産経ニュースに見る残念な論説

昨日、大手新聞社のなかでも数少ない「保守系メディア」である産経新聞が運営するニュースサイトに、一見するともっともらしい、しかし私に言わせれば完全に誤った分析を発見しました。日韓関係の議論において、いったいどこが間違っているのでしょうか?

保守派も誤る日韓関係現状分析

残念な産経論説

北朝鮮情勢を巡って国際社会が緊迫するなかで、大手新聞社としてはわが国では数少ない「保守系メディア」として知られる産経ニュースに、昨日、次のような主張が掲載されました。

【風を読む】/本当のことを説かない「代償」 日韓は安保の基礎的構造を自国民に説明すべきだ 論説副委員長・榊原智(2017.12.5 10:30付 産経ニュースより)

記事の執筆者はタイトルにもあるとおり、論説副委員長の榊原智氏ですが、いろいろと残念な主張です。

榊原氏は冒頭で

日韓の両政府は、安全保障をめぐり双方が死活的に重要な関係にあることを、自国民に知らせる努力を怠ってきた。

と主張。ここまで事態が緊迫しているにも関わらず、在韓邦人退避計画や共同軍事演習などの日韓協力が遅々として進んでいないどころか、韓国側が歴史問題で日本攻撃を続けているという事実を列挙した上で、

笑うのは北朝鮮の独裁者だ。

と断じる、というものです。

榊原氏の議論を読んでいると、日本の保守論壇の典型的なロジックが垣間見えます。わかりやすくいえば、韓国が日本に対して様々な侮辱行為を行っていることは事実だが、それでも日本にとっては韓国との軍事協力が必要だから、韓国とは協力できることろで協力すべきだ、とする主張です。

そして、日韓協力がうまくいかなければ、「北の独裁者が笑う」(あるいは「中国が笑う」)のだから、結局は日韓がお互いに協力しなければならない、とする結論に落ち着くのです。

これのいったいどこがおかしいのでしょうか?

日韓関係6類型

それを考えるうえで参考になるのが、以前から何度も何度も取り上げている、「日韓関係の6類型」です(図表)。

図表 日韓関係の6類型
カテゴリ分類概要
日韓友好①対等な日韓関係日韓両国は対等な主権国家同士であり、友誼を深め、手を取り合って将来に向けてともに発展していくべきだ
②対韓配慮型関係①と同様、日韓両国は対等な関係だとする前提に立つが、必要に応じて、歴史問題等で韓国に譲るところは譲り、特別な配慮をすべきだ
③対韓追随型関係韓国は日本に対して「正しい歴史認識」を求めているが、日本は韓国に対する加害者であり、被害者が「もう良い」というまで謝り続けるべきだ
日韓非友好④韓国放置論韓国は日本に対していくつもの無理難題を突き付けてくるが、それらの不当な要求を無視し、敢えて日韓関係の修復は先送りにすべきだ
⑤日韓断交論韓国は日本にとって理不尽な要求ばかり突き付けてくる国であり、いっそのこと断交してしまうべきだ
⑥誅韓論日本は韓国という国と関わらないだけでなく、むしろ韓国という国を積極的に滅亡させるべきだ

くどいようですが、この6つの類型は、私が賛同して書いているわけではありません。

あくまでも、私自身が現在の日本の論壇を見て、「日本と韓国はどう付き合っていくべきか」という議論を集約すると、だいたいこの6つのどれかに当てはまることが多い、と考えているだけのことです。

そして、産経ニュースの榊原氏の議論は、おそらく、この図表でいうところの②の考え方に近いものでしょう。

日韓両国政府の不誠実さ

ただ、榊原氏の議論を含め、さまざまな議論を目にしていて私が痛感するのは、これらの論者が現状を前提として議論を組み立てている、という特徴です。

ここでは、榊原氏の議論の前半部分を深く読んでみましょう。

文章①「日韓の両政府は、安全保障をめぐり双方が死活的に重要な関係にあることを、自国民に知らせる努力を怠ってきた。

文章②「日本は国民の安全を損なう議論ばかりする「空想的平和主義」勢力の反発を、韓国は「国是」である反日の風潮に逆らうデメリットを恐れたのだろう。

この文章①、文章②の部分については、部分的に賛同できますが、賛同できない部分もあります。

まず日本政府側については、韓国との関係だけでなく、安全保障全般について、国民に対する説明が足りません。というよりも、日本国民が平和ボケし過ぎていて、つい最近まで、「憲法第9条を守っていれば戦争にならない」とする「9条教」が、国民の間で広く信奉されていたというのが実情でしょう。

一方、韓国政府側については、安全保障面だけでなく、さまざまな面で、日本との関係を国民に対して隠してきたことも事実です。

たとえば、1997年にアジア通貨危機が韓国に波及した際、韓国政府は韓国国民に対し、日本が通貨危機から助けてくれようとしていたという重要な事実を、国民に伏せていました。このことは、一昨日の中央日報日本語版に掲載された、通貨危機当時の副首相だった李憲宰(り・けんさい)氏に対する中央日報社の単独インタビューでも明らかにされています。

韓国元副首相「通貨危機、早期解決のため伏せた部分も…経済は今のように錯視あった」(2017年12月04日10時30分付 中央日報日本語版より)

つまり、文章①を私の言葉で正確に書き換えると、次の通りです。

文章①’「日本政府は平和ボケした国民に対し、安全保障の重要性を説明することを怠ってきた。これに対し韓国政府側も、日本からさまざまな支援を受けてきたという事実を、国民に対して明らかにしてこなかった。

文章①をこのように書き換えると、文章②とうまくつながるのではないでしょうか?

いずれにせよ、文章①②の部分には若干の異論もありますが、「日韓両国ともに政府が不誠実だ」という点自体については、私も賛同したいところです。

保守派の論客も因果関係の説明を間違える

問題は、次の3つの文章です。

文章③「だが、本当のことを説明しない弊害は、北朝鮮危機が進むにつれ、あらわになってきた。

文章④「在韓邦人の退避について、日韓は何の取り決めも結んでいない。有事に備えた共同軍事演習にしても、日韓は米軍とは個別に行っても、日米韓の枠組みでは弾道ミサイル防衛以外はしていない。日韓の2国間演習など想像もつかない。韓国側は歴史問題で日本攻撃を続けている。

文章⑤「笑うのは北朝鮮の独裁者だ。

この3つの文章の関係は、文章④が日韓関係の現状についての説明であり、文章⑤がそれに伴い発生するであろう困った事態、そして文章②がその原因です。

このうち、文章④と文章⑤については、私にはそれほど違和感はありません。私自身も日韓関係が良好であるに越したことはないとは考えているものの、現状の日韓関係がかなり険悪化していることも、また事実だからです。そして、日韓の結束が乱れると、結果的に北朝鮮や中国に対し、つけ入る隙を与えることは間違いありません。

しかし、文章③については、かなり違うのではないかと思います。こうした事態を招いた原因は、「日韓両国政府が本当のことを説明していないから」、ではありません。一方的に、韓国側の努力不足(あるいは韓国政府の不誠実さ)にあります。

いわば、榊原氏の論考では、事実認定(有事に際しての日韓協力が何も進んでいないこと)については正しいものの、その因果関係(「日韓協力が進んでいない原因は、日韓両国政府にある」、ということ)の説明が間違っているのです。

では、日本政府として現状、日韓関係を改善するために、どのような努力をしてきたのでしょうか?

金融面からは、1997年のアジア通貨危機で、官民挙げて日本は韓国を支援しましたし、2001年7月以来、米ドル建て、円建ての通貨スワップ協定を提供して来ました。2011年10月には、野田政権下で通貨スワップの上限額は700億ドルと、破格の水準にまで増加したほどです(ただし、その後、韓国が更改を不要だと言い放ったため、2015年2月には全てのスワップラインが失効してしまいました)。

次に、外交面からは、2015年12月に、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で決着する、いわゆる「日韓慰安婦合意」を成立させています。この慰安婦合意は、日本側が全面的に非を認め、安倍総理が謝罪するとともに、自称元慰安婦らを支援する財団に対し、日本国民の血税から10億円という貴重な資金を拠出するという、これもまた破格のものでした。

さらに、軍事面からは、2016年11月23日に、日韓包括軍事情報保護協定(GSOMIA)の署名が成立しました。これは、野田政権下の2012年6月に、韓国側から署名をドタキャンされた協定を、4年半ぶりに成立させたものであり、これにより日韓間の軍事情報交換が可能になりました。

さらに、2016年12月末に韓国では釜山の日本総領事館前に慰安婦像が不法設置され、大使や総領事の一時帰国措置が取られたものの、新大統領が選出される直前の4月4日のタイミングで大使らが帰任しています。

有事の邦人退避計画の策定が遅れていることは事実ですが、その大きな原因は、日本側ではなく韓国側にこそあるのです。

日韓友好を壊してきたのは韓国の方

榊原氏に一番申し上げたいことがあります。

それは、現状を前提に考察すると、今回の記事のように、判断を誤ることがある、ということです。

私自身、日本政府・外務省の外交オンチぶりには腹が立つことも多いのですが、それと同時に、安倍政権自体は、それなりによく仕事をしていると思います。

もちろん、2015年の日韓慰安婦合意のように、安倍外交には危うさもはらんでいますが、それでも安全保障関連法制や特定秘密保護法などの立法措置がとられたことなどについては、素直に高く評価して良いでしょう。

くどいようですが、先ほど示した図表でも、私は基本的に①の考え方を支持しています。つまり、日韓両国は一衣帯水の関係にあり、本来ならば切っても切れない関係にあります。日韓両国は価値を共有し、ともに手を取り合い、未来に向けて発展して行けるような、良好な関係を築き上げるのが、一番良いに違いありません。

ところが、私たち日本の側が、いくらそのように望んだとしても、彼らがそのような考え方に賛同するとは限りません。

現に、彼らは朝日新聞社が捏造した、「日本軍が1941年12月9日から1945年8月15日の間に、朝鮮半島で少女ばかり20万人を強制的に拉致し、戦場に連行して性的奴隷にした」とされる虚偽の事実を、世界中で振り撒いているではありませんか。

これは、「日韓友好」とは正面から反する行為です。

それに、彼らがそのように主張するならば、そう主張するだけの、説得力がある合理的根拠を示すことが重要です。しかし、彼らが提示するのは、自称元慰安婦らの「証言」だけであり、「証拠」ではありません。

ということは、彼らは確たる証拠もなしに、世界中に向けて「慰安婦強制連行事件」と宣伝しているわけであり、早い話が日本人に対するヘイト犯罪です。

こうした「日本人に対するヘイト犯罪を繰り返す国家」との有事協力が進まない理由を、「日本政府が国民に対し韓国との協力が死活的に重要だと知らせる努力を怠ってきた」と説明するのは、どう考えてもおかしいのではないでしょうか?

現状を前提とするから判断を誤る

あらためて6類型を読む

以上を踏まえて、あらためて6類型を読んでみましょう。

私が整理したところ、わが国には大きく分けて、韓国との関係については「日韓友好型」と「日韓非友好型」に分けられます。そして、私の理想はあくまでも「①対等な日韓関係」、つまり韓国とはパートナーとして友誼を深め、将来に向けてともに発展していく関係を構築することにあります。

しかし、現実には日本の信義を踏みにじってきたのは一方的に韓国の側であり、この①の関係が成り立たないことは、いまや論者の左右を問わず、衆目の一致しているところでしょう。

そうであるならば、あくあでも「韓国との友好」を維持するならば、「韓国をうまくいなしながらも日本の国益のためには協力できるところで協力する」とする考え方(②対韓配慮型関係)か、「韓国がもう良いというまで謝罪し続けるべきだ」(③対韓追随型関係)のいずれかしかあり得ません。

このうち②が保守派、③が左派の考え方に近いでしょう。

朝日新聞や毎日新聞などの反日メディアや、日本共産党などの反日政党が採用する立場は、明らかに③の考え方です。しかし、最近では、インターネットが普及したことを理由に、こうした露骨な反日的な考え方は、一般国民からの強い批判を浴びるようになってきました。

おそらく今後は、③の考え方は日本社会でマイノリティとなり、そのうち鳴りを潜めるでしょう。

しかし、私が問題だと思うのは、③よりもむしろ②の考え方です。というのも、②の考え方こそが、「現状追認型の事なかれ主義的思想」であり、最も唾棄すべき考え方だからです。

先ほどの産経の榊原氏が提示したような議論について、私は、根底では②の思想が流れていると思います。また、佐藤地(さとう・くに)ユネスコ大使が2015年7月に、日本がやってもいない「朝鮮人の強制連行の罪」を認めてしまったことも、②の考え方が裏にあるように思えてなりません。

この②の考え方は、一見すると「怒っている相手をなだめながら、穏当な解決を図る方法」であるようにも思えてしまいますが、それは大きな間違いです。相手が怒っていたとしても、相手に非があるのであれば、絶対に謝ってはなりません。

このことについて、もう少し深く考えてみましょう。

自分を侮辱する人とうまく付き合えますか?

外交、つまり国と国との関係といえば、非常に大きな話であり、難しくてわからない、と思う人もいるかもしれません。

しかし、外交も結局は人間がやっているものであり、外交現場にいるのも人間同士です。したがって、外交関係は人間関係の発展形です。

そこで、わかりやすく、人間関係にたとえてみましょう。

学校でA君とB君がいたとします。A君はいつも真面目に授業を聞いていて、ノートもしっかり取っています。しかし、B君はいつも授業中、寝てばかりいて、授業を全然聞いていません。

期末テストのときに、B君はいつもA君からノートを借りて勉強するのですが、B君はA君に感謝するどころか、クラス全員に対して、

A君のおじいちゃんは僕(=B君)のおじいちゃんに酷いことをした

と宣伝して回っているとしましょう。

あなたがA君の立場だったら、B君と仲良くしたいと思いますか?

少なくとも私だったら絶対に無理です。

しかし、A君とB君の自宅が隣り合っているため、ご近所付き合いもあり、A君は親から「B君とうまく付き合いなさい」と命じられていたとすれば、話は違ってきます。

親に言われて仕方なしに、A君はB君に対し、

僕(=A君)のおじいちゃんが君(=B君)のおじいちゃんに酷いことをしてごめんね

と謝るかもしれません。

この例でいうA君が日本、B君が韓国、親が米国、といったところでしょうか。

要領が良い人であれば、A君の立場に置かれても、適当にいなしながらもB君とうまく付き合うことができるかもしれません。あるいは、クラスの全員を味方に付けて、裏で「B君が言っていることは嘘だからね」と伝えておいて、B君の宣伝を無力化するだけの知恵がある場合もあるでしょう。

しかし、現在の日本が、そこまで要領よく立ち回っているようには見えないのです。

時として、身を守る努力も必要だが…

ただ、自分自身の健康を守るのは自分自身しかいないのと同様、自分の国を守るのは自分たち自身です。

社会人になり、自分が親から完全に独立すれば、あまりにも理不尽な親戚や友人と縁を切る、ということもできるようになります。国もこれと同じで、日本がきちんと「独立」していれば(あるいは日本が賢ければ)、あまりにも理不尽な国との付き合い方を、抜本的に変えていくこともできるのです。

そこで、先ほどの6類型に戻りましょう。

6類型の①~③、つまり「日韓友好論」は、いずれも戦略として破綻していることについては間違いありません。では、残り3つ、「④韓国放置論」、「⑤日韓断交論」、「⑥誅韓論」についてはどうでしょうか?

現状の日本の立場だと、日韓友好が破綻するならば、この④~⑥のいずれかの戦略しか、とることができません。

現在の安倍政権の対応は?

私の理解では、現在の安倍政権が採用している外交戦略は、基本的に「④韓国放置論」、つまり「あえて日韓関係の修復を先送りにする」というものでしょう。

たとえば、安倍晋三総理大臣自身、すでに韓国のことを「価値を共有する国」とはみなしていませんが、それでも「韓国は最も重要な隣国だ」と述べています。

安倍首相「韓国は最も重要な隣国」2017年12月04日14時45分付 中央日報日本語版より)

中央日報によると、安倍総理は4日、首相官邸で韓国の「韓日協力委員会」の李大淳(り・だいじゅん)副会長に対し、「韓国は(日本にとって)戦略的利益を共有する最も重要な隣国だ」と述べたそうです。

ただ、ここでいう「最も重要な隣国」という言葉には、裏があります。それは、かつて日本政府は韓国のことを、「基本的価値を共有する国」と呼んでいたのに、現在はその言葉が抜けてしまっている、という点です。

つまり、安倍総理自身が韓国を「重要な国」だという割に、日韓関係は「基本的価値を共有する関係」からは後退したままであり、このこと自体、安倍政権が日韓関係を積極的に改善させず、放置するつもりであることが垣間見えるのです。

これだと、韓国に対する日本政府としての強い不満を伝えることはできるかもしれませんが、有事の際の日韓協力が一切進みませんし、慰安婦問題で韓国が日本の名誉を貶めて回っているのを、やめさせることができません。

その意味で、安倍政権の対韓外交には、いかにも中途半端な印象を持たざるを得ないのです。

日韓断交は正しくない

では、「⑤日韓断交論」、あるいは「⑥誅韓論」が正しいのでしょうか?

インターネットの某匿名掲示板では、しばしば、「日本は韓国と断交すべきだ」、といった極論を見掛けることがあります。そして、私も日本人の1人として、韓国が日本に対して仕掛けてくる、さまざまな歴史戦争、ディスカウント・ジャパン運動などを見て、はらわたが煮えくり返る思いを抑えることができません。

一般の日本人が、韓国とはさっさと断交し、戦争でも仕掛けてしまえ、などと極論に走る気持ちも、十分に理解できます。

ただ、こうした感情的な日韓断交論は、正しくありません。

今日、日韓間では、人の往来は盛んですし、貿易も投資も活発に行われていますし、実際に北朝鮮有事が発生した際には、韓国の軍事的協力が必要です。感情的に「日韓断交」などと唱えるだけでは全く生産的ではありません。

これに加えて、韓国に制裁を加えるという「誅韓論」については、現状ではさらにナンセンスです。日本には「平和憲法」(という名の殺人憲法)が存在するため、韓国が不法占拠する竹島を、自衛隊を派遣して取り返す、ということすらできません。

ということは、結局のところ、日韓関係はいま、日本側からのアクションに困り、隘路にはまりこんでいるのです。

  1. 対等な日韓友好…韓国側が日本と仲良くするつもりがないため、機能しない。
  2. 対韓配慮型関係…韓国に対する配慮は長い目で見たら結局、日本のためにならない。
  3. 対韓追随型関係…日本だと朝日新聞を筆頭とする反日勢力が主張しているものであり、論外。
  4. 日韓関係放置論…韓国との間で必要な関係を構築することができない。
  5. 日韓断交…日韓間の往来、両国の結びつきなどを考えると、現実的ではない。
  6. 誅韓論…現在の日本の体制で韓国に対し制裁を加えることは困難である。

現状を打破するには「目的」を明確にせよ!

では、日本はこのまま、韓国から名誉と尊厳を傷つけられ続けるべきなのでしょうか?

そこで必要となるのは、発想を転換です。具体的には、現状の日本の体制を前提に、日韓関係を眺めることからは、脱却することです。

私が冒頭で掲げた「6類型」とは、あくまでも日韓関係だけで完結する考え方ですが、冷静に考えてみるならば、すでに日韓関係を2ヵ国間で議論しても意味がない局面にまで来ています。

韓国から見れば、軍事的に国を守ってくれているのは米国ですが、中国が韓国を精神的属国にしようとして、さまざまな脅しをかけて来ている状況にあります。

また、私は米軍による北朝鮮への限定爆撃の可能性が高まっていると考えていますが(『12月18日が晴天ならば北朝鮮奇襲か?』参照)、北朝鮮がこの爆撃を乗り切れば、文在寅(ぶん・ざいいん)政権を籠絡し、いずれ南北朝鮮が共同加盟する「高麗連邦」が成立し、韓国が赤化統一されてしまう可能性もあります。

日本はこの状況をうまく利用すべきです。

私は正直、韓国が中国の属国になろうが、北朝鮮に赤化統一されてしまおうが、どうでも良いと思います。なぜなら私は日本人であり、韓国人ではないからです。

しかし、韓国が中国の属国になるのならば、逆に日本としては、反日国家である韓国を中国に躾けてもらうのが一番手っ取り早いと思います(『反日韓国は中国に躾けてもらえ』参照)。

また、韓国が北朝鮮に乗っ取られるのであれば、それこそ日本は覚悟を決めて、再武装したうえで、米中露3ヵ国との間で、朝鮮半島封じ込めのための共同の枠組み構築に参加すべきでしょう。

現状から「脱皮する」という覚悟が必要

私は、現状の韓国という国が、5年後、あるいは10年後にも、米韓同盟を維持しながら、現状とまったく同じ姿で存在している可能性は、10%だと見ています(『韓国は7割の確率で中華属国化する』参照)。そして、私の見立てだと、7割の確率で中華属国化し、2割の確率で赤化統一されます。

そうであるならば、日本は今後10年間で、憲法第9条第2項を無力化し、日本共産党を非合法化し、朝日新聞を廃刊させることで、より自立した国家を作る必要があるのです。

くどいようですが、私は今でも、日韓友好を望んでいます。しかし、日韓友好という夢は、すでに破綻していることも事実です。

そうであるならば、東アジアの新秩序の構築に向けて、まずは私たち日本が、きちんと自分の国を整え、経済的にも軍事的にも自立を果たすのが筋でしょう。

そのためには私たちが現状から「脱皮する」という覚悟が必要なのです。

そのことを、私は声を大にして申し上げたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 団塊 より:

    信じられないんですよね、大韓民国と友好を主張するってのが。

    北朝鮮は日本に核ミサイルを撃ち込むと宣言した敵国です。
    大韓民国は憲法に日本を敵国としているとのこと。→ 大韓民国は敵国です。
    北も南も朝鮮人。北も南も60何年か前の建国の最初から同じく日本を敵国としてそれだけで国を維持してきた完全な日本の敵国。
    大韓民国は日本人を頃し拉致監禁し竹島を侵略し続けている。北朝鮮は大韓民国の真似をして日本人を拉致監禁している。
    日本を憲法で敵国と宣言し日本人を頃し我が領土を侵略している大韓民国は、日本の敵である。友好など基地がいざた。

  2. めがねのおやじ より:

    < 毎日の更新ありがとうございます。
    < 「風を読む」という榊原智産経論説副委員長のコラム、読みました。サラッと読んでも、喉に何か引っかかるような気がしてたんですが、産経新聞のベテランでも、今現在の日本、韓国、北朝鮮の動きだけを見て対応を考えてしまうので、落ち着いて考えれば自ずとおかしい点、辻褄が合わない点が出来、微妙にしかし肝心要の論点がおかしくなるのでしょうね。
    < 榊原氏曰くいろいろ韓国が出来てないこと、日本が出来てないことを例を出されてますが、日本国の失敗は『国民の安全を損なう議論ばかりする「空想的平和主義」勢力の反発を恐れた』点。確かに従来は戦争など極東それも日本国の周りで起きるはずがない、と思ってました。左派もそうでしょう。急に言い出すと寝た子を起こすことになって煩わしい。しかし、日本政府は少なくともここ数年、北の暴挙と半島の危機について国民にはアナウンスはしていました。まるで知らない、良き隣人ばかりだという認識は今は流石にありません。つまり、有事について一定の危うさは、普通の日本人なら知っています。訪韓客が減ってるのもその表れ。
    < 他方、韓国はどうでしょうか。日本と手を取り合うこと自体親日とされ、日本を少しでも公平に見ると親日無罪でその人の名誉も職も失い官憲に挙げられる。これに対する風潮を緩和あるいは漸次収束など一切せず、さらにパワーアップさせて子供に至るまで侮日教育を今日まで続けております。本当の事を、終戦直後の最貧国から軍事政治、朝鮮戦争、日韓基本条約締結、漢江の奇跡、OECD入り、1997年のアジア通貨危機時の日本の援助、その後も手厚いサポート、2002年ワールドカップサッカーの資金提供、すべて韓国民は知りません。
    < 『在韓邦人の退避について韓国と何の取り決めもない。共同訓練も日米、韓米はやっても日米韓はない』。当たり前でしょう。相手が民族の理解が得られないと言って参加しないんだから。アッチに全責任がありますよ。この榊原氏の文は後半が腰砕けだ。全体的に韓国も悪いが日本もいままでにも協力出来ることはあった。北朝鮮が笑う事の無いよう、米国、日本、韓国、国連軍でやれ、となっている。
    < 私は逆ギレする中、露がこれ以上、北朝鮮に制裁を加えないなら、米国日本タッグでやればいいと思う。韓国などは足手まとい。こちらの情報はダダ漏れだし、戦力とは計算出来ない。せめて38度線守るだけでよい。THAADには触るな、近寄るな。サージカルアタックで核施設、ロケット発射台、燃料、移動式発射台を殲滅するだけでいいんです。それなら、中、露も文句言わない。
    < 安倍首相、政府も以前は③の方針だったと思いますが、対韓コメントで重要な言葉が無くなって来ています。3年後5年後には確実に中華属国なら、不要な修飾語も要らないと安倍首相、菅官房長官も思っている。日韓以外の世界の動きも勘案すれば、やはり⑤にほっといてもなるでしょう。と、私は勝手に妄想しています。
    < 失礼いたしました。

  3. 右派 より:

    更新お疲れ様です。

    産経新聞は仕方がないのです。敵の敵は味方の理論で彼らは元々親韓国でした。その頃は北も南もよくわかっていない人が過半でしたが。

    実は産経新聞は今でも日本で一番韓国に甘い新聞です。こんな事を言うと産経新聞は反論するでしょうが、言うべき事を言い、正すべき方向に正そうとしているのは産経新聞だけです。官邸含めて殆どの保守はあの国といかにして距離を置くか、あの国をいかにして処分するかを検討している最中です。それに比べれば大甘もいいところです。

    朝日、パヨクのアレは甘いとはいいません。虐待です。優しい虐待そのものです。
    あれが欲しいこれが欲しいとわがまま放題ゴネる子供に阿る親がいたとしたら、その子は間違いなく歪み、将来を棒に振ります。知的発達も遅れるでしょう。日本国内の日韓有効論者がやってるのはそういうことです。比べれば産経新聞は叱り飛ばし、拳骨でぶん殴り、性根を叩き直す……と言うほどのものではありませんが、とにかく大甘です。

    朝日新聞やパヨクは日韓を遠ざけるので私などは最近歓迎しています。官邸の動きが明確に離韓に向かっていても、朝日やパヨクが騒げば韓国は自信を取り戻し、安倍総理だから悪いんだ、良心的日本人はいる、などと勘違いし、態度を改める(巧妙にカバーする)事もないでしょう。

    中国に絡め取られ、北に物乞いし、アメリカの神経を金ヤスリで磨りおろす真似をして怒りを買うあの国と付き合うのは、最早過去の恨みとは関係なく、危険の一言です。

    スムースな離韓のため、最期の瞬間までそのままの韓国の姿を維持したまま、反日発狂して欲しいものです。

  4. とゆら より:

    おはようございます。
    はじめてコメントを書かせていただきます。
    こちらのサイトは一週間ほど前から拝見しています。
    いつも考察には大変刺激を受けています。
    論点がうまくまとめられて私自身の心の整理にもなり感謝しています。

    私は韓国を中国にしつけてもらうというご意見には反対です。
    理由は中国に日本の弱点(歴史問題の情報戦に弱い)を日本自ら露呈させてしまうこと、
    中国に外交カードを一枚与えてしまうことからです。
    しつけてもらったあとに中国は日本に何か要求する際、このカードを必ず取り出すことでしょう。

    韓国とはあくまでタイマン勝負で、しつこく反論攻撃していき日本は面倒くさい国だと思わせることが肝要だと思います。
    韓国が慰安婦問題を取り下げでもしようものならこちらから蒸しえてして追及するくらいの長い戦いを覚悟が必要です。

    絶対に韓国の望む解決はないのですからこちらの外交カードとして保持しておくことです。

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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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