【昼刊】金正恩をシンガポールからスイスへ亡命させる方法

トランプ氏のちょっとしたツイッターから、米中朝の微妙な関係が垣間見えるような気がすることがあります。

トランプ氏の対中メッセージ

意味深なトランプ大統領のツイート

昨日、私はドナルド・トランプ米大統領による、次のツイートを発見しました。

China must continue to be strong & tight on the Border of North Korea until a deal is made. The word is that recently the Border has become much more porous and more has been filtering in. I want this to happen, and North Korea to be VERY successful, but only after signing!(2018年5月21日 20:40付 ツイッターより)

非常に簡単な英語なので、少し英語が得意な方ならば翻訳なしでも読めてしまうでしょう。一応、不正確ながらも参考訳を掲載すると、次のとおりです。

交渉が終了するまでは、中国はしっかり強力に北朝鮮との国境を取り締まり続けるべきだ。最近、中朝国境はザルのようになってきていて、網の目の機能が低下していると聞く。実際にそうなるのは北朝鮮が署名したあとの話だろう。

この「交渉」 “a deal” とは、おそらく、6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談で北朝鮮に「核放棄のプロセス」を呑ませることだと思います。しかし、その「核放棄のプロセス」が何を意味するかは、正確なところはよくわかりません

ただ、どうして唐突にこんな発言をしたのでしょうか?

金正恩の自信が深まったから?

その理由は、おそらく、北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)が、最近、自信を深めていることにあるのだと思います。

図表 4月27日以降の金正恩の動き
日付出来事備考
4月27日金正恩が板門店を訪問し、南北首脳会談を開催し、「板門店宣言」を発する史上3回目の南北首脳会談と朝鮮半島6つのシナリオ』参照
5月7~8日金正恩が中国・大連を訪問し、3月に続き、ふたたび習近平国家主席と首脳会談を行う【速報】米国のイラン核合意離脱と「PVID」、そして金正恩の焦り』参照
5月9日ポンペオ国務長官が4月に続き、2度目の訪朝【速報】北朝鮮、韓国系米国人3人を解放』参照
5月16日予定されていた南北高官級協議について、当日の早朝になりドタキャンを通告した【夕刊】「蚊帳の外」にいるのはむしろ韓国』参照
5月19日米ウォール・ストリート・ジャーナル、韓国が「北朝鮮を刺激する」という理由でB52爆撃機を使った軍事演習の中止を米国に要請していたと報道【夕刊】消滅に向けて順調に歩みを進める米韓同盟』参照

(【出所】著者作成)

金正恩は4月27日の南北首脳会談では韓国(=南朝鮮)との和解を演じて見せましたが、その後、5月には中国・大連を訪問し、3月に続き、ふたたび習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席との首脳会談を行いました。

その後、金正恩や北朝鮮は、韓国に対して急に高圧的に出るようになりました。うえの図表以外にも、気になる話題をピックアップすると、次のようなものがあります。

この唐突な変化は、中国が韓国の「バック」についたから、ではないでしょうか?そして、金正恩が中国のサポートに自信を深めている証拠なのかもしれません。

中国への牽制?それとも…

このような視点から改めてトランプ氏のツイートを眺めてみると、トランプ氏の中国に対する牽制に、不信感が含まれているように見えなくはありません。

もちろん、北朝鮮が中国に急接近しているのは本当のようですが、それとともに、北朝鮮が素直に中国のいうことを聞くのかどうかと言われれば、それはそれで疑問ではあります。しかし、ここで重要な点は、「トランプ氏から中国がどう見えているか」、であって、「中朝が結託しているかどうか」、ではありません。

いや、むしろトランプ氏は北朝鮮核問題をめぐり、ZTEなどの中国企業への制裁を通じて中国を交渉の場に引きずり出そうとしているのではないか、とすら見えるのです。もしそうならば、トランプ氏は相当に狡猾な人物といえるかもしれません。

自分でわざわざ中国に対して貿易戦争を仕掛け、その貿易戦争を解除して欲しければ北朝鮮をコントロールしろ」――

そう言っているのと同じだからです。

日米中3ヵ国会談の勧め

ところで、私自身は最近、6月12日に米朝首脳会談が本当に行われるのか、やや懐疑的になりました。金正恩自身が怖気づいて、敵前逃亡する可能性が十分にあるからです。

ただ、私がもう1つ注目している点は、シンガポール会談に習近平・中国国家主席が現れるかどうか、です。もしそうなったとすれば、会議の主役は金正恩ではなくトランプ・習近平両氏であり、また、朝鮮半島の将来の決定権が「米朝」から「米中」に移ることになるのは間違いありません。

習近平氏がシンガポールに現れるのなら、いっそのこと、安倍総理もシンガポールに行くべきでしょう。そして、金正恩を締め出して日米中3ヵ国で首脳会談を行うべきです。本当はここにロシアのプーチン大統領も加われば完璧なのですが、ここではそれを求めても仕方がありません。

仮に日米中3ヵ国首脳会談が行われれば、いったい何が起こるのでしょうか?

とてもうまく行けば、金正恩がシンガポールから北朝鮮に戻らず、そのままスイスに亡命してくれるはずです。というのも、「北朝鮮問題で日米中3ヵ国が話し合っている」ということ自体、金正恩自身にとって、身震いするような恐怖を与えるイベントとなり得るからです。ポイントは、「金正恩抜きで」、「日米中3ヵ国で」(または「日米中露4ヵ国で」)、という点です。

そして、北朝鮮の現体制が崩壊し、北朝鮮に米中両国が共同で軍を送り込み、核開発の首謀者や拉致問題の首謀者を拘束するなどすれば、これらの問題が一挙に解決することになります。

この「ナナメウエのウルトラCの展開」を、私は個人的に期待しているのです。

…え?「韓国は出てこないのか」って?あ、そういえば、忘れてましたね(笑)

おそらく、シンガポールでの米朝首脳金会談では、韓国は明確に排除されると思います。理由?あれだけ米国、日本、中国の神経を逆なでしておいて、逆に韓国がシンガポール会談に関与できると思う方がおかしいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 本日も昼刊ありがとうございます。
    < いえいえ、新宿会計士様の訳があるから、心強いんですよ。自分だけなら、「本当にあっているのか?」と心配な時がありますから。はい、簡単なトランプ大統領のツイートでも。
    < なんか自分で言っておきながら途中右往左往しているものの、私の思っていた形に近づいてます。いつか忘れましたが、自分のコメントで『シンガポール会談は米中日北が顔を合わす』と書き込みしました(今ハナタカです)。といっても私の構想は北+中VS米で、これでは2対1、安倍首相が参画して、中国人、朝鮮人の本質を理解していないトランプ大統領の為に懐刀として2対2にすべき、というものです。
    < 中国に2回行ってから、自信満々の金を見ていると、裏約束が習と出来てるようです。しかし日米の本気度を中国は思い知り、貿易など「ディール」を考えれば北朝鮮介入は得策ではない。何らかの役得はあるだろうが、日米中3者会談になる可能性があります。金正恩はホテル軟禁。
    会談終われば、3者で手打ち。 金はスイスでもオーストリアでもウクライナでも行け!最後は嘘です(笑)。
    < そしたら6月12日以後、北朝鮮は無血開城または小波乱で体制崩壊し、核はIAEA査察、拉致被害者解放、北からの謝罪を受ける。
    < 韓国は(笑)、文大統領はその間、無人のクルマにでも乗ってなさい。中国が迎え(拘束?)に来る。属国でいいぞ。
    < 失礼します。

  2. 為替トレーダー より:

    亡命ならばロシア経由のような気がしますね。

    またはシンガポールの帰り、北朝鮮領空内で謎の航空機(=キム搭乗機)墜落事故とか・・・w

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