【夕刊】見えてきた韓国への「制裁」

本日2本目の配信です。本日、「待望の鈴置論」がNBOに掲載されました。

対韓制裁を鈴置編集委員も取り上げた!

韓国への経済・金融制裁

当ウェブサイトではかねてより、「韓国への金融制裁」を議論して来ました。

北朝鮮が核・ミサイル・大量破壊兵器の開発を公言しているという危険な状況のなかで、日米と連携してそれを食い止める役割が期待されるはずの韓国が、日米両国に協力しないばかりではなく、あろうことか日米を裏切り、北朝鮮にさまざまな利益を供与しようとしているからです。

たとえば、2月15日に公表した『【夕刊】韓国への金融制裁は可能か』という記事の中では「3億円提供事件」を取り上げましたし、翌日の『【夕刊】セカンダリー制裁で韓国経済破綻?』でも、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の姿勢こそ、北朝鮮の「共犯者」である、と糾弾しました。

こうした中、最近の米国がなかなか興味深い動きをしています。それは、「貿易不均衡」を手掛かりに、米国が「韓国だけ」をターゲットに、経済制裁を行う構えを見せているからです。

韓経:【社説】通商圧力通じた米国の「韓国手なずけ」本格開始か(2018年02月19日10時07分付 中央日報日本語版より)

たとえば、米国商務省は先日、鉄鋼輸入規制案を作成しましたが、中央日報日本語版が掲載した韓国経済新聞の記事によれば、

韓国は昨年対米鉄鋼輸出3位の国ではあるが1位のカナダだけでなく、7~9位の日本、ドイツ、台湾はすべて対象から抜けた。商務省は12ヵ国の選定基準を明らかにしていないが、輸出量が多くても米国と友好的関係にあるいくつかの国は抜けたとみられる。

としています。

この視点は非常に鋭いものです。なぜなら、今回の「鉄鋼制裁」は、米国が「韓国に打撃が生じるように対象国を選んでいる」という指摘も、あながち間違いではないからです。

鈴置編集委員、セカンダリー制裁を語る

ただし、今回の米国の措置は「韓国の手なずけ」ではありません。「韓国へのセカンダリー・サンクション」です。それを裏付ける論説が、本日の日経ビジネスオンライン(NBO)に掲載されています。

北より先に韓国に「鼻血作戦」を発動する米国(2018/02/22付 日経ビジネスオンラインより)

内容についてはリンク先で直接、確認してください。

(※なお、『早読み深読み朝鮮半島』はNBOの大人気シリーズであり、日本でこのクオリティの論説は滅多に読めません。リンク先記事を読むためには日経への読者登録が必要となるケースがありますが(今のところは無料)、鈴置説を読むためだけに読者登録をする価値はあると思います。)

ごく簡単にまとめると、米国が発動する鉄鋼関税制度は、陰に陽に北朝鮮の核開発を続ける韓国に対する「意趣返し」のようなものだ、ということです。不肖ながら、当ウェブサイトで申し上げて来た「米国は韓国に何らかの制裁を加えるのではないか?」とする私自身の仮説とも、ほぼ整合するものです。

意外と忘れがちな視点ですが、米国は「世界最大の軍事大国」であるだけではありません。「世界最大の経済大国」であり、世界の金融を事実上、支配している国でもあります。米国としては、北朝鮮と取引のある企業や銀行に対し、資産凍結、銀行取引停止処分などの金融制裁に踏み切ることもできますが、これを「二次的制裁(セカンダリー・サンクション)」と呼びます。

そして、北朝鮮を助ける国や銀行に対する二次的な制裁(セカンダリー・サンクション)は、すでに多数の発動実績があります。たとえば2007年にはマカオのバンコ・デルタ・アジアを金融制裁した実績もありますし、その10年後の2017年には、中国東北部にある丹東銀行にも金融制裁を課しました。

これらの制裁には実効性がある場合もあれば、そうでない場合もあります。しかし、米国としては軍事オプションだけでなく、経済オプション、金融オプションもあるのです。

あらゆるオプションが必要!

韓国への金融制裁と金正恩の刑事告発

ただし、私自身は最近、米国が果たしてどこまで本気で北朝鮮の核開発を阻止しようとしているのか、疑念を抱いています。たとえば、米国は昨年、北朝鮮を軍事攻撃する機会がいくつかあったにもかかわらず(例えば『12月18日が晴天ならば北朝鮮奇襲か?』参照)、結局、攻撃を行っていません。

こうしたなか、日本が米国と最大限、密接に連携しなければならないことは言うまでもありません。しかし、それと同時に、日本はアメリカ任せにするのではなく、「国土に1発たりともミサイルを撃たせない」ために、日本としてできる最大限の努力を惜しんではなりません。

たとえば、韓国が日本の言うことを聞かないならば、日本も韓国に対する独自の金融制裁を発動しても良いと思いますし、韓国人に対する観光ビザ免除プログラムの滞在可能日数の短縮、WTO規定に抵触しない範囲での貿易規制などは直ちに導入できるはずです。

さらに、北朝鮮の独裁者・金正恩(きんしょうおん)を自国民に対する人権侵害容疑で、国際刑事裁判所(ICC)に刑事告発しても良いかもしれません(実際、ICCは過去にスーダンのバシール大統領に対する逮捕状を発給した実績もあります)。

コンテンツの予告とお断りについて

こうした中、私は現在、当ウェブサイトの大人気シリーズ「朝鮮半島の6つのシナリオ」(最新作は『平昌直前:「6つのシナリオ」アップデート』)を更新するための材料を集めていますが、その前に、北朝鮮の核危機の現状について、「中間報告」的に、きちんと議論しておきたいと思います。

もっとも、自分で宣言した以上、今朝公表した『借金と通貨危機を考える(前編)』の「後編」も近日中に執筆しなければならないため、どちらを優先すべきかは悩ましい問題ですが…(笑)

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    <夕刊の配信ありがとうございます。
    < 鈴置氏の『早読み深読み朝鮮半島』は久しぶりな気がします。米国はとうとう対韓制裁に出ましたね。鉄鋼輸出で同盟国はすべてすり抜けているのに、韓国は制裁対象国になった。ここまでは私も知ってた内容ですが、ハッキリ鈴置氏に言われると気分がいい。あっちにふらふらこっちにふらふらしていた韓国にセカンダリー サンクションを見舞ったんでしょう。これに対して韓国も気づいているし、なんと文大統領は不服としてWTO(世界貿易機関)に提訴。通商問題でも米韓の溝は深まっています。しかし確かWTOは裁定は勧告程度で、米国の行動を変えさせることはできないはずです。
    < 韓国は日本に対しても『ツートラックとやらの二枚舌』で慰安婦問題や歴史認識と、経済問題(スワップ等)は別に考えようなんて言ってます。自分の都合のいいようにしか考えないアホども。米国は「外交安保」で北朝鮮、中国になびく韓国に、「経済報復」を行なった。それ以外にも韓国GMが5月に撤退決定。造船や製鉄や自動車不振の韓国で、雇用政策を主題に上げていた文政権にとってはますます痛いでしょうね。結局、米国の照準は北朝鮮狙いから一時的に韓国に(あるいは複眼で今後北南とも)移った。
    < また新宿会計士様の言われる、米国の北に対する攻撃への疑念、私もうっすら感じてました。本気でやる気なのかと。12月1月は動きなし。2~3月も無いとなると、5月には完成してしまう。昨日の報道で、平昌五輪中、ペンス副大統領と北朝鮮のナンバー2金氏らが極秘に会う計画だったとか。それはペンス氏が米国発、日本着時には決まっていたそうです。会談当日の2時間前に北からキャンセル(あいかわらず失礼な国だ)があったそうですが、米朝密談となると、ひっかかる。
    < 韓国が間に入っている事だし、話をリードされないか?朝鮮人の卑怯なやり口に、白人はついていけるか、理解できるか?という点です。私は安倍首相も入るべきだと思う。なぜ米国が諾としたのか、本当に北朝鮮に限定攻撃も辞さず、核開発廃絶させるなら2対1の交渉には乗るべきではなかったと思います(キャンセルになって良かった)。
    <失礼します。

  2. 何となく より:

    中韓は焼き畑産業やりすぎなんですよね。周り焼はらってからひとり勝ち狙うのが基本戦略みたいですし。
    しかも政治の世界で自己都合のツートラックなんか国内向けのパフォーマンス以外に支持されるわけ無い。

    韓国的思考というか、そろそろ客観視出来ないといい加減崖っぷちなんですけとね。

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