パルク・グエン・ヒェ―APECにすら欠席する韓国大統領

聞くところによると、ペルーで開かれている「APEC首脳会談」に、韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領は参加しなかったそうです。国内では「崔順実(さい・じゅんじつ)スキャンダル」に見舞われている朴大統領ですが、任期があと1年以上残っているにもかかわらず、指導力はほぼゼロとなり、韓国の国政は停滞しています。ただ、朴政権(あるいはその前任の政権)の国家運営そのものが間違っていたことで、韓国は今や「国として」崩壊の危機にあるといえるでしょう。本日は、「5つのキーワード」などをもとに、韓国がどこに行こうとしているのか、そして日本がこの厄介な国とどう向き合うべきかについて、議論したいと思います。

APECにすら欠席する韓国大統領

今年のAPEC首脳会談(現地時間11月19日~20日)は南米・ペルーで開催されています。日本の安倍晋三総理大臣は、ペルーの首脳会談に参加する機会に合わせ、米国のドナルド・トランプ次期大統領と会談するために、1日前倒しして政府専用機で羽田空港を飛び立ちました。

※余談ですが、APECのウェブサイトは極めて重たく、雑然としていて、必要な情報(会議の予定などの情報)がどこにあるのかが良くわかりません。この事実だけをみても、APECがやや形骸化し始めているように思えるのは私だけでしょうか?

ところで、今回のAPECには、私たち日本のお隣の国・韓国(South Korea)の朴槿恵(ぼく・きんけい、Park Guen-hyeパルク・グエン・ヒェ)大統領が参加を見送ったようです。このパルク・グエン・ヒェこと朴槿恵大統領、現在、彼女の長年来の友人と名乗る「崔順実(さい・じゅんじつ)」なる人物に、国政機密情報を漏らしていたとして、毎週のように退任を求めるデモが発生しています。

朴大統領自身は「検察の捜査には協力する」との姿勢を示しているものの、韓国の国内法上、現職の大統領は刑事訴追されないらしいです。しかし、このような状況になってしまうと、もはや朴大統領は辞任するか、それとも残りの任期を「完全なレームダック状態」で居座るかを選択しなければなりません。あるいは彼女のお父様である朴正煕(ぼく・せいき)元大統領がやったように、戒厳令でも敷くつもりなのでしょうか?

いずれにせよ、形骸化著しいとはいえ、APEC首脳会談にすら参加できない状況だと考えるならば、現在の韓国が置かれている状況は相当に深刻だと見るべきでしょう。

余談ですが、なぜ私が「朴槿恵」を「パルク・グエン・ヒェ」などと奇妙に表記するのかといえば、そう読むことが、韓国語のアルファベット正書法に適っているからです。詳しくは『「反日という麻薬」に溺れる韓国人』もご参照ください。

朴槿恵政権の失敗

では、朴槿恵政権の何が問題なのでしょうか?

国家の目的は軍事と経済

そもそも、「国家の目的」は、国民を飢えさせないことと、国民の生命・財産を守ることにあります。これは、古今東西変わらない「鉄則」です。

これを現代風の専門用語で言い換えれば、「軍事的安全」と「経済的繁栄」と言い換えても良いでしょう。

図表 古今東西変わらない「国家の目的」
目的意味合い備考
軍事的安全外国から攻め込まれないこと、国内で反乱が生じないこと広い意味では「治安の維持」も含まれる
経済的繁栄国民が豊かに暮らしていけること国民が、最低限の衣食住と文化的生活を営むことが必要

これは当たり前すぎる話ですね。

余談ですが、日本は先の大戦に敗れて以来の70年少々、「経済的繁栄」には成功したものの、「軍事的安全」の確保には失敗しています。実際、ソ連(現・ロシア)に奪われたままの千島列島・南樺太は返還されていませんし、「日本国憲法」が施行された後で、竹島を韓国に武力で奪われました。さらに、日本が実効支配する尖閣諸島は、中国に奪われそうになっています。私は、「国の交戦権」を禁じた憲法第9条第2項を「殺人憲法」と呼ぶのが妥当だと思います。

軍事面で米国、経済面で中国という失敗

韓国のことに話を戻しましょう。

朴槿恵政権は、発足以来、アクセル全開で反日外交を繰り広げました。前任の李明博(り・めいはく)が、日本の野田佳彦首相(当時)から2011年10月に日韓スワップの700億ドルへの拡大を勝ち取ったあとで、竹島に不法上陸するなどして日本との関係を自ら破壊しましたが、朴大統領は愚かにも、李明博政権の「反日路線」をそのまま継承したのです。

そして、「反日」は猛烈な「中国擦り寄り」となって結実します。朴大統領は就任後、初の外遊先に米国を選んだものの、米国の次の外遊先に、韓国の外交上の関連を破って日本ではなく中国を選びました。それだけではありません。習近平(しゅう・きんぺい)国家主席との関係を強化し、2015年9月3日には「西側諸国」首脳でありながら、天安門で開かれた「抗日戦勝利70周年記念軍事パレード」に参加するなどして、米国の逆鱗に触れました。

2015年10月の朴大統領の訪米では、あの温厚なバラク・オバマ大統領が朴大統領を冷遇し、2015年12月には「仇敵」(?)である日本との「慰安婦合意」を結ばざるを得なくなりました。

韓国がこのように迷走した最大の理由は、なんといっても「米中両国との二股外交」にあります。特に、韓国は軍事的には北緯38度線で北朝鮮と向き合っていますが、韓国にとって、在韓米軍は北朝鮮からの侵攻を防ぐうえでどうしても必要です。そして、輸出依存度(GDPに対する輸出比率)が4割を超える韓国にとっては、経済面での中国との結びつきが強く、韓国経済はかなりの比率が中国に依存してしまっています。

5つのキーワード

そんな韓国の迷走を示すキーワードが5つあります。

キーワード相手国概要
AIIB中国中国が設立したアジアインフラ開発銀行(AIIB)に出資したこと
慰安婦日韓合意日本日韓両国外相が、従軍慰安婦問題の「完全な解決」で合意したこと
THAAD米国在韓米軍への高高度ミサイル防衛システムの配備を決めたこと
GSOMIA日本軍事情報の包括的共有を日本と合意したこと
日韓スワップ日本外貨が脆弱な韓国が通貨危機の際、日本から助けてもらう協定

このうち、「軍事面」からはTHAADとGSOMIA、「経済面」からはAIIBと日韓スワップが挙げられます。そして、「慰安婦問題」とは韓国国民の「プライド」のようなものであり、軍事、経済にも属しません。

AIIB出資とTHAAD配備

AIIBは中国が「鳴り物入り」で設立した国際開発銀行です。しかし、「鳴り物入り」である割には、日本と米国という「国際的なキー・カレンシー国」が2か国揃って不参加を決めており、肝心の融資原資を欠いている中、融資件数も金額も「鳴かず飛ばず」という惨状です。

韓国は米国の制止を無視し、2015年段階で早々にAIIBへの参加を決め、米国の強い怒りを買いました。韓国が米国の怒りを犠牲にしてまでAIIBに参加した最大の理由は、AIIBという「国際金融組織」で、韓国が副総裁などのポストを確保するためです。

しかし、せっかくの「副総裁ポスト」も、今年7月になって失ってしまいました。韓国にとっては「40億ドル」という途方もない分担金を支払ったにもかかわらず、です。

韓経:【社説】ささいな難癖で韓国持分のAIIB副総裁を廃止した中国(2016年07月11日13時39分)

これは、中国に意向に反して朝鮮半島へのTHAAD配備を決めた韓国に対する、明らかな中国側の「意趣返し」でしょう。米国は米韓同盟を維持する条件として、韓国にTHAAD配備を突きつけたのですが、結果的にAIIBへの出資を「無駄にしてしまう」という効果しかなかったのです。

GSOMIAと日韓スワップ

こうして「困った状態」となってしまうと、伝統的に朝鮮人は、日本に擦り寄ってきます。それが、軍事面での「GSOMIA」、経済面での「日韓スワップ」です。

朴政権初期の猛烈な反日はどこに行ったのか、臆面もなくこのようなことを要求してくる韓国というのも困りものですが、しかし現在の韓国は、軍事的には強大な北朝鮮(とその裏にある中国)に対峙するだけの軍事力もありませんし、せっかくAIIBに出資したものの、国際的な投機筋からの攻撃にはとても脆弱(ぜいじゃく)です。

そこで、軍事情報を日本から受け取るというGSOMIAを締結し、また、金融危機時に日本から米ドルや日本円などの「ハード・カレンシー」を受け取れる通貨スワップ協定の再開を目指しているのでしょう。

絶対に解決しない「慰安婦問題」

そして、一番厄介な問題が、「従軍慰安婦問題」です。

これは、もともとは朝日新聞と植村隆が捏造した事件ですが、「朝鮮半島で日本軍が少女20万人を拉致し、戦場に強制連行して性的奴隷とした」とされる大嘘をでっち上げたのは、歴代韓国政府に加え、ほかならぬ一人ひとりの韓国国民です。私も日本国民の一人として、到底、韓国人のことを許すことはできません。

ただ、昨年12月に安倍晋三政権は、愚かにも「日韓慰安婦合意」を形成しました。これは、「やってもいない強制連行」をあたかも「やった」かのように認め、事実上の賠償金である10億円を政府予算から支払うというもので、過去・現在・未来の日本人の名誉を犠牲にする、考えられる限り最悪の解決策でした。

この「慰安婦合意」は、その後の韓国政府の反日行動を完全に封殺することに成功したことは事実です。しかし、朴槿恵政権が任期をあと1年以上残して完全に機能不全状態になってしまった以上、韓国が再び「慰安婦合意」を反故にしようとして来ることは間違いありません。

韓国は政権が交代すれば過去の国際合意を反故にする国です。日本は何度も何度も、何度も何度も、韓国政府のウソに騙され、煮え湯を飲まされてきたはずです。どうして学習することができないのでしょうか、私自身も悔しさのあまり、涙が出て来そうになります。

韓国とは距離を置くべき

私の理解だと、現在の国際情勢を考えるうえで、一番重要な要素は「中国の軍事的台頭」です。明らかに軍事的野心を燃やす中国のリスクを封じ込めることこそが、日本にとって必要なことです。その意味で、現在、日本が韓国を「敵」に回している余裕などありません。

安倍政権は先週、GSOMIAについては仮署名を終えたようですし、おそらく日韓スワップに関しても、国民感情を押し切ってでも再開することは間違いないでしょう。しかし、昨年12月の慰安婦合意と、それに基づく10億円という国民の「血税」は、「無駄な支出となる」リスクもあります。くれぐれも、「韓国に配慮して」、日韓慰安婦合意を日本の方から反故にする、ということはしないで欲しいと思います。

ただ、その一方で、もう一つ重要なことがあります。

それは、日本が歴史上、朝鮮半島と関わって「幸せ」になったことなどない、という事実です。

例えば、日本はすでに北朝鮮と事実上の「断交状態」にありますが、これで何か日本に「困ったこと」はあったでしょうか?北朝鮮産のマツタケが日本に入ってこなくなったところで、日本としては全く困りません。そして、長期的に見ると、韓国についても同じことが言えるのではないかと思います。

もちろん、日本人が北朝鮮当局に拉致されている実情を踏まえるなら、日本が北朝鮮とのかかわりを断絶することはできません。無事、憲法第9条第2項を撤廃し、自衛隊を日本軍に改組することができれば、日本軍の最初の仕事は、北朝鮮への軍事侵攻による拉致被害者の救出となるからです。当然、その後は朝鮮半島北部の体制を変革するなど、日本も最低限、関与せざるを得なくなるでしょう。

ただし、体制変革後の北朝鮮をどうするかという問題は残りますが、一つのソリューションとしては、韓国との「連邦国家」にしたうえで非核化し、ロシア、中国、米国などと「共同管理」するなどが考えられます。いずれにせよ、その場合であっても、日本の朝鮮半島への関与度合いを薄める努力は必要です。

いわば、現在は「日本が韓国とどうかかわっていくか」について、「国としてのコンセンサス」を形成すべき時期なのではないかと思うのです。

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