はそれでも良いと思います。なぜなら、「ネット層ほど内閣支持率が高く、新聞・テレビ層ほど内閣支持率が低く出る」という事実が大事だからです。それに、ここまでインターネットが普及してしまえば、インターネット上のコミュニティを通じて自由闊達に意見交換がなされることを、止めることなどできません。

インターネット社会において大切なことは、「声の大きさ」ではありません。「説得力」であり、「納得感」です。

新宿会計士は安倍政権をどうとらえているのか?

ちなみに、よく左翼の方は誤解されているようですが、私自身は「安倍政権を無条件に支持」しているわけではありません。とくに経済政策では、安倍政権に対して強い不満を抱いています。

アベノミクスは「第1の矢」(日銀による金融緩和)を除けば、この5年間で実に中途半端な結果に終わっていますし、偉そうに「第2の矢」(機動的な財政出動)を放つと言いながら、この5年間、日本政府は緊縮財政を続けています。

安倍政権といえど、結局、財務省による増税原理主義を、完全に止めることはできなかったのがその原因ですが、政治家は「結果」に責任を負わねばなりません。その意味で、安倍政権による経済政策は、辛うじて及第点が付くかどうか、といったものです。

(ただし、いちおう安倍政権の名誉のために付言しておくと、失業率は過去最低水準にありますし、有効求人倍率はほとんどの都道府県で1倍を超えています。これは、「フィリップス曲線」の教えのとおり、日銀による金融緩和が功を奏している、重要な証拠の1つといえるでしょう。)

一方、私が安倍政権を強く支持している理由は、外交のハンドリングの巧みさにあります。安倍政権は、対韓外交を除けば、ほぼパーフェクトな仕事をしていると思います。あくまでも私の理解が正しければ、第二次安倍政権発足以来、安倍内閣の行動は、「中国リスクの最小化」で一貫していました。

もちろん、安倍晋三総理大臣本人が、公然と中国を敵視する発言を行っているわけではありません。しかし、「自由と繁栄の弧」構想、「価値同盟」、かつてなく盤石な日米同盟、日豪・日仏・日英・日露の「2+2会合」などを見ると、安倍政権は中国の膨張を念頭に置いて着々と布石を打ってきたといえます。

つまり、経済運営が決して上手ではないという点については「減点要因」ですが(といっても、野田佳彦前首相、菅直人・鳩山由紀夫の両元首相らの稚拙さと比べれば、遥かにマシですが…)、外交の巧みさにおいては「大幅な加点要因」であり、トータルで見て私は安倍政権を支持しているのです。

誰でも情報発信ができる

以上、私自身は「安倍政権には良いところと悪いところがあるが、トータルとして考えれば良い所の方が勝っている」と考えているのですが、こうした考えに至った最大の理由は、やはり、私自身が金融規制の専門家であり、日銀などのウェブサイトから統計データを直接入手して、分析しているからだと思います。

そして、当ウェブサイトを通じて、こうした分析結果を広く公表して来ました。もちろん、当ウェブサイトなど、月間20万PVに少し足りないくらいの弱小サイトですが、それでも、これだけのアクセスを頂ければ、私の考え方のような稚拙なものであっても、それなりに社会に流れていきます。

つまり、インターネット時代の良い所とは、「新宿会計士」という怪しいペンネームの人間が発信する情報が、私と何の面識もない方々にも届いている、という点にあります。

インターネットが登場する前の時代だと、広く社会全体に情報を伝えるための手段は、どうしても限られていました。それこそ美男美女に生まれるか、歌の才能を磨くか、お笑いの芸を磨くかして、それとも新聞社・テレビ局の採用試験を受けるか、といった手段しかありませんでした。

しかし、現代社会だと、「情報を人々に広く伝える」ためのコストが、極めて低くなったのです。インターネットの場合、大手ブログ・サイトやツイッターなどのSNSにアカウントを開設するのは無料でできますし、あとは中身で勝負すれば良いだけの話です。

そうなれば、私のようにビジネスマンが片手間に情報発信をする、といったことも、容易にできるのです(※もっとも、私の場合、最近だと本業がやや疎かになりかけていますが…笑)。

ネットもピンキリ

「上念貴明」問題と「河野太郎閣下、日韓断交を決断」

ただ、誰もが気軽に情報発信できるということは、言い換えれば、それだけ問題のあるコンテンツが増える可能性もある、ということです。その一番典型的な例は、『「上念貴明」への警告』でも申し上げた、「コンテンツの窃盗」です。

「上念貴明」への警告

この「上念貴明(じょうねん・たかあき)」とは、大人気経済評論家の上念司さんや三橋貴明さんの関連動画をYouTubeにアップロードしていた問題ユーザーです。この者は、アカウント名でご両名の名前を剽窃し、足立康史衆議院議員の写真を流用するなど、本当に不届き千万な人間でした。

もっとも、直近で調べてみると、この者はさすがに「上念貴明」というユーザー名を変更したようですが、相変わらず動画の流用を続けていて、最近だと、和田政宗参議院議員やジャーナリストの有本香さんなどの動画を勝手に転載しているようです。こういう人間は、まさに「泥棒」の名にふさわしいでしょう。

また、以前、『日韓スワップ論に関する呆れたフェイク・ブログ』で取り上げましたが、

  • 【速報】 河野太郎閣下、韓国との断交を決意!!!!
  • 【韓国発狂】「スワップ!お願いニダ!!」「二階先生助けて!」二階「韓国は面倒な国だ」

といった、かなり悪質なフェイク・ニュースで多くのアクセスを集めるサイトも実在しています。

日韓スワップ論に関する呆れたフェイク・ブログ

実際には、「河野太郎外相が日韓断交を決断した」という事実などありませんし、6月に日本を訪れた韓国の財界人に対し、二階俊博・自民党幹事長が「韓国は面倒な国だ」と発言したという事実も確認できません。要するに、ウソのニュースでアクセスを集めようとしているのです。

こんな悪質なサイトに、朝日新聞を批判する資格などありません。

信頼できるブログサイトの共通点

実は、私が「フェイク・ニュース・ブログ」と批判するサイトには、一貫した共通点があります。それは、

他人のコンテンツを丸ごと剽窃している

という点です。

たとえば、「上念貴明」がYouTubeにアップロードしていた動画は、有名人(たとえば経済評論家の上念司さんなど)がどこかのインターネット番組やラジオ番組などで話した内容を編集し、それに刺激的なタイトルを付けた代物ですが、これには

  • 情報源が明示されていない(つまり、「いつ、どこで、どういう文脈で」発言したものか、検証できない)
  • 他人の議論をそのまま垂れ流していて、アップロード者の意見が何も明示されていない

という問題点があります。

また、先ほど引用した、『【速報】 河野太郎閣下、韓国との断交を決意!!!!』に関しても、内容を確認してみると、某インターネット掲示板の議論をそのままペタペタ貼り付けているだけの代物であり、どこの誰かが書き込んだ内容のなかで、もっとも刺激的な文章が、記事タイトルになっているのです。

逆に言えば、「出所を明示している」、「自分自身の意見を述べている」というブログサイトだと、信頼に値します。

たとえば、以前も当ウェブサイトで引用した『楽韓Web』や『パチンコ屋の倒産を応援するブログ』などは、記事の引用部分を除けば、ほぼ全体がブログ主の言葉で綴られていますし、今週アカウント凍結騒ぎに巻き込まれた大人気YouTuberのKazuyaさんの場合も、内容はご自身の発言で構成されています。

このように、私自身が信頼しているブログなり、情報発信源なりを列挙していけば、「自分自身の言葉で話す(綴る)」、「出所をきちんと明示する」といった、ごくあたり前のことができているかどうかで、ふるいに掛けられるように考えられます。

もちろん、「発信している内容」が重要であることは言うまでもありませんが、「情報の発信の仕方」にも大きな問題があるといえるでしょう。

情報の受け手が賢くなる必要

以上は「情報の発信者」の話ですが、実は、話はこれだけでは終わりません。

情報とは、必ず「発信者」だけでなく、「受信者」が必要です。新聞・テレビが情報を統制していた時代だと、「発信者」は常に新聞社・テレビ局であり、「受信者」は常に読者・視聴者です。そして、情報発信者の数は非常に限られていたので、情報の受信者が「情報を疑う」ということをあまりして来ませんでした。

しかし、インターネット時代だと、誰もが情報を発信することができます。なかには「プロフェッショナルのジャーナリスト」ではない人が発信する情報も混じっており、このような時代だと、「情報を疑う」という基本動作が必要です。

インターネットにはウソの情報もたくさん紛れていますから、それこそ「ウソをウソと見抜ける人」でないと、インターネットの情報を使いこなすことなどできません。

ただ、逆にいえば、インターネット時代になれば、情報を読む側にも、「情報を疑う」という態度を持つ人が増えて来ました。これこそが、実は、新聞・テレビの権威が音を立てて瓦解している理由でしょう。とくに、「もりかけ」報道により、新聞とテレビを決定的に信頼しなくなったという人も多いのではないでしょうか?

情報の双方向性

これに加え、インターネット時代だと、情報は双方向性を帯びてきます。

当ウェブサイトにおいては、私は「情報の発信者」ですが、他のウェブサイトに行けば、私の立場は「情報の受信者」に変わります。また、当ウェブサイトを訪れた読者の皆さまは「情報の受信者」ですが、コメント欄を使えば「情報の発信者」になります。

つまり、インターネット時代においては、人々はもはや、一方的な情報の受信者ではない、ということです。このように考えていくと、古代ギリシャで行われていた「直接民主主義」が、インターネットの発達により、現代社会で復活しようとしているのではないか、とすら思えます。

もちろん、議論に参加する一般国民の知的レベルが低いと、某国のように、衆愚政治のようになってしまいます。また、中国のように、そもそも言論の自由も一般人民の政治参加も認められていない国の場合、政治について議論すること自体が命の危険を伴うこともあるでしょう。

しかし、日本の場合は、なんだかんだ言って、国民の平均的な知的水準は高く、少々抽象的な話題であっても、国民は普通に議論についていくことができます。そんな国であるからこそ、まさに世界に先駆けて、インターネット空間をフル活用し、直接民主主義を実践する国となる資格があるのではないでしょうか?

当ウェブサイトも3年目に突入しますが、ささやかながら、政治経済について議論し、知的好奇心を刺激する楽しさを伝えて行きたいと思います。是非、今後ともご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. ぶたさん より:

    新宿会計士様
    二周年おめでとうございます。
    そして、ありがとうございます。
    これからも、無理をなさならないよう、
    くれぐれもお身体にお気をつけられて
    「知的好奇心を刺激する」
    記事をお続け下さい。
    毎日、大変楽しみにしております。

  2. パーヨクのエ作員 より:

    管理人様

    2周年達成おめでとうございます。

    このサイトのよいところは知的好奇心を刺激する記事を発信することを通じて

    「この国を少しでもよいものにしよう」

    この意識が管理人様の文章の隅々まで感じとれることにあります。

    数々の知的好奇心を刺激する記事への感謝を込めて、
    今後の貴サイトの益々のご発展を祈念いたします。

  3. カズ より:

    新宿会計士様

    開設2周年おめでとうございます。

    >インターネット社会において大切なことは、「声の大きさ」ではありません。「説得力」であり、「納得感」です。

    新聞、雑誌、を読まなくなってもネットで活字を追いかけ、理解し思索し判断していくネット参加者。
    その中でも、おもしろいこのサイトに出会えたことに、発信続けていただきまして本当に感謝です。

  4. より:

    新宿会計士様

    二周年おめでとうございます。
    これからも無理のない範囲で頑張って下さい。

    微力ながら応援していきます。

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