12月に予定されている日露首脳会談まで、あと2週間少々となりました。日本は北方領土を諦めなければならないのでしょうか?それとも、莫大な経済協力と引き換えに、領土を「カネで買う」ことになるのでしょうか?実は、どちらも間違いです。日本は別に「領土を諦める」必要も、「領土をカネで買う」必要もありません。時間がたてば領土問題も解決します。ただし、そのためには「あること」が必要です。その「あること」とは、一体何でしょうか?

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    ↓本文へ

    ここからが本文です。

    早いもので、本日で11月もお終いです。今年もあと1か月ですね。

    加齢のせいか、年々、日々が過ぎるのが早いと感じるようになってきました。「うかうかしていると、やりたい仕事ができないままで人生が終わってしまうのではないか」と恐くなることもあります。私は、このウェブサイトを通じてまだまだ色々なことをお伝えしていきたいと考えております。引き続き、ぜひご愛読をいただけると嬉しいです。

    え?韓国大統領辞任?

    本論に入る前に、韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領が辞任を表明したというニュースが入ってきています。

    ただ、これについてはまだ未確定要素も多いことから、当ウェブサイトでは、しばらく時間をいただき、分析してみたいと思っています。どうかご期待ください。

    近付く日露首脳会談

    来月に入ると、「鳴り物入り」の日露首脳会談が開かれます。

    それに先駆けて、11月のAPECでは、安倍晋三総理大臣がロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談しました。しかし、「北方四島の帰属問題」については、プーチン大統領やロシア政府関係者らは、頑なに「ロシア固有の領土である」との姿勢を崩しておらず、それどころか「(領土問題の解決なしに)日本の経済協力(だけ)が欲しい」という態度が、ますます露骨になってきています。

    これについてどのように考えるべきでしょうか?

    安倍総理は功を焦っている?

    あくまでも私の理解ですが、安倍政権はこれまで、「中国の軍事的台頭」を封じ込めることを最優先にしているのではないかと思います。

    外交の目的は、究極的には「軍事的安全と経済的繁栄」にあります。そして、現在の日本にとって、軍事的安全と経済的繁栄を脅かしているのは、間違いなく「中国」です。

    その意味で、日本がロシアや韓国など、「中国以外の隣国」と関係を改善することは、「対中牽制」としては非常に有効です。ただし、「対中牽制」が外交目的として正しいことは私も認めますが、それと同時に私も日本国民の一人ですから、日本に何かと敵対的な国であるロシアや韓国に対し、妙な妥協をしないかどうかが心配でもあります。

    特に、安倍総理が対露関係改善という「功」を焦るあまり、たとえば「北方領土については二島返還で永遠に妥結」(国後、択捉は放棄)し、これに加えて「日本から虎の子の技術と資本をロシアに提供する」といった中途半端な状態で妥結すれば、安倍政権の支持率が急落するだけでなく、将来の日本国民に禍根(かこん)を残すことになりかねません。

    安倍政権の支持率は高位安定

    ところで、日本のマス・メディアは10月頃まで「安倍総理が日露首脳会談後によって衆議院の解散総選挙に踏み切るのではないか?」と大騒ぎしていましたが(いわゆる「解散風」)、この「解散風」とやらも、もうすっかり止んでしまったようです。

    しかし、意外なことに、安倍政権の支持率は「高止まり」しています。

    内閣支持率、3年ぶり60%超え 共同通信世論調査(2016.11.28 07:01付 産経ニュースより)

    私は共同通信について、安倍政権に比較的「批判的」な記事を配信する通信社だという印象を持っているのですが、その共同通信の調査で、「内閣支持率が3年ぶりに60%を超えた」という、非常に意外な結果が出ました。

    産経ニュースの報道のポイントを列挙しておきましょう。

    • 安倍内閣の支持率が60.7%で、60%の大台を超えるのは平成25年10月以来のこと
    • 53.2%が「日露交渉を巡り北方領土問題を進展させるためにロシアへの経済協力を強化することに反対」
    • 12月の山口県の日露首脳会談で領土問題進展に「期待しない」のが70%

    共同通信の調査が日本国民全体の現時点の意見を正確に代弁しているという保証はないものの、この調査を信頼するならば、「国民の7割は日露首脳会談の進展に期待していないが、国民の6割は安倍政権を支持している」、ということです。つまり、国民世論的に見ても、別に北方領土問題にさしたる進展がなくても、支持率は下落しないであろうことが想定されます。

    北方領土問題の「解決」を急ぐな!

    つまり、国民世論的に見ても、安倍総理は北方領土問題の「解決」を急がなくてもよい、ということです。

    もちろん、「北方領土問題」については、いずれ「解決」が必要であるということは間違いありません。ただ、それとともにもう一つ重要なことは、「あわてて解決する」のは間違いだ、という点です。ところが、これについても非常に気になるニュースが一つあります。

    下村氏「今回が最後のチャンス」(2016年 11月 27日 10:17 JST付 ロイターより)

    報道によれば、自由民主党の下村博文幹事長代行が、「ここで解決できなければ、未来永劫、北方領土問題は解決できない(と安倍総理も考えている)」と示唆したとのことです。下村氏は安倍総理にも近い立場にあります。ということは、安倍総理が「北方領土問題には日本側の大幅な譲歩が必要だ」と考えている、という意味かもしれません。

    しかし、「色丹・歯舞」の「二島」(?)返還で妥結すれば、それこそ「国後、択捉は永遠に返ってこない」ことになりかねません。

    やはり、私は「下手な解決よりも北方領土問題の棚上げ」が妥当だと思うのです。

    日露関係の好転の意味

    ここで、少しアプローチを変えて、「日露関係の好転の意味」を考えてみましょう。

    地政学と日露関係

    日本からみれば、ロシアは確かに「軍事的な脅威」です。

    北方から核ミサイルの照準を日本に合わせており、頻繁に空軍機を日本の領空に侵犯させてくる。

    戦後のドサクサに紛れて日本の固有の領土を不法占拠し、決して返そうとしない。

    私たち日本人にとっては、嫌悪感を抱くことはあっても、そんな国を信頼することなどできない、というのが自然な発想でしょう。

    しかし、それと同時にロシアから見ても、実は日本こそがロシアにとっての脅威です。

    歴史上、ロシア(やソ連)が太平洋に進出しようとすると、日本列島が外洋への出口を塞ぐという状態でした(余談ですが、千島列島はロシアにとって、太平洋に面する貴重な軍事拠点となり得る要衝であり、なおさら日本への返還は困難です)。

    日露友好関係が成立すれば、日本から見たロシアという脅威が消滅しますし、それと同様にロシアから見た日本という脅威が消滅します。その意味で、日露が「和解」することには、それなりの意味があることも事実です。

    ロシアは信頼に値する国なのか?

    ただ、それと同時に、日本から見て、ロシアという国が信頼に値するのかどうかは検討が必要です。

    ロシアは確かに1991年のソ連崩壊以降、形の上では「民主化」しました。しかし、プーチン大統領は2000年以降、2008年から12年の4年間を除き、一貫してロシア大統領の地位にあります。いわば、プーチン大統領が一種の「絶対権力者」のようになってしまっていることは間違いありません。

    つまり、ロシアは形の上では「民主主義国家」であるようにも見えますが、実質的には、プーチン氏がかなり強大な権力を持つ、準独裁国家とみて良いでしょう。

    私の持論ですが、利害関係なしに国同士の「友好関係」が成立するためには、基本的な価値観を共有していることが必要です。そして、日本にとっての保有している基本的価値観とは、「自由主義」「民主主義」「法治主義」「基本的人権」「平和主義」です。この中でも特に重要な価値観は「民主主義」です。日本は「世界最古の皇統」を国家元首としつつ、それと同時に近代的な民主主義が両立している、世界でも稀有な国家です。

    その日本が、準独裁国家であるロシアと「利害関係なしに友好関係が成立する」はずなどないことは、間違いありません。

    日露友好自体を「目的」にするな!

    外交下手な外務省

    残念なことに、わが国の外務省は、外交がへたくそです。

    安倍総理が9月の国連総会で訪米した際、安倍総理は大統領選に出馬していた有力候補のうち、ドナルド・トランプ候補とは面会せず、ヒラリー・クリントン候補とだけ面会しました(ただし、あくまでも「元国務長官」としての面会ですが)。しかし、結果的にはトランプ氏が勝利し、外務省の外交は危うく国益を損ねるところだったのです。

    もっとも、この「片方の候補としか会わなかった」という外務省の痛恨のミスにも関わらず、首相官邸の努力により、11月のAPECでは立ち寄ったニューヨークで安倍総理はトランプ氏と90分の会談を行いました。この首相官邸側の努力により、「片方の候補者としか会わなかった」という外務省のミスを打ち消して余りある成果を出すことができましたが、それにしても外務省の外交は「危なっかしい」ですね。

    では、どうして日本の外務省は、ここまで外交が下手なのでしょうか?

    目的と手段を混同する愚

    外務省の一番大きな欠陥は、この組織がしばしば、「目的」と「手段」を混同している、という点にあります。

    例えば日露関係を離れ、日本と韓国との関係について考えてみると分かりやすいと思います。

    日本は2015年7月のユネスコ総会で、明治期の産業革命関連資産の世界遺産登録を申請していましたが、その際、韓国は「朝鮮人の強制連行がなされた施設の世界遺産登録は不適切だ」と強弁し、猛烈な反日ネガティブ外交を繰り広げました。

    この場合、日本として一番正しい対処法は、「世界遺産登録申請の撤回と韓国の世界遺産登録の妨害」だったはずです。つまり、「韓国が意味の分からない言いがかりをつけて来るから、世界遺産登録の申請を撤回し、その代わり、韓国の世界遺産登録に対しても徹底的に妨害する」、というものです。外交は「相互主義」ですから、韓国が日本に対するネガティブ・キャンペーンを打ってくれば、日本も韓国に対するネガティブ・キャンペーンを打つのが大正解です。

    ところが、ユネスコ大使の佐藤地(さとう・くに)は、あたかも韓国側が主張する「朝鮮人強制連行」という与太話が事実であるかのような発言を行い、韓国に妥協することで世界遺産登録を実現してしまいました。おそらく、「世界遺産登録そのもの」が自己目的化していたことに加え、外務省内で「日韓友好を大切にし、妥協できるところは妥協する」という、妙な売国意識が根付いていることが諸悪の根源でしょう。

    この佐藤地による「売国外交」など、外務省が「目的と手段」を混同している典型的な事例ではないでしょうか?外務省が佐藤地を懲戒免職していないこと自体、この組織が腐っている証拠でしょう。

    領土問題は棚上げが妥当

    話をロシアに戻しましょう。私の理解では、安倍政権が現在進めている外交の主目的は、中国の軍事的台頭の抑制に置かれています。そして、日本は中国とロシアの両国を一度に敵に回す余力などありませんから、「中国が主な仮想敵国」であるならば、「ロシアと仲良くする」というインセンティブが働くのです。

    ただ、「対中牽制のための日露友好」とは、「現在だけの話」です。つまり、中国共産党政権の崩壊などにより国際情勢が変わり、「中国の脅威」が消滅するようなことがあれば、対露外交のスタンスを変えることも必要だ、ということです。

    なにより、私の理解だと、数十年単位でみれば、ロシアはこれから人口が減少し続けますし(特に極東人口の減少は顕著となるでしょう)、また、資源輸出に過度に依存した経済構造からの脱却は容易ではないでしょう。現在のところは「プーチン大統領」という強面の指導者のおかげで、ロシアの国際政治における存在感も強いのが事実です。しかし、軍事力はともかく、経済面から見るとロシアは衰退が続いており、ロシアはもはや「経済強国」ではありません。

    それに対し、日本は「永続する国」です。

    確かに経済成長には「人口」「技術」「資本」という三要素が必要であり、日本もこれから生産力人口の減少が始まりますが、その反面、これまでに蓄積した技術や資本は莫大です。つまり、人口減少率を上回る資本成長率・技術成長率を実現すれば、経済成長率は容易にプラスを維持することができます。

    経済面がこれだけしっかりしていて、あとは憲法第9条第2項の撤廃が実現すれば、軍事面でも「普通の国」になることができます。

    要するに、何も今あわてて、北方領土問題で妙な妥協をする必要はない、ということです。

    対中牽制のための最低限の「日露友好」が正解

    12月にプーチン大統領は安倍総理の地元・山口県を訪問します。そこで仮に「北方四島の返還」で合意されれば、それこそ日本国民の対露感情は著しく好転しますし、安倍政権も空前の支持率を記録するでしょう。

    ただ、私にはどう考えても、プーチン氏が「四島返還」に応じるとは思えません。なぜならば、日本が領有権を主張している北方四島は、ロシアから見れば、太平洋に面した貴重な「不凍港」であり、漁業資源も豊かで、戦略的な価値は極めて大きいからです。

    さらに、プーチン氏がほぼ「独裁状態」にあることは事実ですが、ロシアは形式上、れっきとした「民主主義国」であり、ロシア国民がこれに納得するとは思えません。ロシアがクリミア半島を強制併合したことを考えてみればよくわかります。ロシアは2014年のクリミア半島の併合により、世界中から経済制裁を食らい、その結果、ロシアは経済的に困窮していますが、それでもロシア国民はプーチン大統領の決断を支持しているからです。

    もちろん、日本が莫大な技術・資金協力を提供すれば、北方四島が帰ってくることもあり得るかもしれません。いわば、「カネで領土を買う」という戦略ですね。ただ、その場合には「北方四島の価値に釣り合わないほど多額のカネ」を支払わされる、ということだってあり得ます。

    そうであるならば、最低限の日露経済協力で合意し、安倍氏とプーチン氏が山口県のホテルで一緒に酒でも酌み交わして仲良くなっていただき、北方領土問題は未来に棚上げする、というのが正解です。

    あくまでも目的は「対中牽制」にあるのですから、対中牽制ができるための最低限の日露友好で構わないのです。

    北方領土問題解決に必要なもの

    確かに、北方領土問題は確かに悩ましい問題です。ただ、人類の歴史上、一国の領土・版図が広がったり縮んだりすることは普通に起こり得る話です。

    では、北方領土問題解決に必要なものは何でしょうか?

    その答えは、

    改憲と時間

    です。

    日本が憲法第9条第2項を自力で廃止し、日本軍を保持することができれば、ロシアに対する交渉力も飛躍的に強まります。トランプ政権の成立が確定したことで、米国も「国内回帰」の傾向を強めるでしょう。そして、このことは日本にとっては非常に大きなチャンスでもあります。

    第一、ロシアにとっても世界の主要国にとっても、「国の領土は境界線が頻繁に変わるものである」、という認識が強く、ロシアから見ると北方領土も「第二次世界大戦の戦果」です。そうであるならば、日本も「平和的な交渉」だけで領土を取り返せると思うべきではありません。

    何より、日本は「永続する国」です。日本が経済大国であり続けることに加え、軍事大国となることもできれば、おのずから、現在の「限界」を打ち破るだけの対外交渉力が備わってくるのです。

    安倍総理にはくれぐれも、北方領土問題の解決を急がないでほしいと思います。

    ※本文は以上です。

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