【夕刊】北朝鮮非核化の停滞は朝日新聞の主張と真逆だ

6月12日の「米朝首脳会談」から、すでに1ヵ月近くが経過しています。しかし、朝日新聞が「米朝両国は対話ムードに入った」などと主張している割には、米朝非核化交渉が具体的に進み始めているという形跡はありません。いや、それどころか北朝鮮が米国を騙し始めている兆候すら見えているのが実情です。

北朝鮮の非核化に向けた交渉が停滞?

あれ?「米朝は対話ムード」なのでは?

ここ数日、当ウェブサイトでは朝日新聞の記事を紹介して来ました。そのなかでも特に酷いと思ったのが、先週金曜日に掲載した『読者を置き去りでどんどん先鋭化する朝日新聞』のなかでも紹介した、次の記事です。

(社説)ミサイル防衛 陸上イージスは再考を(2018年6月27日05時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

「陸上イージス」とは、いわゆる「イージス・アショア」のことです。朝日新聞はこの社説の中で、「安倍政権が北朝鮮の脅威を理由に防衛力強化を推し進めている」ことを強く批判。「朝鮮半島情勢の緊張は、先の米朝首脳会談を境に緩和の流れに入った」などと述べています。

朝日新聞の主張の要諦は、

北朝鮮にミサイルがあることは事実だが、対話局面に転じた情勢を無視して、「脅威は変わらない」と強弁し続けるのは無理がある。

というものですが、この社説など、明らかに朝日新聞が北朝鮮の利益を代弁している証拠でしょう。

ただ、ここで重要な点は、朝日新聞が「米国と北朝鮮は対話局面に転じている」、「北朝鮮の脅威は低下している」などと主張している、という点です。この点をよ~~く覚えておきましょう。

「戦争起きれば金正恩が1人目の死傷者に」

ここで、韓国メディアである『中央日報』(日本語版)が報じた、この記事を紹介しておきましょう。

米共和党グラハム議員「戦争が起きれば金正恩が一人目の死傷者になる」(2018年07月02日13時37分付 中央日報日本語版より)

中央日報によると、共和党のリンジー・グラハム上院議員は現地時間1日、NBC放送とのインタビューで、「北朝鮮が米国の提案を破って戦争を起こした場合、金正恩国務委員長が真っ先に死傷者名簿に載るだろう」と述べたのだそうです。

あれ?朝日新聞によると、すでに米朝両国は「対話ムード」に転じたのではなかったのでしょうか?発言の主が「対北朝鮮強硬派」のグラハム議員であるという点は割引くにしても、まるで今日、明日にでも戦争が発生するかのような言い分ですね。

では、どうしてグラハム議員がこのような発言をしているのでしょうか?その理由は、6月12日の米朝首脳会談からすでに3週間も経過しているにも関わらず、非核化のプロセスについて、まったく見えないからです。いや、それどころか、北朝鮮は北朝鮮が秘密施設で核燃料を増産しているとの記事すらあります。

米情報機関、北朝鮮が秘密施設で核燃料増産と分析=NBC(2018年7月2日 07:33付 ロイターより)

こうした状況を踏まえ、米国内でも保守派議員を中心に、北朝鮮に対する強硬論が台頭しているのかもしれません。

なお、余談ですが、中央日報にはおかしな内容の記事が頻繁に掲載されるため、当ウェブサイトとしても中央日報の記事を批判するようなコンテンツをしばしば掲載しています。しかし、中央日報は日本の朝日新聞と異なり、ときどき、この手の「貴重な情報」を掲載してくれるメディアでもあります。

その意味で、優れた記事には「優れている」と素直に褒めるべきだといえるでしょう。

ボルトン氏「我々は北朝鮮が過去に何をやってきたか知っている」

ところで、米朝首脳会談で合意された「北朝鮮の非核化」に向けたプロセスに、現時点では何の進展も見られないことは事実ですが、次の読売新聞の記事によれば、ジョン・ボルトン大統領補佐官は1日、CBSテレビのインタビューに対し、非核化の大部分は1年内で可能だ、と述べたそうです。

北非核化「1年以内で大部分可能」…ボルトン氏(2018年07月01日 22時51分付 読売オンラインより)

読売新聞の記事にあるとおり、従来、米政府高官はトランプ大統領の1期目の任期があと2年であることを踏まえ、北朝鮮の非核化は「2年半以内」との目処を示していました(たとえばポンペオ米国務長官など)。

ただ、読売新聞の報道で重要なくだりは、この「非核化までのスケジュール」という下りではありません。重要なのは、ボルトン氏が「我々は北朝鮮が過去に何をやってきたかはよく知っている」と述べた、という下りの方です。

要するに、ボルトン氏は「北朝鮮は過去に何度も何度も米国など国際社会を騙してきた」ということを言いたいのだと思います。言い換えれば、「トランプ政権は過去の米国の政権と違ってもう北朝鮮には騙されないぞ」、という主張ですね。

先ほど引用したロイターの記事でも、北朝鮮が秘密施設で核燃料を増産している、という情報が流れているほどであり、いわば、ボルトン氏は「北朝鮮が再び我々米国を騙そうとしているのを知っているぞ」と言いたいのかもしれません。

また、このボルトン氏の発言は、6月12日以降のトランプ大統領の発言とまったく異なります。というのも、トランプ氏は、「北朝鮮は脅威ではなくなった!ぐっすり眠れ」などと発言していたからです。

Before taking office people were assuming that we were going to War with North Korea. President Obama said that North Korea was our biggest and most dangerous problem. No longer – sleep well tonight!(2018年6月13日 19:01付 ツイッターより)

朝日新聞が「対話ムード」と言っているのは、このトランプ氏の派手な発言がその根拠ではないかと思いますが、実際、トランプ大統領本人を除く政権幹部は北朝鮮の非核化を巡って、慎重な姿勢を崩していない、という証拠でしょう。

報道との付き合い方

以上、ここでは中央日報や読売新聞、ロイターなど、インターネットにつながる環境であれば、どなたでも読める記事のみをベースに、現在の北朝鮮の状況を簡単にレビューしてみました。

実は、私自身はドナルド・J・トランプ米大統領のツイートをフォローしていて、ここに紹介した以外にもいくつか気になるツイート等を発見しているのですが、本日は敢えて、トランプ氏のツイートを除けば、「誰でも読める日本語の記事」のみを紹介した次第です。

この点、朝日新聞の報道が酷いという話については、今朝方も当ウェブサイトで主張しましたが、やはり、私の目から見て、朝日新聞とは瞬間のイメージ、印象のみをベースに、読者の誤解を招こうとしている「プロパガンダ・メディア」にしか見えないのです。

とくに北朝鮮非核化問題や米中対立問題、あるいは日本国内の憲法改正問題などをめぐっては、朝日新聞の報道をそのまま読むことがいかに危険であるかという点を、私も当ウェブサイトのテーマの1つとして、今後も精力的に報告していきたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    5年程前に集団学習塾で中学3年の国語を担当した頃の話です。前任の先生は高校入試によく出るからという理由から朝日新聞の天声人語を毎回コピーして授業で使用していました。しかし、私は高校入試と語彙のレベルがあっていないので踏襲しませんと塾長と前任の先生に説明して納得してもらいました。両者ともに左寄りだったこともあり、さすがに内容がねじけ過ぎているので生徒たちに悪影響を与えますとは言えませんでしたがw

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