内閣府が「ほぼ毎年」公表している「外交に関する世論調査」の最新版(平成28年11月調査分)が、昨日、内閣府ウェブサイトに掲載されています。本日はこの「外交に関する世論調査」についてレビューするとともに、日本の「外交の在り方」についても考察を巡らせたいと思います。

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    ここからが本文です。

    「外交に関する世論調査」レビュー

    日本と諸外国の関係

    「外交に関する世論調査」の中でも、私が一番注目しているのは「諸外国との関係」の章です。これは、日本国民に対し、ある国や地域について、親近感を持っているかどうかを尋ねるものです。

    選択肢は次の5つです。

    1. 親しみを感じる
    2. どちらかというと親しみを感じる
    3. どちらかというと親しみを感じない
    4. 親しみを感じない
    5. わからない

    このうち、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の両者を「親しみを感じる」、「親しみを感じない」「どちらかというと親しみを感じない」の両者を「親しみを感じない」と括ることもあります。

    また、調査対象となった国・地域は、次の8つです。

    1. アメリカ
    2. ロシア
    3. 中国
    4. 韓国
    5. 南西アジア(インド、パキスタンなど)
    6. 中東諸国
    7. アフリカ諸国
    8. 中南米・カリブ諸国

    一方、北朝鮮については「親しみを抱いているかどうか」ではなく、「北朝鮮への関心事項」について尋ねるアンケートとなっています。

    北朝鮮について「親しみを感じるかどうか」という設問になっていない理由はわかりません。まともな日本国民であれば、99.9%が「北朝鮮に親しみを感じない」と答えるからでしょうか?

    いずれにせよ、この調査は内閣府という同一の主体が定期的に(※)実施するものであるという事情もあり、一種の「定点観測」としては非常に有意義なものです。

    (※)ただし、後述するように、「平成27年(2015年)調査」については存在しません。

    安定している対米関係

    国ごとに親しみを感じるかどうかと尋ねられ、最も安定している国は米国でしょう。直近調査でも、「親しみを感じる」(「どちらかというと親しみを感じる」を含む、以下同じ)と答えた人が83.9%を占めているのに対し、「親しみを感じない」と答えた人は13.5%に過ぎません(図表1)。

    図表1 対米親近感

    日本は過去に米国と戦い、敗戦しましたが、少なくとも日本側には、国民レベルでそれに対する「わだかまり」は見られないというのが現状でしょう。

    折しも、安倍晋三総理大臣は真珠湾を訪問され、来年1月20日に退任するバラク・オバマ米大統領と27日午前(日本時間で28日朝)に最後の日米首脳会談を行ったあとで、真珠湾の追悼施設を訪問するとのことです。

    それだけではありません。安倍総理は来年1月20日に米国大統領に就任するドナルド・トランプ氏と、その就任1週間後に、早速首脳会談を行います。おそらく、トランプ氏にとっても「初の外国首脳との会談」相手が安倍総理であるというのも、非常に心強いことです。

    揺るぎない日米関係の構築は日本の国益でもあります。その意味で、私は安倍総理の対米外交を全面的に支持したいと思っており、かつ、安倍総理にはぜひ、対米関係を確固たるものにしていただきたいと思います。

    相変わらずの対露関係

    次に、ロシアに対しての我が国の国民感情を確認してみましょう(図表2)。

    図表2 対露親近感

    こちらは、米国とは「逆の意味で」、安定しています。日本国民の対露感情(もしくは対ソ感情)は一貫して悪く、2016年11月時点でも「親しみを感じる」と答えた比率は19.0%に過ぎず、これに対して「親しみを感じない」と答えた比率は77.1%にも達しています。

    対露感情はソ連崩壊直後に若干改善を見せたものの、やはり、日本が降伏後に「絶対反撃できない」とわかっている状態で、日本固有の領土である千島列島や樺太を侵略したことや、終戦直後に武装解除された日本兵をシベリアに拉致し、強制労働させたことなどは、「民族の記憶」として忘れられるものではありません。

    ただ、日本にとっての目下の「最大の脅威」である中国を封じ込めるためには、「嫌いな相手」とも手を組むことが必要であることも事実でしょう。

    その意味で、『今回の日露首脳会談は日本にとって大成功』でも述べたとおり、返す返すも安倍総理が性急な「日露関係改善」で同意しなかったことは賢明だったと考えられます。私は安倍総理の「対露外交」についても、(今のところは)全面的に支持したいと考えています。

    見事なコントラストを描く対中関係

    一方、「過去に良好だったが近年、国民感情が急速に悪化した国」の筆頭格といえば、中国です(図表3)。

    図表3 対中親近感

    ある意味、非常にわかりやすいグラフです。

    日中国交正常化直後は、最大で国民の8割近くが中国に親近感を抱いていたものの、天安門事件のあった1989年以降、対中親近感が悪化。「親しみを感じる」人と「親しみを感じない」人の割合が拮抗を繰り返した末に、おそらく2005年の中国での「反日デモ」をきっかけに、「親しみを感じない」人が一気に多数派を占めました。

    さらに、菅直人政権時代に発生した中国漁船の尖閣侵入事件や日本人ビジネスマンの不当拘束事件、レアメタルの禁輸措置、野田政権時代の尖閣諸島国有化以降の極端な反日行為の数々など、民主党政権時代に国民感情が一気に悪化したことが確認できます。

    そして、近年では尖閣諸島周辺海域への侵入が常態化する一方、南シナ海への侵略行為や数々の環境破壊、役人の汚職・腐敗など、中国に対しては良いイメージを持っていないという人も多いでしょう。

    直近の対中感情は、「親しみを感じる」人の比率は16.6%で、これに対して「親しみを感じない」とする回答が80.7%と、日本人の圧倒的比率が中国に距離を感じていることがわかります。

    近年、確かに「中国人による爆買い」に代表されるように、中国人観光客の日本入国者数は増えていますが、日本人の対中感情を好転させるのには全く役立っていないようです。

    いずれにせよ、現在の安倍政権は、中国を必要以上に刺激せず、それでも着々と、「中国の軍事リスクを封じ込める」という布石を打っています。その意味で、私は対中外交においても、現在の安倍政権の姿勢を強く支持したいと思います。

    複雑な対韓感情

    さて、対米、対露、対中の三カ国について眺めてきましたが、韓国に対する感情については非常に複雑です(図表4)。

    図表4 対韓親近感

    対韓感情については、前回調査と比べて顕著な改善が見られます。直近調査で韓国に「親しみを感じる」と答えた比率は37.8%、「親しみを感じない」と答えた比率は59.3%ですが、前回(それぞれ33.0%、64.7%)と比べると、「親しみを感じる」と答えた比率が増え、「親しみを感じない」と答えた比率が減っています。

    ただ、韓国大統領だった李明博(り・めいはく)が2012年8月に、島根県竹島に不法上陸し、天皇陛下を侮辱したことで、日韓関係は一つの転機を迎えたともいえるかもしれません。というのも、確かに今回の調査結果は前回と比べれば改善しているものの、韓流ブーム「最盛期」だった2011年頃と比べると、悪化したままです。

    韓国についてはきちんと数値を列挙しておきましょう(図表5)。

    図表5 悪化する対韓感情
    時点 親しみを感じる 親しみを感じない
    2011年10月 62.2% 35.3%
    2012年10月 39.2% 59.0%
    2014年10月 31.5% 66.4%
    2016年11月 37.8% 59.3%

    いわば、「最悪期」だった2014年10月と比べると、今回の調査は随分と「改善」したように見えなくもありませんが、李明博の竹島上陸直後と比べると、事実上は「横ばい」と見るべきでしょう。

    ところで、対米、対露、対中で「うまくやっている」はずの安倍外交は、なぜか対韓外交になると、「稚拙」という一言に尽きます。

    例えば、昨年暮れの「日韓慰安婦合意」とは、日本が「やってもいない慰安婦の強制連行」を認め、韓国に対して「事実上の賠償金」を支払うのと同じであり、私としては到底、是認できません。

    また、島根県・竹島は韓国に不法占拠されたままですし、これに加えて韓国軍が竹島に上陸するなど、この国は非常事態にあっても、日本を侮辱することだけは忘れていません。さらに、韓国の日本大使館前の慰安婦像は撤去されずに放置されているばかりか、あの醜悪な慰安婦像が全世界に向けて着々と増殖し始めているのです。

    日本人として、これほど悔しく、情けないことはありません。私が仮に日本の首相だったとして、「感情だけで動くこと」が許されるなら、彼らがこれ以上、日本を侮辱することができなくなるよう、軍事的・経済的に徹底的に制裁したいところです。

    その意味で、韓国に「親しみを感じる」と答えた比率が、減ったとはいえ4割近くを維持していること自体、私には理解しかねる現象なのです。

    不可解な「世論調査」

    なぜ昨年は公表されなかったのか?

    ところで、私は冒頭に、内閣府が「ほぼ毎年公表している」と述べたのには、きちんとした理由があります。なぜなら、昨年(2015年)分については、データが存在しないからです。

    昨年のこの調査は、非常に異例でした。というのも、昨年(平成27年=2015年)10月分調査については実施されておらず、そのかわりに今年3月に「平成28年1月分」が公表され、それから1年も経たずに「平成28年11月分」が公表されているからです。

    ちなみに、過去の実績について見ると、昭和50年(1975年)以降、昭和51年を除いて毎年1回実施されており、昭和61年(1986年)以降はほぼ毎年、10月に実施されています(図表6。ただし、平成10年=1998年だけ、11月に実施)。

    図表6 異例さが目立つ「平成28年調査」
    和暦 西暦 調査実施月
    昭和50年 1975年 7月
    昭和52年~54年 1977年~79年 8月
    昭和55年~56年 1980年~81年 5月
    昭和57年~58年、60年 1982年~83年、85年 6月
    昭和59年、昭和61年~平成9年、平成11年~26年 1984年、86年~1997年、1999年~2014年 10月
    平成10年 1998年 11月
    平成27年 2015年 調査なし
    平成28年 2016年 3月、11月

    このように考えると、1986年以降、2014年まで「毎年10月に実施」されてきた調査が、なぜか平成27年(2015年)については調査が存在せず、平成28年(2016年)については調査が二つ存在するという、非常に異例な形となっています。2015年分については「調査を公表できない何らかの理由」でもあったのでしょうか?

    私は、「例年通り2015年10月に世論調査を実施したものの、日本の特定国に対する国民感情があまりにも悪化し過ぎて公表を見送り、『日韓慰安婦合意』が成立したあとで、再度、調査を実施した」のではないかと疑っています。

    仮に「特定国」に対する感情に配慮して、世論調査の公表を見送ったのだとしたら、これは「とんでもない話」です。ただ、こればかりは、「真相は闇の中」であり、どうにもわかりません。

    ほぼパーフェクトな対米中露外交

    ところで、日本国民の対外世論について触れるついでに、安倍外交についても簡単に振り返っておきたいと思います。

    私は、つい先日、『好事魔が多し!安倍外交の課題を考える』の中で申し上げたとおり、安倍外交には「中国封じ込め」という大きな目標があるように見受けられます。

    もちろん、安倍総理ご自身が「中国は仮想敵国だ」と話している訳ではありません。ただ、客観的事実として中国人民解放軍が第二次世界大戦後に周辺国を侵略してきたこと、南シナ海を軍事基地化しようとしていること、尖閣周辺海域を頻繁に侵犯していることを考えるなら、中国があわよくば日本や周辺国の領海を侵略しようとしていることは明白です。

    こうした中、安倍政権が真っ先に取り組まなければならない外交課題といえば、「中国の軍事的暴発リスク」の管理であり、その意味では、安倍政権による対米・対露外交については、かなり高く評価して良いでしょう。

    12月のロシア・プーチン大統領の訪日については、私が調べた限り、日本国民の多くは決して高く評価していないようです。しかし、私に言わせれば、日本が憲法第9条第2項の下で軍事力の行使を禁止されている中、歴代日本政府の不作為という「マイナス」からの出発点で、北方領土問題を安倍総理の代で解決できると考える方が間違っています。

    私は、「北方領土問題については事実上の棚上げを図りつつ、日露接近を中国に強く印象付けるために、形の上でさまざまな経済協力で合意すればパーフェクトだ」と考えていましたが、実際に日露首脳会談は、そのような結果となりました。

    さらに、対米外交については、来年、大統領を退任するオバマ氏にとっては「最後の首脳会談の相手」、来年就任するトランプ氏にとっては「最初の首脳会談の相手」となるでしょう(※もっとも、オバマ氏が退任するまでに他の首脳と会談する可能性はありますが…)。

    安倍総理がこのような行動を取ることで、米国民に対しても、そして世界に対しても、「強固な日米関係」を印象付けることができるのです。

    見直しが必要な対韓外交

    ただ、繰り返しになりますが、対韓外交については、「一日本国民」としての感情から見ても、あるいは「政治・経済的な評論家」としての冷静な立場から見ても、現在の安倍外交の方針には問題が多いといえます。

    なぜなら、日本が韓国を「友好国」と見るのか、「友好国」ではないと見るのか、その「姿勢」がふらついているからです。

    経済・貿易構造で見ると、間違いなく韓国は日本の「水平分業先」であり、日本から見ると韓国は「貿易黒字」をもたらす相手国です。ただ、それと同時に、韓国が日本の「水平分業先」となることで、日本企業にとっては産業・輸出分野における競合先となっていることも事実です。

    また、韓国人観光客は中国人観光客と並び、日本の観光産業にとっては重要な「お客様」でもあります。しかし、韓国人がビザなしで日本に入国できるようになったことで、韓国人犯罪が急増しているという「負の側面」にも注意が必要です。

    つまり、目先の利益に惑わされ、日本の国益全体を阻害するようなことになっては、元も子もありません。

    韓国という国は、一見すると「日本と同じ自由民主主義国家」に見えることは間違いありません。しかし、実際には、国民に対して(時には捏造された教材も使いながら)極端な反日教育を施しているという意味で、日本にとっては極めて危険な国であり、また、日本の産業にとっても「虎の子」の技術を奪い取られる可能性もあります。

    ただし、現状では韓国が「米国の同盟国」という立場にある以上、日本が主体的に韓国との関係を見直すことが難しいという事情があることも事実です。しかし、幸いなことに、韓国は現在、「米中二股外交」が破綻しつつあり、米国が「韓国切捨て」を決断すれば、日本としてもかなり動きやすくなることは間違いありません。

    10年以内に朝鮮半島は赤化統一へ?』でも触れたとおり、私はもう韓国が北朝鮮主導での統一軌道に乗ったと見ています。朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領に対する弾劾を可決成立させてしまった時点で、もう韓国は引き返せなくなりました。そうであるならば、韓国を気持ちよく中華文明圏に返してあげる、というのが、最善の選択肢だと思う今日この頃なのです。

    ※本文は以上です。

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