※本文はお知らせの後に続きます。河野外相は昨日まで韓国を訪問していました。これについて韓国メディアには「日本の外相が韓国に媚びを売りに来たが、韓国はこれを冷たくあしらってやった」といった論調も目につくのですが、実態は逆でしょう。
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直接会うことは良いこと
河野外相の訪韓
河野太郎外務大臣は4月10日から11日にかけての2日間、韓国を訪問し、康京和(こう・きょうわ)外交部長官(外相に相当)と会談したほか、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領への表敬訪問を行いました。
河野外務大臣の韓国訪問(2018/04/11付 外務省ウェブサイトより)
日程を終えて河野外相は11日夕方、ソウルで記者会見を行い、日韓関係について次のように話しました(※箇条書きは著者による加工)。
- 今年が「日韓パートナーシップ宣言」20周年の節目である
- 両国には困難な課題もあるが、そうした課題は適切にマネージしながら、未来志向の日韓関係を築いていく1年にしたい
- 北朝鮮問題を巡り、南北・米朝会談に向けた今後の方針を擦り合せた
- 拉致問題に関しては南北首脳会談において取り上げるよう(韓国側に)要請した
- 15日から17日にかけて中国の王毅外相が来日する際、(日中)両国の幅広い分野での協力や北朝鮮問題について意見交換を行いたい
また、その後の記者会見では、「拉致問題を提起するという確約が得られなかったこと」についての質問が出ましたが、これについて河野外相は「(南北両国の首脳会談は)かなり長時間行われるため、さまざまなことが議題に上がるものの、1つずつ議題を区切るというものではない」との認識を示しています。
ただし、まことに失礼ながら、今回の河野外相の訪韓については、少なくとも私の目には「華々しい成果」は見当たりません。いや、北朝鮮に飲み込まれつつある現在の韓国政府にとって、日本政府関係者の発言など「馬耳東風」なのでしょう。私個人的には、「やはりそうだったか」という感想しかありません。
ちなみに、河野外相本人が韓国にいるにも関わらず、なぜか韓国と無関係の、中国の王毅外相の来日にも言及しています。これには非常に重要な意味があると思いますが、この点についてはのちほど触れることとして、まずは韓国メディアの報道を見ておきましょう。
韓国メディア、訪韓を酷評
こうしたやり取りを受けたためでしょうか、本日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、「日本のメディアは河野外相の韓国訪問の成果に懐疑的らしい」という記事を掲載しました。
日本メディア、外相の訪韓成果に懐疑的(2018年04月12日11時14分付 中央日報日本語版より)
この、「日本のメディアが河野外相の訪韓に成果がなかったと言っている」という表現、韓国のメディアや日本のメディアを眺めていると、ともによく見られます。酷い時には、韓国のメディアが「日本のメディアがこう言っていた」と報じたものを、日本のメディアが「韓国のメディアがこう言っていた」と引用することもあります。
こういう引用の仕方を「循環参照」とでもいうのでしょうか?そして、こうした「循環参照」は、「情報ロンダリング」、つまり客観的な事実を無視してメディアが勝手に事実を捏造する仕組みとして、朝日新聞など、捏造が大好きなメディアが好む手法でもあります。
それはさておき、今回の中央日報の報道は、読売新聞と朝日新聞が報じた内容をベースに、「(河野外相の訪韓に関連し)日本国内では特に成果がないという懐疑論が出ている」と述べていますが、これも「中央日報としての意見ではなく日本のメディアの意見だ」という逃げを打っているようなものでしょう。
余裕を示した河野外相
ただ、あくまでも私の主観で申し上げるならば、今回の訪韓で河野外相は余裕を見せたのではないでしょうか?
中央日報は「日本の河野太郎外相が11日午後、ソウルの国立顕忠院を訪れ顕忠塔に参拝している」という写真を紹介していますが、あれほど日本に対して無礼を働いている韓国の施設をわざわざ訪問するというのも、実に余裕を感じられます。
普通、人間関係において、相手からバカにされたら、その相手とは距離を取るはずです。しかし、河野外相は日韓外相会談で「さまざまな問題をマネージする関係」であるとする現在の日本外交の基本姿勢を伝えつつ、日韓でこれといって合意できる成果がないという状況のなかでも余裕を見せたように思えます。
実際、韓国との話し合いで何らかの成果が出なかったとしても、それは当然の話であって、取り立てて大騒ぎする話ではありません。いや、むしろ韓国から「日本のために拉致問題を取り上げてやる」などと言われなかったことで、来週の安倍総理の訪米がやりやすくなったとも考えられます。
要するに、「韓国は日本のために動いてくれる国ではない」ということを、米国を含めた関係者に周知する効果があったのです。言い換えれば、日本政府としては、いちおう外相がわざわざ韓国くんだりにまで出掛けて「最後通告」をしたというわけであり、いわば、きちんと筋を通した格好です。
いずれにせよ、どんな人間関係にも言えることですが、直接会って話をすることは良いことです。直接会ってもなお何も成果がないということは、そういう状況であるということを知らしめる効果もあるからです。
知らぬは韓国ばかりなり?
もちろん、私は現状について、一切、楽観はしていません。
米朝首脳会談は6月初頭に予定されているということですが、ドナルド・トランプ米大統領が日本からハシゴを外す形で、「米国まで届くICBMを保有しないのなら、現在の核兵器を保有することを容認してやる」などと言い出したとしたら、日本にとっては悪夢だからです。
しかも、日本が抱えている問題は北朝鮮の核保有だけではありません。無辜の日本国民が、いまだに北朝鮮に捕われたままになっているという、人道に対する被害を受けている状況でもあります。米国の裏切りにより、核問題も拉致問題も解決しないという状況は最悪です。
ただ、もし米国がそれをやったとしたら、日本としては独自の核保有と憲法改正と再軍備、そして自力での拉致問題解決に向け、一気に動き出すことでしょう。日本人の団結力は侮れません。よって、米国が合理的な判断を下すなら、こうした「ハシゴ外し」をすることはないと考えられるのです。
(※ちなみに「自力での拉致問題解決」とは、もちろん、北朝鮮への軍事侵攻を意味します。)
ひるがえって韓国を眺めていて痛感するのは、韓国の政府、メディアを問わず、本当に近視眼的だという点です。韓国メディアの報道を眺めていると、今回の河野外相訪韓を巡って、「日本が韓国に媚を売って来たが、冷たくあしらってやった」といった論調も目につきます。
しかし、これは日本から見ると、「韓国はいざというときにまったく役に立たない国であるという事実を確認した」というだけの話です。つまり、今回の河野外相訪韓は「日本が韓国に冷たくあしらわれた」のではなく、「韓国が日本に切り捨てられるプロセスの一環」です。
そして、韓国と違って日本にはさまざまな国との外交チャネルが存在します。河野外相がなぜソウルで王毅・中国外相の来日に言及したのか――。おそらく河野外相も「今後は韓国と交渉しても意味がない」と思ったから、ではないかと思うのです。
つまり、日本としては韓国と話をしても意味がないという認識を改めて確認し、今後は中国や米国など、「韓国以外の外交チャネル」を使って拉致問題の解決を図る、ということです。「知らぬは韓国ばかりなり」、といったところでしょうか?
※本文は以上です。
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