【夕刊】米WSJ、珍しく韓国大統領訪米を取り上げたが…

珍しく米WSJが韓国の大統領の訪米を大々的に話題として取り上げていました。米国のメディアが韓国大統領の訪米を取り扱うとは、韓国の影響力の大きくなり、時代も変わったものだ…と一瞬は思ったのですが、実は米国メディアが注目しているのは、その部分ではないのかもしれません。

韓国が「仲裁者」?バカ言うんじゃない

え?WSJが文在寅訪米に注目?

米国のメディア『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)電子版が日本時間の本日午前、韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領の訪米を記事にしています。

Moon Mission: South Korea Fights to Keep Trump-Kim Summit on Track(米国夏時間2018/05/21(月) 21:28付=日本時間2018/05/22(火) 10:28付 WSJより)

韓国大統領が訪米するにしても、普段はスルーされることも多いのですが、WSJが大々的にこの話題を取り上げている理由は、ひとえに北朝鮮やイランの核開発問題が米国内で深刻に受け止められている証拠と見るべきでしょう。

  • 南朝鮮(South Korea)のリーダーであるモオン・ジャエ・イン(Moon Jae-in)が月曜日に到着した
  • 北朝鮮のリーダーであるキム・ジョング・ウン(Kim Jong Un)との歴史的な首脳会談を3週間後に控え、モオン南朝鮮大統領は火曜日にもドナルド・トランプ大統領と面会する
  • 先週、北朝鮮は米国と南朝鮮に対し、国営メディアを通じていくつかの口撃を仕掛けたが、そのうちの1つが北朝鮮のキム・キェ・グワン(Kim Kye Gwan)の発言で、これは北朝鮮の完全非核化を求めるならば6月12日のサミットへの参加を取りやめるとの恐喝だ
  • キムは米国に対し、北の核廃絶にこだわるならば、米朝首脳会談の実施を見直すと警告した
  • しかしホワイトハウス側はこれに「トランプ大統領は厳しい交渉を覚悟している」と応じた

などとするもので、ここ数日の米朝間のやり取りがダイジェストで確認できる内容です。

ただ、WSJは肝心の文在寅氏の訪問目的については、外部エコノミストの発言を紹介するにとどめています。これは「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」社のアナリストのコメントで、「とにかくシンガポールでの米朝首脳会談を実現させることを最優先にするだろう」、というものです(原文は以下のとおり)。

 “For Moon Jae-in, it’s about trying to keep everything on track, to keep Trump interested and convinced that he’ll get something out of this,” said Agathe L’Homme, lead analyst for South Korea and Japan at risk advisory firm Economist Intelligence Unit.

そのうえでWSJは、このAgathe L’Homme氏(※「エガセ・ローム」、とでも発音するのでしょうか?)による指摘を、次のようにまとめます。

Mr. Moon was put in a difficult position last year, as Messrs. Trump and Kim exchanged military and rhetorical threats, but emerged as a key mediator in the plan to bring the U.S. and North Korean leaders to the table, Ms. L’Homme said.(意訳)文在寅氏は昨年以降、トランプ氏と金氏が軍事上、口頭上の相互非難の応酬を行う中で、米朝両国首脳を交渉のテーブルに着かせる「調停役」としての役割を高めることになったと、L’Homme氏は述べている。

ただし、これはWSJとしての主張ではありません。L’Homme氏の主張です。この点を勘違いしてはなりません。何のことはない、WSJとしては文在寅氏の訪米をテーマに記事を執筆しているのかと思いきや、米朝関係の現状を整理しただけだったようです。

自意識過剰な韓国メディア

ところが、韓国メディアの視点だと、文在寅氏は完全に「仲裁者」となっているようです。

米ワシントン到着の「仲裁者」文大統領に視線集中…「北の意中は?」(2018年05月22日10時51分付 中央日報日本語版より)

中央日報の報道だと、今回の文在寅氏の訪米は、

ワシントンは両首脳の事前電話会談の内容などから、文大統領の訪問は非核化ロードマップをめぐる米朝間の葛藤を仲裁し、乱気流が生じている6月12日の米朝首脳会談の準備を進めていくうえで分岐点になると分析している。

としていますが、少なくともこの下りがWSJの記事を紹介した者でないことは明らかです。なぜなら、WSJは「米朝が非難の応酬を強める中で、文在寅氏は自称調停者として、とにかく首脳会談を実施させるためだけに訪米した」、というニュアンスで報じているからです。

少なくとも中央日報の報道だけを見ていると、韓国は依然として「運転席」に座っていることになっていて、米朝両国をつなげる「調停役」、あるいは「仲裁者」を自任しているように見受けられます。

私に言わせれば、『【夕刊】「蚊帳の外」にいるのはむしろ韓国』や『【夕刊】消滅に向けて順調に歩みを進める米韓同盟』でも申し上げたとおり、むしろ蚊帳の外に置かれているのは韓国の方であり、状況次第では北朝鮮すら蚊帳の外に置かれる可能性があります。

私は『【昼刊】金正恩をシンガポールからスイスへ亡命させる方法』のなかでも申し上げたとおり、むしろこれからこの問題で主役になるのは米国と中国と日本(とロシア?)だと考えているのです。

さて、結果はどう出る?

いずれにせよ、正直、文在寅氏が訪米したところで、なにか目立った成果があるとは私には思えません。いちおう、米朝首脳会談の結果は日本時間の明日の朝方には判明しているそうですが、何か感じたことがあれば、明日の昼以降にでも更新します。

といってもまったく期待していませんけどね(笑)

余談:モオン・ジャエ・インとは誰?

以下、少しだけ余談をお許しください。タイトルで “Moon”とありますが、これは「月」(moon)ではありません。信じられない話ですが、「文在寅」の朝鮮語読みをローマ字表記したものです。人名は本文中で “Moon Jae-in” と表記されています。

「文在寅」の朝鮮語読み「문재인」をあえてカタカナに転写すると「ムン・チェ・イン」、ローマ字表記すれば “Mun Che-in” とでも記すべきですが、なぜかローマ字表記が「モオン・ジャエ・イン」になってしまいます。朝鮮語発音ともかけ離れた表記となっているのをなぜ彼らは放置するのでしょうか?

ついでに申し上げるなら、前大統領の「朴槿恵(ぼく・きんけい)」の朝鮮語読み「박근혜」を、原語読みに忠実にカタカナ転写すると、「パク・クンヘ」、「パク・クネ」、「パックネ」などとなりますが、これをローマ字表記すれば “Pak Kun-he” とでも記すべきです。

ところが、なぜか韓国前大統領をローマ字表記すれば “Park Guen-hye” であり、これをローマ字発音どおりに読んだら、絶対に「パク・クネ」にはなりません。「パク・グエンヒェ」です。この「R」の発音、いったいどこから来たのか、まったく意味が分かりません。

以前から当ウェブサイトでも「韓国語の表記と発音がまったくリンクしない謎」については繰り返し主張しているのですが、まだどなたからも納得のいくご返答を頂いたことがありません。

もっとも、韓国語のローマ字表記がここまで支離滅裂である理由は、「朴(Pak)を英語風に格好よくParkと表記してみようかな」、と言い出すなどしているうちに、収拾がつかなくなっている、というのが実情なのだと思いますが…(苦笑)

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 速報ありがとうございます。
    < ったく目立ちたがり屋で嘘つきで自意識過剰の韓国さん、アンタラの方なんざ誰も見てないって言ってるやろ。『文大統領が仲裁役』って思ってるのは韓国人だけ。何の仲裁か?北の走狗、米の裏切り乞食、中の奴隷。全部当たってるね!
    < 今頃トランプ大統領に会って、何かネタ仕入れて、金正恩に御注進なんて、するなよ!トランプ大統領もハッタリ伝えるかも。『ロケットマンはシンガポールに出てくれないと困る。京城経由こっそり少数でいい。何でも言う事、聞くんだがな』。シンガポールで即拘束、ボディガードは全員ガス銃で神経麻痺(笑)。
    < 失礼します。

  2. 非国民 より:

    素人考えだけどParkもMoonも覚えやすからかもね。外国人の名前は覚えにくいものだ。中にはえらく長いのもある。できるだけ自分の国の言葉と関連づけたいというのはあるのでは。

  3. 斎藤某 より:

    別に朝鮮人の英語表記等どうでもいいと思います。
    只、日本で報道する場合は日本語読みにするなり、全部カタカナにするなり統一して欲しいと思います。
    特に地名などは全く読めませんし・・・

  4. 匿名 より:

    Moonだとlunaticに繋がるからぴったりとか思ってそう。

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