本日は、中国問題に詳しい米CSISのルトワック氏の手による2つの書籍や翻訳者のブログサイト等を手掛かりに、日本にとって何かと「厄介ごと」をもたらす国・韓国を考察してみました。「国家運営の失敗事例」を学習し、分析することは、実は我々日本人にとっても、きわめて有益なのです。

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    ここからが本文です。

    母親が在日韓国人であること

    本日は議論に入る前に、私個人と韓国とのかかわりについて説明しておきたいと思います。

    私自身、母親(故人)は在日韓国人二世でした(ただし生前に日本国籍を取得済み)。母親が他界したのは私がまだ小学生のころですが、韓国人である親戚との付き合いはその後も続くなど、「韓国との何らかのつながり」は意識していました。ただ、私は日本社会で育ったという事情もあり、自分自身のことを「韓国人ではなく日本人だ」と認識して来ましたし、これからもそう意識するでしょう。

    もちろん、母親は自分のことを、「日本人ではなく韓国人だ」と認識していた可能性はあります。しかし、母親が早世したこともあり、「在日韓国人」としての出自をどう考えているのかを聞いたことはありません。いずれにせよ、「自分が何者なのか」という意識(アイデンティティ)は、自分自身の意識の持ち方によって決まるのであり、自分自身の「出自」とは全く関係ないといえるでしょう。

    ところで、韓国社会の特徴といえば、「強い反日感情」(あるいは「日本に対する敵対心」)にあります。私自身は学校教育を受けるよりも前の段階から、韓国人・韓国社会が強い反日感情を抱いていることに、薄々気が付いていました。そして、ほかの多くの日本人と同様、なぜ韓国人がこれほどまでに強い反日感情を抱いているのか、戸惑っていたことも事実です。

    若いころは、シンプルに「隣り合う国同士、仲良く助け合って行ければ良いのに」などと考えていました。もっと言えば、「日本が謝れば気が済むなら、さっさと韓国に謝ってしまえば良いのに」と思っていた時期もあります。つまり、韓国社会とこんなに近い場所にいたくせに、韓国社会のことを本当に理解していたとはいえないのでしょう。自分ながらに、全く恥ずかしい話です。

    ただ、その後、在日韓国人一世である祖父母の遺産相続に絡み、母方の叔父・叔母どもを相手に遺産分割調停をするなどの経験を通じ、韓国人が無責任であるということを痛感しました(この一連の経験については、機会があれば別途、当ブログなどで「手記」の形にして公表したいと思います)。そして、改めて韓国についてじっくりと研究した結果、韓国とどう「おつきあい」すべきかについて、自分なりの結論を持つに至った(そして自分自身もそれを実践している)次第です。

    いずれにせよ、在日韓国人の子孫である自分自身が、韓国について理解するのにこんなに時間がかかったということは、皮肉なことです。

    ルトワック氏の著書に見る韓国

    当ブログでは、しばしば、米国・戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問のエドワード・ルトワック氏が執筆した、次の2冊の書籍から引用しています。

    • 自滅する中国」(2013年7月刊行、365ページ)
    • 中国4.0」(2016年3月刊行、文春新書、206ページ)

    いずれも中国を地政学という視点から分析した力作であり、我々日本人としてはとても参考になる書籍です。中国は地理的に見て日本に近く、近年、経済発展が著しいものの、それと同時に急速な軍拡が周辺国に懸念を与えている国でもあります。おそらく、当ブログでも今後、中国の政治・経済については頻繁に言及するでしょう。

    ただ、本日は少し視点を変えて、ルトワック氏の著書から、日本に最も近い外国の一つであり、日本の安定にとって潜在的に問題をもたらす厄介な国―、つまり、「韓国」について、取り上げてみたいと思います。

    両著の中で、韓国について触れられた部分は、次の通りです(図表1)。

    図表1 両著の韓国に関する記載
    書籍 該当箇所 記載内容の概要
    自滅する中国 P223~236 韓国は米国と中国に依存する従属者となってしまっており、特に安全保障の責任逃れをしようとする姿勢は「日本との争いを欲する熱意」というゆがんだ形であらわれている
    中国4.0 P125~131 2015年秋に訪米した朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領に対するバラク・オバマ米大統領の怒りと米韓同盟の先細り、韓国と日本との関係について、など

    いずれの書籍も、「中国」がメインテーマであり、韓国をはじめとする「中国の周辺国」については「付随論点」に過ぎませんが、それでも両書籍合わせて十数ページの記載は、韓国について理解する手掛かりとしては十分です。

    私自身を含め、日本人にとって韓国とは「近すぎる」がために理解が不正確となりやすいきらいがあると思いますが、日中韓三カ国から遠く離れたアメリカで戦略論を研究するルトワック氏の指摘が、非常に有益な指摘をしているというのも、興味深い話です。ルトワック氏の議論について、詳しく知りたいという方は、ぜひ、これらの書籍を買い求めて読んでみてください。

    「属国」になりたがる?

    以前、当ブログでも、韓国は「米中双方に弱みを握られている」とする議論を展開しました(7月24日付「韓国の「米中二股外交」の教訓」)が、ルトワック氏の言葉を借りれば、

    「実際のところ韓国政府は、米国と中国に依存する従属者(じゅうぞくしゃ)となってしまっている。」(「自滅する中国」P229)

    という言葉に、すべてが集約されています。

    韓国は現在、経済面では中国に深く依存するとともに、軍事面では米国に深く依存しています。このため、必然的に「米中両国と仲良くしたい」という欲求が生じてきます。その結果、韓国は「米中等距離外交」(あるいは米中「二股」外交)という外交戦略を採用してしまうのです。そして、特に朴槿恵(ぼく・きんけい)政権が発足して以来、韓国の外交は「米中二股外交」に傾斜しています。

    この外交戦略は、米国と中国の仲が良いうちはそれなりに有効ですが、考えてみれば、これは大変危険なことです。というのも、米中が対立関係に入った場合、軍事面で米国に、経済面で中国に、それぞれ深く依存する韓国は、外交も「股裂き」状態になるからです。韓国内のメディアは、朴槿恵(ぼく・きんけい)政権が発足した直後の韓国政府による「米中等距離外交」を誉めそやしていましたが、ルトワック氏の「自滅する中国」出版から3年が経過した現在、この二股外交は明らかに行き詰っています。

    韓国を理解する2要因①北朝鮮

    韓国を巡って、ともすれば我々日本人が見過ごしがちな、重要な論点があります。それが北朝鮮です。

    ルトワック氏の視点はあくまでも中国側にあるため、韓国をテーマにした記載においても、随所に「中国」を主語とした文章(「中国は」「中国が」など)が出てきます。韓国が現在直面している最大の安全保障上の問題点といえば北朝鮮ですが、ルトワック氏は、中国が北朝鮮を「人に危害を加える猛犬」に見立て、経済面から北朝鮮を「鎖につないでいる」と指摘します(「自滅する中国」P229)。

    なるほど、これは鋭い指摘です。北朝鮮が「南侵」したくてもできない最大の理由は、米韓軍事同盟の存在が一番大きいことは言うまでもありませんが、これに加えて北朝鮮が中国に経済面で深く依存しているという事情もあるのですね。

    北朝鮮といえば、核兵器やミサイルを開発していると公言していますが、中国が経済面で少し北朝鮮を締め付けるだけで、北朝鮮の体制は容易に崩壊します。日本のメディアの報道だと、「北朝鮮の核・ミサイル開発に、中国も手を焼いている」といった論調を見かけることもありますが、これは明らかに見当はずれの分析です。ルトワック氏に言わせれば、いわば北朝鮮が韓国に対する侵略の意図を持っている状態そのものが、韓国を好きにコントロールするための手段の一つなのです。

    実際、ルトワック氏は「自滅する中国」の中で、韓国が北朝鮮から軍事的挑発(2010年3月に発生した韓国の哨戒艦の撃沈事件、2010年311月の延坪島に対する砲撃事件)を受けたエピソードを紹介したうえで、

    「韓国は北朝鮮の挑発に対処しておらず、驚くべきことに、かなり大きな被害を受けた場合でも何も反応していないのだ。」(同P227)

    と指摘しています。

    おそらく、米中双方ともに、韓国は北朝鮮から攻撃を受けても自力で反攻するだけの意思も能力もないことを見抜いているのでしょう。だからこそ米国は、韓国の頭ごなしに中国や北朝鮮を抑止する必要性を理解し、在韓米軍へのTHAAD(終末段階高高度ミサイル防衛システム)の導入を急いだのであり、中国がそれをさせまいとしているのに違いありません。

    韓国を理解する2要因②日本

    そして、韓国を理解するうえで重要な、もう一つの要因とは、我々日本です。

    ルトワック氏は日本を、韓国にとっては「全く無害」で「全く脅威をもたらさない国」だと指摘(「自滅する中国」P234)していますが、これについては「自滅する中国」の翻訳者でもある奥山真司氏が、3年前に非常に興味深いブログ記事を執筆されているのが参考になるかもしれません。

    韓国トップたちの怪しい「世界観」(2013年10月26日 03:00付 BLOGOSより)

    奥山氏はあくまでもルトワック氏の書籍の翻訳者であり、「自滅する中国」自体を執筆したわけではありませんが、ご自身が翻訳した以上、その内容を深く理解していることは間違いないでしょう。その奥山氏は、韓国の有力者(国会議員)が「マス・メディアのいない場所」で、

    「韓国側は『いざ有事になったら日本は必ず助けに来てくれる』と根拠もなく確信をしている様子だった」

    とする情報を得た、と述べています(なお、情報源は奥山氏の個人的なつながりで得られたものですし、ブログ記事自体が3年前のものですが、ここでは奥山氏の認識が正しいという前提で議論を進めます)。では、仮に韓国トップたちが「いざとなったら日本は助けてくれる」という期待を抱いていたとして、日本が韓国を助けるでしょうか?実際に韓国が日本に対して行ったことを列挙すると:

    • いわゆる「朝鮮人慰安婦問題」を巡り、韓国の日本大使館前をはじめ、世界中に「慰安婦のブロンズ像」を設置し、日本人を苛立たせている
    • 「リアンクール・ロック」(日本名・竹島、韓国名・独島)の領有権を巡り、これを国際的な親善試合の場などで日本に対し主張し、挑発している
    • 2015年7月、日本側が明治期の産業革命関連施設を世界遺産登録申請した際、韓国政府は国を挙げてこれを阻止しようとした

    等々、おそらく我々が「日本人である」という立場を離れて客観的に見てみたとしても、韓国の行動は常軌を逸しているといわざるを得ません。日本政府が韓国を助けようとして、たとえば「日韓通貨スワップ協定を復活させる」、「朝鮮半島有事の際に集団的自衛権を発動して韓国を守る」、といった政策をとろうとしても、日本の国民感情が許さない状況に来ています。実際、内閣府が今年3月に発表した「外交に関する世論調査」では、韓国に対して「親しみを感じない」と答えた比率が64.7%に達しています(図表2)。

    図表2 韓国に対する親近感

    図14 韓国に対する親近感

    【(出所)内閣府「外交に関する世論調査」

    ルトワック氏によれば、韓国が日本を敵視する理由とは、

    「韓国がそもそも憎んでいるのは、日本人ではなく、日本の統治に抵抗せずに従った、自分たちの祖父だからだ」(「中国4.0」P129)

    としています。この分析が正しいかどうかはともかく、ルトワック氏は日本の韓国に対する謝罪は「無駄である」と指摘しており、その点については私も全面的に同意したいと考えています。

    日本への教訓

    長々と韓国について記載してみましたが、我々日本人がこの国を勉強しなければならない理由はただ一つしかありません。それは、「失敗しないため」、です。

    現在の国際情勢を客観的に眺めるならば、中国の経済成長が鈍化する中で、軍事的暴発リスクも高まっているのが実情です。米国の次期大統領がトランプ、ヒラリーいずれの候補者となるのか、現時点ではわかりません。しかし、「親中派」とされるヒラリー氏が次期大統領になったとしても、さすがに米国が中国の「無法」を許し続けることはできないでしょう(この点については機会があれば別稿にて説明したいと思います)。そうなれば、遅かれ早かれ、韓国は米中間で「股裂き状態」となるのは間違いありません。

    国防と経済という二つの柱で米中両国に依存してしまい、韓国の存続に深刻な脅威をもたらす北朝鮮には何も対処せず、韓国にとって全く害をもたらさない日本を目の敵にすることで、いざというときに韓国を助けてくれる味方を自ら減らしている―。

    そんな韓国の現状を、「国家運営の失敗事例」として、きちんと分析し、研究することが、我々日本にとっては有益です。

    また、歴代の日本政府は「お人よし」ですから、土壇場で、日本の国益や日本国民の感情を無視してまで韓国を助けに行くという可能性はゼロではありません。我々有権者としては、政府・有力国会議員らに「国民の声」を届け続けることが重要であることは、改めて指摘しておきたいと思います。

    ※本文は以上です。

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    著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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