呆れ返る、強烈に矛盾した韓国政府高官の発言

日本には「過去を忘れるな」と高圧的に接して来る「あの国」が、北朝鮮問題に関しては「過去を忘れろ」と言い放ってきているとしたら、それは明らかにおかしな話だと思いませんか?

強烈なダブル・スタンダード

韓国大統領補佐官「北朝鮮の過去の行動は忘れよ」

昨日、私は強烈なニュースを目にしました。

韓国大統領特別補佐官、日本のフォーラムで「北朝鮮の過去の行動は忘れよ」(2018年06月12日09時28分付 中央日報日本語版より)

これは、韓国の文正仁(ぶん・せいじん)大統領外交安保特別補佐官が11日、東京の帝国ホテルで開かれたフォーラム「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で、「北朝鮮の過去の行動を忘れよ」と呼びかけた、というものです。

いかんせん、昨日はドナルド・J・トランプ米大統領と、北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)との歴史的な首脳会談の陰に隠れていたものの、普段だったら数日間は炎上するほどの大ニュースです。なぜなら、韓国政府の関係者が「過去の言動を忘れよ」と述べるのは、極めて矛盾した言動だからです。

中央日報が報道した、文氏の発言要旨は、次のとおりです。

「(金正恩との交渉は)時間稼ぎではない。金正恩委員長は核を放棄すると話した。非核化しようとする考えがないならば核実験場を破壊しなかっただろう

「(北朝鮮が2005年に非核化を約束していながら、そうした約束を破ったことについて)それは北朝鮮の過去の態度だ。米国も北朝鮮を騙したことがある。今はそうしたことをすべて忘れるときだ。過去の行動で未来の行動を判断してはならない」(下線部は引用者による加工)

いかがでしょうか?

発言者の文正仁氏は大統領補佐官であり、彼の発言は文在寅大統領の考えを示していると見て良いでしょう。

「千年女王」の発言、忘れたとは言わせない

端的に申し上げるなら、「過去の行動で未来の行動を判断してはならない」というセリフが韓国政府の関係者の口から出て来たことに対し、私は違和感を通り越して、呆れ果ててしまいました。

ここで私たちが思い出す必要があるのは、「被害者は千年経っても被害者だ」とする、韓国の一貫した立場です。少し古い記事ですが、いまから5年前の2013年3月1日に行われた、当時の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領の演説を思い出してみましょう。

[社説] 「加害者と被害者の立場は千年経っても変わらない」(2013/03/02 03:09付 東亜日報日本語版より)

朴槿恵氏は「3・1記念日」の演説で、「加害者と被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わらない」と主張。日本に対し「日本が韓国のパートナーになるには、歴史を直視する姿勢を持たなければならない」と言い放ちました。

もちろん、この2つの発言については、発言者もタイミングも違いますし、政権による立場の違いもあるでしょう。しかし、もし「北朝鮮の過去の言動を忘れるべきだ」とするのが韓国政府の立場なら、同時に日本の過去の言動についても「忘れる」必要があります。

文在寅政権は、今すぐ前政権の「被害者は千年経っても被害者だ」とする認識を取り消し、「韓国は北朝鮮の過去の言動を忘れるのと同時に、日本の過去の言動についても忘れる」と宣言しなければ矛盾しています。

官民挙げて日本は大きく変わった!

今になって思えば、朴槿恵政権の反日は、強烈でした。

安倍総理が何度も何度も、「対話のドアはオープンだ」として日韓首脳会談の開催を呼びかけたにも関わらず、朴槿恵氏はこれを平然と無視。さらには、日本政府が行うさまざまな活動を公然と妨害するなど、「友好国」とは思えない態度に終始しました。

当時の韓国政府が日本に対して仕掛けた嫌がらせの数々は、列挙すればキリがありません。日本政府が東京五輪の招致を目指した際には、日本の8県からの海産物輸入禁止措置を発動しましたし、安倍総理が2015年に訪米して議会演説を試みた時にも、韓国の国会議長がこれを阻止しようとしました。

さらに、明治期の産業革命関連施設の世界遺産登録を目指した際には、外相自らがユネスコ委員を務める各国政府を訪問し、ありもしない「朝鮮人強制徴用」というウソを撒き散らしました。こうした一連の韓国政府の行動は、一般の日本国民の対韓感情を酷く傷つけるものであったことは間違いないでしょう。

もちろん、日本にとっての韓国は対馬海峡を隔てた隣国であり、経済面での結び付きも強まっていますし、近年では韓国から日本にやってくる観光客などが急増しています。このような国と仲良くできるなら、それに越したことはありません。

しかし、『【昼刊】外務省、遅まきながらも韓国を「単なる隣国」に格下げ』で指摘したとおり、すでに日本政府は韓国を「価値や利益を共有する国」と見なしていませんし、『2017年版「外交に関する世論調査」を読む』でも述べたとおり、国民レベルでも韓国に対する悪感情がじりじり高まっています。

いずれにせよ、私は日本側で韓国に対する認識が悪化している最大の理由が、何といっても韓国の不誠実な態度にあると見ているのです。

新時代の日韓関係

さて、以前から私は、日韓両国の関係については、「日韓両国だけで議論しても意味がない」と申し上げて来ました。その理由は簡単です。韓国との関係を改善しようが、韓国との関係を損ねようが、日本の安全保障にはそれほど大きな影響がなくなったからです。

実際、以前と比べて韓国に関心を持つ人が減っているような気もします。実際、少し前に、当ウェブサイトのコメント欄に「韓国の政治を紹介してもらっても『知的好奇心』を刺激されなくなった」というコメントを頂いたこともありますが、わが国で韓国に対する関心が下がっていくのも仕方がないのかもしれません。

この点、現在の外務省は、韓国との関係を「価値を共有する国」でも「利益を共有する国」でもなく、「マネージするもの」と位置付けていますが、この「マネージ」について、私は、「(韓国が悪化させてきた日韓関係を)これ以上悪化しないようにリスク管理する」という意味だと理解しています。

一方、昨日の米朝首脳会談が今後の東アジア秩序を大きく変えていくことになる可能性は相応に高いと考えられますが、それと同時に、日韓関係の東アジア地域の安定に対する役割は、今後さらに低くなっていくと見て間違いないでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. a4 より:

    仰る事には同意ですが
    今、会計士様が扱うレベルの問題記事なのかな?感想です

  2. ルカク より:

    いつも楽しく拝見しております。
    もはや日本人に韓国の行動や思考を理解することも、
    共感することも難しい、いや無理ですね。
    こうした諦めの心境からすると、知的好奇心を刺激
    されなくなったとの意見も分かります。
    ですが純粋に日本の国益を守る、あるいは損失を被らない
    ためには情報の入手は必要で、貴サイトを拝見している
    最大の動機になっております。

    ところで今月末から9月ぐらいに韓国は多額の返済が迫っているようですね。
    ぜひ記事でまとめていただければと。
    ご検討下さいませ。

  3. とらじろう より:

    正直、ロシアや中国には嫌いという感情と同時に恐れという感情もありますが、韓国には嫌いという感情しかないんですよね。
    多くの人が同じような感情を持っているのではないでしょうか。

    1. より:

      そうですね。ロシアや中国は現在大国であることもそうですが、過去の実績もありますしね。韓国は大国でもないし過去に何かした訳でも無いですから、恐ろしくはないんですよね。ただ単にうざい。

  4. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。
    < 正直、韓国への好奇心(関心)は私自身もピークを過ぎております(笑)。何回やってもこんな二枚舌の繰り返し、それが愚民だろうが青瓦台だろうが左派右派だろうが、蛮行は同じです。とにかく日本には突っかかって来る(私?)。
    < 他の方々も言われている通り、ロシア、中国に畏敬の念を持っているわけではないですが、いちおう大国で領土絡みもあり、無視出来ません。韓国は何ら実績もない国なのに、日本と聞いただけで貶める、タカる。関知しなくても寄ってくる最悪民族です。
    < 『韓国の政治ネタを貰っても以前ほど知的好奇心が〜』のコメント、分かります。要は接すればするほど損する相手。日本政府は『マネージする』関係と言いますが、今以上良くなるとは思えないし、逆に悪化しそう。リスク回避、分散、出る芽を叩く、で良いのではないでしょうか。
    < 失礼します。

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