新宿区歩きタバコの現状報告

本日は、私の持論「ちょっとした不法行為」について、改めて議論したいと思います。不法行為とは、いわば「悪いことをして他人に迷惑を掛けること」ですが、歩きタバコやポスティング、勧誘電話など、「法律では取り締まれないが他人に迷惑を掛ける行為」について紹介。あわせて、何でもかんでも法律で縛るのではなく、「社会の構成員それぞれが少しずつ周囲に配慮する」ことで住みやすい社会を作っていく重要性を主張したいと思います。

ちょっとした不法行為

今日のテーマは「不法行為」です。「ふほうこうい」、と読みます。「悪いことをして他人に迷惑を掛けること」、とでもいえば良いでしょうか。ここでいう「悪いこと」とは、「法律に違反すること」が中心でしょう。Wikipediaを読むと、

「ある者が他人の権利ないし利益を違法に侵害する行為。また、その場合に加害者に対して被害者の損害を賠償すべき債務を負わせる法制度である」

と記載されていますが、不法行為の説明としては不十分です。私自身は、「法律に違反していなかったとしても、社会生活を営むうえで、自分の行動が原因で他人に迷惑を掛けたら、それは不法行為と見るべきだ」と考えています。実際、民法第709条を読むと、

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

と規定されています(わかりやすく言えば、「故意」とは「わざと」、「過失」とは「うっかりして」、という意味です)。つまり、自分自身の行為が原因で誰かに迷惑を掛けたら、それは立派に「不法行為」として成立すると考えるべきなのです。

ただ、私自身は「人に迷惑を掛ける行為は広く『不法行為』に該当する可能性がある」と考えていますが、人によっては、「ちょっとしたことなら大丈夫」などと考えているのではないでしょうか?その代表的な例が、次の三つです(図表)。

図表 迷惑な行為
迷惑な行為行動取締り
歩きタバコ火のついたタバコを吸いながら歩く行為新宿区では歩行喫煙防止条例はあるが罰則がない
チラシのポスティングマンションなどの集合ポストにチラシを投函する行為明確な取締りの法律がない
不動産などの勧誘電話自宅や職場に不動産投資などの勧誘電話を掛けること不動産は金商法の適用除外となっている

本当は他にも「迷惑な行為」の例はありますが(例:ウィルスメール・スパムメールの送付など)、本日はこの三つを、「不法行為ではないか」という側面から眺めてみたいと思います。

歩きタバコ

昔から私自身のテーマの一つが、「歩きタバコ」です。ご存知の通り、これは「路上を歩きながら(ひどい場合は自転車・バイクに乗って走りながら)タバコを吸う」行為です。私が居住する新宿区のケースですと、いちおう、「路上喫煙禁煙条例」というものは存在するのですが、罰則がないため、有名無実化しています。制定されたのは今から20年前の平成8年、つまり1996年だそうですが、いまだに新宿区の路上では火のついたタバコを持ち歩いている人間が観測されます。

明確な統計を取ったわけではないのですが、ここ数年、新宿区の歩行喫煙者の数は、減るどころか横ばいか、むしろ増えている気がします。また、私の主観的な評価ですが、ごくまれに女性や若い男性が路上喫煙しているのを見かけるものの、歩行喫煙者の8~9割は中高年男性です。中高年男性といえば、社会の中では最も分別があるはずの人たちだと思ってしまいますが、現実には歩きタバコで社会に迷惑を掛けている者が、中高年男性に偏っているのです。

タバコを吸うことの害については、いまさら申し上げるまでもないでしょう。喫煙をすることで何か身体が良くなるとか、そういう「良い面」があるということを知っている方は、無知な私にそれを教えてください。ちなみに「タバコを吸うと精神が落ち着くという長所がある」という説明は、説明になっていません。それは中毒性があるため、「タバコを吸わないと落ち着かない」という、典型的なニコチン中毒です。

問題は、タバコを吸う本人以外も、その害を蒙ることです。普通の「紙巻きタバコ」は、吸えば煙が周囲にまき散らされます。非喫煙者であっても、喫煙者の煙を吸わされることがあるのです。つまり「受動喫煙」ですね。歩きタバコをしている者の後ろを歩いていると、風向きにもよりますが、酷い時には数十メートル離れていても、タバコの嫌な臭いがします。

また、大人の男が火のついたタバコを手に持つと、その高さがちょうど子供の目にぶつかるくらいです。火のついたタバコは、いわば凶器の一種です。それを、ぶんぶん振り回しながら歩くというのは、街中でナイフをぶんぶん振り回しながら歩いているのと何ら変わらないと思うのですが、どうしてこれを「犯罪」として取り締まらないのか、不思議でなりません。

いずれにせよ、会社の中堅層として活躍していると思しき中高年男性が、かかる迷惑行為を行っているとは、私にはどうにも理解できません。しかし、歩きタバコをする者は後を絶たないし、その大部分は中高年男性である、という点は事実です。

チラシのポスティング

私は新宿区内の某集合住宅に居住しているのですが、毎日のようにポストにチラシが投函されます。その多くは不動産のチラシですが、中には新聞の購読勧誘やどこかのスポーツクラブ、ピザの宅配、マッサージの勧誘なども含まれています。それらの多くは、即、マンションの集合ポスト脇に設置されたゴミ箱行きですが、チラシの中に大事な郵便物が紛れていたりすることもあるので、ガサっとゴミ箱に捨ててしまう訳にもいかず、捨てる前に一つずつチェックしなければなりません。

実は、私もいろいろと調べたことがあるのですが、チラシのポスティング自体を取り締まる法律というものはありません。チラシのポスティングも一応は商売上の宣伝行為ですから、それを法律で禁止すると、国が民間の商売のやり方に口を出している、という批判にもつながりかねないからでしょうか?また、大量のチラシの中には、もしかして受け取った人にとって役立つ情報も、中にはあるのかもしれません。

ただ、日々投函される大量のチラシは、受け取る方としても大部分がゴミになるだけの話ですし、ゴミ箱に捨てられた大量のチラシはマンションの管理組合の費用負担で処分されています。私の感覚でいえば、チラシのポスティングも、社会的には立派な不法行為として成立しているのです。

不動産などの勧誘電話

前職(会社名、業種は明かせません)に在籍中、私が悩まされたのが不動産などの勧誘電話です。忙しい時間帯に外線着信でかかってきて、「節税対策の不動産投資」という勧誘を話し出すのです。業務多忙中に全く関係のない電話を会社にかけてくるというセンスを疑います。もっとも、私自身、すでに会社を退職しており、いつ潰れるかわからないような中小企業に勤めているためでしょうか、最近でこそ勧誘電話はほとんどかかってこなくなりました。

もちろん、中には、本当に不動産投資をしたいと思っている人もいるかもしれませんが、そういう人はどちらかといえば少数派だと思います。また、個人宅であれば、迷惑な業者からの電話を着信拒否にすることができるかもしれませんが、職場だと、着信拒否設定をするわけにもいきません。

考え方によっては、これも「営業妨害」であり、立派な不法行為に該当するのではないかと思います。

法律に違反していなければ何をやっても良い?

本日は歩きタバコ、チラシのポスティング、勧誘電話の三つを例に挙げてみましたが、「法律で取り締まれない」からといって、「その行為をやっても罰せられない」という状況は、放置するのはさすがによくないと思います。

社会はある程度、マナーや思いやりで動いていくべきものですし、法律でがんじがらめに規制してしまうと、行き辛くなってしまいます。いわば、「人間のために法律がある」のであって、「法律のために人間がいる」のではありません。本来ならば、何でもかんでも法律で規制すべきではありません。

社会の構成員である我々が、ほんの少し他人に配慮するという工夫をすれば、社会全体が暮らしやすくなります。しかし、「罰則がないから歩きタバコをしてしまえ!」という具合に、マナー違反を犯す者がたくさん出てくれば、結局は「歩きタバコ規制法」のように、「法律で」ルールを制定し、ルール違反には罰則で縛る、というかたちになってくるでしょう。

いずれにせよ、私は一人の責任ある社会人として、「法律に違反していなければ何をやっても良い」という態度ではなく、「法律に書かれていなくても他人に迷惑になる行為はやらない」、「マナーをわきまえる」、という生き方をしていきたいと思いますし、子供にもそういう教育をしていくつもりです。そして、せっかく情報発信をするウェブサイトを作ったのなら、その姿勢を他人に向けて発信していくというのも、ささやかながら社会を良くしていくことに貢献できるのではないか?と考えている次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. タバコ大嫌い より:

    歩きタバコ問題は同感。考えに賛同します。
    新宿以外も年中無休でタバコ迷惑行為が後を絶たないです。
    合法嗜好品だから、何でも有りとしているJTは全く許せません。
    路上喫煙者を当たり前にしているJTが一番の問題だと思います。

    1. Shinjukuacc より:

      コメントありがとうございます。
      確かに歩きタバコは新宿以外でも頻繁に目にしますね。大人の男が火のついたタバコをブンブン振り回しながら歩いていると、危なっかしくて仕方がありません。
      最近だと、自治体によっては歩きタバコに過料の制裁が課されるケースもあるようです。しかし、新宿区の場合は「歩行喫煙禁止条例」に罰則がないため、歩きタバコを「犯罪」として取り締まることができません。
      できれば国会で「公道の路上で、定められた場所以外で喫煙をすること」を「犯罪」として定義し、罰則を導入して欲しいものです。

  2. 新宿区に居住・勤務しています。

    当区では路上喫煙を禁じる条例が設けられていますが、年配男性を中心に、路上禁煙マークの目の前でタバコを吸っている者が多数います。

    地方自治体によっては、路上喫煙者に過料の制裁を科している場所もあると聞きますが、残念ながら新宿区の禁煙条例には「罰則」がありません。その結果、禁煙条例にも関わらず、違法喫煙者は後を絶ちません。

    新宿区といえば「ビジネス街・繁華街」のイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と幼稚園・小中学校も多く、路上を子供たちも歩いています。

    喫煙者が火のついたタバコを手荷物と、ちょうど子供たちの目の高さになります。それをブンブン振り回しながら歩いている神経が理解できません。

    この記事では「むしろ非喫煙者がガマンしている」とのご指摘がありましたが、全くその通りだと思います。

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