【夕刊】櫻井よしこ氏の議論に「反論」する

本日の「夕刊」では、保守派の論客・櫻井よしこ氏の寄稿した日韓関係論に対する反論を行っておきたいと思います。

櫻井よしこ氏への反論

櫻井よしこ氏、日韓関係を論じる

最近、日韓関係についての議論を目にする機会が増えています。

このテーマについては当ウェブサイトでも以前から精力的に取り上げてきましたが(たとえば今週金曜日には『滅亡に向かう韓国との関係をマネージする』という小稿を掲載しました)、保守派の論客として知られる櫻井よしこ氏も先週、『NEWSポストセブン』にこんな記事を寄稿しています。

櫻井よしこ氏「韓国とは悪い関係でなければ幸せ、程度でOK」(2018.03.12 07:00付 NEWSポストセブンより)

私はこの文章に対し、共感する部分もあるものの、少なからぬ違和感を抱いたのも事実です。

ここでは櫻井氏の主張を要点にして抜粋し、これに対して私自身の感想を述べておきたいと思います(ただし、詳しい内容や正確な言い回しについては、是非、リンク先の記事で直接ご確認ください)。

まず、櫻井氏は、「韓国が1990年代に入って慰安婦問題などを声高に主張し始めた理由は、日本の国力が落ちて中国の国力が伸びて来たからだ」と指摘されますが、このあたりについては、私としては少し異論があります。

たしかに朝鮮半島は「常に強い者に寄り添って生き延びてきた」という歴史を持っています。しかし、それと同時に韓国(や北朝鮮)では「日本を下に見る」という風潮が強く、隙あらば日本を貶めようとしてきたことを忘れてはなりません。

櫻井氏は

問題解決の第一歩は、日本がもっと強くなることです。繁栄していて強ければ、日本への批判はあからさまな形で出てくることはないでしょう。

と述べていますが、これは問題の一面を述べたに過ぎず、残念ながら、本質を突いた指摘ではありません。もちろん、日本が軍事的にも経済的にも今以上に強国になることは必要ですが、それだけで韓国の理不尽なまでの反日を抑え込むことはできません。

「悪い関係でなければ幸せ」の間違い

ところがこれについて、櫻井氏は、次のように述べます。

韓国の無茶な主張に屈せず、理路整然と事実を示して冷静に「それは違う」と言い続けることも大切です。事実を基にした論争ではこちらが絶対に強いのですから。 韓国にあまり期待しないことも大事です。“絆を深めよう”とは考えずに、“悪い関係でなければ幸せ”くらいの気持ちでいればいい。

この下りに対しても、正論としてはその通りかもしれないと思うものの、やはり現実論としては同意しかねます。櫻井氏は「事実を基にした論争ではこちらが絶対に強い」とおっしゃいますが、では、現実の日本が「事実ではない慰安婦問題」でやられっ放しであることを、どう説明すれば良いのでしょうか?

私が常々申し上げているとおり、韓国は、それこそ隙あらば、日本から技術を盗み、文化を盗み、日本の名誉を世界で貶めようとしてきます。やはり、それを止めさせるためには、日本が将来、韓国(や北朝鮮)に対して、何らかの形で制裁を加えることは避けられないと私は考えています。

櫻井氏は保守派の論客として知られていますが、議論の運びは丁寧で、何より言葉を大事にするジャーナリストだと思います。マス・メディア、インターネットを問わず、ときどき見掛ける言葉遣いが乱暴なコンテンツと違って、読んでいて安心感が得られます。

しかし、櫻井氏が言葉を選び過ぎるためでしょうか、私は櫻井氏の論考に対し、斬り込みが物足りないと不満を感じることも多々あるのです。

日韓関係は「管理する」関係へ

韓国とは「未来志向の善隣外交」は成立しない

ところで、ここで櫻井氏を批判した以上、私は日韓関係をどうすべきだと思っているのか、説明する義務があると思います。

端的にいえば、「ハード・ランディングしないように管理する関係」だと思います。

私は、どんな国とであっても、「対等な主権国家同士、お互いに尊重し合い、ともに手を取り合い、将来に向けて発展していける関係」を構築すべきだと思いますし、とくに近隣諸国との関係構築は、積極的平和主義に基づく善隣外交を基本とすべきだと考えています。

しかし、このような関係が成立するためには、日本が相手国を尊重するだけでは足りません。相手国も日本のことを尊重し、日本とともに発展していこうとする気持ちを持っていなければなりません。そして、そのような善隣外交の意思を共有してくれない相手国と、善隣外交など成立しないのです。

ところで、韓国が日本と「未来志向の善隣外交」を行う意思を持っていないことは明らかです。

日本の左翼は「日本が過去に韓国に悪いことをしたから、日本が韓国に謝罪しなければならない」と述べていますし、保守勢力・ネトウヨなどは「日本は韓国に謝罪する必要などない」と主張していますが、両者の主張は「韓国側が日本に歩み寄る意思を持っていない」という点では一致しているといえます。

善隣外交が成立しない相手とは、最終的には断交するか、それとも「上下関係を前提とした不健全な関係」を維持せざるを得ません。そして、日韓関係とは、まさに「未来志向の善隣外交」が成立しない典型的な事例なのです。

まずはそのことを理解することをスタートにすべきなのです。

決定的な関係破綻を避けつつも、関係破綻に備える

ただし、「未来志向の善隣外交が成立しない」からといって、どこかの「ネトウヨ」のように、「直ちに日韓断交せよ!」などと叫ぶことは、愚の骨頂です。これだと、朝日新聞あたりが仕掛けて来ている、「日本は韓国に無条件で謝罪すべきだ!」などの主張と、愚劣さでは大差ありません。

私自身は金融規制の専門家ですが、銀行経営の世界では、とくに大規模な銀行について、経営破綻を避けつつも、万が一、銀行が経営破綻した場合に、影響を最小化するという考え方があります(いわゆる「大きすぎて潰せない」問題。英語では “Too Big To Fail” の頭文字を取って、TBTFと略すことがあります)。

日韓関係の考え方も、こうした金融システム上のリスク管理の考え方を応用することができると思います。これまでの日韓関係がそうだったように、これからも、韓国の方から日韓関係を破綻させようとする動きが相次ぐことは間違いありません。慰安婦合意を反故にする動きなどは、その典型例です。

そして、いつまでも不正常な日韓関係を放置して良いはずなどありません。現在の日韓関係は、いずれ、何らかの形で清算されることになるでしょう(ここでいう「何らかの形」とは、①関係自体が破綻するか、②日本が韓国に屈服するか、③日本が韓国を屈服させるか、④韓国自体が国家崩壊して地球上から消滅するか、など、いくつかのパターンが考えられます)。

しかし、「その日」が来るまでは、日本の方から日韓関係を破綻させることを避けつつ、それでも「その日」が来たときには、その影響を最小化するよう、準備していくことが必要なのです。

こうした「日韓関係管理論」については、当ウェブサイトでも引き続き議論していきたいと思いますので、どうかご期待ください。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 本日も夕刊の発信、ありがとうございます。
    < 日本の側から日韓関係を破綻させるような行動、振る舞いをした事ありましたっけ?すべて韓国からじゃないですか。李大統領が竹島で天皇陛下を蔑む言葉で罵り、竹島は韓国のモノだとパフォーマンスをする。朴は恨みは半万年続くと妄言、安倍首相には昼メシ抜き、食いたかったらもっといい土産出したら飯を出すと言うた。その前の金泳三は中国で日本人を最低に馬鹿にする発言をした。言葉は書きたくない、ハラ立つから。金大中もそう、盧武鉉もそう。元首だけでなく、一般人も侮日、反日に忙しい。少しでも日本を宥和する発言したら、行きていけない異常な民族です。韓国はもう今や、にっちもさっちも行かなくなった。国自体進退窮まってますよ。日本は、韓国という相手が一方的に嫌ってるんだから、別に仲良くする必要ありません。我、関知せず、隣国?あゝそうですか、さよなら。で良いと思う。
    < 櫻井よし子氏は、発言が丁寧で、文も読みやすく、スッと読み込めます。最初見た頃は『超極右派!』と思いましたが、だいぶん丸くなられたかな。中韓の実情をみすぎたのか、『舌鋒鋭く』ではないですね。大陸生まれだから、多少アチラの古い記憶もあるかも。
    < その中で『韓国とは悪い関係でなければよい、程度でOK』は、理解しにくいですな。ずっと悪い関係ですよ(笑)。それも僻んでいるのか、その裏返しでいつもエラソー。実質関係は『破綻』しています。それでも慰安婦合意履行の件でも、対北支援でも約束破るなら、制裁あるのみ。そう経済の締め付けです。あとビザ免除プログラムの短縮、行く行くは停止。安全情報③発令、米国に倣って関税上げまくる。親韓企業の行動監視、親韓国中国議員、高官は『利敵行為』として辞めさせる!
    < もう誅韓論です。それはでも韓国が憎いからだけではない。対中です。そこは安倍首相もブレてないと思います。
    < 失礼します。

  2. 非国民 より:

    韓国は日本に対する妬みもあるんじゃないかな。太平洋戦争で焼野原になったのにあっという間に日本は復興して先進国になった。朝鮮戦争は結果的に日本の産業育成に貢献した。韓国の不幸の歴史の上に日本は繁栄を築いてきたわけだ。そして、その格差はまだ歴然とある。会社も一部財閥だけが順調で中小企業は弱い。日本では大企業に劣らず高収益な中小企業もあるのにね。韓国大企業のトップは刑事事件を起こしてもすぐに恩赦ででてくる。法の下の平等もない。日本ではどんな偉い人でも確実に罰せられる。儒教の影響が強く、手を汚す仕事は蔑まされる。そのため職人がそだたず、産業基盤が脆弱だ。男尊女卑も根強く、そのためか慰安婦という女性が外国人による被害となった行為に必要以上に敏感だ。韓国はベトナムで多くの女性を慰みものにしたが、その結果、ライダイハンという被差別混血児が発生した。韓国にライダイハンに相当する日本人による混血児はいない。経済も社会規範も日本とは天と地の差がある。そこで日本を貶めることでなんとか精神の安定を保っているようなかんじだ。

  3. poponta より:

    お疲れ様です。
    世界の歴史、流れを見ると外国との付き合いの基本は遠交近攻だと思います。近年において経済・文化の交流でこの近攻を少しでも和らげようとする努力を行うようになってきていますが残念ながら近隣の2つの国は自国の政争の具にして少しでも自分に有利に働くよう意図して近攻を利用しています。残念ながら根底に流れるものは70~100年前の良くない時期と変わっていない様に思えます。ましてやその国のリーダーが1000年忘れないと言う事自体が友好を拒否しているとみなければならないと考えます。次の政権はそれ以上に非友好的ではありますが取り巻く環境が厳しいため表だって非友好を出していません。国の場合は引っ越しすることができないため隣人を選ぶことができません、ならば未来を見据えて備えるものは備える、変えるものは変える事において逆に安定した近隣との友好を築く事が出来ると考えます。備える事・変える事に隣国が異様に反応する状況はそれが正しい選択であるという事を示しています。そしてノーベル平和賞が役に立たない意味のない事を教えてあげましょう。

  4. もう生理的にムリ より:

    桜井氏は昔から対中国が日本の本丸であり、将来絶対に来る敵だと強調していますが、同時に南朝鮮はあまり重視していない様に見受けられました
    中国の従属変数程度の認識なのか、現状の日米韓の枠組みを原則と考えているのかは明確ではありませんが、どちらにしろ対中の流れ次第で南との関係も決まると思っているのではないでしょうか
    非常に鋭い分析と特亜という言葉(彼女が言い出しだと認識しています、間違っているかも)の様に、適切かつ分かり易い言葉使いなどとても説得力のある論客だと思います
    ただ個人的にはこの中国第一の考え方はあまり賛同出来ないと思っています
    日本としては中国との関係が先鋭化する前に朝鮮半島のかたを付けるべきだと思うのです
    実際は敵国なみに日本に害悪でありながら、表面上は同陣営の為に叩き辛い、そして相手はそれをこれでもかと利用して貶め利用してくる
    正直言って明確に敵対しない分始末に負えませんし、感情的にも決して許せず相いれない存在です
    ただ正直現状の日本人の性質やマスコミのゴミ具合を見れば日本から決定的な判断を下すのは政権5つくらい飛ばしても無理でしょう
    ですから現在北朝鮮が進めている米韓の離反を後押しするのがいいと思います
    確かに一気に断行だ!が愚行なのは間違いないのですが、最終的には明確な敵国である関係へと持っていく事を念頭に行動計画を立てるべきだと思います
    その際に南朝鮮という国が存続するのか、北と合併するのか、呑み込まれるのか、中国かロシアの傀儡になるのか、民族ごと粛清されるのか、内戦で血みどろの争いをするのか、どの結果になるにしろ日本は自国の利益と損害の少なさだけを考えればいいのであって、例え泣き叫ぼうが虐殺されようが一切全く関わるべきではないでしょう
    またアメリカの都合による押しつけがあった場合に明確に断れる、それだけの国民の意識と世論を作れるか、それ次第で日本の将来は決まると思います
    朝鮮系にルーツを持つまともな方々には誠に申し訳ないのですが、一旦全て白紙に戻す覚悟で日本は朝鮮という疫病神を害悪しかない存在だと認識し、関係性を断ち切る方向で行動すべきです
    またその際に帰化済みの方は兎も角、朝鮮籍のままの場合は一回祖国への送還をすべきでしょう
    南朝鮮という国が一見民主国家側にいる事で、日本への人権攻撃や様々な嘘が真実味を帯びています、また特亜が3国である事で口の数も投票数も3倍になっているのです
    まずは中国という独裁覇権国家の実質的な便利な駒である朝鮮民族から処理するのが戦略的にも正しいと思っています

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