【時論】名護市長選・沖縄タイムスの現実逃避

昨日、沖縄県名護市長選挙が行われ、保守系候補が現職候補を破り、初当選しました。これについてどう見るべきでしょうか?私は「沖縄タイムス」の酷い社説を読むにつけ、マス・メディアが敗北しつつある現状に希望を感じているのです。

名護市長選をどう見るか?

本質は「マス・メディア対有権者」

沖縄県名護市で昨日行われた市長選で、翁長雄志・沖縄県知事らが推す現職の稲嶺進氏が敗北。自民・公明・維新が推薦する渡具知武豊氏が当選しました。

名護市の選挙人名簿登録者数は5万人弱であり、沖縄県の二紙(沖縄タイムス、琉球新報)をはじめとするマス・メディアは、これを事前に「僅差の戦いになるだろう」と予測していました。しかし、渡具知氏と稲嶺氏の得票差は3458票で、しかも若年層ほど、渡具知氏に投票したということです。

つまり、マス・メディアによる誘導報道の異常さと比べれば、極めて大きな差が付いたとも言えます。

その意味で、今回の名護市長選は、いわば、「保守派対革新派」の戦いではなく、むしろ、「マス・メディア対国民」の戦いだったと言えるかもしれません。

もちろん、今回の選挙結果が沖縄県における翁長県政の敗北を意味すると短絡的に考えるべきではありません。1月の南城市長選挙では、自民党が推薦した現職候補が敗れているからであり、その意味で、「翁長派」は連戦連敗、というわけではないからです。

ただ、沖縄県では異常な偏向報道・誘導報道を繰り返す二紙の力が強く、その環境下で今回の名護市長選の勝利は、非常に力強いニュースであることに違いありません。

沖縄タイムスの誘導社説が酷い

ちなみに、翁長氏はみずからの勢力を「オール沖縄」と称していて、沖縄二紙をはじめとするメディアも、こうした呼称をそのまま無批判に利用しています。

しかし、選挙結果だけで見る限り、確かに翁長氏が支援する候補者は多くの選挙戦を制していますが、敗北している候補者も多いため、沖縄県の民意が「翁長支持」で一致しているという事実はありません。

その意味で、「オール沖縄」という表現は、傲慢不遜(ごうまんふそん)というよりほかにありません。

こうした中、沖縄タイムスが掲載している社説が、極めて酷い代物です。ここで、あえて2つ、社説を引用してみましょう。

社説[名護市長選投開票]地域の将来この1票に(2018年2月4日 10:21付 沖縄タイムスより)
社説[名護市長に渡具知氏]「基地疲れ」経済を重視(2018年2月5日 07:25付 沖縄タイムスより)

前者は投票日当日の日曜日午前10時過ぎに公表された社説、後者は今朝、選挙結果が明らかになってから公表された社説です。

前者では、

稲嶺陣営が相次ぐ米軍ヘリ事故などを取り上げ、新基地建設阻止を前面に掲げているのに対し、渡具知陣営は辺野古問題にはほとんど触れず、経済振興をアピールする戦術に徹した

と、あきらかに渡具知陣営を批判。まるで辺野古問題にほとんど触れず、経済振興をアピールする戦術が何か問題でもあるかのように報じています。沖縄タイムスは

有権者の思いは複雑だ。/「反対しても工事は止められない」とのあきらめムードが広がっている一方、相次ぐ米軍ヘリ事故に対する怒りや、政府高官が言い放った暴言への反発は根強い。

と述べたうえで、

選挙によって地域が分断され、ぎすぎすした空気が広がるのを懸念する声は多い。

と懸念を示していますが、地域を分断しているのはこの場合、沖縄タイムスそのものではないでしょうか?

さらに酷いのは、冒頭で①「米軍普天間飛行場の辺野古移設問題」と②「地域の活性化」が最大の争点だと言いながら、社説で取り上げているのは①の部分だけです。

地域経済の活性化という視点が完全に欠落しています。

社説は

オール沖縄勢力にとっては、取りこぼしの許されない象徴的な選挙である。翁長雄志知事も危機感をあらわにし、現職候補の応援に全力を挙げた。/市長選は地域の将来を決める大事な選挙。政策をよく吟味し、自分自身の考えで1票を行使してほしい。

という文章で締め括られていますが、ここまで酷い誘導をしておいて、「自分自身の考えで」と言われたところで、説得力などありません。

悔しさが滲み出る社説

一方、後者の社説については、明らかに民意を無視しています。

書き出しからして、

新基地建設に反対する翁長雄志知事ら「オール沖縄」勢力が推す稲嶺進氏は3選を果たすことができなかった。/辺野古の海を切りさくように次々と護岸が造られる中で迎えた選挙である。/『もう止められない』との諦めムードをつくり、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を争点から外し、経済振興を前面に押し出すのが渡具知陣営の一貫した戦術だった。

と、あたかも渡具知陣営が普天間飛行場の辺野古移設問題を争点から隠したかのような記載ぶりですが、これは非常に苦しい言い訳です。

なぜなら、沖縄タイムス自身が前日の社説で、これでもかというほど普天間飛行場移設問題を取り上げていたわけですから、渡具知氏が「争点を隠す」ことなど不可能だからです。

ではなぜ、そんな渡具知氏が選挙戦を制したのでしょうか?

奇しくも沖縄タイムス自身が述べているとおり、

現職の失政が市の閉塞感を招いたとして流れを変えようと訴え、暮らしの向上を求める市民の期待票を掘り起こした。

といったところが正解でしょう。つまり、これこそが民意です。

そして、

注目すべきは期日前投票が2万1660人と過去最多となったことである。有権者の44・4%に及ぶ数字は、企業や団体による働き掛け、締め付けが徹底していたことを物語っている。

本紙などの出口調査では、辺野古移設反対が64・6%に上った。選挙によって辺野古移設反対の民意が否定されたとはいえない。

という下りに至っては、まったく意味不明であり、正直申し上げてこの社説を書いた人の知性を疑ってしまいます。

民主主義社会において民意が正確に示されるのは、新聞社による世論調査ごときではありません。選挙です。

沖縄タイムスの「中の人」には、こんな社説を書いている暇があったら、どうして自分たちがゴリ押しした稲嶺氏が敗北したのか、冷静になって考えてみることを強くお勧めしたいと思います。

新聞社には報道の自由と倒産する自由がある

名護市長選で極左メディアがゴリ押しした候補者が、僅差に近かったとはいえ、保守系候補に敗北したことは、民意が極左メディアの支配から脱却しつつある、非常に良い兆候だと私は考えます。

インターネットがすべて正しく、マス・メディアがすべて間違っていると申し上げるつもりはありませんが、それでも「正解」を勝手に押し付けてくるマス・メディアと異なり、少なくともインターネットの場合、情報の受け手が自分自身で取捨選択して判断することができます。

誤解をおそれずに申し上げるならば、私自身、「報道の自由」は最大限尊重されるべきだと考えています。当然、沖縄タイムスや琉球新報、朝日新聞、共同通信などが、いかにめちゃくちゃな記事を配信していたとしても、それは「報道の自由」の範囲内であると見るしかありません。

しかし、自由には責任が伴います。

もし、報道の自由を乱用して、明らかに間違った報道、偏った報道を続けていけば、それは新聞社自身に跳ね返っていきます。そして、人々から新聞社が見捨てられれば、新聞社に残されているのは倒産しかありません。

つまり、新聞社が報道する自由と引き換えに倒産する自由を享受するならば、私はむしろ、新聞社の皆さんには「どうぞご自由に倒産なさってください」と、謹んで申し上げたいと思っています。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 本日も夕刊の発信ありがとうございます。
    < 名護市長選挙は気になっていましたけど、自民党、公明党、維新推薦の渡具知武豊候補が当選して、良かったと思います。差は僅差というけど、5万人弱の選挙人で3,458票差なら、雌雄は決したと見ていいです。しかし、負けた稲嶺氏の推薦人の翁長知事や沖縄マスゴミは今まで悪どい手を使ってます。今後も用心しないと。
    < 沖縄タイムスは「選挙出口調査では64.6%が基地移設反対だ」「期日前投票が2万1,660人で過去最多、企業団体による働きかけ、締め付けだ」→ハァ?無理くりの書き方ですね。貴方ホンマに記者ですか。皆様ご存知の通り、沖縄タイムスと琉球新報は極左、人権派、左巻です。対して八重山日報は比較的まともな論調ですが、コレが気に入らない両社は販売店に圧力かけたりしてます。
    < 沖縄に基地が偏在し、国防に重要な地域で市民に多大な「負」を負わせているのはわかります。なんなら何割かは県外に移設してもいいと思う。私見ですが、それが自分の近くでも甘んじて享受する覚悟はあります。但し学校のそばは良くない。沖縄県は狭いし、基地が完成した後に街が拡がったので一方的に国、米軍を非難出来ないでしょう。それと中国、台湾、東シナ海に面する立地が国防上好ましい。
    < また年間800万人とか700万人の沖縄旅行客以外、大した産業もない沖縄にとって、米軍基地は米びつではないでしょうか。軍属や基地関連の仕事をしている人は多い。本当に無くなってもいいの?それでなくても国庫からの交付金は多いでしょうに。辺野古移設は、市街地から遠いので、現状より遥かにいいと思う。
    < 聞くところ、「反対派の30〜50%は在日韓国人、朝鮮人で在日差別と沖縄差別を共有した連中」と聞きます。日当貰っているとか、地元民でない不逞なヤカラが跋扈してるんでしょうね。とにかく、なんでも反対の翁長知事、国に盾ばかりついている知事と賛同グループ、メディアが瓦解するまで見守りましょう。力になればいいが。
    < 失礼しました。

  2. 埼玉県民 より:

    毎日の更新ありがとうございます。
    オール沖縄ではなく、オールド沖縄ですね。稲嶺氏には、仕事と将来の心配が不要なジジババがメインで投票しているようですね。

    https://twitter.com/wadamasamune/status/960308183607558146/photo/1?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=http%3A%2F%2Fjin115.com%2Farchives%2F52208222.html

    沖縄でも、若い人には、本土出身記者が記事を書く極左親中二誌は愛想尽かされたようです。
    ウチナンチューでも若い人はネットで覚醒したようですね。 依田さん事件や山城の裁判で反基地運動は非ウチナンチューどころか、日本国籍ですらない連中が地元に迷惑をかけているだけだと明確になりました。ニュース女子の偏向ならぬ事実報道は、良いきっかけとなったと思います。

  3. オールド沖縄 より:

    この記事も頭おかしいw

    http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/204884

    阿部 岳「沖縄に辛うじて息づいていたこの国の民主主義と地方自治は、ついにへし折られた。」

    だってさ。パヨクってこんなんばっかw

    1. 埼玉県民 より:

      捏造頭髪沖縄の方ががふさわしいかもしれません。

      1. オールド沖縄 より:

        な、なんだってー?!

        頭髪はフェイクやない、あれが本体や!

        下のヤツはワイの乗り物や!

  4. ふなP より:

    古いエントリーですが、別サイトで関連記事が出てきたので、シェア!です。
    https://samurai20.jp/2018/08/henoko-3/

    地元住民は、移設に「賛成」ではなく「容認」である、ということ。
    移設に伴う具体的な地域振興策があったことについて、初めて知りました。

    政治的な話だと、権限を要望して不法行為民を一網打尽にすることもできるのでしょうが、
    やってしまうと沖縄2紙が鬼の首を取ったように騒ぐ→新聞購読者の世論が反基地に傾く、
    ということになりかねないので、なかなか動けないのかな、とも思います。
    なんらかの手段をとって、邪魔する奴らを駆逐して欲しいですね。

    地元住民が沖縄弁でめちゃくちゃ怒ってる動画をTwitterでみたので貼ろうと思ったのですが、
    探しきれませんでした。
    不法行為あれこれをまとめておられるTwitter民もシェアしておきます。
    まっとうな人なら、ドン引きして怒りすら沸いてくると思うのですが、
    活動家の人は、良いことしてると信じ切ってるからたちが悪いですね
    https://twitter.com/fm21wannuumui/media

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