インターネットで興味深い記事が出ていました。それは、あるテレビ番組で、無知なタレントが、きちんとした法令用語を理解できずに、それを「バカにする」姿勢をとった、という「ちょっとした事件」を取り扱ったものです。ただ、ちょっとした事件を放置しておけば、やがて隣国のように「国家が崩壊する」くらいの大事件が発生しかねません。規律が弛緩しきった不健全な業界には、やはり日本経済からご退場いただくのが良いと思います。

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    マス「ゴミ」とは?

    マス・メディアは、新聞やテレビのように、大勢の人々に情報を伝達する手段であり、「マス・コミュニケーション」を略して、俗に日本では「マスコミ」と呼ばれています。厳密には「マス・メディア」と「マス・コミュニケーション」は別の概念ですが、私のウェブサイトでは「マス・メディア」と「マスコミ」をそれほど区別せずに用いています。

    いつの頃からか、インターネットを眺めていると、このマス・メディア(マスコミ)のことを揶揄した「マスゴミ」(酷い例になると「カスゴミ」)という表現が広がり始めました。私が大手ブログ・サイトの「アメーバ」や「楽天ブログ」でブログによる情報発信を始めたのが2010年頃ですが、現在までのほぼ6年間だけで見ても、この「マスゴミ」(あるいは「カスゴミ」」という表現を一度でも聞いたことがあるという人は間違いなく増えているはずです。

    「マスゴミ」という表現には、「ゴミのような情報ばかり発信する新聞やテレビ」という、日本国民の憤りが込められています。

    無知ゆえの過ち

    朝日新聞社と同社元記者の植村隆が、「旧日本軍が戦時中に済州島で少女を拉致し、性的奴隷にした」とされる「従軍慰安婦事件」を世界中に大々的に広めたことは、一種の報道犯罪級の事件です。実際、「慰安婦捏造報道事件」は日韓関係を崩壊に導きましたし、「やってもいない日本軍による強制連行」のいわれなき罪で、日本人は世界的に糾弾され続けているからです。

    ただ、ここまで酷い「報道犯罪」は別格としても、日本の新聞社やテレビ局が「マスゴミ」と呼ばれるのには、きちんとした根拠があります。というのも、日本国民の大部分が納得できない、理不尽な内容を掲載・放送する事件が頻発しているからです。先日も、こんな「事件」が発生しました。

    「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出(2016/11/04(金) 19:33付 Yahoo!ニュースより【ねとらぼ配信】)

    「事件」のあらましは、こうです。

    出演人物らがロケ中に遭遇した自動車整備会社の年配男性(一般人)に道を尋ねたところ、この男性が発した「丁(てい)字路」という単語をあげつらった

    というものです。

    私自身はテレビを所持していないため、該当する番組を直接見たわけではないのですが、記事によれば「陣内智則さんや川村エミコさんなど4人」がこの「丁(てい)字路」という発言を「T(ティー)字路」(じゃなくて)「丁(てい)字路」だ、などと繰り返し、テロップでもこの「丁(てい)字路」を繰り返した、ということです。

    こんな番組を作るから「マスゴミ」とバカにされるのかもしれません。

    実は、「丁(てい)字路」とは、道路交通法にも出てくる日本語であり、むしろ「T(ティー)字路」の方が「俗語」です。道路交通法第2条第5号(交差点の定義)には、

    「交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。」

    とあります。つまり、番組に出てきた男性が「丁(てい)字路」と発言したことは、むしろ「T(ティー)字路」よりも、日本語としては正しいと言えます。しかし、「ねとらぼ」の記事によると、

    番組では、男性や出演者が「丁字路」と発するたびにテロップで「丁字路」を目立たせたり、「丁字路にもってかれた」と笑ったりと、まるで男性が間違った日本語を使ったかのような編集

    にされたそうです。出演していた「タレント」とやらが無知であることは仕方がないにせよ、編集段階でそれに気付かないとは、番組を制作しているテレビ局の関係者らも同様に無知であるということが、見事にわかります。

    2009年頃、新聞もテレビも、当時の麻生太郎総理大臣が「漢字を読み間違えた」「ホッケを煮付けにして食った」など、「常識がない!」と大騒ぎしていたことを、私はしっかりと覚えています。そのマス「ゴミ」自身が、無知・無教養なコンテンツを垂れ流すとは、いかがなものかと思います。

    教養のないタレントとテレビ局員

    もちろん、「丁字路」も「T字路」も、どちらも日本語として一般化しているのが実情ですから、いちがいにどちらかが「間違い」で、どちらかが「正しい」と決めつけるべきではありません。しかし、問題の本質は、「丁字路」「T字路」の言い間違い云々ではありません。

    テレビに出演するタレントのすべてが無教養だというつもりはありませんが、少なくとも「恥をかかない」ためには、番組制作現場に国語辞典くらいは置いておく(それが無理ならネットにつながる環境を整える)くらいは必要でしょう。テレビ局の制作サイドが、最低限の日本語の知識すら持っていないのは、非常に大きな問題です。

    男性は厚意で道を教えてくれたのです。仮に「丁字路」という表現が間違っていたとしても、タレントらがその男性のことを侮辱にするような発言をしていること自体が大きな問題でしょうし、それをそのまま報道してしまうテレビ局の姿勢はもっと大きな問題です。

    そして、一番大きな問題は、いちど放送免許を与えてしまうと、それを剥奪する手段がないという、現状の日本の放送行政でしょう。

    「30分の1」の法則

    ところで、私が「ちょっとした事件」を問題視するには、きちんとした理由があります。それは、「30分の1」の法則です。

    この概念を提唱したのは「失敗学」で知られる、東京大学名誉教授の畑村洋太郎先生だったと記憶していますが、「1つの大事故が発生する時には30件の中事故が発生している」、「1つの中事故が発生する時には30件の小事故が発生している」、というものです。

    韓国の事例:フェリー沈没「事件」

    実際、これが「30分の1」なのか「100分の1」なのかはともかくとして、「一つの大事故の裏には複数の中事故がある」、「一つの中事故の裏には複数の小事故がある」とする法則は正しいといえます。つまり、「大事故」を防ぐためには「中事故」を防げばよく、「中事故」を防ぐためには「小事故」を防げばよい、ということです。

    例えば、2014年4月に韓国で発生したのは、フェリー船「セウォル号」の転覆「事件」です(ちなみに私がこれを「事故」ではなく、敢えて「事件」と呼ぶ理由は、同号の転覆が「人災」だったからです)。

    同号は悪天候に見舞われたわけでもなく、あるいは浅瀬で座礁したわけでもありません。それなのに同号は突如、転覆し、修学旅行中の高校生を含め、逃げ遅れた乗客を中心に300人を超える犠牲者が出ました。

    その原因は、

    「◆規定と比べて3~4倍もの過積載、◆バラスト水が不足していた、◆法令に反して経験不足の三等航海士が操舵、◆避難用のボートが使える状態になっていなかった、◆船長・船員らが避難誘導もせずに真っ先に逃亡」

    など、明らかに「起こるべくして起きた」ものです。

    しかし、日本人の感覚からすれば、船舶の運航がここまで杜撰であって、どうして行政がそれを見逃したのかが不思議でなりません。実はセウォル号の杜撰な運航を見逃されていた背景をいろいろ調べていくと、韓国社会全体が各所で「腐敗」しているという実態があるようです。

    ちょっとした事故を許すな!

    重要なことは、「社会のネジ」が緩み始めたら、社会のあちこちで「ひずみ」が出てくる、ということです。ちょっとした事故を見逃していると、それが30件積み重なれば1件の「小事故」が発生します。

    社会が「小事故」に慣れてくれば、それが30件も発生すれば、1件くらいは「中事故」が発生してしまいます。「中事故」が30件も積み重なれば、やがて「大事故」が発生する、という仕組みです。韓国社会の例でいえば、「セウォル号事件」に加えて、航空機、地下鉄、モノレールなどで相次いで事故が発生していますし、大統領は民間人に国家機密を漏洩していたとして、今や政府・国家自体が機能不全状態に陥っています。

    この隣国の例だけで見ても、「ちょっとした社会の規律の緩み」を許していくと、やがては国家が崩壊するだけの「大事故」につながるおそれがある、ということはよくわかるでしょう。

    日本のマス・メディアの問題点

    さて、翻って日本社会はどうでしょうか?

    少なくとも、私が所属していた業界(一つは監査業界、もう一つは明かせません)に関していえば、確かにいくつもの問題を抱えていることは間違いありません。ただ、日本社会全体が健全性を保っているため、たとえば公認会計士業界が「IFRS(いふるす、国際財務報告基準)」というインチキ会計基準を、業界を挙げて推進しようとしていても、IFRSが日本全体に広まる兆候はありません(もっとも、既にIFRS採用社数は100社を超えているようですが…)。

    ただ、日本社会全体が健全であっても、業界によっては深刻な問題を抱えているケースが多いのも実情でしょう。特に、「独占業界」では、こうした問題が噴出しています。

    独占業界ゆえの規律の弛緩

    冒頭に紹介した新聞・テレビの場合は、典型的な「独占商売」です。

    「地上波テレビ局」は、新規参入がほぼ不可能に近く、在京テレビ局5社をはじめとする民放各社やNHKは、日本国民の財産であるはずの「電波」を、格安で使わせてもらっています。日本全体で1億2000万人、首都圏だけでも3000万人を超える人口を抱えながら、全ての地域で視聴可能なチャンネル数が10個もないのは異常です。

    また、新聞社についても、日本独特の「宅配制度」があるため、(特に全国紙の)新規参入はほぼ不可能に近いでしょう。新聞業界も、全国紙5紙(読売、朝日、毎日、産経、日経)に地方紙(中日・東京グループのほか、悪名高いものでは北海道新聞や沖縄タイムス、琉球新報など)が事実上、情報の提供を独占しています。

    「丁字路事件」を発生させた問題のテレビ局についても、「無教養さ」を嗤うだけなら簡単ですが、その理由は、やはり「独占競争」のため、業界の規律が弛緩(しかん)しきっているためであろうと考えるとうまく説明がつくのです。

    独占商売は長期的に必ず破綻する!

    新聞もテレビも、典型的な独占商売であり、「大した情報を発信していなくてもそれなりに儲かるビジネス」です。

    しかし、「丁字路」が正しい日本語であると分からず、他人を侮辱するような出演者が出演する番組を作成しているようなテレビ局が、長期的に見て視聴者に支持されるとは思えません。

    実際、2010年頃からスマートフォンが急速に普及し始めたためでしょうか、インターネットが我々の身近な存在となって来ました。今回の「丁字路」問題も、インターネットのウェブサイト(Twitter等)で火が付いたようです。

    朝日新聞による「慰安婦捏造事件」を解明した原動力はインターネットにありましたが、いまやインターネットには、テレビ局関係者らを遥かに上回る知識力・調査力を持ったネット民が溢れかえっています。

    新聞・テレビが独占商売に「アグラ」をかいて、向上心を失っているのであれば、読者・視聴者が新聞・テレビからそっぽを向くだけの話です。テレビにかんして言えば、まず知識層がテレビを見なくなり、次に「いまテレビを見てくれる視聴者」のレベルにあわせた番組作りをすることになり、今度は「いまテレビを見ている視聴者」の中でも一番知的水準が高い層がテレビを見なくなり、…、という繰り返しが生じているのでしょう。

    ウソばかり垂れ流す新聞、低レベルなテレビ…。早ければあと数年以内に、「マスゴミ」が倒産するのを見ることができるかもしれません。

    ※本文は以上です。

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    著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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