先月末に北朝鮮がミサイルを発射して以来、事態は大きく動いています。こうした中、私は以前、『韓国は7割の確率で中華属国化する』の中で、朝鮮半島情勢を巡り考えられるシナリオを6つ提示しましたが、本日はより踏み込んで、具体的に米軍による北朝鮮攻撃があるのかどうか、そしてそれが行われた場合の「6シナリオ」との関係について、説明を行いたいと思います。

※本文はお知らせの後に続きます。

本文の前に:最新記事のお知らせ!

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  • 2017/11/30 00:00 【外交
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  • 2017/11/26 00:00 【韓国崩壊
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  • 2017/11/20 00:00 【韓国崩壊
    韓国は7割の確率で中華属国化する (5コメント)
  • 2017/11/19 00:00 【政治
    2つのニュースにみる、マスゴミの苦境 (16コメント)
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    ここからが本文です。

    NBOに鈴置論、登場!

    ゴミメディアとはあまりにも対照的な優れたジャーナリスト

    先日、『毎日新聞さん、ゴミを不法投棄しないでくれますか?』のなかで報告したとおり、私が会社の事務所として使っているワンルームマンションの玄関ポストに、ある日、毎日新聞夕刊が不法投棄されていました。私は毎日新聞を「ゴミ」と呼びましたが、読みもしないものを投函されてもどうせ捨てるだけだから、この「毎日新聞は(私にとって)ゴミである」という表現を撤回するつもりは一切ありません。

    私の事務所に不法投棄されたのは毎日新聞の11月29日(水)の夕刊ですが、この日は北朝鮮がICBMと見られる弾道ミサイルを発射した当日であるにも関わらず、大きく取り上げられていたネタは「(大相撲の横綱)日馬富士(はるまふじ)の引退」や「もりかけ問題」でした。

    こんな危機感のない新聞が、社会的影響力をいまだに保っていること自体、不思議だといわざるを得ません。

    ただ、大手メディアの中にも、優れたジャーナリストは、ごく少数ながら存在することも事実であり、その1人が、日本経済新聞社の鈴置高史編集委員です。

    鈴置編集委員は北朝鮮がICBMを発射した当日、この記事を日経ビジネスオンライン(NBO)に上梓されています。

    じり貧の北朝鮮、「核武装の総仕上げ」急ぐ/北朝鮮、過去最大能力のICBMを試射(2017年11月29日(水)付 日経ビジネスオンラインより)

    リンク先の記事の詳細については、直接、読んでお確かめ下さい。NBOの場合、記事の全文を読むためには、読者登録が必要となる場合もありますが、「読者登録」という手間を掛けてでも読む価値があるとだけ申し上げておきたいと思います(※といっても、私は普段から日経を批判しているほどですから、別に日本経済新聞社の回し者ではありません)。

    ここでは、鈴置編集委員の主張の要点を、私の言葉を補いながら紹介してみます。

    • 北朝鮮が核武装を急ぐのは、核を持ってこそ金正恩体制を維持できるとの判断からだ
    • これに対し米国は、軍事演習などを通じて北朝鮮に軍事的な圧迫を強めている
    • 北朝鮮は米国の軍事演習のたびに反撃態勢に入っているが、これを繰り返すことで北の反撃能力は低下しつつある
    • 米国からの二次的制裁(いわゆる「セカンダリー・サンクション」)を恐れる中国も、北朝鮮への制裁に本腰を入れ始めた
    • 国連安保理決議の効果がじわじわ効き始め、外貨獲得も困難になりつつある

    要するに、北朝鮮は「何が何でも核武装したい」と思っているものの、思いのほか、追い詰められている、という指摘です。

    やはり、プロフェッショナルのジャーナリストが執筆すると、この短い文章に、よくここまで要点を詰め込めるものだと感心してしまいます。

    鈴置編集委員の説得力と文章力の高さ、さらには分析の的確さには、感嘆せざるを得ません。

    鈴置委員「クリスマスは戦争をやりやすいシーズン」

    では、米軍による北朝鮮攻撃はあるのかどうか。そして、攻撃に踏み切るとしたら、その時期はいつなのか。これについて、鈴置編集委員は、次のように表現されています(大意を変えない範囲において、文章の順序を入れ替え、要約しています)。

    • このまま放置すれば、北朝鮮が米国まで届く核とミサイルを持つ核保有国になってしまうため、米国にも時間がない
    • 米国は北朝鮮の核武装を絶対に認めない姿勢を鮮明にしており、先制攻撃して核施設を破壊するか、あるいはクーデターで金正恩体制そのものを倒すか、北朝鮮には両にらみで挑んでいる
    • これに対し北朝鮮側は、発射まで時間がかからず、攻撃されにくい固体燃料式の弾道弾の配備を進めている
    • 米国と北朝鮮の双方に時間がなくなった今、激突の可能性が増した

    つまり、米国としては「これ以上放置できない」との判断に傾いており、北朝鮮としては「核保有国」になることを急いでいるため、米朝双方に時間的な余裕がなくなっている、ということです。

    そのうえで鈴置編集委員は、恐るべき「予言」をしています。米国にとって「最も戦争をやりやすいシーズン」は、今年のクリスマス休暇のシーズンだ、というのです。

    まず、冬場に攻撃が行われる可能性が高い理由は、米軍が地下の核ミサイル基地の場所を赤外線センサーで特定するためです。当然、地表の温度が下がる真冬であれば、核基地の周辺の温度は周囲よりも高くなっていると想定できます。

    そのうえで、鈴置編集委員は、次のように述べ、記事は唐突に終了します。

    12月に入れば、米国の非戦闘員もクリスマス休暇で韓国を離れることになる。米国にとって、これから「戦争を最もやりやすいシーズン」に入るのだ。

    これは非常に思わせぶりな書き方です。

    日本経済新聞社の編集委員という立場である以上、「書きたくても書けない」内容もありそうです。

    それを私なりに読み解こうというのが、本日の試みの1つです。

    あれ?韓国はどこに行ったの?

    さて、以下の議論にお付き合いいただく前提として、あらかじめ、鈴置編集委員の記事を、是非読んでみてください。今回の記事は短いので、すぐに読めます。

    ところで、すでに鈴置編集委員の記事を読んだという方は、何か違和感を覚えませんでしたか?

    そう、朝鮮半島情勢の議論をしているのに、今回の記事では、「韓国」という単語が出てくる箇所が、(小見出しを除いて)わずか2ヵ所しかないのです。

    1ヵ所は「韓国軍(の分析)によれば」、という下りで、もう1ヵ所は「12月に入れば、米国の非戦闘員もクリスマス休暇で韓国を離れる」という下りです。どちらも韓国政府の動向の話ではありません。

    つまり、今回の論考では、韓国政府の動きは、一切、無視されてしまっている、ということです。

    ここから明らかになることは、すでに朝鮮半島情勢において、韓国は主体ではなくなってしまっている(あるいは、少なくとも鈴置委員の論考上、考慮すべき国ではなくなっている)、という事実です。

    実は、これにはきちんとした理由があります。それは、日米両国政府が、すでに韓国政府のことを、全く信頼していない状況にあるからです。

    ひと昔前から、米国や日本の軍事機密は、韓国軍を通じて、北朝鮮にダダ漏れになっているともいわれます。そのことを、日米両国が、知らないはずなどありません。

    また、北朝鮮の核危機のさなかに、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領は北朝鮮との直接対話を言い出してみたり、北朝鮮への人道支援を打ち出してみたり、と、日米両国政府の神経を逆なでるような言動を繰り返してきました。

    その結果でしょうか、11月29日の北朝鮮によるミサイル発射直後に行われた安倍晋三内閣総理大臣による記者会見でも、韓国が無視されています。

    北朝鮮が再び弾道ミサイルの発射を強行しました。(中略)国際社会の一致した平和的解決への強い意志を踏みにじり、このような暴挙を行ったことは断じて容認できません。(中略)引き続き強固な日米同盟の下、高度の警戒態勢を維持し、国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。

    とすれば、米国が北朝鮮攻撃に踏み切るとしても、日本に対しては相談、あるいは通告があるかもしれませんが、韓国に対してはそのような通告はなされないと考えてよいでしょう。つまり、米国の軍事作戦は、北朝鮮にも韓国にも気付かれない、奇襲攻撃として行われるのです。

    余談ですが、現在の日本には、限定的ながらも、米軍から機微な情報が提供されていると考えられます。というのも、安倍政権が「特定秘密保護法」や「改正組織犯罪処罰法」などを成立させたからです(ただし、現在の日本には、まだスパイ防止法はありませんが…)。

    もし2012年12月のタイミングで安倍政権が成立していなければ、今ごろどうなっていたのでしょうか?身の毛もよだつ思いがします。

    今月18日に攻撃?

    ロシア・ファクターを考慮すると…

    北朝鮮攻撃に話を戻しましょう。

    手前味噌ですが、私自身も11月30日付の『北朝鮮攻撃の確率は50%に上昇した』の中で、米国としても、およそ50%の確率で、北朝鮮、あるいは金正恩(きん・しょうおん)体制に対する、何らかのアクションに踏み切らざるを得ないであろうと申し上げました。

    私が提示した具体的なパターンは、次の3つです。

    • ①「サージカル・アタック」(ミサイル基地などに対する限定的な攻撃)
    • ②「斬首作戦」(金正恩の除去を目的とした全面攻撃)
    • ③「無血開城」(金正恩を海外に亡命させるなどして、戦争なしに金正恩体制を崩壊させること)

    さきほど引用した鈴置編集委員の記事にあった、

    先制攻撃して核施設を破壊するか、あるいはクーデターで金正恩体制そのものを倒すか、北朝鮮には両にらみで挑んでいる

    という下りを、私の説明に当てはめるならば、「先制攻撃して核施設を破壊する」ことが①、「金正恩体制そのものを倒す」ことが②と③です。

    ただ、鈴置編集委員に反論する訳ではありませんが、先日申し上げた通り、私自身は②と③についての可能性は、現状で極めて低いと見ています。

    というのも、「ロシア・ファクター」が考慮されていないからです。

    北朝鮮は中国とも経済的結びつきが深いため、どうしても中国の友邦であるかのような印象を抱いてしまいますが、実は、北朝鮮はロシアの前身であるソビエト連邦が作った国家です。

    そして、現在でも北朝鮮はロシアと密接な関係を有しているとみられ、実際、ロシアは北朝鮮にさまざまな権益を保有しているともされます。

    米軍が②か③のパターンを目指すなら、よっぽど勝算があるか、そうでないならば、中国だけでなくロシアの全面的な協力を得ることが必要です。

    しかし、米露間はウクライナ問題やシリア問題などを巡り、さまざまな対立が生じているばかりでなく、現在のトランプ政権が「ロシア・スキャンダル」により窮地に立たされているという事情もあります。このため、北朝鮮問題を巡って、米露両国が直ちに密接な協力体制に入る環境にあるとも思えないのです。

    サージカル・アタックならば、中露は介入しない

    このように考えていけば、米国(や中国)が②や③のパターンを目指そうとしても、ロシアの介入を招くであろうことは、容易に想像が付くでしょう。

    私が、①のサージカル・アタックの可能性が最も高いと考える理由は、ほかにもあります。

    それは、単なるサージカル・アタックであれば、ロシアとしては手出しし辛いという事情があるからです。というのも、北朝鮮と長い国境を接している国は、ロシアではなく中国だからです。

    米国によるサージカル・アタックに脅威を感じて軍事力による介入を行う可能性が最も高い国は中国ですが、その中国がサージカル・アタックを容認(あるいは黙認)する姿勢を示せば、ロシアとしても、公然と介入することは困難です。

    では、中国は実際に、軍事介入するのでしょうか?

    これについては、実は、すでに8月の段階で、答えが出ています。それが、次の「往復書簡」です。

    Reckless game over the Korean Peninsula runs risk of real war(2017/8/10 23:23:40付 環球時報英語版より)
    We’re Holding Pyongyang to Account(米国時間2017/08/13(日) 17:37付=日本時間2017/08/14(月) 06:37付 WSJオンラインより)

    前者は中国共産党の事実上の機関紙である環球時報(英語版)に掲載された社説で、後者は米国のティラーソン国務長官、マティス国防長官が連名で、ウォールストリートジャーナル(WSJ)に寄稿した記事です。

    環球時報の主張の要点は、次のとおりです。

    China should also make clear that if North Korea launches missiles that threaten US soil first and the US retaliates, China will stay neutral. If the US and South Korea carry out strikes and try to overthrow the North Korean regime and change the political pattern of the Korean Peninsula, China will prevent them from doing so.(意訳)仮に北朝鮮が史上初めて米国の本土を脅かすミサイルを発射し、これに対して米国が報復した場合、中国は中立を維持するということを明らかにすべきであろう。仮に米国と南朝鮮が攻撃を実行し、北朝鮮の政府を打倒し、政治体制を変更しようとするならば、中国はこれを防ごうとするであろう。

    つまり、中国としては、北朝鮮が先制攻撃して米国がこれに反撃するならば(つまり「①サージカル・アタック」ならば)、中国は中立を保つと明言しているのです。

    これに対してマティス、ティラーソン両長官の「返答」は、次のとおりです。

    The object of our peaceful pressure campaign is the denuclearization of the Korean Peninsula. The U.S. has no interest in regime change or accelerated reunification of Korea. We do not seek an excuse to garrison U.S. troops north of the Demilitarized Zone. We have no desire to inflict harm on the long-suffering North Korean people, who are distinct from the hostile regime in Pyongyang.(意訳)我々は平和的外交圧力を(北朝鮮に)加えているが、この目的はあくまでも朝鮮半島の非核化にある。米国としては北朝鮮の体制変革にも興味がないし、朝鮮半島の再統一の加速という意味合いも含まれていない。さらに、我々は米軍を非武装地帯に展開するつもりもない。我々は平壌の憎悪の体制の犠牲者として、長年苦しんでいる北朝鮮の人民にさらなる苦痛を与える意図を持っていない。

    つまり、米国の最終的な外交目的は「朝鮮半島の非核化」にあるのであり、北朝鮮の体制変革(つまり「②斬首作戦」「③無血開城」)には「興味がない」と、はっきり断言しているのです。

    このことから、米国が北朝鮮の「先制攻撃」を理由に、核攻撃能力の無力化だけを目的にした限定空爆を実施するならば、少なくとも中国としては中立を守る可能性が非常に高いと考えられます。

    そして米国と中国が北朝鮮におけるロシアの権益を侵害しないならば、ロシアとしては事態に介入しない(できない)のです。

    具体的な直近の攻撃候補日は、晴天ならば12月18日の夜?

    では、軍事作戦が断行されるとすれば、その具体的な日付は、いつでしょうか?

    鈴置編集委員の記事によれば、その最有力候補は「クリスマスは戦争をやりやすいシーズン」だとされています。欧米の感覚だと、クリスマスとボクシングデーの当日(12月25日と26日)は祝日ですが、実際にはそれよりも1~2週間程度前から休暇に入る人が多いです。

    ところで、鈴置編集委員は敢えて指摘していませんが、なぜ「米国の非戦闘員がクリスマス休暇で韓国を離れる」と北朝鮮攻撃を行う可能性が高まるのでしょうか?

    その「行間」を読むならば、米軍による北朝鮮攻撃が行われた場合、韓国にも何らかの物的・人的損害が生じる可能性が高い、ということです。

    さりげなく、鈴置編集委員は凄いことを言ってのけるものだと感心します。

    それはさておき、ここでもう1つ考慮すべき要素があります。それは、北朝鮮の電力不足です。

    今年9月23日に、米軍はB1爆撃機を朝鮮半島に派遣し、同爆撃機は北方限界線を越えて、北朝鮮東部を飛行しました。

    焦点:北朝鮮の旧式な対空装備、米爆撃機の撃墜は困難か(2017年9月27日 12:57付 ロイターより)

    ロイターによると、北朝鮮は、最新鋭の米軍機を探知できるだけの能力があるかどうかすら怪しいとしています。

    しかし、それも考えてみれば当然です。というのも、最新鋭の米軍機は、ただでさえレーダーでの捕捉が難しいのですが、北朝鮮はそもそも電力不足であり、レーダーを24時間稼働させていないともいわれているからです。

    電力不足が生じているということは、言い換えれば、とくに新月の夜は、真っ暗になるということです。その最も早い日は、12月18日(月)です。

    今後4ヵ月以内の新月一覧
    • 2017年12月18日
    • 2018年1月17日
    • 2018年2月16日
    • 2018年3月17日

    もし、ここに列挙した日の夜、北朝鮮の天気が晴れていれば、冷え込んでいる地面を赤外線レーダーで探査し、温度が高い地点をピンポイントで爆撃するという奇襲戦略を、米軍が実行に移すかもしれません。

    その可能性は、決して低くないのです。

    むしろ戦後処理が重要!

    問題は解決するのか?

    では、実際に行われる攻撃は、いったいどのようなものとなるのでしょうか?

    仮に12月18日深夜に攻撃が実施されるとすれば、それはおそらくサージカル・アタックでしょう。というのも、斬首作戦を実施するには、米軍としてはあまりにも準備不足だからです。

    もっといえば、地上から38度線を突破して侵攻するのではなく、海上(それも主に朝鮮半島東部)からの空爆がメインとなるでしょう。なぜなら、今回の攻撃については韓国に通知できないため、あくまでも地上軍を使わない奇襲攻撃とならざるを得ないからです。

    つまり、軍事作戦決行日が12月18日だったとすれば、米軍は12月17日までに北朝鮮の攻撃目標のおおよそのめどをつけておき、B1爆撃機などを使って、ピンポイントでそれらの場所を破壊するのです。

    その結果、何が起こるのでしょうか?

    おそらく、一夜にして北朝鮮の主力の核兵器、ミサイルは破壊され、北朝鮮の核危機は「当面は」去ることになります。

    ただし、金正恩体制は温存されるため、このサージカル・アタックでは、問題の根源的な解決にはなりません。むしろ焦点は、「戦後」に移るのです。

    なぜ米国は斬首作戦を実施しないのか?

    北朝鮮はウソツキ国家であり、圧政により人民を抑圧し、人権すら守らない残虐非道な独裁体制です。拉致被害に遭われた多数の無辜の日本人も、北朝鮮に抑留されたままになっています。

    そんな残虐非道な体制を維持している独裁者の金正恩は、間違いなく、人類に対する背任者です。

    金正恩体制が除去され、穏健な指導者が就任すれば、核兵器も放棄され、人民に対する圧政も改められ、日本人拉致事件の全容も解明され、被害者の方々も日本に帰国することができるでしょう。その意味で、北朝鮮の圧政は、直ちに改めるのが人類にとっての正解であるはずです。

    しかし、この「斬首作戦」が実施できない理由は、いくつもあります。

    1つは先ほども申し上げた通り、ロシアや中国などの周辺大国の思惑も絡んで来るからですが、それだけではありません。

    米国にはイラク戦争の苦い記憶があるからです。

    2003年以降のイラク戦争では、米国は圧倒的な軍事力を使い、フセイン体制をあっという間に崩壊させました。これは米国の強い軍事力を考えれば、ある意味では当たり前のことです。

    ただ、米国は「戦後処理」で大失敗しました。

    ブッシュ政権は、「独裁者のサッダーム・フセインを除去し、民主憲法を制定すれば、米国にも友好的な民主主義国家が自動的に出来上がる」と思っていた節があります。

    しかし、現実にはイラクでは無政府状態が続いているだけでなく、ISILなどのテロ組織が跋扈し、一部の組織は暴走し、東アジアを含めた世界中にテロを拡散しています。

    今年、フィリピンのミンダナオ島にもISILの組織の一部が上陸しましたが、幸いにもドゥテルテ政権の活躍により、とりあえずは退治された模様です。しかし、ISILの片割れが、すでにマレーシアやインドネシアあたりのイスラム国家にも根を張っている可能性は否定できませんし、さらには難民に紛れて、日本に上陸しないという保証はありません。

    いずれにせよ、イラク戦の苦い記憶があるためでしょうか、米国は下手に独裁体制を倒してしまい、その「戦後処理」に責任を持つことを、極端に嫌がっている節があります。

    本当の勝負は「サージカル・アタック後」にやってくる

    その意味で、米軍が北朝鮮に対し、サージカル・アタックを仕掛けたとしても、それにより、金正恩体制が崩壊することはありませんし、北朝鮮の核開発問題や日本人拉致問題などが包括的に解決することもありません。

    あくまでも「当面の危機」が遠のくだけの話です。

    金正恩は指導者としてはまだまだ若いです。今回、攻撃を受けたとしても、失脚しなければ、雌伏し、体制を建て直して、やがて再び核・ミサイル開発を推進するでしょう。

    そうであるならば、サージカル・アタックにより弱った北朝鮮を巡って、米国(や日本)としては、①北朝鮮と直接交渉する、②中国やロシアなどの周辺国と交渉する、③北朝鮮を攻撃したあとで、せっかくの機会を米国(や日本)が放置してしまう、という、3つの可能性が出てきます。

    クロス承認シナリオ

    米国や日本が北朝鮮と直接交渉するという案は、北朝鮮に対し、体制の温存を認めることと引き換えに、核査察を受けさせるということです。また、日本人拉致事件の完全な解明と、生存するすべての拉致被害者の速やかな帰国を実現させることも重要です。米国や日本は、これらと引き換えに、北朝鮮に対して制裁を緩和し、限定的ながら経済支援を与えるのです。

    実は、このシナリオは、『韓国は7割の確率で中華属国化する』の『韓国の中華属国化が7割、北朝鮮化が2割』で説明した、「③クロス承認シナリオ」です。

    あまり考えたくありませんが、北朝鮮の核放棄と引き換えに、米国と日本が北朝鮮を国家承認する、というシナリオであり、決して確率は低くないと見ています。

    もちろん、私は現実の国際政治でこのようなシナリオが実現する可能性があると申し上げているだけのことであり、本当にこんなふざけたシナリオを日本政府が推進しようものなら、私は当ウェブサイトで敢然と反論したいと思います。

    中華属国化か北朝鮮分割か?

    一方、私が「セカンド・ベスト」だと考えるシナリオとは、米中露日の4ヵ国が談合し、北朝鮮の処遇を決める、というものです。

    サージカル・アタック直後の北朝鮮は、それなりに体制が弱っているはずです。そこで、ロシアが金正恩に対し、亡命先を提供し、それと引き換えに、北朝鮮の国土を中国とロシアで東西に分割占領し、米国が北朝鮮から手を引く、というシナリオが考えられます(同じく『韓国の中華属国化が7割、北朝鮮化が2割』で説明した、「⑤北朝鮮分割シナリオ」)。

    あるいは、可能性は非常に低いものの、体制が弱った北朝鮮を、中国が丸々引き取り、朝鮮半島全体が再び中華属国となるというシナリオ(『韓国の中華属国化が7割、北朝鮮化が2割』で説明した、「④半島全体の中華属国化シナリオ」)もあり得ます。

    いずれにせよ、金正恩体制という厄介な存在が除去され、核放棄が実現し、拉致された日本人が帰ってくるのであれば、その地域が中国の属領になろうが、ロシアの属領になろうが、私たち日本人にとっては、どうでも良いことです。

    北朝鮮を放置するシナリオ

    ところが、私が現在、一番恐れているシナリオがあります。

    それは、せっかく北朝鮮をサージカル・アタックにより弱らせたのに、その後、北朝鮮を放置してしまう、というものです。

    この場合は、『韓国の中華属国化が7割、北朝鮮化が2割』で説明したうちの①、②、⑥の3つ、すなわち

    • ①赤化統一シナリオ
    • ②韓国だけの中華属国化シナリオ
    • ⑥完全な現状維持シナリオ

    が、現実味を帯びてきます。

    とくに、韓国が北朝鮮に飲み込まれる「赤化統一シナリオ」だと、北朝鮮が豊かな南の工業力を手に入れ、一気に核開発能力が復活することになるため、何としても阻止しなければならないシナリオです。

    あるいは、「赤化統一シナリオ」が実現しそうになった場合、韓国を北朝鮮と一緒に経済制裁の対象にするとともに、すべての在韓日本人に退避勧告を出すことになるでしょう。

    日本の真価が問われる

    日本のマス・メディアの報道に接していると、一部のジャーナリストらを除き、緊迫する北朝鮮情勢にまともに向き合おうとしないのが残念でなりません。

    とくに、この期に及んで「モリカケ問題」という虚報にうつつをぬかす、朝日新聞や毎日新聞、TBS、NHKなどのマス・メディアに対しては、「マスゴミ」というネット・スラングを突きつけてやりたい気分でいっぱいです。

    ただ、1つ、救いを感じる点があります。それは、インターネットを中心に、きちんとした論考を求める人が急増していることです。あるいは「知的好奇心」と表現すべきでしょうか?

    私は新宿の片隅で吹けば飛ぶような中小企業を経営する、一介のビジネスマンに過ぎません。ジャーナリストでもなく、それどころか、大企業の従業員ですらありません。しかし、そんな私であっても、日本をより良くするために、ウェブ評論という手法を使って、日本社会に貢献できると考えているのです。

    12月18日に、本当に武力行使が行われるのかどうかはわかりません。しかし、もしそれが行われた場合に、私としてできることは、「日本国民がどういう意思表示をしていくか」を、1人のビジネスマンとして、お手伝いすることだと思っています。

    もちろん、本音では、武力行使が行われないことを望んでいるのですが、それでも、いつまでも北朝鮮という邪悪な存在をのさばらせておくことは許されないのも事実です。そうであるならば、最も犠牲が少なく、最も効果が高い作戦を支持するのは、自由と民主主義をこよなく愛する国民として、当然の義務だと思うのですが、皆様はいかがお考えでしょうか?

    ※本文は以上です。

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