日本時間の明日、大勢が判明するとみられる米国大統領選では、どちらの候補が勝っても、米国の指導力の低下は免れないでしょう。その一方、安倍総理の動静を調べたところ、9月以来、実に34もの国・国際機関の長・要人らと会談しています。そして、フィリピンのドゥテルテ大統領、ミャンマーのスー・チー国家最高顧問らが、相次いで日本を訪問しました。ふと気づくと、日本の立場が戦後、最も強くなっているように思えます。これは、日本が「自由で民主的な社会のリーダー」となるための、絶好の機会ではないかと思えるのです。

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    ここからが本文です。

    ふと気づく、「日本の立場」

    近況報告

    最近、既に締切が過ぎた専門書籍の原稿とセミナー資料、それから自分の会社の決算作業という「三つの課題」を抱えて、アップアップしている「新宿会計士」です(笑)

    ところが、今年7月に開設したこちらの「政治経済評論」については、書きたいネタの方が山のように押し寄せています。つまり、会社の本業でも評論でも、やや多忙すぎる状況です。少しずつ合理化せねば…(笑)

    とういわけで、本日の記事は、「ふとした気付き」をベースに組み立ててみたいと思います。

    空飛ぶ総理大臣の面目躍如

    先ほど、ふと気になって安倍総理の日程を確認してみたのですが、9月から昨日までの2か月少々で、実に34もの国・国際機関の長・要人らと会談しています(図表参照、ただし、フィリピンやブラジル、ミャンマーなど、重複して会談しているケースもありますが…)。

    図表 安倍総理と外国要人との面会
    面会場所 日付 安倍総理が面会した外国要人
    東方経済フォーラム出席等 9月2日 ロシア・プーチン大統領
    G20杭州サミット出席等 9月5日 ブラジル・ルリア大統領、中国・習近平国家主席、エジプト・エルシーシ大統領
    ASEAN関連首脳会議出席等 9月6日 フィリピン・ドゥテルテ大統領、ラオス・シースリット首相
    9月7日 ラオス・ヴォーラチット国家主席、ミャンマー・アウン・サン・スー・チー国家最高顧問、オーストラリア・ターンブル首相、韓国・朴槿恵大統領、インド・モディ首相、ベトナム・フック首相
    米国訪問 9月19日 カタール・サーニ首長、国連総会・トムソン議長、コロンビア・カルデロン大統領、米国・クリントン前米国国務長官
    9月20日 英国・メイ首相、ウクライナ・ポロシェンコ大統領、パキスタン・シャリフ首相、国連・潘基文事務総長
    9月21日 トルコ共和国・エルドアン大統領、米国・バイデン副大統領、イラン・ローハニ大統領
    キューバ訪問 9月22日 キューバ・カストロ国家評議会議長/フィデル・ カストロ前キューバ国家評議会議長
    迎賓館赤坂離宮 9月28日 シンガポール・リー・シェンロン首相
    首相官邸 10月7日 インドネシア・パンジャイタン海洋担当調整大臣、東ティモール・グスマン指導大臣兼計画・戦略投資大臣
    迎賓館赤坂離宮 10月12日 ベルギー王国・フィリップ国王
    首相官邸 10月14日 モンゴル・エルデネバト首相
    首相官邸 10月19日 ブラジル・ルリア大統領
    首相官邸 10月26日 フィリピン・ドゥテルテ大統領
    迎賓館赤坂離宮 10月27日 ヨルダン・フセイン国王
    首相官邸 11月1日 米州開発銀行・モレノ総裁
    迎賓館赤坂離宮 11月2日 ミャンマー・アウン・サン・スー・チー国家最高顧問

    ここに列挙したのは、わずか2か月少々の人数です。私はこれを見て、シンプルに「すごい人数だ」と思います。歴代の日本の首相がここまで大勢の外国要人と精力的に会うなど、考えられなかったことです。

    これだけの国の要人が日本に来るということ

    もっとも、日本の場合、国会日程が始まってしまうと、総理大臣は国会に出席する義務から、おいそれと外遊することができなくなります。しかし、首脳会談とは、「日本から安倍総理が外国に出かけること」だけでなく、「外国から要人が日本を訪れること」でも実施できます。

    実際、「安倍外交」は国会日程開始後も精力的に続いています。9月28日のシンガポールのリー・シェンロン首相を皮切りに、先週までに実に10人もの要人(うち国家元首級・首脳級が7人)が日本を訪れました(※なお、ここに記載していませんが、9月1日にはG7下院議長団も安倍総理を表敬しています)。

    これだけ多くの国から、国家元首・首相級を含めた要人が頻繁に来日するということは、日本の外交的な能力が高まっている証拠だと見て良いでしょう。私は、こうした流れを素直に歓迎したいと思います。

    中国と「対等に」渡り合う時代?

    青山繁晴さんのコメントに気付く

    ところで、インターネット番組「真相深入り虎ノ門ニュース」には、毎週月曜日に、参議院議員で独立総合研究所元社長の青山繁晴さんが出演されています。昨日の放送(※録画)で青山氏は、

    日本が米国抜きで中国と対等に渡り合うようになった

    という趣旨の発言をされました(※ただし放送で聞いていたため、この通りの発言ではなかったかもしれませんが…)。

    これは非常に重要な「気付き」です。

    現在のアジアにおける「キーパーソン」は、二人いると思います。

    一人は、「強硬な反米主義者」として知られるフィリピンのドゥテルテ大統領であり、もう一人は、長年、軍による独裁が続いていたミャンマーで先日、事実上の国家元首である「国家最高顧問」に就任したアウン・サン・スー・チー氏です。そして、この二人には、次の共通点があります。

    • 9月のASEAN関連首脳会談で一度、安倍総理と会見していること
    • 日本訪問に先立って中国を訪問していること
    • 日本の首相官邸もしくは赤坂迎賓館で安倍総理と首脳会談していること
    • 日本と中国から、何がしかの援助を引き出していること

    ドゥテルテ大統領、スー・チー最高顧問という「二人の国家元首」の行動には、「東南アジアの発展途上国の利害を代表している」という、立場的な共通点があります。そして、(米国ではなく)「日本と中国を両てんびんにかける」という、似たような行動を取ったのです。これをどう考えるべきでしょうか?

    レームダック状態の米国

    従来の「日本外交」は、「対米追随型」と揶揄されてきました。

    私は、憲法第9条第2項の制約から、日本の安全保障を米国に依存している現状では、「対米追随型外交」もやむを得ない側面があったと考えています。しかし、「強面」のフィリピン・ドゥテルテ大統領、国内で絶大な指導力を誇るミャンマーのスー・チー最高顧問が相次いで(米国ではなく)「日中両国」を訪れていることは、今や、東南アジア諸国が日本を米国に代替し得る「自由主義陣営」のリーダーだと見ている、という証拠にほかなりません。

    言うまでもなく、現在の米国は、大統領選の都合上、オバマ政権が「レームダック状態」に陥っています。これは「2期8年」を最長任期とする米国の大統領制の慣習上、仕方がないことですが、これに加えて現在の特殊事情があります。それが、「史上例を見ない最悪の大統領選」です。

    トランプ、ヒラリー、どちらにしても最悪?

    おそらく、日本時間で明日未明には、米大統領選の大勢が判明すると思います。WSJなどの報道を見ている限り、おそらくヒラリー・クリントン候補が「逃げ切る」可能性が高いと見られますが、トランプ候補のような「過激な」言動を取る人物が共和党の大統領候補に指名され、「支持率」だけで見たらクリントン候補に肉薄(もしくは僅差で上回る)状態は、どう考えても「異常事態」です。

    米国人の良識を信じるなら、あそこまで過激な発言を繰り返すトランプ候補が「泡沫候補」として、大統領選の早い段階で沈むべきでした。実際、トランプ候補の発言を見ていると、どうも彼の経済知識は1980年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代で止まってしまっているようにも見受けられるからです。

    しかし、実際にはトランプ候補が共和党の指名を受けてしまい、一部の世論調査ではクリントン候補を上回る支持率を獲得している状況です(ただし、米大統領選は州単位で獲得した選挙人の数で決まるため、支持率と当選可能性は必ずしも比例するものではありませんが…)。

    そして、政権中枢部の経験が長いはずのヒラリー・クリントン候補が大統領選を制する可能性が高いとはいえ、仮にクリントン氏が大統領に選出されたとしても、「メール爆弾」問題や自身の体調不良疑惑などを抱えています。もってせいぜい1期4年でしょう。

    つまり、トランプ/ヒラリーのいずれの候補が大統領選を制したとしても、米国の指導力の急低下は免れません。

    日本はどうすれば良いのか?

    日本が自由・民主主義国のリーダーになるために

    では、日本はどうすれば良いのでしょうか?

    それは、「米国に代わる、アジアにおける自由・民主主義国のリーダーとなること」しかありません。

    多くの方が誤解していますが、日本の民主主義は「GHQに押し付けられた日本国憲法」から始まったのではありません。既に「大日本帝国憲法」の時代に、衆議院と貴族院という二つの立法府を含め、三権分立と法治主義の規定が成立していたのです。日本が伝統的な「法治主義国」であり、「資本主義国」であることに、何の疑いもないのです。

    ただし、現在の日本には、次の制約があります。

    (日本国憲法第9条第2項)

    前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

    つまり、憲法第9条第2項は、「国の交戦権は、これを認めない。」と規定しています。たとえ日本国民が北朝鮮に拉致されても、北朝鮮に対して日本国民を取り返すために日本軍を派遣する、ということができないのです。

    もちろん、歴代の日本政府は、憲法第9条第2項があっても、「自衛隊は合憲だ」などと、むりくりに解釈をしてきました。しかし、この文言に照らすなら、どう考えても自衛隊は「憲法第9条第2項違反」状態です。このことは、事実として認める必要があります。

    殺人憲法を撤廃せよ!

    ただし、私は「自衛隊の存在は憲法第9条第2項に違反しているから違憲だ」、などと言うつもりはありません。私の主張は、むしろ、その逆です。

    国が国であるためには、外国の犯罪行為から国民を守らなければなりません。国民を守ることができない憲法第9条第2項は人類普遍の自然法に反しており、これこそまさに、「殺人憲法」の名に値すべきものです。

    何より、北朝鮮も中国も韓国もロシア(旧ソ連)も、日本国および日本国民に対する不法行為を働いています。彼らがなぜ、このような不法行為を働くのかといえば、結局、「日本が絶対に反撃して来ない」と知っているからです。

    私は、憲法第9条第2項という「殺人条項」を、日本国民が正面から向き合い、議論し、そして撤廃すべきだと思います。そして、米国が世界の指導者としての地位を「弱めている」ことは、日本の安全保障を抜本的に考え直す好機に他ならないのです。

    この好機、何とか生かすべき

    まとめますと、

    • 日本では過去に例がない「外交上手」である安倍政権が長期政権化しようとしている
    • 衆参両院で「改憲に前向きな勢力」(?)が3分の2を占める状態が出現している
    • 長年、日本を軍事的に「支配」してきた米国が、指導力を極端に弱めつつある
    • アジア諸国は、米国に代わって「自由民主主義国家のリーダー」としての役割を、日本に対して期待している

    という状況です。この好機を生かし、日本が世界の平和と安定の仕組みづくりに、「主体的に」関わっていく時代は、もうすぐそこに来ているのかもしれません。

    ※本文は以上です。

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    著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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