民進党はマスゴミとともに崩壊する/補論:中国について

「筋を通すことは人間にとって重要だ」。「組織も人間から構成されている」。「従って組織自体が筋を通さなければならない」。これが昨日、私が述べた「三段論法」です。ところが、総選挙から1週間近くが経過する中で、いまだに野党側は迷走を続けているようなのです。

やっぱり筋を通さない民進党

私は昨日、『筋を通すことの大切さ』という記事の中で、4つほど事例を挙げて、人間、どんな立場になっても、きちんと筋を通すことが大事だと主張しました。

この記事は、前半2つが私の個人的体験にもとづくもの、そして3つ目が民進党やその後継政党という「組織の話」、4つ目がお隣の国、と、次元もレベルもまったく異なる事例を眺めながら、「筋を通すこと」は個人レベルであっても組織レベルであっても重要だと主張したものです。

ところが、せっかく昨日の記事を上梓したばかりなのに、「あの政党」がさっそく、迷走を始めているようなのです。

民進党ってまだあるんだっけ?

一番分かり辛いのは、「民進党」という組織の存在です。

「前原氏辞めろ」大荒れの民進参院総会 矛先は岡田元代表ら無所属で戦った当選者にまで (1/2ページ)(2017.10.25付 zakzakより)

産経系の「夕刊フジ」が運営するウェブサイト「zakzak」は、「参院民進党」が開いた議員総会では、「前原誠司代表に対する批判が渦巻き、大荒れとなった」とレポートしています。

詳しい内容はリンク先の記事を読んで頂きたいのですが、その前提として、思わず「?」となってしまうのが、「民進党」という組織です。実は、民進党は今回の衆院選では公認候補を擁立していないというだけの話であって、組織としては存続しています。このあたり、非常にややこしいのですが、報道をベースに事情をまとめてみると、民進党という組織が存在したまま、希望の党、立憲民主党という組織が新たに立ち上がっているということです。より詳細に事情を調べてみると、どうも呆れた実態が裏にあるようです。

  • 衆議院議員総選挙では、民進党から出馬する予定だった候補者は民進党の党籍を維持したまま、希望の党から公認を得ることとした
  • その際、民進党の所属議員(枝野幸男・現立憲民主党代表を含む)は、議員総会の場で前原代表に希望への合流を一任した
  • しかし、希望の党の小池代表自身が「排除の論理」に言及し、公認から漏れた人々が立憲民主党を立ち上げ、民進党を離党した
  • 立憲民主党は衆院選のために設立されたような政党だが、参議院からも、福山哲郎議員のように、民進党を離党して立憲民主党に参加した人もいる
  • 希望の党、立憲民主党のいずれからも拒絶された人(野田佳彦前首相、岡田克也元副首相、江田憲司氏など)のなかには、民進党の党籍を維持したまま無所属で出馬した事例もある
  • 謝蓮舫(しゃ・れんほう)氏や有田芳生(ありた・よしふ)氏(いずれも参議院議員)は、民進党の党籍を維持したまま、立憲民主党の候補者の支援に回った

…等々と、ここまで来れば、もはや「何でもあり」なのではないかとも思えるほどです。要するに、民進党、立憲民主党、希望の党、無所属の人々は、議員の椅子が欲しかっただけなのではないでしょうか?

民進党は4つに分裂している状態

まず、冷静に考えてみましょう。

2017年9月27日、つまり衆議院解散総選挙の直前では、民進党の勢力は衆議院で約90人、参議院で49議席でした。一時期より減ったとはいえ、れっきとした野党第1党でした。

それが、翌2017年9月28日、衆議院が解散された直後に、前原代表は信じられないことに、衆議院議員選挙では民進党から1人も公認を出さないと表明。いわば、代表自ら「自爆スイッチ」を押した格好となったのです。

前原氏はこの時点で、

さて、本日、民進党は両院議員総会において、別紙「総選挙の対応について」を決定いたしました。これにより、民進党は10月に行われる衆議院議員選挙において候補者を擁立せず、民進党から立候補を予定していた候補者は「希望の党」に公認申請を行います。」(※リンクは引用者による加工)

と述べたのですが、その後の混乱については、有権者の皆様も冷ややかに眺めているとおりです。

まず、前原代表が希望の党への合流について、同党代表の小池百合子氏とまったく打ち合わせを行っていたなかったらしく、実際には小池百合子氏が旧民進党候補者に対し、一種の「踏み絵」を突きつけました。それと同時に小池氏は「排除の論理」を持ち出してきたため、希望の党に合流できなくなった人たちのうち、自力で勝ち上がる自信がある人達は無所属で、それ以外の人たちは立憲民主党という「選挙互助会」を新たに立ち上げて、衆院選に出ることになったのです。

つまり、9月27日時点の民進党は、翌日以降、

  • 民進党(参議院議員、地方議員など)
  • 立憲民主党(おもに衆議院議員)
  • 希望の党(おもに衆議院議員)
  • 無所属(おもに衆議院議員)

という、4つの勢力に分裂してしまったのです。

また、マス・メディアのゴリ押しの影響もあるのでしょうか、立憲民主党は54議席と大きく躍進し、無所属の議員らも18人が小選挙区で勝ち上がりましたが、希望の党は勢力が振るわず、50議席に留まってしまいました。

単純合算で立憲民主党、希望の党、無所属のそれぞれの衆議院議員は合計で122議席と、結果的には改選前の90議席少々から大きく躍進した格好です。日本共産党や公明党、日本維新の会などが勢力を減らしてしまいましたが、最大のライバルである自民党は改選前勢力(284議席)を維持したため、いわば、「自民党以外で勢力を奪い合った」という構図が明らかです。

筋を通していないのは全民進党議員だ!

いずれにせよ前原氏の9月28日付声明文については『自爆スイッチを押した前原の「敵前逃亡」』でも指摘したとおり、これまで民進党に投票した有権者に対する、一種の背任ともいえます。

ただ、ここで少し待ってほしいと思います。本当に前原氏1人だけが悪いのでしょうか?

ここで民進党のウェブサイトに掲載されている、『総選挙の対応について』と題するPDFファイルによれば、次の事項が記載されています。

一、今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す。

二、民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認を申請することとし、「希望の党」との交渉及び当分の間の党務については代表に一任する。

三、民進党は今回の総選挙に候補者を擁立せず、「希望の党」を全力で支援する

(以上、原文ママ)

そして、この決定事項自体、2017年9月28日に開かれた両院議員総会において、全会一致で(※ここ重要!)行われているのです。

ところで、先ほど引用したzakzakの記事に戻りましょう。

zakzakによれば、10月24日の参議院民進党の議員総会では、桜井充議員は

9月の両院議員総会で希望の党への合流を『代表一任』と決めて失敗だった。みんな一緒に合流することを一任したのに想定の範囲外もいいところだ

と発言したそうですが、これは虫が良すぎる発言でしょう。「代表一任」と決めた以上、今回の事態には、その決定に関与した、桜井議員自身にも責任があるのです。

また、小西洋之議員に至っては、前原氏に対し、代表辞任どころか「除籍か離党勧告処分」を要求したそうですが、呆れて開いた口がふさがらないとは、まさにこのことをいうのでしょう。

大義がないのは民進党と朝日新聞

さて、衆議院の解散が行われる前の9月23日、私は『【日本の選択】メディアに騙されるな、日本国民よ賢くあれ!』という記事の中で、朝日新聞を執筆している人間の頭の中には虫でも湧いているのではないかと指摘しましたが、改めてこの最悪な社説を読み返しておきましょう。

(社説)10月衆院選へ 大義なき「身勝手解散」(2017年9月20日05時00分 朝日新聞デジタル日本語版より)

日本語で記載されているようですが、私にはどうもリンク先の社説を執筆した人間は日本語が苦手なのではないかと思えてしまいます。この社説は冒頭で、次のように主張していました。

重ねて記す。野党は6月、憲法53条に基づく正当な手続きを踏んで、臨時国会の早期召集を要求した。これを3ヵ月以上もたなざらしにした揚げ句、やっと迎えるはずだった国会論戦の場を消し去ってしまう。/まさに国会軽視である。そればかりか、憲法をないがしろにする行為でもある。」(※ただし、全角/半角、その他細かい点については、当ウェブサイトの体裁にあわせ、文意を変えない範囲で修正を加えている)

そのうえで朝日新聞は、

さらに理解できないのは、北朝鮮情勢が緊張感を増すさなかに、政権与党の力を衆院選に注ぎ込もうとする判断である。

なぜ、首相は解散を急ぐのか。自身や妻昭恵氏の関与の有無が問われる森友学園や加計学園の問題をめぐる「疑惑隠し」の意図があると断じざるを得ない。

それでも首相はこの身勝手な解散に打って出るのか。そうだとすれば、保身のために解散権を私物化する、あしき例を歴史に刻むことになる。

などと主張。いろいろとトンチンカンな社説ですが、要するに、この社説を執筆した人間は、安倍総理に対し、「森友・加計学園の疑惑隠しの意図があり、解散権を私物化している」と批判しているのです。これが朝日新聞のいう「大義なき解散」の根拠です。

しかし、この解散が安倍総理の「身勝手」なのかどうかは、有権者が決めることであり、朝日新聞ごときが決める話ではありません。そして、実際には国民が自民党に284議席を与えたのです。これがすべてです。

なにより、「大義」がないのは、安倍政権や自民党の方ではなく、衆議院解散の当日、事実上の解党を選択した民進党の方でしょう。

民進党は、北朝鮮情勢が緊迫化するさなかにも関わらず、ほかの野党(日本共産党、社会民主党、自由党など)と結託し、「森友・加計学園『問題』」ばかりで国会を空転させたのです。そのためでしょうか、「加計学園『問題』」で安倍政権の支持率が急落した7月ごろに行われた政党支持率調査でも、民進党に対する支持率は1桁台に沈み、民進党内では「民進党の名前では選挙戦で勝てない!」という危機感が蔓延していたのです。

これは、まさに民進党の自業自得でしょう。

良い仕事をすれば評価されるだけの話

ところで、私には昔から持論があります。それは、「良い仕事をすれば評価される」、というものです。

私自身は監査法人、某金融機関と、20年弱、組織の中で働いて来ました。私はその間、「仕事に対して忠実であろう」と努力してきたつもりですし、現在は自分で起こしたビジネスで、評価されるべく頑張ろうと思っているところです。

ビジネス・パーソンとして、私ごときが偉そうなことを言う立場にはないかもしれませんが、それでも「他人からの評価は不思議なほどに一致する」という法則があることに気付きました。つまり、請け負った仕事は相手の気持ちに寄り添いながら誠実にこなし、誰かから受けた恩義は絶対に忘れないという、人間としてきちんと筋を通す姿勢が重要なのです。

民進党の政治家や朝日新聞の記者らを見ていて私が痛感するのは、彼らは明らかに「筋を通していない」という点です。

たとえば、民進党の議員は、不倫女かつガソリンガブ飲み疑惑を抱えたままの山尾志桜里氏、自身の二重国籍問題に最後まで誠実に向き合わなかった謝蓮舫氏、国会内で暴行を働く小西洋之氏、暴行事件・パワハラ事件などを頻発させた後藤祐一氏などなど、いちいち列挙したらきりがないほど、不祥事の宝庫です。

そういえば、ついでに朝日新聞社といえば、慰安婦問題を捏造して30年以上逃げ回っていた卑劣な組織ですが、慰安婦問題の捏造に関わった植村隆などは、「私は捏造記者ではない」などとする書籍を刊行して議論からは逃げまくる始末です。

「良い仕事をすれば評価される」という点は、逆もまた真実であり、「間違った行いをしていれば必ず報いを受ける」ということでもあります。

民進党と朝日新聞社、大韓民国や北朝鮮などの組織には、不思議なほど共通点が見いだせてしまうと思うのは私だけではないでしょう。

「野」党「合」流を「野合」と呼ぶ

ついでに申し上げるならば、民進党が分裂した4つの勢力(参院民進党、衆院立憲民主党、衆院希望の党、衆院無所属)については、私には今ひとつ、共通の政策が見いだせないのです。

くどいようですが、民主主義の重要な役割とは、政策を議論することにあります。ところが、その肝心の政策が存在しないままで、民進党議員は希望の党や立憲民主党に逃げ込んだのです。

もちろん、自民党の党内でも、政策を巡って党内の不一致が存在することは事実です。しかし、民進党の場合は、「選挙で当選するためだけに」、看板を架け替えたのです。

総選挙が終わった今、彼らが再び合流するのかどうかはよくわかりません。ただ、私はいずれ、少なくとも旧民進党が再び合流する可能性は高いと見ています。

それが「参院民進党が希望の党と立憲民主党に分裂して吸収される」というパターンなのか、「希望の党が解党し、所属議員が民進党に戻る」というパターンなのか、はたまたそれ以外のパターンなのかはわかりませんが、何らかの「野」党「合」流はあり得るでしょう。

ちなみに私はこれを「野合」と呼びたいと思います。

自民党の勝利は薄氷を踏むものでもある

さて、日本の不幸は野党がグダグダ過ぎる点にあります。こうした中、先日から繰り返している通り、私は今回の総選挙で、自民党が勝利を収めたこと自体は歓迎したいと考えています。安倍政権が継続することは、(とりあえずは)日本の国益に資することだからです。

ただし、私は自民党の政策のすべてを100%無条件に支持しているわけではありません。

とくに、経済政策では、賛同できないものが多々あります。デフレ脱却が道半ばであるにも関わらず、消費税の税率を5%から8%に引き上げたというミス自体、信じられないものですが、それをさらに10%にまで引き上げるのは、自殺行為にほかなりません。

「日本は財政危機にある」という、財務省が繰り返すプロパガンダには、日経新聞、経団連、民進党、朝日新聞などが完全に洗脳されています。その意味で、日本の癌は財務省なのかもしれません。

また、日本政府は「観光立国」として、2020年までに訪日観光客を4000万人にする目標を掲げていますが、『日本政府は「訪日客4000万人目標」を撤回せよ!』でも主張したとおり、日本にとって好ましくない国から大量に人が入って来ているという実情を踏まえるならば、「4000万人」という数値を独り歩きさせるのは危険です。

(※余談ですが、中国人観光客の急伸傾向はいつまでも続くものではありません。もう少ししたら「息切れ」し、場合によっては2020年の4000万人目標の達成は難しいかもしれません。)

ただ、安倍政権は外交面で顕著な成果を上げています。そして、わが国は、短期的には北朝鮮、中・長期的には中国の脅威に直面しています。こうした状況を考えるならば、ドナルド・トランプ米大統領を初めとする各国首脳との関係を確固たるものにしている安倍総理の権力基盤が固まることは、望ましいというほかありません。

そして、今回の自民党の圧勝は、野党の分裂に助けられたという側面があることも否定できません。

自民党に所属する議員からも不祥事が相次ぎましたが、安倍政権が長期政権化する中で、少しずつ、自民党もタガが緩んできているのが気になるところです。

私が『自民党への苦言:「勝って兜の緒を締めよ」』を執筆した理由も、自民党に対する期待と、自民党以外に政権を委ね得る政党が存在しないことに対する不安がないまぜになったからです。その意味で、私は今後の日本の政治について、無条件に楽観視することなどできないと考えているのです。

インターネットを通じたマスゴミ監視がますます重要になる

こうした中、1つ、大きな希望があります。それは、「日本国民の脱・マスゴミ化」です。

とくに、今回の総選挙は、若い人たちを中心に、マス・メディアの誘導に乗らない人が増えてきたのではないでしょうか?

最近の若い人たちは、SNSやブログ、まとめサイトなどを通じて、草の根レベルで情報交換を行っています。これに対し、私を含めた40代以上の中高年は、新聞やテレビが垂れ流す糞情報をそのまま受け売りにする人の割合が、若い世代と比べて多いと思います。

しかし、若者から始まる「インターネット化」の潮流は、いまや、社会全体を巻き込み、マス・メディアの影響力を急低下させているのです。

もっとも、マス・メディアの影響力が低下するのには、ほかにも理由があります。それは、テレビを初めとするマス・メディアが、いい加減な情報しか流して来なかったからです。とくに、今年5月以降の「加計学園『問題』」を巡る報道は酷く、その意味で、今年はマス・メディアが集団自殺をした年として、後世に記録されるのかもしれません。

いずれにせよ、日本国民がテレビ・ファシズムから脱しつつあるのは、間違いなく良い傾向でしょう。

補論:「強い習近平」をどう見るか?

強い習近平の出現?

さて、ここからは少し話題が変わり、最近、執筆しようと思っていたネタを少しだけ紹介します。

中国で共産党大会が閉幕しました。この共産党大会について、現在のところ、いちばん読みやすく説得力がある文章は、ジャーナリストの福島香織氏が日経ビジネスオンライン(NBO)に寄稿した、次の記事です。

習近平独演、3時間半「政治報告」を整理する/一見、自信に満ちた「独裁者宣言」の内実は(2017年10月25日(水)付 日経ビジネスオンラインより)

これについては是非、ご一読下さい。

私が注目しているのは、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が、さまざまな危うさをはらみながらも、それなりに強い独裁体制を確立したという事実です。

もちろん、現代の中国には、さまざまな問題を抱えています。たとえば広がり続ける社会格差の問題や公害・環境破壊の問題、さらにはバブル経済と銀行不良債権問題、過度に投資に依存した経済構造、そして役人の腐敗と法治主義の不徹底などです。

経済評論家の上念司氏は、じつは中国が公表するGDP成長率にはかなりの粉飾があって、中国の実質的なGDPは日本を下回っているのではないかとする説を唱えています(たとえば『習近平が隠す本当は世界3位の中国経済 (講談社+α新書)』など)。

私個人的には、上念氏のGDPの試算はやや大雑把な部分があるとも思います(※この点については、中国という国自体が大雑把なので仕方がない面もありますが…)。

しかし、中国政府・中国国家統計局が発表するさまざまなデータは、実は、市場参加者の間では、それほど参考にされていません。GDP成長率がいまだに6%を超えているといわれても、関連する指標(エネルギー消費量、マネタリーベースなど)でさまざまな矛盾が出ていることを考えるならば、中国が出してくる数値に信頼性がないことは仕方がないのかもしれません。

相手が強い方がむしろやりやすいかもしれない

ただ、私は今回の共産党大会で、習近平氏が権力基盤を強化したとする報道が事実ならば、これはこれで、日本にとって、やりやすくなるとも考えています。

なぜそう考えるのでしょうか?

直感的に考えるならば、中国は日本にとっての「仮想敵」であり、中国が経済的に弱体化すれば、軍事に使えるお金が少なくなり、日本にとっての脅威も減るようにも思えます。

しかし、こうした思考は、正しくありません。なぜなら、中国は独裁国家であり、権力者が権力から追放されれば、それはその人物の「死」を意味するからです。

仮に習近平氏の権力基盤が弱く、中国のGDPが事実上、マイナス成長に陥っているというのが事実であったならば、習近平氏が自身への求心力を保つために、「経済以外の分野」で権力を維持しようとするに違いありません。その典型的な分野とは軍事であり、とくに南シナ海や東シナ海への海洋進出を加速させることです。

そうなれば、日中間の突発的な軍事衝突リスクは上昇しますし、日本にとっても社会不安が高まる要素となり得ます。

しかし、習近平氏の権力基盤が強化されれば、むしろ逆に、中国の軍事的暴発リスクは低下します。それだけではありません。安倍晋三氏と習近平氏が直接対話に乗り出せば、日中両国が当面、軍事的緊張を下げて、北朝鮮情勢に集中するという「談合」もできるからです。

正直、今回の共産党大会以前の習近平氏を見ていると、軍部の掌握もできておらず、危なっかしいことこのうえないという印象がありました。しかし、今回の共産党大会で、仮に権力基盤の強化に成功したならば、そのことは結果的に、日本にとっては良いことだといえるかもしれません。

もちろん、日本にとって中国は、地理的には「一衣帯水」の関係にありますが、だからといって日本が中国と深くお付き合いすべきかどうかについては、議論の余地があるところです(私個人的には、日中関係をこれ以上深めることには否定的です)。

ただ、短期的には北朝鮮問題や朝鮮半島処分を巡り、日中両国は米国(やロシア)とともに、協力しなければならないことには間違いなさそうです。

その意味で、今後の日中関係からは、まだまだ目が離せなそうです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 清明 より:

     もともと民進党の議員達は烏合の衆でしかないのです。
    これらの議員は日本の政治、国会運営においても、害悪でしかありません。
    野党は必要であっても、この様な議員が蔓延る政党は害悪であって必要はないのです。
    政治に目的を持たない連中の寄せ集め、それが民進党であり元民主党なんです。
     
     玄葉光一郎が選挙前に「候補者の人生がかかっている。」と語りました。
    この人が民主党の議員の思いを言い当てているのです。
    選挙は保身のための就活みたいなもので、政治理念や政策目的など必要ないと、尽きるところ国民を代表して政治に取り組みたいというものが一切欠落している。
    ですから四分五裂したはずの民主党が、選挙が終わったばかりでまた元の鞘に戻ろうとしている。

    これほど有権者を愚弄する話はない。
    選挙を何だと思っているのかと言いたい。
    これでは選挙をした意味がないではないか。
    こんな節操のない議員たちだからこそ選挙になると右往左往する。

    >橋下氏、希望議員の小池氏批判に「小池さん看板なければ、お前らほとんど落選」
    https://news.goo.ne.jp/article/dailysports/entertainment/20171026083.html
    選挙が終わったら、これですから外野からも批判が殺到するわけです。

    1. 非国民 より:

      確かに民進党はひどいね。前原代表が敵前逃亡したようなものだし。民進党でも一定数の支持者はいたわけだけど、その支持者を考慮することなく希望の党へ合流って、有権者をバカにするにもほどがある。平成の徳川慶喜だよ。維新だって、大阪の成果を強調するけど、それはお金がいっぱいある大都市だからできたこと。田舎の県なんて金もないし人材もいない。大都市と国政はさらに違う。日本の国民はそんなのにだまされるほどバカではないよ。そりゃ庶民は学歴もないし、知恵もないかもしれない。でも日本の底力は最底辺の国民が諸外国と比べるとおそろしく有能で、感覚的なのだけど方向性は誤っていないところだと思う。庶民だといっても実は政治的には嗅覚がするどくて政治家がどんなにウソを言ってもだまされないところにあるんじゃないかな。これだけ格差が増大しても共産党は退潮傾向。どんなに美辞麗句を並べたって誰も信用しないでしょ。日本国民をだますにはかなりテクがいるんですよ。

  2. めがねのおやじ より:

    < いつも更新ありがとうございます。
    < 野合議員団はどうするのか。また民進党に先祖帰りする声もあります。その中で民進党に籍を置いたまま、無所属で当選した連中は皆、豊富な資金持ってますね。あるいは個人後援会が強い。メンバー見ると皆さん引退して欲しい方ばかりです。でも民進党に一本化してまとまったとしても、もう今の国民の心をつかむことは出来ないと思います。朝日らマスコミはしきりに立憲党押し。しかし根無し草で明日はまた、バラけてるかもしれない。情け無い話です。私は二大政党制になればいいと考えてますが、第2の党は保守派で憲法9条改正是、親米欧、親環太平洋、親東南アジア外交、消費税現状維持〜減率、労働時短欧州並、所得税率見直し(低所得層の減免)、煙草・酒等嗜好品の贅沢税UP、パチンコスロット・公営ギャンブルの廃止(カジノは別)、地方の活性化ヒトを集める仕掛、防衛費GDP枠1%の撤廃、公務員削減、、、を標榜して欲しいです。
    < まあ、そんなことは夢でしかありませんが、野党の今の不甲斐なさ、そのお先棒を担いだマスコミには強い拒絶感を抱きます。☆まだ、モリカケをやる気みたいですが、余計に野党は支持下がり、朝日毎日東京、各テレビは売上落とすよ。1社ぐらい潰れんかな。
    < 中国習近平氏は地方に長い事いたからか、北京上海等の出身ではない同年代を最高幹部に集め、次の若い世代を入れてない。キンペイ君の力が強まったし、毛沢東に並ぶ権限者を築きつつあります。手強い国ですが、会計士様の見立てだと、日本国・安倍首相にとっては好都合なんですね。目から鱗です。確かに、日中が今は組んでおいた方がいいでしょう。顔は笑って握手脚では蹴る、かな(笑)。
    < 会計士様へ、40歳以上は中高年とありますが、今や50歳以上ではないですか。いや、羨ましい。個人的に言うと、つまり私が大学2、3回生の頃に産まれた。40歳代は私から見たら若いですよ。人生60年の大昔の40代とは違う。記憶力も分析力も判断力もまだまだ落ちたと感じないと思います。個人差はあるでしょうが、実体験として私や同年代の知人はだいたい50〜55歳頃から下り坂です(給与も下り坂)。因みに次男は39歳の時に産まれたので、私は彼が大学卒業するまでは親の責任、絶対頑張ろうと、張り切ってなんとか今春終わり切りました(今は単なる腑抜けの文句言いジイ)。お嬢様の為にも、これからますますのご活躍を祈念してます。失礼しました。

  3. マロンP より:

    いつも楽しく読ませてもらっています。
    立憲民進党を「一見民主党」という表現がありますが、私には「菅内閣の亡霊」に見えます。

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