韓国を代表するメディアの一つである「中央日報」の日本語版に、先日、「第2のIMF危機の可能性に備えるべき」と題したコラムが配信されました。韓国メディアにこのような記事が掲載されるということは、やはり韓国のメディア人らが、「第三次通貨危機」について本能的に恐れを持っている証拠ではないかと思います。そこで、本日はアジア通貨危機の本質を振り返るとともに、韓国で「第三次通貨危機」が明日発生してもおかしくない理由について迫ってみたいと思います。

※本文はお知らせの後に続きます。

本文の前に:最新記事のお知らせ!

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    ―――2017/05/27 00:00 (マスメディア論) 5コメント
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    ―――2017/05/26 17:00 (時事|国内政治) 5コメント
  • 新聞配達の思い出
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  • 有権者よ、反省せよ!
    ―――2017/05/25 00:00 (マスメディア論) 14コメント
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    ―――2017/05/24 00:00 (RMB|金融) 6コメント
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    ―――2017/05/23 20:00 (時事|韓国崩壊) 1コメント
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    ―――2017/05/23 00:00 (マスメディア論) 4コメント
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    ―――2017/05/22 00:00 (韓国崩壊|外交) 3コメント
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    韓国通貨危機はいつ再来してもおかしくない

    私が「愛読」(?)する韓国のメディア「中央日報」の日本語版に、こんな記事が配信されていました。

    【コラム】韓国は「第2のIMF危機」可能性に備えるべき(1)(2017年01月28日04時53分付 中央日報日本語版より)

    はて、この「IMF危機」とは、いったい何のことを指しているのでしょうか?そして、韓国は現在、「IMF危機再来」の瀬戸際にあるのでしょうか?

    結論から言えば、韓国は恒常的な外貨不足にあり、通貨危機はいつ再来してもおかしくない状態にあります。これについて、そもそもの「アジア通貨危機」そのものについて振り返るとともに、基本的な統計から見える韓国の問題点を探ってみたいと思います。

    アジア通貨危機を振り返る

    アジア通貨危機のきっかけ

    「アジア通貨危機」とは、1997年7月から1998年ごろにかけて、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟諸国や韓国を襲った「通貨の価値の急落事件」のことです。

    日本はアジア諸国に金融支援を行うことが多いという事情もあり、日本では「アジア通貨危機」の研究も進んでいます。そして、この通貨危機に関しては、財務省が公表する「外国為替審議会アジア金融資本市場部会報告書(伊藤部会長私案)」という文書に、非常によくまとめられています。

    この財務省文書によると、アジア通貨危機のきっかけとなった国は、タイです。タイは1997年7月に自国通貨の「対ドル・ペッグ(固定)制度」を維持することができなくなり、「フロート制」に移行したところ、通貨の暴落が収まらなくなり、最終的には国際通貨基金(IMF)への支援を要請することになったのです。

    そして、当時、タイを含めた東南アジアの主要国の多くが「対ドル・ペッグ制度」を採用していたのですが、これに加えてタイの場合、「資金調達構造」に大きな問題がありました。

    タイは巨額の「経常収支赤字」を海外からの「短期外貨資金流入」でファイナンスするという脆弱な資金調達構造だったのです。

    さらに、タイの場合、金融機関(銀行やファイナンス・カンパニー)の破綻が相次ぎ、これに加えて情報開示が不十分なことから、市場の不信感が金融セクターの懸念を増大する形となり、これに「国際的投機筋」の売り圧力がとどめをさした形となったのです。

    結局、タイは1997年7月に変動相場制に移行して以降も下落を続け、7月29日に国際通貨基金(IMF)に対して国際的支援要請を行います。ただ、同国内で財相が短期に交代し、さらには政権が倒れるなどの政治的混乱もあり、同年12月に発足したチュアン政権がファイナンス・カンパニーの閉鎖などの強権的措置を取ったことで、ようやく危機は沈静化しました。

    アジア諸国への危機の波及

    ただ、この通貨危機はタイに留まりませんでした。危機はタイと似たような「為替ペッグ制度」の矛盾や「短期対外債務」問題を抱えていたインドネシア、マレーシア、フィリピンにも飛び火。さらに経済構造が異なる台湾や香港、シンガポールなどにも少なからぬ影響を与えました。

    特に、インドネシアの通貨・ルピアはタイ・バーツ以上に下落し、同国もIMFに支援を要請。1997年10月にはIMFなどから総額200億ドルを超える支援を受け取るなどしたものの、急激なインフレに国民の不満が高まりました。これにより翌1998年1月には、1968年から30年間独裁者としてインドネシアを支配してきたスハルト政権が倒れるという副産物までもたらしました。

    また、アジア通貨危機後に発生した「通貨の売り浴びせ」は香港にも波及しましたが、この時には、香港当局は「通貨のドル・ペッグ制度」を防衛し切ることに成功。しかし、投機筋の攻撃はさらに他の国に向かいます。それが韓国です。

    貿易・所得収支とGDPの関係

    ところで、韓国の通貨危機に触れる前に、基本的な知識を確認しておきましょう。

    まず、大前提として知っておかなければならないことは、「GDP(国内総生産)」の概念です。

    GDPは「1年間に国内で生み出された全ての付加価値」のことですが、「支出面」から定義すれば、「消費支出と投資支出と政府支出と純輸出の合計額」(下記①式)、「分配面」から定義すれば「消費支出と貯蓄と税収」(下記②式)です。

    GDP=C+I+G+X-M…①

    GDP=C+S+T…②

    ただし、C:消費支出、I:投資支出、G:政府支出、X-M:純輸出、S:貯蓄、T:税収

    この①式と②式をつなぐと、

    (I-S)+(G-T)+(X-M)≡0…③

    が成り立ちます。これは、

    「その年の『投資支出-貯蓄』と『政府支出-税収』と『純輸出』を合計すると、ゼロになる」

    という意味です。当たり前の話ですが、民間企業の投資と政府支出が、貯蓄と税収の合計に足りなければ、その分を外国から「輸入」してくるしかありません。また、現在の日本のように、家計も企業も政府もお金を使わない状態になっていれば、その分を外国に「輸出」するしかありません。

    その意味で、この③式は、国際的な経済を議論する時に欠かせない「大前提」なのです。

    つまり、1997年時点のタイでは、国内の貯蓄や税収が足りない(供給不足、需要超過)という状況が生じていたということです。

    ただ、後述するように、私の見解では、経常収支が黒字国であったとしても、外貨で債務を調達している場合には、通貨危機が発生することがあります。その典型的な事例が、のちほど説明する韓国です。

    国際収支の「トリレンマ」

    通貨危機を議論するうえで、もう一つ重要な命題が、「国際収支のトリレンマ」と呼ばれるものです。

    これは、「資本移動の自由」、「金融政策の独立」、「為替相場の安定」、という3つの目標を同時に達成することは絶対に不可能だ、とする、国際収支の鉄則です。

    資本移動の自由

    「資本移動の自由」とは、国境を越えて自由にお金を動かすことができるかどうか、という尺度です。そして、「先進国」を名乗りたければ「金融産業」を発展させることが必要ですし、「金融産業」を発展させるためには、国外との資本移動の自由を確保することが必要です。

    たとえば日本や欧州、米国のような「先進国」の間同士では、基本的に外国から国内にお金を持ち込むことも、国内のお金を外国に持ち出すことも自由ですし、両替も自由です。このため、為替市場が高度に発達しており、「米ドル」「ユーロ」「日本円」「英ポンド」「スイス・フラン」のような通貨は、市場を通じてお互いに自由に交換することが可能です。また、日米欧以外でも、シンガポールや香港のような「金融センター」では、基本的にお金を持ち込んだり、持ち出したりすることに、制限は一切ありません。

    ただし、資金移動の自由を認めると、お金が外国に「逃避」してしまう可能性があります。そこで、中国や韓国、台湾などの場合は、「資本移動の自由」に強い制約が掛かっています。このため、たとえば韓国ウォンの場合、韓国国外に韓国ウォンの外為市場がないため、韓国の銀行営業時間が終わると、韓国ウォンを両替することが難しくなってしまいます。

    金融政策の独立

    次に重要なのは、「金融政策の独立」です。

    一般に、お金(紙幣)を刷っているのはその国の中央銀行です。そして、その国の景気が過熱し過ぎれば、中央銀行は金利を引き上げたり、お金を市場から吸収したりして、景気の過熱を抑止します。また、逆に不景気になった場合には現在の日本銀行のように、金利を下げたり、市場にお金を放出したりして、景気を振興しようとします(日銀の場合は、年間80兆円以上のペースで市場に資金を放出するために、主に「国債」を買い入れています)。

    ただし、金融政策を採用すると、外国の影響を完全に排除することは難しくなります。たとえば、「景気の過熱を防ごう」と思って利上げをすると、高金利を狙って外国から「投機資金」が入ってきますし、そうなると「資金吸収オペ」をしなければ、資金が市場に溢れかえってしまうかもしれません。その意味で、グローバル化が進めば、金融政策の完全な独立を維持することは難しくなるのです。

    為替相場の安定

    そして、韓国のニュースで時々問題となるのが、「為替相場の安定」です。

    日本では「日本円(JPY)」というお金(通貨)が使われていますが、米国で使われているのは「米ドル(USD)」という通貨です。このため、たとえば日本企業が米国に工場を建てたければ、日本円を米ドルに「両替」しなければなりません。これを「両替する」仕組みが「外国為替市場」です。

    「外国為替市場」といっても、どこかに東証のような取引所があるわけではありません。民間銀行同士が外貨を両替し合うことで、事実上、「市場」が成立している、ということです。そして、日本や米国などの先進国では、たとえば「1ドル=115円45銭」という具合に、通貨の交換比率(為替相場)は日々刻々と動きます。これが「為替相場」です。

    ただ、為替相場が急に動いたり、為替相場が極端な自国通貨高・自国通貨安になったりすると、とくに脆弱な新興市場(EM)諸国経済には悪影響が生じます。そこで、為替相場をある程度「固定(ペッグ)したい」という需要が出てくるのです。

    3つの目標を同時に達成することはできない!

    そして、「トリレンマ」とは、「3つの目標を同時に達成することができない」、という意味です。

    例えば、「資本移動の自由」を認めていれば、金利が上がった、下がった、といった金利市場の動向を見ながら、巨額の投機資金が、日本から米国、あるいは欧州へ、という具合に諸国を移動します。当然、各国の中央銀行としては、金利を上げ下げすれば、それだけで国内の資金供給量が変動するわけですから、金融政策の舵取りは難しくなります。ただ、日米欧の場合、「為替相場を市場原理に委ねる」ことで、金融政策の目標を資金供給量や金利水準に絞っています。

    これとは逆に、香港やシンガポールの場合は、「為替相場」が大きく動くことを嫌がります。特に香港は「1米ドル≒7.75~7.85香港ドル」のレンジに固定しています。この目標を達成するために、香港は、政策目標として「金融政策の独立」を放棄しているのです。つまり、米国が利上げをすれば、香港は国内がどんなにデフレだったとしても、米国に追随して利上げをするしかありません。

    さらに、中国の場合は、国内の金融政策の独立と為替相場の安定をともに重視しているため、巨額の投機資金が自由に国内外を行き来することは非常に困ります。このため、基本的に外国人投資家は中国本土の市場に対し、自由に投資活動を行うことができません。

    これをまとめると図表1の通りです。

    図表1 国際収支のトリレンマ
    重視する目標 放棄する目標 説明
    「資本移動の自由」と「金融政策の独立」を確保するためには: 「為替相場の安定」という政策目標を放棄しなければならない 資本移動の自由と金融政策の独立を確保している場合、当局が為替相場を管理することはできなくなる
    「金融政策の独立」と「為替相場の安定」を確保するためには: 「資本移動の自由」という政策目標を放棄しなければならない 金融政策の独立と為替相場の安定を確保するためには、資本移動に強い制限を加える必要がある
    「為替相場の安定」と「資本移動の自由」を確保するためには: 「金融政策の独立」という政策目標を放棄しなければならない 為替相場の安定と資本移動の自由を確保している場合、独自の金融政策を採用することは諦める必要がある

    アジア通貨危機の本質

    先進国と発展途上国の最大の違いは「ドル調達」

    日本や米国、欧州(英国を含む)などでは、基本的に「変動相場制」が採用されています(※スイスやデンマークなどを除く)。これらの国は、基本的に「為替相場が自国通貨高に動いても、自国通貨安に動いても、金融当局者にとっては関係ない」という国です。

    もちろん、G7会合などでは、為替相場の行き過ぎた変動が「議題」に挙げらることもあります。しかし、基本的に先進国では、為替相場と金融政策をリンクしていません。なぜなら、日本や欧米諸国の場合は、為替相場が変動することを前提として、「為替リスクの管理」は民間の金融機関や企業にとって「自己責任」とされており、かつ、市場にも為替リスクをヘッジする手段が多数あるからです。

    しかし、前半でみたアジア諸国の場合は、基本的に「米ドルペッグ」を行っていて、これらが破綻したケースが多かったのに気付かれた方もいらっしゃるでしょう。

    じつは、もう一つ「隠れたテーマ」が、「外国から外貨でお金を借りているかどうか」という観点です。日本や欧米諸国の場合、基本的に企業も銀行も、「自国通貨」でお金を調達しています。たとえば日本企業が米国に工場を建てる場合には、日本円を為替市場でドルに両替しています。

    しかし、アジア諸国では、企業や銀行が大口の資金を調達・運用する時には、「自分の国の通貨を外為市場でドルに換える」というパターンよりも、「外国人投資家から直接、ドルなどの外貨を借りる」というパターンが多いのです。

    危機は韓国に飛び火

    そして、アジア通貨危機は、「ドル調達をしている国」である韓国に飛び火します。タイと異なり、韓国は一見すると巨額の経常赤字を垂れ流すという状況にはなく、また、1996年10月25日にOECDに加盟したことで、「先進国の仲間入り」をしたばかりでした。

    ただ、「先進国」とは名ばかりで、当時から韓国には様々な問題がありました。

    そのうちの一つは、「資本規制」です。韓国は当時から、表面的には「自由相場制」を採用しているとしつつも、事実上は自国通貨・韓国ウォンを米ドルに対して一定のレンジに誘導しています。このことは、つい昨年も米国財務省が公表したレポートの中で問題視されていますが(詳しくは『「トランプ通商戦争」の3つの相手国』あたりもご参照ください)、当時から韓国の為替政策は不透明でした。

    もう一つの問題が、「巨額の対外債務」です。韓国企業(特に財閥やノンバンク)は、当時から国を挙げて、巨額の短期資金を外貨で調達していました。この点はタイやインドネシアと大して変わりません。

    その結果、「為替相場が市場の適正水準から乖離(かいり)している」と見られ、国際的な投機筋から韓国の通貨・ウォンが攻撃を受けたのです。

    10年ごとの危機、経済構造は全く変わっていない

    投機筋の攻撃を受け、韓国の通貨・ウォンは急落。これに伴い、韓国企業が外貨で借りている対外債務(つまり外国からの借金)のウォン建ての金額が急激に膨らみ、結局、韓国企業は外国からの借金をを返すことができなくなってしまいました。

    しかし、この時には日本が官民を挙げて韓国の救済に動きました。結果的に、1997年から98年の通貨危機では、韓国は国家破綻を免れたのですが、その約10年後の2008年には、今度はリーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発する世界的な金融危機が発生。韓国は再び国家的な危機に陥ります。

    この1997年から98年の通貨危機、2008年の金融危機の共通点は、

    • 予測し得ないほどのショックにより金融市場の流動性が枯渇してしまったこと
    • 外貨で資金調達をしていた国から資金が引き上げられ、通貨が暴落したこと

    にあります。そして、どうやら韓国の場合は、こうした「危機的状況を招きかねない資金循環構造」が、まったく改善されていないようなのです。

    韓国経済の問題点のまとめ

    さて、以前私は『韓国経済、あと1年が勝負?』という記事の中で指摘したのですが、どうも韓国は巨額の資金逃避(キャピタル・フライト)リスクを負っているようです。現在のところ、同国の通貨・ウォンが暴落するような兆候は見えませんが、金融危機の怖いところは、いったん危機が始まると、再現なく危機が広がるところにあります。

    韓国経済の問題点とは、簡単にいえば、危機の時に使える外貨準備の実額が乏しいという疑いがあることと、日本円に換算して30~40兆円程度の資金流出リスクがあることです。

    外貨準備でウソをつく国

    具体的に、韓国が発表する外貨準備高と、関連する外国の統計の差異を見てみましょう(図表2)。

    図表2 韓国の外貨準備高(2016年9月末基準)の謎
    項目 金額 備考
    ①韓国の外貨準備高 3,729億ドル 出所は国際通貨基金(IMF)統計
    ②韓国が保有する米国債の最大値 726億ドル 出所は米国財務省統計(TIC)
    ③韓国の外貨準備高のうち、米国債以外の部分 3,003億ドル ①-②
    ④上記①のうち米ドル建ての資産の試算値 2,387億ドル ①×63.84%(※)
    ⑤韓国の外貨準備高のうち、米ドル建て資産の内訳不明部分 1,661億ドル ④-②

    この図表は、韓国が国際通貨基金(IMF)に対して報告している外貨準備高の公式の数値(①)が、いかに信頼できないものであるかを説明するために作成したものです。IMFの定義上、外貨準備高は、流動性が高い資産で構成されており(詳しくは当ウェブサイトの用語集『外貨準備と通貨スワップの関係』中の『外貨準備の要件』をご参照ください)、多くのケースは米国債です。

    ところが、韓国政府はIMFに対して「外貨準備高が3,729億ドルである」(上記①)と報告しているわりに、韓国が保有する米国債の金額は、最大で726億ドルに過ぎません(上記②)。つまり、①と②の間に3,003億ドルもの「内訳不明資産」があるのです(上記③)。外貨準備高の、ざっくり80%が、「米国債以外の資産」(つまり内訳が分からない資産)です。さすがにこれは多すぎます。

    一方、韓国の外貨準備高に占める米ドル建て資産の割合が、世界平均の63.84%(出所はIMFのCOFER)しかなかったと仮定するならば(この仮定にも若干の無理はありますが)、外貨準備のうち米ドル建て資産の金額は2,387億ドルです(上記④)。しかし、こう仮定したとしても、やはり韓国が保有する米国債の金額726億ドル(上記②)には1,661億ドルほど足りません(上記⑤)。

    資金循環統計でウソをつく国

    次に、韓国銀行が公表する「資金循環統計」によれば、韓国と外国との資金のやり取りは、図表3の通りです。

    図表3 韓国と外国の資金のやり取り
    区分 項目 金額(十億ウォン) 金額(十億ドル) 金額(十億円)
    外国⇒韓国への投資 ウォン建て債券 95,202 79.34 9,520.20
    外貨建債券 130,885 109.07 13,088.50
    「その他の外国債権債務」 156,761 130.63 15,676.10
    対外直接投資(FDI) 214,314 178.60 21,431.40
    株式・投資信託 454,149 378.46 45,414.90
    その他の投資 75,650 63.04 7,565.00
    外国からの投資合計(①) 1,126,961 939.13 112,696.10
    韓国⇒外国への投資 外貨建債券 130,223 108.52 13,022.30
    貸出金 62,535 52.11 6,253.50
    株式・投資信託 188,642 157.20 18,864.20
    「その他の外国債権債務」 583,465 486.22 58,346.50
    対外直接投資(FDI) 327,929 273.27 32,792.90
    その他の投資 69,270 57.73 6,927.00
    外国への投資合計(②) 1,362,064 1,135.05 136,206.40
    対外純資産(②-①) 235,104 195.92 23,510

    (【出所】韓国銀行(資金循環統計)、以下同じ。ただし、米ドル・日本円への換算はWSJ等を参考に、1月27日時点の終値(1ドル≒1,178ウォン)を参考に、1ドル=1200ウォン、1円=10ウォンと仮定しています。)

    この図表を見て、真っ先に気付くのは、「その他の外国債権債務」(Other Foreign Claims and Debts)という項目の大きさです。「韓国から外国への投資」、つまり韓国から見た対外債権の項目に583兆ウォン(約4,860億ドル、約58兆円)、「外国から韓国への投資」、つまり韓国から見た対外債務の項目に157兆ウォン(約1,306億ドル、約16兆円)が計上されています。

    私は以前から、「その他の外国債権債務」に、韓国経済の危機を読み解くカギが隠されていると睨んでいます。私は、韓国から見た対外債権の583兆ウォンの大部分は韓国銀行が保有する外貨準備であり、韓国から見た対外債務の157兆ウォンの大部分が日本など外国金融機関からの借入金である、と疑っています。

    外国為替平衡基金債券という闇

    次に問題となるのが、韓国が為替介入を行うための「原資」として調達している「外国為替平衡基金債券」というものです。以前、『韓国の闇「外為平衡基金債券」を斬る!』でも触れたとおり、どうやら韓国政府は、外貨建で為替介入を行うための債券を常態的に発行しているようなのです。しかも、この債券の発行残高については、韓国銀行の統計からはわかりません。おそらく、「外貨建債券」であるためか、「国内債券市場統計」には計上されていません。

    ただ、私はこの債券も、上記「その他の外国債権債務」157兆ウォン(約1,306億ドル、約16兆円)に含まれていると考えています。

    約20兆円の恒常的な外貨不足

    いずれにせよ、私は「外貨建債券」と「その他の外国債権債務」の合計金額(日本円換算で約30兆円)が、韓国からの「資金流出リスク」の正体だと見ています。これに対し、私の見立てでは、韓国が保有する「実質的な外貨準備高」は、日本円にして10兆円にも満たない金額です。つまり、外貨建債務の額(日本円にして約30兆円相当)から外貨準備額(最大でも日本円にして約10兆円相当)を引くと、実に20兆円もの外貨不足が常態化しているのです。

    もちろん、外貨建ての債務は全額が「短期債務」とは限りません。中には返済まで数年の猶予がある債務もあるでしょう。韓国の外貨債務(約30兆円)のうち、約半額が短期債務だったとすれば、通貨危機になった時に直ちに韓国が必要とするお金は15兆円です。このうち、外貨準備などで手当てができている部分が10兆円だったとしても、あと5兆円足りない計算です。

    以前私は『日韓スワップ「500億ドル」の怪』で引用した報道を皮切りに、さまざまな韓国側の報道を見ている限り、韓国側から日本側に伝えられている要望としては、新たな通貨スワップは「韓国ウォンを担保に、米ドル建てで最低500億ドル」という条件だったと考えています。つまり、いったん危機が発生すると、韓国からは「緊急時に500億ドル(6兆円程度)は必要になる」、ということです。このように考えると、ちょうど数字は整合して来るのです。

    日本に必要なのは韓国破綻への備えと警戒

    私は1月に入ってから、金融面から「韓国経済破綻」の可能性を議論する小稿を相次いで公表して来ました。今のところ金融市場では、韓国の通貨・ウォンは安定していますが、私の見立てでは、韓国が基本的な統計を偽っている可能性が高いことと、トランプ政権発足と米FRBの利上げ観測によりドル資金の逆回転リスクが高まっていることから、早ければ1年前後で「第三次通貨危機」が起きても不思議ではないと考えています。

    ただ、韓国が通貨危機に陥る可能性が高いことは、別に今に始まったことではありません。日本として重要なのは、その時期を予測することではなく、「韓国が破綻しても困らないように準備すること」です。

    日本語には「仏の顔も三度まで」という諺(ことわざ)があります。1998年、2008年と、過去2回の通貨危機で日本は韓国に対し巨額の支援ないしは保証を行い、韓国は通貨危機を脱しましたが、それに対して日本が受けた見返りは「慰安婦像」による日本に対する侮辱でした。

    今の日本に求められることは、近いうちに韓国で通貨危機が発生しても動揺しないこと、そしてなにより、次の通貨危機に際して、「本当にまた韓国を支援するのかどうか」を、国民的コンセンサスとして保持しておくことではないでしょうか?

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