「『もりかけ問題』ではない、本当の意味での政治スキャンダルを、安倍政権は抱えていた!」――。本日私は、そのことを主張したいと思います。といっても、これは「安倍憎し」で申し上げるのではありません。「そのスキャンダルを挽回することができるのは安倍政権を置いて他にない」という意味で、あえて安倍政権にとって厳しいことを申し上げたいと思います。

※本文はお知らせの後に続きます。

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    安倍政権、向かうところ敵なし?

    史上最長政権に「王手」をかけた安倍総理

    2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来、昨年12月26日で丸5年が経過し、6年目に突入しました。その間、2回の衆議院議員総選挙を挟んだため、安倍政権は第3次、第4次と組閣を続けている格好ですが、現在のところ、政界では「安倍一強」が続いています。

    今年、安倍晋三氏は自民党総裁としての2期目の任期が満了します。従来であれば、自民党総裁は連続して2期6年までしか務めることができませんでしたが、党内規則が改正され、現在は3期・9年まで務めることが可能です。このため、安倍氏が今年9月の自民党総裁選に勝利すれば、安倍政権は最長で2021年9月まで続くことが可能です。

    ちなみに、2006年9月からの1年間の第1次安倍政権を合算すれば、私の試算では、安倍政権が2019年11月17日(日)まで現在の安倍政権が続けば、安倍晋三氏の内閣総理大臣としての通算在任日数は2887日となり、桂太郎政権(通算2886日)を抜いて憲政史上最長の内閣となります(なお、詳しい日数のカウントについては『安倍政権5年―「既得権益」を打ち破れ!』でまとめていますのでご参照ください)。

    もちろん、私は「その政権が何を達成したか」が重要であると考えており、「長く務めること」自体を政権の目標にしてほしくはありません。

    しかし、在任日数が長いということ自体、G7会合などの国際的な外交の場で存在感を示しているという意味であり、日本の国益に直結しているという事実も忘れてはなりません。

    そして、私は安倍政権に、外交や経済政策などを通じて存在感を発揮するとともに、戦後日本の宿痾(しゅくあ)である、憲法第9条第2項という問題には、本当に真剣に取り組んでほしいと期待しています。

    改憲を成し遂げて欲しい

    もちろん、憲法改正は、心ある日本人にとってのみならず、安倍総理ご自身にとっても宿願でしょうし、現在の安倍政権からは、「憲法改正は成し遂げたい」という強い意志も伝わってきます。

    ただし、改憲自体はハードルがきわめて高いことも事実です。

    まず、衆参両院で3分の2以上の議員が賛同しなければ改憲の発議自体ができませんし、それに成功したとしても、国民投票により過半数の賛同を得なければなりません。

    次に、改憲内容自体についても、「一から理想的な憲法を作るべきだ」とする「理想的改憲論」、「憲法は一言一句変えてはならない」とする「護憲論」、「改憲にはハードルがあることを踏まえ、現実的に改正できる条項から少しずつ改正する」という「現実的改憲論」など、官民挙げてさまざまな議論が存在します(なお、私自身が望ましいと考える改憲の方向性については、つい先日も『改憲議論の前に:現実的改憲論の勧め』で議論しています。是非、ご参照ください)。

    当然、いかに安倍総理が強い指導力を持っていたとしても、議論の運び方を間違えてしまえば、どこかの段階で改憲議論自体が失敗に終わってしまいかねません。

    しかし、それと同時に、安倍政権でなければ、改憲という戦後最も困難な仕事を成し遂げることはできません。少なくとも私はそう思います。

    よって、せっかく自分自身のウェブサイトを持っているのですから、私も単に改憲議論を見守るだけでなく、在野のビジネスマン評論家という立場から、積極的に議論に参加していきたいと思いますし、読者の皆様も是非、当ウェブサイトのコメント欄、あるいはさまざまなオピニオン・サイト等で、積極的に意見を発信して下さると嬉しいです。

    向かうところ敵なしだが…

    では、安倍総理は今年9月の自民党総裁選で勝てるのでしょうか?

    報道されるところによれば、岸田文雄元外相(自民党政調会長)が出馬に意欲を示しているほか、閣内にいるはずの野田聖子総務省や、いまや誰の目から見てもすっかり自民党内で「干された」ようにしか見えない石破茂氏が対抗馬として「有力視」(?)されているのだそうです。

    私は1人の国民として、石破茂氏には「加計学園『問題』」ですっかり有名になった「石破4条件」などの責任を取って、自民党総裁選挙に出るのではなく、むしろ自主的に自民党を去って欲しいとすら思っていますが(余談ですが、移籍先は玉木雄一郎さんの「希望の党」あたりが良いと思います)、私ごときが心配しなくても、おそらく石破茂氏が総裁選を制する可能性は、現状、極めてゼロに近いと見て良いでしょう。

    そして、岸田氏が安倍総理からの「禅譲」を狙うのであれば、同氏の登板の可能性は2021年以降と考えられます(※余談ですが、岸田氏は後述の「安倍政権スキャンダル」の中心人物でもあるため、私はこの人物には日本国の総理大臣になって欲しいとは思いません)。

    いずれにせよ、「ポスト安倍は安倍だ」と言われるとおり、9月の総裁選を制する最有力候補は安倍総理自身であると見て間違いないでしょう。

    もちろん、安倍総理が自民党内で敵なしという状態にあることは間違いありませんが、それだけではありません。

    自民党に対抗すべき最大野党だった民進党も、昨年9月28日の衆議院解散の当日、唐突に、「衆議院選挙に候補者を立てない」と発表(『自爆スイッチを押した前原の「敵前逃亡」』参照)。衆議院の民進党は選挙後、大きく、希望の党、立憲民主党、無所属に3分裂し、参議院の民進党も立憲民主党に移籍する議員と、希望の党との合流を目指す勢力に別れているようです(ただし、『恒例の選挙データ分析』で述べたとおり、数字の上では旧・民進党勢力が結果的に議席数を伸ばしているため、「旧・民進党勢力が惨敗した」とするマス・メディア等の分析は間違っています)。

    私の勝手な観測を述べるならば、今後、希望の党と民進党は最終的に再合流を目指す一方で、立憲民主党は現在の日本共産党や社民党と似た立ち位置の、奇抜で過激な主張を掲げる政党になるのではないでしょうか?

    ただ、現状で見る限り、希望の党、立憲民主党、民進党などの野党のなかで、「安倍自民党」を脅かすような存在は思い当たりません。

    つまり、自民党内にも、それ以外にも、現在の安倍総理に目立った「政敵」はいないのです。

    「もりかけ問題」でマスゴミもやっつけた!

    ところで、昨年を通じた安倍政権の「スキャンダル」といえば、「もりかけ問題」でしょう。これは、

    安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、自身の個人的な友人が経営する学校法人に対し、違法な便宜を供与していた

    とされる問題ですが、実際には朝日新聞を含めたマス・メディアが虚報を垂れ流しまくって、何ら決定的な証拠もないくせに、印象操作だけで安倍総理を貶めようとしていた問題だと言い換えて良いでしょう。

    マス・メディアと野党は、この「もりかけ問題」で安倍総理を「やっつけた」つもりになっていたのに、昨年10月の総選挙では自民党が快勝。私に言わせれば、「もりかけ問題」では「マス・メディアが安倍総理をやっつけた」のではなく、むしろ「安倍総理が(インターネット世論の助けを得て)マス・メディアをやっつけた」という状況だと言い換えて良いでしょう。

    日本国民はバカではありませんから、朝日新聞社を筆頭格とするマス・メディアと野党が結託して、安倍政権の足を引っ張るだけの報道を見抜いたのです。

    余談ですが、私は昨年が「マス・メディアが本格的に崩壊を始めた元年」だと考えています。

    ちなみに「マスゴミ」という用語は、2009年に民主党が衆院選で圧勝したころからインターネットで自然発生した、一種のネット・スラングですが、いまや一般人であっても、少し政治に関心があるような人であれば、誰もがこの単語を知っているのではないでしょうか?

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    安倍政権最大のスキャンダル

    対韓外交こそがアキレス腱!

    では、なぜ安倍政権はここまでの強さを誇っているのでしょうか?

    私の「主観的意見」を申し上げるならば、安倍政権の政策(とくに外交政策)が「正しかったから」です。

    あくまでも私の理解ですが、2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来、安倍総理は中国の軍事的暴発リスクの封じ込めを最優先課題に置いて来ました。

    中国は現在、沖縄県石垣市の尖閣諸島に対する領有権を主張しており、中国人民解放軍、中国政府船舶などによる国際法に反した領海侵犯は日常茶飯事です。

    わが国の限られた防衛予算、海上保安予算では、これらの侵略行為に対抗することは困難です。

    それだけではありません。

    中国共産党は、「南京大屠殺」、「従軍慰安婦問題」など、さまざまな題材を見つけて来ては、米国や欧州で日本を貶める「プロパガンダ戦」を仕掛けて来ています。

    こうした中、安倍政権は中国の軍事的暴発リスクを抑えるために、世界の自由主義、民主主義国家と連携し続けて来ました。

    国内的には、特定秘密保護法や安全保障関連法制を成立させ、少しずつ、「自分で自分の国を守ることができる体制」を作りつつあります。

    国民は決して愚かではありません。マス・メディアがきちんと報じていなくても、見る人はきちんと見ています。そして、安倍政権がこうした危機をうまく管理してきたことを、国民が評価した結果が、今日の安倍政権の強さなのです。

    ところが、そんな安倍外交にも、1つのアキレス腱があります。

    それこそが、対韓外交なのです。

    煮え湯を飲まされ続けた安倍政権

    時系列で見ておきましょう。

    まず、2012年12月に日本で安倍政権が発足しましたが、その2ヵ月後、2013年2月に、韓国で李明博(り・めいはく)政権が任期満了し、朴槿恵(ぼく・きんけい)政権が発足します。

    韓国では外交慣例上、大統領が就任すれば、最初に米国を、次に日本を訪れるのが通例です。しかし、朴槿恵氏はこの「韓国国内の外交慣例」を破りました。

    2013年5月の大統領就任後最初の外遊先としては、さすがに米国を選びましたが、翌6月、朴槿恵氏は韓国の外交慣例を破り、日本ではなく中国を「大統領就任後2番目の外遊先」に選んだのです。

    それだけではありません。

    朴槿恵氏は安倍総理との対話を拒み続けました。安倍総理側は「対話のドアはつねにオープンだ」と言い続けましたが、朴槿恵氏側は「安倍総理が慰安婦問題の存在を認めなければ対話に応じない」とする姿勢を続けました。

    業を煮やした米国・オバマ大統領の仲介により、2014年3月に「日米韓3ヵ国首脳会談」という形で、ようやく安倍総理と朴槿恵氏の初会談が実現しました。しかし、その際も、韓国語で語りかけた安倍晋三氏に対し、朴槿恵氏はうつむいたままで返礼をしないという無礼で返したほどです。

    2015年4月の「希望の同盟演説」で気が緩んだ安倍総理

    こうした朴槿恵氏の大人げない態度に、当時の日本や世界でも、「さすがにこれはおかしいのではないか?」といった意見が出始めました。

    もちろん、朝日新聞などの反日メディアと、産経新聞などの保守系メディアでは、多少、論調に違いはありました。「日韓首脳会談が行われない原因は、日韓いずれの側にあるのか」という分析も、メディアによって「日本が悪い」のか、「韓国が悪い」のか、若干、論調にバラツキがあったことも事実です。

    しかし、「日韓首脳会談が行われていない」という事実自体、どうも安倍総理自身に対して、プレッシャーになっていた節があります。

    というのも、北朝鮮や中国の脅威に対する「日米韓3ヵ国協力」が進まなくなってしまったからです。

    その後の情報から推察するに、当時の安倍総理に対しては、米国(とくにオバマ政権下で副大統領を務めていたバイデン氏)から相当に強い「日韓関係改善のプレッシャー」が掛かっていたようなのです。

    こうした中、安倍総理は2015年4月に、米国の上下両院で合同演説を行いました。これが「希望の同盟」演説です。

    安倍総理の演説に対しては、米議会から万雷の拍手が寄せられ、これにより事実上、日米間では「戦後」が終了したと言って良いでしょう。

    しかし、安倍総理はその演説で気が緩んでしまったのです。

    強制連行を認めた安倍総理の失態

    つまり、2015年前半といえば、日韓関係で安倍政権が大きくつまずいた時期なのです。

    この時期に何があったのでしょうか?大きく分けて、「安倍総理の希望の演説を妨害する韓国」と、「日本の世界遺産登録を妨害する韓国」という図式が浮かび上がります(図表)。

    図表 2015年前半に日本外交を妨害した韓国
    区分 日付 出来事
    安倍演説関係 3月6日 韓国国会の鄭義和(てい・ぎわ)議長、米下院議長に「慰安婦謝罪しない安倍に演説の資格なし」と訴える
    4月22日 安倍総理、バンドン会議60周年記念式典で演説同日。同日、韓国外交省当局者、バンドン記念演説で安倍総理のお詫び発言がなかったことについて「深い遺憾の意」を表明
    4月29日 安倍総理、連邦議会上下両院合同会議で演説(いわゆる「希望の演説」)
    4月30日 韓国政府・与野党が安倍総理の米議会演説を一斉に批判
    5月6日 韓国国会議長、安倍総理に日韓関係改善の努力を期待するのは「愚かなこと」と発言
    5月12日 韓国国会、本会議で「反省のない安倍糾弾決議案」を採択
    世界遺産登録関連 5月中 尹外交部長官、「日本の世界遺産登録を全力で阻止する」と表明
    6月9日 世界遺産登録を巡り日韓両国政府の協議が行われたものの決裂
    6月11日~ 尹外交部長官、ユネスコ議長国のドイツを訪問し、韓国の立場に支持を求める
    6月中 外交統一委員会に所属する国会議員らが、日韓いずれを支持するかの態度を表明していない4ヵ国(ペルー、コロンビア、カザフスタン、クロアチア)を訪問し、登録反対の意見を直接伝える
    6月21日 尹外交部長が訪日、「世界遺産登録で相互に協力」と表明
    7月5日 佐藤地(さとう・くに)ユネスコ大使がユネスコ諮問機関の勧告に「真摯に対応する」と表明。それを条件に世界遺産登録決定

    (【出所】著者作成)

    この図表を、じっくりと眺めて下さい。

    このような行為をする国に、日本の「友好国」を名乗る資格などあるのでしょうか?

    私には、とうていそう思えません。

    しかし、安倍総理は韓国の度重なる妨害にも関わらず、4月に米国の上下両院合同演説を成功させたことで、おそらく気が緩んでしまったのでしょう。今度は「明治期の産業革命関連施設の世界遺産登録」を巡って、韓国が主張してきた「朝鮮人の強制労働」というウソを認めるという大失態を犯しました。

    これが、安倍政権の「許されざるスキャンダル」の1つ目です。

    本来ならば、日韓両国が共通の敵である北朝鮮と対処しなければならない局面において、韓国側は、日本の世界遺産登録を妨害することに、すべての外交資源を費やしたのです(呆れたことに、こうした韓国政府の方針を、多くの韓国国民も支持していました)。

    そして、安倍政権が韓国に対して下手な妥協をしたことで、日本が戦時中、長崎県の「軍艦島」に朝鮮人労働者を強制連行し、労働させたという虚構が、世界中に伝わったのです。

    慰安婦合意は安倍政権の失態

    そして、2つ目の「許されざるスキャンダル」とは、いまさら指摘する必要もない、あの2015年12月の「日韓慰安婦合意」です。

    私は先ほど、岸田文雄氏が日本国総理として不適格だと申し上げた理由も、ここにあります。というのも、当時外相の地位にあった岸田文雄氏の発言が、日本人の名誉と尊厳を、下手すれば永遠に傷つけ続けかねない禍根を残したからです。

    この日韓慰安婦合意については、外務省のウェブサイトに原文がありますが、これを私の責任で要約すると、次の4点です。

    • ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
    • ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。
    • ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
    • ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。

    このうち①に注目すれば、岸田文雄氏は、確かに

    慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」だと断言しています。

    ここで思い出してほしいのが、慰安婦問題の定義です。これは、

    日本軍が朝鮮半島で少女20万人を戦場に強制連行し、性的奴隷として使役した問題である

    とする、朝日新聞社が捏造し、韓国国民と韓国政府が世界中に向けて言い続けている、世紀の大ウソのことです。

    当時の岸田氏が意識していたのかどうか知りませんが、日本国外相の立場にある者が、「当時の軍の関与の下に」などと発言してしまえば、それは日本政府がこの大ウソを、あたかも事実であるかのごとく認めてしまったように見えてしまいます。

    一方、2つ目の、そして致命的な問題点とは、この日韓慰安婦合意により、韓国政府や韓国国民が主張する大ウソを、日本政府として公式に否定することが、とても難しくなってしまったことです。

    実際、慰安婦合意からわずか2年あまりの間に、米国はもちろん、豪州、欧州など、それこそ世界中に、慰安婦像と虚偽の碑文を建立しようとする動きが相次いでいます。

    こうした動きを放置すれば、日本人に対する国際的な批判が生じることはもちろん、日本との同盟国である米国との関係が、長期的に悪化することが懸念されます。

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    慰安婦合意破棄こそが理想

    日本政府側からは撤回しないことが大事!

    ただし、繰り返しになって恐縮ですが、慰安婦合意自体は国家間の公式合意であり、日本政府の側から撤回すべき代物ではありません。

    なぜなら、日本側は、すでにこの合意に盛り込まれた「政府予算から10億円を拠出する」という義務を履行済みで、現在は一方的に、韓国政府側の合意不履行という状況が生じているからです。

    ということは、韓国の表現を使うならば、日本政府はこの「慰安婦問題」を巡って、韓国政府に対し、一種の道徳的優位に立っているのです。したがって、以前から当ウェブサイトで申し上げてきたとおり、今のところ日本政府は韓国政府に対し、「慰安婦合意の着実かつ誠実な履行」を要求し続けるだけで良いといえるでしょう。

    しかし、「合意を履行しろ」と言い続けるだけでは足りません。

    韓国側が慰安婦合意の最終的な破棄を決断すれば、日本政府としては、それに乗じて、直ちに慰安婦合意ごと慰安婦問題を木端微塵に粉砕すべきなのです。

    とくに、いまや韓国の「宗主国」となりつつある中国の出方には要注意でしょう(なお、今すぐ日本政府が行っておくべき措置とは「カウンター・プロパガンダ」であり、これについては『日韓関係悪化と日中関係好転はセットで議論すべし!』で議論しているので、ここでは繰り返しません)。

    河野外相の発言に注目したい

    こうした中、河野外相は今週火曜日、カナダを訪問しますが、その際、韓国の康京和(こう・きょうわ)外交部長官(外相に相当)と会談をするのではないかとの観測もあります。

    朴槿恵氏の後任として昨年5月に韓国大統領となった文在寅(ぶん・ざいいん)氏が、慰安婦合意という地雷を踏み抜いた直後だけに、どのような会談となるのかについては、私も注目しています。

    もちろん、現段階では、河野氏が康氏に言うべき話は1点しかありません。それは、「2015年の日韓慰安婦合意をちゃんと守ってね」、という注文です。そして、河野氏はおそらく、「仮に韓国が日韓慰安婦合意を守らなければ、日韓関係はマネージできなくなる」とする見解を繰り返すことでしょう。

    現段階ではそれが正解です。

    期限なき合意、日本政府の対応は万全か?

    しかし、現在の韓国政府は間違いなく、この慰安婦合意を無視します。そして、日本政府は困った立場に追い込まれます。なぜなら、この合意には重要な要素である「期限」が欠落しているからです。

    つまり、いずれかの段階で、日本政府としては、韓国が合意を「破った」と認定しなければならなくなるのです。

    その時の準備は、果たしてできているのでしょうか?

    日本は国際社会からも、「合意を破ったのは韓国であり、本件については100%、韓国側に落ち度がある」との認定を受ける必要があります。

    また、現実問題として、北朝鮮の核問題について、韓国の協力なしに、日米だけで解決する覚悟を決める必要があります。

    もちろん、現段階では韓国側が何らかの具体的な措置を打ち出したわけではないため、日本政府としても韓国に対する制裁に踏み切るのは難しいという事情もあります。しかし、目に見える制裁として、今からできることは準備しておくべきでしょう。

    例えば、実害が少なく、分かりやすい制裁措置としては、「韓国人観光客に対する日本滞在可能期間の短縮」があります。

    これはどうやら私が最初に言い出した措置らしいのですが(『日本政府は「訪日客4000万人目標」を撤回せよ!』参照)、実質的に韓国人観光客の訪日人数を減らさずに、韓国に対する明確なメッセージを打ち出す手段としては、これが一番手っ取り早いと思います。

    また、欧米諸国と連携し、平昌(へいしょう)冬季五輪への参加を見送るのも手でしょう。

    韓国は現在、北朝鮮の代表団に対する滞在費用等の支援を検討しているのだそうですが、それを実施すれば、北朝鮮に対する経済援助を禁じた国連安保理決議違反になる可能性もあります。

    つまり、国連安保理決議に違反するような国が主催する冬季五輪に、わが国が参加すること自体、北朝鮮に誤ったメッセージを与えることになりかねません。

    日本は「慰安婦合意に対する制裁」ではなく、表向きは「北朝鮮に対する明確なメッセージ」として、平昌五輪参加を見送るべきです。

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    最終目標は慰安婦合意の破棄

    いずれにせよ、私が一番主張したいことは、慰安婦合意は長期的に見て、日本人の名誉を傷つけ続けるものであり、このような合意などなくしてしまうべきだ、というものです。

    ただし、日本政府からこれを破棄することは絶対にいけません。

    あくまでも韓国政府側にこれを破棄させるのです。

    そして、韓国がこれを破棄すれば、それを奇貨として、慰安婦問題そのものが捏造であるという事実とともに、慰安婦問題を韓国と朝日新聞社ごと叩き潰すのです。

    慰安婦合意自体、安倍政権の失態ですから、それを慰安婦問題ごと叩き潰すことでしか、その失態を回復することはできません。

    史上最長の政権を狙うのも結構ですが、遅くとも退任する前に、この失態の落とし前をつけてほしいと思います。

    本日は珍しく安倍政権に批判的な記事ですが、これも日本のためを思ってのことです。

    安倍総理が本稿を読んでいらっしゃるかどうかは知りませんが、どこかで安倍総理にこのことが伝わることを願って、改めて強く主張しておきたいと思います。

    ※本文は以上です。

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