【追記あり】APAホテルを全面支持します

本日も少しだけ時間に余裕ができました。最近の国際情勢などを巡っては、ウェブサイトに書きたいことが山ほど出現していて、少々困惑していることも事実です。そこで、本日は「小ネタ」2つと「明日の予告」の3点に絞って、「ショートメモ」を配信したいと思います。

本日の「小ネタ」2つ

日本は協力しません。

韓国で2018年に開催が予定されている平昌(へいしょう)冬季五輪に関連し、中央日報日本語版に、またしても「よく分からないニュース」が掲載されました。

5G標準化の主導権めぐり平昌と東京で一本勝負(1)(2017年01月24日10時39分付 中央日報日本語版より)

リンク先記事にいう「5G」とは、「第5世代移動通信」のことです。そして、韓国は「政府と業界が組んで2018年平昌五輪を『5G五輪』にする方針」なのだとか。なにより不快なのは、韓国が勝手に「平昌五輪を東京五輪に対抗させる」と考えている点でしょう。

ただ、私に言わせれば、朴槿恵(ぼく・きんけい)政権が機能停止状態にある中で、韓国が平昌五輪を本当に開催できるのか、まずはそこを心配した方が良いのではないかという気もします。

そして、冷静になって考えてみると、1988年ソウル五輪、2002年のサッカー日韓W杯共催は、いずれも韓国が「世界の晴れ舞台」といえる国際スポーツ大会の招致に成功した事例ですが、それと同時にいずれも日本の協力があったからこそ実施できたという大会ではないでしょうか?

特に日韓W杯共催については、本来ならば日本が単独で開催するはずだったのに、なぜか土壇場で韓国との「共催」とされてしまいました。このため、日本は韓国に対し、「大会期間中、陸、海、空の特別割引運賃を関係事業者の協力を得て導入する」などの経済協力を行いました(当時の外務省ウェブサイトより)。

ただ、今回の平昌五輪に関しては、少なくとも2002年のW杯のような協力は、すべきではありません。

その理由は簡単です。

理由の一つ目は、平昌冬季五輪は完全な韓国の単独開催であるからです。したがって、平昌五輪に対するノウハウの提供、会場設営・運営の支援、チケット販売協力などは、決して行ってはなりません。それをすれば、韓国を「一人前の国」ではないとみなしているのと同じになってしまうからです。

理由の二つ目は、「日本の国民感情」への配慮です。韓国では、日本大使館前だけでなく、釜山の総領事館前の公道上にも、日本を侮辱する目的の慰安婦像が建立されてしまいました。これは、明らかに限度を超えた行為だからです。

日本側の対応としては平昌五輪への支援というよりもむしろ、「平昌五輪ボイコット」の方が重要ではないでしょうか?

ぶれないAPAホテルの姿勢を評価

もう一つのニュースは、こちらです。

APA(アパ)ホテル、というグループがあります。私のような出張の多いビジネスマンにとっては、いろいろとお世話になる可能性が高いホテルグループの一つですが、このホテルが、元谷外志雄会長の執筆した「南京大虐殺と日本軍慰安婦事件は虚構」とする内容の書籍を客室に備えていたとして、中国で批判が強まっています。

本日、これに関連する記事が中央日報日本語版に掲載されています。

日本アパホテル会長「中国人の予約は受けない」(2017年01月24日08時32分付 中央日報日本語版より)

中央日報は冒頭から

自身が経営するホテルの客室に極右主義書籍を置いて物議をかもした日本アパホテルの元谷外志雄会長がまた激しい発言で非難を受けた

と主張していますが、この短い記事の中に「極右主義書籍」「物議をかもす」「激しい発言で非難を受ける」と、3か所も「主観的な主張」が混じっています。確かにこんな主観的な文章ばかり読んでいたら、韓国人の感覚が麻痺するのも仕方がないのかもしれません。

それはともかくとして、リンク先記事は23日付の中国共産党の機関紙「環球時報」の報道を引用する形で、

右翼関係者らが開催したフォーラムに出席し、『客室から書籍を撤去することは考えておらず、中国人の予約も受けない』と述べた

と報じています。

元谷会長が本当に「中国人の予約を受けない」と発言したのかどうかは、この記事だけでは確かめられません。ただ、同ホテルは現在のところ、「問題の」書籍を客室から撤去しない方針を堅持している点についは間違いないでしょう。

日本では「言論の自由」が保障されています(日本国憲法第21条第1項)。もしこのAPAホテルの主張や方針に不満があるのなら、泊らなければ良いだけの話です。実際、これと真逆の「南京大虐殺や慰安婦強制連行は事実だ」という主張をしているホテルがあったとしても、私は「そんな主張をすべきではない」などと言うことはありません。そのホテルに泊まらなければ良いだけの話だからです。

もちろん、商売をしている人の中には、政治的な問題について発言することを控えている人も多いのも事実です。ただ、今回のAPAホテルの一件は、同社がそのような主張をした結果「中国人宿泊客がいなくなってしまうかもしれない」ことを「自社のリスク」と考え、それを受け入れているだけの話であり、私としては同社が「偏った思想」を「押し付けている」とは全く考えません。

いずれにせよ、私はこのAPAホテルの姿勢を全面的に支持したいと思いますし、APAホテル側が中国などの圧力に屈せず、主張を堅持していることに敬意を払いたいと思います。

明日の予告

当ウェブサイトは「統計などの一次資料」をベースに議論を構築する、という点に「強み」を持っています。折しも、2016年を通じた観光統計が日韓両国で公表されたばかりです。私は以前から、観光統計が「日韓関係」「日中関係」「中韓関係」の微妙な力学を読み解く上でのポイントになると考えて来ました。そこで、明日の当ウェブサイトでは、日韓両国の「観光統計」のアップデートを行い、次の3点について議論します。

  • 日韓関係が「疎遠になる兆し」があるのか?
  • 韓国は中国に飲み込まれるのか?
  • 訪日観光客2400万人時代を迎えた日本の観光行政の落とし穴

どうかご期待ください。

2017/01/25 10:30 追記

私が引用した「中央日報日本語版」の記事は、やはり、捏造だった可能性が高くなりました。というのも、現時点で記事にアクセスしようとしたところ、記事自体が削除されてしまっているからです。

また、一連の騒ぎを受けて、APAグループが昨日、ニュース・リリースを2本公表しています。

一部報道について(2017/01/24付 APA GROUPニュースリリースより)
中国国家旅遊局の記者会見に関する報道について(2017/01/24付 APA GROUPニュースリリースより)

このうち、「一部報道について」と題する記事では、元谷会長が

公式HPがサイバー攻撃を受けてダウンしており、現在中国の旅行代理店が不買運動を実施しているため中国から予約ができなくなっている

と発言されただけであり、同社は

中国からの宿泊予約は歓迎しており、「中国人の予約は受け付けない」という発言はしておりません。

と力強く断言しています。私は普段から捏造を垂れ流す中央日報の記事よりも、同社のこのニュースリリースの方が信憑性が高いと考えています。

また、「中国国家旅遊局の記者会見に関する報道について」の記事では、同社は

政府が一民間企業の活動を個別に批判することに対しては疑問を感じますが、中国政府の政策に対してこちらがコメントする立場にはないと考えます

と、極めて真っ当かつ常識的な反応を示していますが、これに加えて

なお、本件によって書籍を撤去しない方針に変更はありません。

とあり、おり、その意味で同社の姿勢を全面的に支持するとともに、同社の「一貫した姿勢」に対し、深い敬意を表したいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 非国民 より:

    アパホテルの会長が中国人の予約を受けないというのは可能性が低い。旅館業法第5条に違反する。旅館業の経営者ならまず知らないことはない。日本は自由主義国家だから、いやなら利用しなければよい。しかもホテルはたくさんある。テレビもつまらなければ見なくてよい。ところがNHKだけは例外。ほとんど強制的にお金を取るのにどんなに番組がつまらなくてもお金を支払わないという選択肢がない。視聴率が低くても番組が打ち切りになるシステムもない。ときどき大河ドラマで視聴率が低くても、番組が打ち切りになったり、脚本家が変わったりすることがない。ここだけはなんとなく共産主義国家のにおいがする。

    1. porter より:

      アパホテル頑張れ!

      >非国民さん

      全面同意。
      主さんも書いておられるがアパホテルの会長が「中国人お断り」と言ったという情報ソースは中央日報で(それも支那のソース)で信憑性はない。日本は自由主義国だから使わなければいいだけの話だ。

  2. 通りすがり より:

    「南京大虐殺」などを否定する書籍を客室に備えたとして、中国政府が日本のアパホテルを批判した問題で、運営するアパグループの元谷外志雄代表が「中国人からのホテル予約は受けない」と発言したと一部の韓国メディアが報じたことについて、同社は「そんなことは全く言っていない」と報道を否定した。

     アパグループによると、報道は19日に開かれた元谷代表が主宰する塾の会合での発言内容を指しているとみられるが、同社は「(発言は)多くの中国の旅行社がアパホテルを予約対象から除いたため、中国人が予約できなくなった」という趣旨だったと説明。「間違った内容が報じられている」と語った。

     同社によると、国内のアパホテル全宿泊者数に占める中国人の割合は約5%だが、「今回の問題を受けてのキャンセルは、ほぼない」という。

    http://www.sankei.com/life/news/170124/lif1701240028-n1.html

  3. 名無し より:

    アメリカで反日の本が50万も売れていると聞きます。
    日本としては嫌韓、反中の視点では無い。併合前後の写真とか
    韓国の人口の推移、朝鮮戦争の写真とかインパクトの有る写真
    注釈のみの軽い本を朝鮮と中国を別本にしてかいがいで出すのも
    良い手段だと思います。写真から過酷な時代では無かったと
    安易に判断出来ます。ホテルに置くと軋轢が生じますので本屋や
    売店などに置ければ良いですね。難しいのかなぁ?

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