【夕刊】セカンダリー制裁で韓国経済破綻?

今朝、私は『理解に苦しむ韓国の「運転席」理論』のなかで、韓国国内で「運転席」なる主張が広まっていると申し上げました。その続きとして、韓国メディア『中央日報』日本語版に掲載されたコラムを手掛かりに、朝鮮半島の先行きに関する議論を補っておきたいと思います。

「運転席理論」の続き

本日の「お前が言うな」

韓国メディア『中央日報』日本語版に、おもわず呆れてしまうコラム記事が掲載されていました。

【コラム】核では平和を得ることはできない(2018年02月16日13時02分)

これは、「主筆」と名乗る人物が執筆した文章だそうですが、これが主筆の文章とは到底思えません。

無駄に装飾が凝った悪文ですが、文章の全体から、「文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領は朝鮮半島問題の運転席に座った」とする、不思議な高揚感が漂ってきます。

この「運転席理論」とは、『理解に苦しむ韓国の「運転席」理論』で述べたとおり、ハンギョレ新聞などを含めたいくつかの韓国メディアが提唱しているものであり、いつも周辺大国に振り回されてばかりいた韓国が、「やっと主導権を取った」と勘違いしているものです。

正直、ごちゃごちゃしていて、極めて読み辛い文章ですが、この「主筆」が主張する内容を要約すれば、

核で平和を得ることはできない。北朝鮮は非核化に向けて誠意を示せ

といったところでしょう。

しかし、国際社会が圧力により北朝鮮に核放棄を促しているなかで、そうした足並みを一番乱している国は、間違いなく、韓国です。

北の非核化を議論するならば、まずは自国が北の核武装を助けているという事実を認め、そのことを反省することから始めるべきでしょう。

北朝鮮の核武装の「本当の脅威」

ところで、「北朝鮮による核開発の進展をどう食い止めなければならないか」という論点は、現在の日本人すべてが真剣に考える必要があります。

おそらく、現在の北朝鮮はすでに「事実上の核保有国」です。ただし、核兵器は開発するだけでなく、それをわが国にまで運搬することができなければ、「理屈の上では」、直接的な脅威は生じません。

しかし、私自身の見立てによれば、北朝鮮が核兵器を開発する主目的は、おそらく「実戦使用するため」ではありません。「転売して儲けるため」、です。

ということは、北が核開発に成功しつつあるということは、次に来る脅威は「北の核が東京で炸裂するリスク」と並んで、「核兵器が全世界に拡散するリスク」です。

私が北朝鮮の指導者の立場にあれば、真っ先に目指すのはミサイル開発と並び、核の小型化でしょう。

理論上、核兵器は20~30キログラム程度にまで小型化できるそうですが、持ち運びが容易であれば、破壊力に足りなくても、十分に利用価値はあります。テロリストの手に渡り、自動車に積んで北京の中南海付近やモスクワのクレムリン付近で炸裂させれば、それだけで全世界を混乱に陥れることができます。

また、確かに核兵器の開発には大変な時間と労力が必要ですが、開発してしまえばおしまい、ではありません。維持・管理するのにもコストがかかります。国連安保理決議に基づく経済制裁を喰らっている北朝鮮にとって何よりも必要なものは、現金収入です。

これに加えて、核兵器を大量に製造したところで、これを保持することが困難です。なぜなら、北朝鮮の国土は狭いため、大量の核兵器を秘密に保管するだけの場所などないからです。

このことからも、「核を製造し、イランなどの中東諸国、あるいはテロ組織に転売する」という行動が、北朝鮮にとっても望ましいであろうことは、容易に想像できます。

米国に北の核保有を容認させるな!

したがって、北朝鮮の核開発はその転売による拡散に最も大きなリスクがあると私は考えます。

ところで、『【夕刊】暗号通貨窃盗事件続報と犯罪国家・北朝鮮』でも触れましたが、北朝鮮はもともと、保険金詐欺、通貨偽造、麻薬製造などにより資金を捻出する、とんでもない犯罪国家です。最近ではわが国の仮想通貨取引所をハッキングし、大量の仮想通貨を窃盗した実行犯が北朝鮮ではないかとの説も出ているようですが、こうした話を聞いても、私はまったく驚きません。

私は、こうした国が地球上に存続すること自体を許してはならないと考えており、その意味で、「資金源を絶つ」という昨年の国連安保理制裁決議については、不十分なりにも歓迎したいと思います。

ただし、私が常に懸念している点があります。

それは、米国が北朝鮮の核武装を容認することです。

というのも、北朝鮮が核開発を進めていることは事実ですが、あくまでも現時点で見る限り、ニューヨークをピンポイントで狙えるICBMを、北朝鮮は保有していない(と見られる)からです。

そうであるならば、米国が北朝鮮に対し、「米国を狙うICBMを開発しないならば、核武装を認めてやる」など言い出し、北の核武装を事実上容認することこそが、日本にとっても世界にとっても、極めて大きなリスクなのです。

もっとも、米国が北朝鮮の核武装を許せば、次に来る論点は、日本の核武装です。

北朝鮮が核武装国となれば、日本国内で「自国を守るためには核武装が必要だ」とする議論が高まることは間違いありませんし、さらに万が一日本が核武装に踏み切れば、ブラジル、インドネシア、ドイツ、サウジアラビア、アルゼンチン、トルコなど、少なくともG20を構成する国家の間でも、核武装という動きが広まっていく可能性もあります。

(※余談ですが、私は個人的に日本の核武装には反対ですが、それと同時に核被害国である日本には、本来、優先的に核武装する権利があるとも考えています。)

文在寅路線は続くのか?

文在寅は「共犯者」

私は現在、当ウェブサイトの人気シリーズである、「朝鮮半島の将来:6つのシナリオ」のアップデートを準備しています(その最新版については『平昌直前:「6つのシナリオ」アップデート』をご参照ください)。

ところで、この「6つのシナリオ」については、韓国の北朝鮮シフトが急激すぎるがために、また練り直しを余儀なくされています。

文在寅政権が続けば、韓国が北朝鮮に取り込まれてしまう可能性が極めて高く、それこそ「高麗連邦共和国」が成立し、韓国が北朝鮮主導で「赤化統一」されてしまうと見ています。

なぜなら、文在寅氏の行動は、明らかに北朝鮮の核武装を妨害する方向ではなく、支援する方向に向いているからです。その意味で、北朝鮮が核武装に向けて邁進するなかで、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領はその共犯者であるとも言えます。

ただ、それと同時に、平昌(へいしょう)冬季五輪開会式前後から、韓国国内でも文在寅氏の極端な親北融和姿勢に対して疑念が出ているようです。

セカンダリー・サンクションと文在寅排除

ここで、何らかの形で文在寅氏が排除され、「赤化統一路線」が変わる可能性も否定できません。

そのきっかけの1つとなり得るのが、「セカンダリー・サンクション」です。

【夕刊】韓国への金融制裁』でも触れましたが、韓国は現在、北朝鮮に対して巨額の現金をプレゼントしようとしています。こうした動きは、間違いなく、北朝鮮の核開発を間接的に支援することにつながります。

そして、米国が韓国による北朝鮮支援の動きを看過するとも思えません。

事実、米国はかつて、マカオのバンコ・デルタ・アジアを2007年に金融制裁した実績もありますし、その10年後の2017年には、中国東北部にある丹東銀行にも金融制裁を課しました。

このように、北朝鮮自体だけでなく、北朝鮮と取引をしている相手を二次的に制裁することを、一般に「セカンダリー・サンクション」と呼びます。

私が昨日申し上げた「韓国への金融制裁」は、決して非現実的なものではないのです。

そして、韓国(あるいは韓国企業)に対する金融制裁が発動された場合には、韓国経済が大打撃を受ける可能性もあります。

この場合、文在寅氏自身が「ロウソクデモ」によって引きずりおろされ、結果的に韓国政府の軌道修正が図られる可能性があります。

いずれにせよ、「6シナリオ」の練り直しには、もう少し材料の収集と事態の見極めが必要です。

お待たせして申し訳ございませんが、平昌五輪(パラリンピック含め)の閉幕前後には、新たなシナリオとその可能性を提示できるよう、準備していきたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 夕刊の配信ありがとうございます。
    < イ ハギョン主筆のコラムは、見事に悪文ですね。難解すぎる。頭、大丈夫ですか?(笑)のレベル。そりゃ日本も米国もその他各国とも、朝鮮人とのコミュニケーション取れないわ。大層な言い様と夢想と現実が混濁して、不要な修飾語が散りばめられている。民族全員、逝ってます。
    < 文大統領が就任してから、韓国経済は一層凋落しているとみます。昨年の大宇海洋の破綻、現代車の不振、労働者の最低賃金引き上げ、法人税の税率UP、雇用拡大の手段として公務員の数を増やす愚行、韓国GMの工場撤退、THAAD追加中止したもののシナの観光客戻らず、平昌五輪の大赤字。
    まだまだありますが、明るい話は一切ありません。
    < 直近の文大統領の支持率は分かりませんが、ピーク時が80%越え、今も60%程度あるのでしょうか。もしあるなら、自動車のハンドルをまだ握っていると本人は錯覚しますね。支持率が半分以下なら、途中で民意がローソクし出すと思います。
    < 話し変わって、北は既に核は開発済み、小型化ももうすぐ完成でしょう。米国が北の核を認めないことを祈ります。とにかく、北朝鮮と韓国は理性的な言い方ではないですが、ぶっ潰れて欲しい!
    < 失礼します。

  2. 匿名 より:

    韓国へのセカンダリー・サンクションの対象はみずほ銀行になりませんか?

    米国は日本の暗部を知っているような気がします。

    北朝鮮は核で脅すことはあっても、打つことは出来ません。
    他国に売却することは有り得ます、但し潜水艦と機雷の海上封鎖に遭いますが。
    密輸経路は、陸路なら中国、海路なら中国、ロシア、日本経由ですね。空路は制空権がないから困難。

    核の完成品の持ち出しは相当な小型化が必要と思われますが、どれ位の大きさが現実的でしょうか?

    1. むるむる より:

      核弾頭の小型化に成功したものであれば大きさは大体タンスの引き出しに入るレベルになります。
      洗礼されていればさらに小さくしてビジネスバックに入るレベルだとか……
      と言うわけで核の密輸は以外にも簡単です、難点は偵察衛星からの監視からすり抜ける必要があるとこですが…

      まっ発射体のロケットや爆撃機ないと意味無いのでそれ無しで使うのなら本当に核の自爆テロくらいの利用方法しかありません。かつて米国はは冷戦時代に携帯型核爆弾作って、ソヴィエトからの劣勢を覆そうとした事もありましたがww
      詳しくはデイビー・クロケットで検索。

  3. 非国民 より:

    ロシアは悠長に構えているけど、考え直した方がいいよ。イスラム教徒からいっぱい恨みを買っているからね。イスラム教徒だからって貧乏とは限らない。サウジアラビアみたいな金持ち国家もある。北朝鮮とは地続きだからモスクワやサンクトペテルブルクに持ち込まれて核爆弾がドッカンとなるかもしれない。シベリア鉄道の貨車一つに核爆弾を積み込んで、人口密集地にきたら爆発させればいい。簡単なことだ。

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