【夕刊】「徴用工像」設置を歓迎してしまう

何か気に入らないことがあれば、すぐに日本に対してヘンテコな像で侮辱するのは、もはや「あの国」にとっては定番なのかもしれません。

国際法違反の国・韓国

徴用工像、慰安婦像…ヘンテコな銅像が好きな人たち

最近、インターネット上で「徴用工像」という代物が話題になっています。

これは、韓国の市民団体がメーデーである本日、釜山にある日本総領事館前に設置しようとしているもので、先ほどから各メディアのウェブサイトでも、この話題が登場しています。

日本総領事館前の労働者像設置めぐり市民団体-警察が衝突(2018年05月01日15時12分付 中央日報日本語版より)
徴用工像の設置図る=公館前で警察ともみ合い-韓国・釜山(2018/05/01-12:00付 時事通信より)

現在のところ、設置を強行しようとする市民団体側が警察当局と衝突し、いったんは排除された状態であり、まだ「市民団体側が設置に成功した」という報道はありません。ただ、市民団体側は設置を強行する意思を示しており、警察側と市民団体側の衝突が予想されるのだそうです。

この徴用工像設置問題に関しては、当ウェブサイトでは以前から何度か触れて来ました(『【昼刊】さよなら韓国:「徴用工像設置」の日本にとってのメリット』や『韓国自治体長「法は国民感情に勝つことはできない」の衝撃』参照)ので、詳しい所見については、繰り返しません。

私が申し上げたいのは、「日韓両国はもはや『法治』という最も基本的な価値を共有していない」ことを痛感した、という1点に尽きます。

今回、この「徴用工像」が設置されれば、日本と韓国との溝がさらに深まることは間違いありません。しかし、当局側が「徴用工像」の設置阻止に成功したとしても、すでに設置されている「慰安婦像」の撤去を行わないならば、日韓関係改善の契機にならないことは明らかです。

外交に関するウィーン条約

ところで、韓国側で市民団体が日本大使館を侮辱するような構築物を設置して撤去しないことについては、法的には重要な問題を孕んでいます。これが「外交に関するウィーン条約」です。

ここで、よく誤解される箇所があります。それは、「誰が」ウィーン条約に違反しているのか、という論点です。よく、「韓国の市民団体がウィーン条約に違反してヘンテコな像を設置している」とする記事を見かけるのですが、これは厳密には間違いです。

まずは原文と仮訳を確認しておきましょう。読むのは「外交に関するウィーン条約」(正式名称は「外交関係ウィーン条約及び紛争の義務的解決選択議定書」、英文では “Vienna Convention on Diplomatic Relations, 1961”)の「第22条」です。

Article 22 of Vienna Convention 1961
  1. The premises of the mission shall be inviolable. The agents of the receiving State may not enter them, except with the consent of the head of the mission.
  2. The receiving State is under a special duty to take all appropriate steps to protect the premises of the mission against any intrusion or damage and to prevent any disturbance of the peace of the mission or impairment of its dignity.
  3. The premises of the mission, their furnishings and other property thereon and the means of transport of the mission shall be immune from search, requisition, attachment or execution.
ウィーン条約第22条
  1. 使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
  2. 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
  3. 使節団の公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される。

いかがでしょうか?

第22条第2項の主語は、「接受国は(The receiving State)」となっています。今回の事案について申し上げるならば、「韓国政府は」、という意味です。また、「ヘンテコな銅像を置いてはいけない」という条文はありません。正しくは「公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害を防止する責務」です。

つまり、「市民団体が日本の公館前にヘンテコな銅像を置くこと」が「ウィーン条約第22条第2項違反」になるわけではありません。「公館の安寧と威厳が損なわれている状態を放置している韓国政府の不作為」が、ウィーン条約第22条第2項違反なのです。この点を間違えてはなりません。

この条文を確認したうえで、改めて先ほども紹介した『中央日報』の記事を読んでみましょう。

午前9時30分、約10人の会員は労働者像を10メートルほど日本総領事館側に移動させた。15分後に警察は兵力およそ100人を投入し、市民団体の移動を阻止した。/周囲にいた約100人の会員は警察に向かって「退け」と叫び、労働者像を囲んだ会員10人は移動を続けた。警察と対峙した状況でも労働者像がさらに5メートルほど動くと、警察側の対応が強まった。/東部警察署は拡声器で「集会の申告がない不法集会であり、直ちに解散しなさい」という放送を続けた。警察は午前10時45分、市民団体の会員を強制的に退かせ、10分余りで会員は警察の統制ラインの外に押し出された。警察兵力4個中隊およそ350人が労働者像を囲んだ状況だ。

読んでいるだけで頭がクラクラしますね。こうやって外国公館前で大騒ぎすること自体が、実はウィーン条約第22条第2項に違反しています。その意味で、韓国政府が本気でウィーン条約第22条第2項を守るつもりがあるのなら、そもそも日本公館前での集会自体、許可してはならないのです。

慰安婦像撤去したフィリピンの対応

これに対して、対照的なのが、フィリピンの対応です。

フィリピンの慰安婦像撤去、日本政府配慮してか=日本メディア(2018年05月01日06時33分付 中央日報日本語版より)
【歴史戦】/マニラの「慰安婦像」撤去 比政府、日本大使館に前日伝える(2018.4.28 10:53付 産経ニュースより)

フィリピンの首都・マニラで中華系の団体が設置した「慰安婦を象徴する女性の像」が、先月28日、重機で台座ごと破壊され、撤去されたそうです。問題の像は「マニラ市が管轄する、マニラ湾に面した遊歩道」に建てられていたもので、マニラ市が設置許可を出し、昨年暮れに設置されていたものです。

ただし、別に日本大使館前に建てられていたものではないため、この銅像自体、撤去しなかったとしても、ウィーン条約第22条第2項違反ではありません。では、なぜフィリピンではこの銅像が撤去されたのでしょうか?

これについて、「レコードチャイナ」に興味深い記事が掲載されています。

ドゥテルテ比大統領、慰安婦像撤去を支持「日本を侮辱すべきでない」―中国メディア(2018年4月30日(月) 17時10分付 Record chinaより)

ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は29日の記者会見で、「日本政府は多くの代償を支払ってきた。賠償は数年前に始まった。日本を侮辱すべきでない」「日本政府は謝罪している。慰安婦問題を繰り返し持ち出すことは、元慰安婦やその子孫に痛みや苦しみをもたらすだけだ」と述べました。

私は、慰安婦問題自体が朝日新聞による捏造であり、日本政府が謝罪したことを誤りだと考えている人間の1人です。しかし、国際社会は「日本が公式に謝罪した」と認識しているのも事実であり、ドゥテルテ大統領の発言は、「謝罪したら赦すのが当然」という、ごく当たり前の認識に基づいたものです。

ただし、今回の慰安婦像の撤去は、たまたまフィリピンで実現しただけの話であり、これを一般化すべきではありません。何より、米国をはじめ、全世界で日本人を侮辱するための銅像の設置は続いています。このことを、私たち日本人は真剣に考えなければならないのです。

徴用工像設置を歓迎してしまう

慰安婦像や徴用工像などの奇妙な銅像を眺めていると、韓国という国自体が、すでに「一線」を越えてしまっているようにしか思えません。本来、隣国とは「対等な主権国家同士、未来に向けてともに手を取り合い、発展していける関係」になれれば良いのですが、韓国に関しては、これはもう諦めた方が良いでしょう。

日韓関係を「単独の関係」として捉える時代は、もう終わったのです。奇しくも安倍晋三総理大臣、河野太郎外相らの発言からは、日韓関係についてはすでに「戦略的利益を共有する関係」ですらなく、「さまざまな問題をマネージするだけの関係」に成り下がったと認識していることが伺われます。

私もこの見解には賛同します。いや、もっと踏み込んでいうならば、日韓関係とは、日中関係や日米関係の「従属変数」に過ぎません。すでに政府レベルでは、韓国を「国」として扱うことを止めつつあります。

それでも、日本にはまだ「韓国は日本の友好国だ」と勘違いしている人は、少なからず存在しています。こうした中、私はひそかに、市民団体側が徴用工像の設置に成功してくれないかな、と願っているのも事実です。

その理由は、どんな呑気な日本人であっても、もはや韓国が「友好国」ではないと気付くことができるからです。やや不謹慎かもしれませんが、韓国国内限定であれば、日本を侮辱する造形物が際限なく増えていくことを、私はむしろ歓迎しているのです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 非国民 より:

    仕事でロシア大使館の近くに行くことがあるけど、警察官が可動式の柵に手をやりながらガードしている。右翼がくるとすぐに柵のゲートが閉められ、パトカーがきて右翼を追い返す。なるほど、日本はちゃんとやっているなと思う。ロシア大使館の職員らしい人がいたけど、007にでるような体が大きくて美人さんだった。韓国と比べると、やはり日本の方が洗練されているなと感じる。他国はどうあれ、日本政府には外交上の儀礼や国際法に忠実であってほしい。

  2. めがねのおやじ より:

    < 夕刊の配信ありがとうございます。
    < 韓国民間団体とやらは、国内に幾らでも汚ない像を作りいなッていう気分です。それでいて韓国政府は何もしない。撤去など愚民の民意が恐ろしくて出来ない。作りたいだけ作ればいい。地下鉄にバス、官庁、公会堂、図書館、体育館、大学、空港その他にも。そしたら、日本人で韓国に興味のない人も根こそぎ嫌韓になるのでは。さすがに日本共産党、社民党、立憲民主党支持者、マスゴミ、左傾ジャーナリストはムリだろうが。
    < 日韓がどんどん離れるのは、日本にとって良き流れと思います。もうこっち見ないでくれ。貴方達は何も考え方を共有出来ないタダの隣国、だけど気持ちはアフリカ最南端の希望峰より離れている。視覚に入るな!
    < 失礼します。

  3. オールドプログラマ より:

    同じ釜山の慰安婦像のときは釜山市東区への業務妨害が激しく音を上げた東区が許可を出し、怒った日本政府が大使を一時帰国させ、スワップ協議は中断しました。韓国政府は市民のやった行為なので政府は手出し出来ないと言い訳を繰り返しました。
    今回の徴用工像は東区に対する妨害が聞こえてこず、音を上げた様子もありません。韓国政府も正式に反対しています。ろうそくデモも起きていません。この差は何なんでしょうか。
    徴用工は慰安婦ほど市民団体が強くなく、日本メディアが騒がなかった点もありますが、慰安婦像設置が思いのほか日本や世界の感情を悪化させたのは事実でしょう。韓国政府はTPP11の参加を図っていますが、現状では「国際的合意を守らない」国を他国間の合意で成り立っているTPPに参加させる訳がありません。(特に日本は)それを少しでも和らげるよう、徴用工設置を政府が阻止していると考えられます。さて市民団体が勝つか、政府が勝つか。

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