相変わらず日本の周囲では、危機的な状況が続いています。ただ、こういう状況だからこそ、本日は少し普段と趣向を変えて、「実務家」の立場から、そもそもの民主主義について考えてみたいと思います。

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    ここからが本文です。

    新宿会計士の「法律論」

    全ての法律は「実務」につながるべき

    私は金融規制の専門家であり、普段は金融規制関連法(銀行法や金融商品取引法)を読み込んでいます。ただ、私は(一応は)公認会計士でもあり(ときどきその設定を自分でも忘れそうになりますが)、民法や会社法、税法や関連通達などについても専門領域であるため、法律に関しては「準専門職」といっても良いでしょう。

    ただ、法学者が「法の成り立ち」を研究する職業であるのに対し、公認会計士はどちらかというと、法律(や企業会計原則など)を前提として、それをどう実務に適用するかを考える仕事です。このため、「全ての法律は誰かが使うことを考えなければならない」、というのが私の持論でもあります。

    このことは、憲法であっても同じです。

    日本国憲法は1945年に日本が敗戦し、GHQに「押し付けられた」ものです。中には憲法第9条第2項のように、明らかに不合理な規定もありますが、それと同時に、「三権分立」や「国民主権」、「法治主義」など、近代国家として必要な規定も備わっています。私は日本国憲法について、明らかに不合理な規定、時代にそぐわない規定は改廃すべきだと考えていますが、だからといって「GHQの占領下で押し付けられた日本国憲法そのものが無効だ」と考えるのは、明らかに行き過ぎでしょう。

    つまり、現行憲法の精神を踏まえつつも、不合理な部分については改正するという考え方が重要です。

    青山繁晴、学生を叱りつける!

    どうして私が唐突に「憲法」の話を持ち出したのかといえば、参議院議員の青山繁晴さんが出演する、次の「憲法無効論者の不遜と無責任」とする動画にあります。

    動画の説明欄には、

    独自且つ的確な視点と情勢分析による鋭い提言や価値ある情報発信において他の追随を許さない青山繁晴が、視聴者からの質問に答える形で、日本の現状と未来を展望していく『青山繁晴が答えて、答えて、答える!』。今回は、安倍政権が掲げる「憲法改正」問題に関連し、具体論を提示しないまま「憲法無効論」を主張する人々の無責任について指摘していきます。

    とあります。簡単に申し上げるならば、青山繁晴さんがある大学生からの質問に対して激怒した、というものです。この大学生の質問(というか主張)は、「今の日本国憲法を無効にし、大日本帝国憲法に戻すべきだ(いわゆる廃憲)」、「民意が廃憲に反対であっても、帝国憲法に戻すべきだ」とするもので、自然に考えて全く非現実的であり、私の目から見ても「酷い」としか言い様がない考え方です。

    なぜ青山繁晴さんがこの大学生の質問に対し激怒した(11:04~)のかについては、実際に動画を観て頂くのが早いと思います。リンク先の動画では、青山繁晴さんが、まさに「今の憲法は無効で、大日本帝国憲法に戻すべきだ」とする暴論を「無責任だ」として厳しく咎めているのですが、視聴者による評価は「高評価」と「低評価」が混じっているようです。

    私の目から見ると、確かに青山繁晴さんの叱咤は厳しい口調であり、視聴者からも青山繁晴さんに対して批判的なのコメントが目立ちます。ただ、「言い方」はともかくとして、私は青山繁晴さんの熱のこもった話し方を聞いて、本当にこの人物が日本のことを思っているのだと、改めて感じた次第です。

    日本国憲法第9条の問題

    「日本国憲法」について検索を掛けると、議論の多くは「憲法第9条(とくに第2項)」に割かれているように思えます。もちろん、議論が生じているということは、「日本国憲法第9条を守れ」とする立場と、「日本国憲法第9条を改正せよ」とする立場の双方が存在している、ということです。だからこそ、議論になっているということでしょう。

    もちろん、私自身も憲法第9条第2項は大きな問題だと考えています。これについては、「法学館憲法研究所」という、明らかに極左系の人が書いたと思しきウェブサイトに、解説が掲載されています。

    第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

    2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

    侵略戦争はしないなどの何らかの平和条項を持つ憲法は数多くありますが、戦力を持たないと明言している点で極めて特徴的な規定です。1項にいう「国際紛争を解決する手段」は、侵略戦争を意味すると解する立場に立ったとしても、2項によって、一切の「戦力」を保持しないと宣言したことによって、自衛のための戦争もできないと解されています。そのときどきの多数派が「国を守るため」とか、「国際貢献」という美名に惑わされて間違った判断をしないように予め、戦力は持たないと歯止めをかけたわけです。

    独立国家である以上、自衛権は持っているので、自衛隊は自衛のため必要最小限度の「実力」であって、戦力ではないというのが政府見解です。9条と前文は日本のあるべき姿を示しますが、それにとどまらず、暴力の連鎖を断ち切り、人類の進むべき道を指し示したものとして世界でも高く評価されています。9条改憲は単なる国内問題ではないのです。

    つまり、極左系の人は、第9条第2項は、「一切の戦力を保持しないと宣言することにより、自衛のための戦争もできないと解されている」と述べています。実は、私もこの見解には全く同意します。というのも、憲法第9条第2項の「国の交戦権は、これを認めない。」という文言を読む限り、「自衛戦争すらできない憲法だ」と解釈するのが正しいのです(※)。

    ※なお、「自然法では最低限の自衛権(個別的自衛権と集団的自衛権)は当然に認められるべきであり、日本国憲法第9条第2項自体がこの自然法に反していて、そもそも憲法自体が違憲である」という主張もありますが、本日はその主張についてはとりあえず脇に置いておきます。

    ただし、私はリンク先の文章について、続きの下りについては、全く同意しません。特に、

    9条と前文は日本のあるべき姿を示しますが、それにとどまらず、暴力の連鎖を断ち切り、人類の進むべき道を指し示したものとして世界でも高く評価されています。9条改憲は単なる国内問題ではないのです。

    の下りは、北朝鮮が核兵器をはじめとする大量破壊兵器を開発していること、中国が尖閣諸島周辺海域を侵略していることなどの事実の前に、明らかに無力です。その意味でも、この文章を書いた極左系と思しき人物は、中国か韓国か北朝鮮あたりの工作員なのではないかとすら思えてしまうくらいです。

    日本国憲法第9条を放置している「犯人」とは?

    日本国憲法第9条第2項は、簡単に言えば、

    日本が外国から侵略を受けたとしても、日本政府は国民を守ってはならない

    という酷い代物であり、こんな狂気の条文のために日本国民の生命と財産が危機に晒されるのだとしたら、とんでもない話です。

    ただ、私は日本国憲法第9条第2項の存在を前提にしながらも、頑張って憲法を無理くりに解釈し、自衛隊を設置してきた歴代日本政府の努力には敬意を表したいと思います。確かに自衛隊の設置自体は憲法第9条第2項に違反しているのですが、歴代の日本政府が「違憲」の誹りを受けながらも、日本という国を守るためにギリギリの努力をしてきたのですから、その努力については正当に評価すべきでしょう。

    しかし、やはり憲法第9条第2項が存在するためでしょうか、たとえば韓国によって竹島を侵略された時も、北朝鮮によって日本国民を拉致された時も、日本政府は自衛隊を派遣して日本の領土や日本の国民を取り返しに行くことができませんでした。国際法により当然認められる権利であるにも関わらず、です。このような考え方を、「専守防衛」とでもいうのでしょう。要するに、日本本土に外国から攻められたときにしか防衛ができない、という考え方です。

    では、憲法第9条第2項が、間違いなく日本の国民の生命と財産を危機に晒していることは間違いないのですが、それを改正せず、70年間も放置してきた「真の犯人」とは、いったい誰でしょうか?

    マス・メディアでしょうか?社会党・民進党・共産党など、与党の妨害ばかりする野党でしょうか?それとも先ほど引用した「法学館憲法研究所」のような極左思想家でしょうか?

    答えは全て、NOです。

    ノイジー・マイノリティが何を叫ぼうが、日本国憲法の欠陥は、日本国憲法により治癒することができるからです。それが、第96条に定める改憲手続です。

    日本国憲法第96条

    (第1項)この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

    (第2項)憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

    先ほど私は、「憲法第9条第2項を文言通り厳密に解釈するなら、自衛隊自体も本来は違憲であろう」と申し上げました。ただ、そのように考えるのであれば、憲法第96条第1項も厳密に解釈すべきです。先ほど引用した「法学館憲法研究所」のウェブサイトによれば、

    本条で、通常の法律の改正手続きよりも困難な憲法改正手続きを定めることで、法律のように簡単に改正を許さないものとしました(硬性憲法)。憲法改正はもとの憲法の存続を前提とするものですから、もとの憲法との同一性を失わせるような改正は不可能です。また、基本的人権の尊重、平和主義、国民主権という基本原理に反する改正は許されません(憲法改正限界説)。現行憲法の最大の特長である9条2項を削除するような改正は日本国憲法の本質を変えてしまうものであり許されないと考えます。

    とする下りは、明らかに日本国憲法の考え方から逸脱します。「硬性憲法」、「憲法改正限界説」は、いずれもこの文章を執筆した方や、あるいは一部の憲法学者が一方的に唱えているだけであり、国民の意思として憲法を改正することを妨げるものだと決めつけるのは極めてアンフェアでしょう。

    いずれにせよ、ここまで書けばわかると思いますが、なぜ日本で憲法第9条第2項の改正が実現しなかったのかといえば、その真犯人はただ一人しかいません。それは、

    日本国民

    です。

    衆参両院で3分の2以上の議員が賛成すれば憲法の改正を発議することができるわけですから、それを発議しなかったのは戦後70年間の日本の衆参両議院です。ただ、日本は間違いなく民主主義国家であり、かつ、衆参両議院を選出しているのは日本国民ですから、憲法第9条第2項という「殺人憲法」を積極的に放置してきた真犯人は、まさに日本国民なのです。

    民主主義も失敗する!

    さらに重要な点がもう一つあるとすれば、「民主主義は絶対ではない」、という点です。

    一番わかりやすい事例でみるならば、2009年8月30日に行われた衆議院議員総選挙でしょう。この選挙で日本国民は、当時の民主党に対して308議席という圧倒的な多数を与えましたが、これは衆議院の定数が480議席となって以来、獲得した議席数は、単独の政党としては過去最大でした。その後の3年3カ月で何が起きたかについて、ここで改めて繰り返す必要などないでしょう。

    つまり、民主主義とは「絶対にうまく行くことが保証された政治システム」ではありません。この事実を忘れてはなりません。

    では、民主主義以外に理想的な政治システムというものはあるのでしょうか?たとえば、「天皇独裁」にでもすれば、物事は全てうまく行くのでしょうか?

    昭和天皇自身が大東亜戦争の開戦に強く反対されていたという事実や、昭和天皇が民主主義の信奉者であったという事実を脇に置いたとしても、「天皇独裁」で物事がうまく回るはずなどないことなど、容易にわかりそうなものです。

    それでは、難しい国家試験でも実施して、これに合格した人を首相などに任命する制度が良いのでしょうか?これも明らかに違います。日本の場合は国家公務員採用総合職試験(昔の国家上級職、あるいは国家Ⅰ種試験)に合格した人の中から「官僚」が採用されますが、日本は民主主義国家ですので、あくまでも官僚は国会の下に存在しています。

    民主主義とは「最悪の制度」である!

    私は、民主主義については非常に面倒くさい制度だと考えています。

    その意味で私は、ウィンストン・チャーチルが発したとされる、次の言葉には全面的に賛同したいと思います。

    実際、民主主義とは最悪の政治形態だ―これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば―。

    民主主義の下では、何をするにもとにかく時間がかかります。そして、民主主義はしばしば失敗します。

    ただ、それでも私は民主主義こそが、(今のところ)人類が開発した中で最も優れた政治システムだと考えています。そして、民主主義がうまく行くためには、一つの条件があります。それは、「国民が賢いこと」、です。

    国民が愚かであれば、結局のところ、民主主義はうまく機能しません。2009年8月の日本国民の狂気に満ちた選択を下したのは、まぎれもなく、私たち日本国民なのです。このことを忘れてはなりません。もちろん、日本国民がマス・メディアの報道により騙されたという側面はあるでしょう。しかし、選択を下すのはマス・メディアではありません。あくまでも私たち日本国民なのです。

    憲法9条第2項の欺瞞に現実が追い付いた!

    日本のマス・メディアが、いまだに憲法第9条第2項の擁護に全力を挙げていることは、今さら指摘するまでもないでしょう。そして、憲法第9条第2項を

    暴力の連鎖を断ち切り、人類の進むべき道を指し示したものとして世界でも高く評価されている」

    などと捻じ曲げること自体が民主主義に対する冒涜であり、かつ、有権者に対する深刻な背信でしょう。

    ただ、それと同時に日本は言論の自由が認められている国でもあります。もしこれらの主張に対して気に入らないことがあるならば、理由を明らかにして、言論によって反論すれば良いのです。私は、憲法第9条第2項が欺瞞であることを、声を大にして唱えたいと思います。

    私がこのように主張する目的は、極めて簡単です。それは、「日本国民の総意で憲法改正を達成するため」です。

    私は「日本国憲法」という存在自体、事実上、GHQに押し付けられたものであると認識していますが、それと同時に、青山繁晴さんに叱られた大学生と違って、「廃憲」「大日本帝国憲法の復活」が正しいとは全く考えません。

    民主主義が不完全であり、かつ、時間がかかる代物である、ということをきちんと理解したうえで、それでも民主主義の手続に従い、合法的・民主的に制度を変えていくことが重要だと考えています。

    そして、現在の日本が非常に危機的な状況にあることは事実ですが、それは同時に、どれほどマス・メディアや極左活動家が主張しようが、日本国民のマジョリティが、憲法第9条第2項の矛盾と欺瞞に気付いてしまったという状況を元に戻すことはできないでしょう。

    その意味で、現在の状況は「危機」であるとともに「チャンス」でもあるといえるでしょう。

    ※本文は以上です。

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